ジムは本当に弱いのか。ザクと同じく、ジムのポジションを考えてみましょう。
実は、ジムは設計段階から、対MS戦を主眼として作られたMSです。ザクが、対艦攻撃用のMSだったのに対し、初の対MS用MS、現代での空中戦用戦闘機(ファイター)に当たります。
つまり、現代で言うならば、F−16相当でしょうか。
ソロモン戦における、ジム対ザクの戦いは、現代に換算すると、F−16対A−6だったのです。鈍重な攻撃機と、軽快な戦闘機の戦いです。機体性能の差、パイロット練度の差、総合的に判断しても、ジムはザクに対しては、かなり優位に戦えたはずです。
また、連邦軍の採用した、二眼式カメラの有効性は、接近戦で発揮されます。
距離感の補正が利きやすい、二眼式を採用したことからも、対MS用MSだった事はハッキリしています。ザクを接収して作った、ザニーでさえ、頭部をわざわざ改装していましたから、当初から、対艦戦よりも対MS戦に主眼がおかれていた機体なのです。
二眼式の欠点は、人間と同じく視界の狭さです。まぁ、人間は眼球だけを動かしてカバーできますが、MSでは、確実に首を振らなくてはなりません。そのため、照準時に急加速をされると、容易にモニターからフレームアウトできます。
1stガンダムの最初の方で、アムロがシャアザクに狙いを付けていると、ザクの姿が消えた。と言うのは、そう言うことなのです。
また、二眼式には必ず、焦点があるはずなので、望遠したりすると、映像がぼやけやすいでしょう。
そのため、ジムスナイパー2には、望遠用の単眼バイザーがついています。
二眼式は人間と同じく、衝撃を受けると焦点を再度合わせるのに、時間がかかるかも知れません。
しかしながら、単純なカタログデータを比較しても、ジオンの主力であるザクの倍以上の能力を持っています。
センサー範囲、バーニア出力、ジェネレーター出力。ザクに劣るところは、何一つありません。
加えて、ガンダムからフィードバックを受けた、操縦補助OSの存在も大きかったはずです。
ジオン、連邦を通じて、初のMS同士の戦闘を体験したのが、ジーンとアムロです。両軍の対MS戦のデータ蓄積のスタートは実は全く同じです。どちらかと言えば、ジオンMSを接収し、敵の主力機データが判明している連邦の方が遙かに有利であり、ガンダムの学習型コンピューターのおかげで、データを各機にコピーすれば完了する連邦軍にくらべ、シャアの映像データから、プログラム化しなければならないジオンとでは、雲泥の差があることでしょう。
ジオンにも、教育型コンピューターがあり、シャアやランバ・ラルから、操縦技術のフィードバックを受けていれば、戦局は違ったのかもしれません。
なにより、当初の開発目的を鑑みれば、連邦軍は最初から対MS戦を想定したOSが開発されていたのかも知れません。ど素人のアムロが、新人パイロットとは言え正規の訓練を受けたジーンのザクを容易く撃破できたのも、実はOSがかなりの出来だったと考えることが出来ます。そんなOSをシャア相手に成長させたのですから、その完成度たるや、推して知るべし。
テム・レイ技術大尉について、双葉社のグレートメカニクス2で、うだうだ言っておりますが、レイ技術大尉の専門分野が未確定な以上、言及すべきではありません。ニナ・パープルトンのごとくOS開発責任者、もしくは、直接のプログラマーだったのかも知れません。電子工学と決めつけたらいかんよ。
サイド6で手渡したメカも、OSの入った、ROMカードリッジだったかも知れません。そら旧型って怒るわな。PS2のユーザーに、コイツは凄いぞ。とカセットビジョンのカセット渡すようなものだ。
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