マゼラアタックの考察


マゼラアタックの特徴として、マゼラトップとマゼラベースに分離できる。と言うことがあるが、分離の意味は、あまりない。トップの飛行時間は約5分とされているし、本体の二倍はあろろうかという、175_砲を飛行状態で撃とうものなら、反動で飛行バランスを崩しかねない。

ハモン・ラルの戦法(爆弾化したギャラップのカーゴを押しとどめるガンダムの背後に制止していた)を見ると、空中で制止可能なVTOL的な能力を有してはいるようだし、元々、宇宙に本国のあるジオン軍にしてみれば、反動相殺ユニットは恐ろしく高性能なのかも知れないが。

こうした空想科学の点を覗いて、戦車としてのマゼラアタックを考えてみよう。

特徴的なのは、砲塔が高い位置に設置されている事だろう。いわゆる、首が存在する。通常、戦車の車高は低い方が良い。と言うのも、その方が、敵からの視認率が下がるし、被弾面積も小さくなる。また、砲塔が高い位置にあれば、射撃時の反動で、転倒の危険性も無視できないし、重心も高くなりがちなので、傾斜を上る際に、横転する危険性も含んでいる。

しかし、反面、高い位置にあると言うことは、広い視界と高い視認性を持つ。平地にある大砲より、高地にある大砲の方が、有利なように。また、高い位置からの射撃により、敵戦車を上から攻撃できると言う利点も考えられる。

そもそも、マゼラアタックは、マゼラトップという砲塔部は、存在するモノの、無旋回砲塔(よもや、首の部分ごと回ると言うことはあり得ないだろう)で、分類的には、自走砲に分類される、支援戦車だ。

つまり、前線にて、直接放火を交える、連邦軍の61式タイプではなく、後方において、支援砲撃ないし、狙撃にちかい砲撃を行うのが、マゼラアタックの役割だと言える。実際、マゼラアタックの砲塔は175oと大口径だし、マゼラベースも、ザクの上半身を乗せても(ザクタンクの事)大丈夫なほど、大きな車体を有している。

マゼラアタックの支援砲撃で、回避を余儀なくされる連邦部隊に、高機動のザク部隊が切り込みをかけるという、運用目的のはっきりした兵器だと言えるのかも知れない。

マゼラトップの分離も、さらなる高度を得るための手段で、元々、完全な分離ではなく、ワイヤーなどでつながっていたのかも知れない(ワイヤーを巻き取ることで、合体が楽になるので)。凧のように、上空へマゼラトップを飛ばし、通常の兵器では支援砲撃など不可能な地形でも、支援を可能にする兵器だったのかも知れない。

例えば、崖下から、トップを飛ばしての射撃や、遮蔽物を飛び越しての砲撃など、運用のアイディアは尽きない。そもそも、戦車には大抵、三人の乗員を必要とする。戦車長、射手、運転手の三名。従来描かれたような、マゼラトップの使い方では、射手を生存させるために、トップを切り離すことになってしまう。

しかし、育成がもっとも難しいのは、戦車長だ。その戦車長を犠牲にして、射手を逃す設計は、あまり意味がないと言えよう。それならば、分離することで、さらなる高度を得、幅広い、そして、従来の戦車にはない戦法をとれる利点の方が大きいのではないだろうか?。

単純な支援砲撃ならば、運用が便利なザクキャノンの存在がある。生産コストの面もあるだろうが、ザクキャノンには出来ない運用方法があるからこそ、マゼラアタックの量産は続けられたのではないだろうか。

まぁ、単純に考えて、あのサイズと、無旋回砲塔からして、敵戦車と直接対決する中戦車ではなく、自走砲であることは間違いないだろう。



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