グフを考える


グフと言えば、ヒートロッド装備でランバ・ラルに供与されたB型(MS−07B)を、まず思い浮かべるでしょう。その独特の装備や、ランバ・ラルやノリス・パッカードといった、職業軍人というより、武人肌のキャラクターと相まって強烈な印象を残しています。

しかし、ジオンの戦略プログラムを考えた場合、コロニー落としの失敗は、まず考慮されていなかったはずです。くわえて、グフのロールアウト時期から考えて、グフの基本設計は、地上での残党狩り、もしくは制圧戦を主眼としていたはずで、武装も安価に押さえられる、ザクの流用が考えられていたはずです。また、すべてに隊長機マークの角が付けられており、機体色の青ということを考慮すると、親衛隊専用機だったのかもしれません。

しかし、ガルマの仇討ち部隊として、対MS戦を明確な目的としたランバ・ラルのために、急遽、対MS用実験兵器であるヒートロッドを搭載した、マイナーチェンジ機がMS−07Bだったとは考えられないでしょうか。シャアの報告から、120oマシンガンはもちろん240oバズーカさえ有効打にならないとの報告は受け取っているはずです。それを考慮してか、SS版「ギレンの野望」では、ランバ・ラルに与えられる機体は、MS−07BP。Pは、間違いなくプロトタイプのことでしょう。

これらの考察から、グフの当初の設計目的は、内蔵火器、ヒートロッドなしの純粋な汎用陸戦タイプ。
つまり、標準設定は、先行量産型と言われるAタイプ(MS−07A)だったのではないかと思われます。

MS−06Jは、あくまで、一時しのぎの現場改修に近い機体で、地上用の標準汎用機は、グフになる予定だったのでしょう。その証拠に、陸戦用の実験機のベース機のほとんどは、グフで行われていますし、ヒートロッドは装備されていません。グフの家系では、一般的だと思われている、Bタイプの方が、実は鬼子なのです。

また、ヒートロッドを搭載したBタイプは、用途を対MS用に限定すぎたため、運用面に問題があったと思われます。MSは巨大な歩兵なので、いくらミノフスキー粒子が濃くても、格闘(白兵)戦に持ち込むのには、相当の熟練が必要です。いくら霧がかかっていて、視界が悪いと言っても、マシンガンを持った敵兵に、日本刀で切り込むのは大変困難だと言うことです。

余談ですが、ガンダムピクシーが出るゲームでは、ミノフスキー粒子による確認のしづらさを、霧かもやのようにして、表現されていますが、ミノフスキー粒子は、目視にはなんら影響を受けません…それとも、ミノフスキー粒子って目視できる粒子なんでしょうか?。

加えて、どうもヒートロッドは、その構造に致命な欠陥があったらしく、MSの電装系を焼き切るだけの出力をあげられなかったようです。1stガンダムでは、装甲を変形させるも、電子機器は無傷。08小隊では、数枚の基盤を入れ替えるだけで、再起動を可能にしました。

本来なら、コード類を焼き切りショートさせ、基盤は溶けて変形、コンピューターを破壊できるハズなのですが…うまくすれば、内蔵火器の残弾が暴発。推進剤も誘爆。という非常に有効な兵器のハズなのですが。

ともあれ、ヒートロッド装備のBタイプは、受注生産に近い少数機ではなかったのでしょうか。映像においても、ヒートロッド装備のBタイプより、ヒートホークやもザクマシンガン、ザクバズーカを持ったグフの方が登場回数は多いのですから。

ただし、例外としてドダイとの運用時が挙げられます。MSをろくに固定せずに、空を飛ぶ。ただでさえ、安定させるのに苦労するのに、強力な火器で射撃なんて出来ません。そのため、反動も命中時の衝撃も少なく、少なくとも30メートルは射程のあるヒートロッドは、有り難かったはずです。

ドダイで飛行したまま攻撃に移る。と言うときの攻撃目標は、まず間違いなくミディア輸送機でしょうから、不用意に接近しても、問題なかったはずです。いくら、火力が低いと言っても、フライマンタやTINコッドと空中戦をやるには、ドダイでは鈍重すぎますので。

また、ミディアぐらいなら、地対空の攻撃で。と言う方もいるかも知れませんが、高々度を飛ばれたり、限定された防空域を突破されたら、あとは見送るだけです。いくら輸送機と言っても、MSの走行速度で追いつけるとも思えませんし。ドダイで追いかけながら、というのはかなり有効だと思います。


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