ジオンは、何故モノアイを選択したのか。
その前に、ザクのポジション、つまり兵器としての役割を考えてみましょう。
開戦当初、連邦軍の主力は、艦船であった。と断言できます。
航宙機(セーバーフィッシュとか)もあるにはあったが、宇宙空母の不在と、主力艦のサラミス、マゼランには格納庫がない事を考えても、宙間戦闘機は基地の護衛機であると思われます。輸送艦のコロンブス級から発着艦するのは、無理がありすぎますので。
つまり、ザクは対艦攻撃機であると言うことです。現代の戦闘機で言うなら、A−6イントルーダーに近い存在でしょうか。
F−4ファントムかも知れません。付け加えるなら、計画から生産までの開発期間を考慮するなら、間違いなく、ドムまでは対艦戦のみを想定しており、対MS戦なんて、まったく考慮されていなかったはずです。
艦砲は、接近するほどに、回避が容易になります。砲塔の旋回にも、修正角が大きくなるし、至近距離で撃墜すれば、自艦にもダメージが発生します。MSの機動力からすれば、戦艦なんて止まっているも同然ですから、多少照準にブレが出ようとも、高機動で動き回り、射撃をすればよいのです。MSを追いかけて、砲塔は無駄な旋回を繰り返し、ようやく照準内に納めたと思ったら、MSからの攻撃を食らう。そんな繰り返しだったのでしょう。
加えて、初期連邦艦隊の艦船には、対MS用の防御火器、対空砲座など、ほとんどありません。ジオン側にも、宇宙空母の存在が確認されていないため、国防軍時代には、チベ級を主力としたグワジン級を旗艦とする艦隊が主力だったハズです。まぁ、ガトルやジッコ、パブリクと言う兵器の運用スタイルは至極疑問が残るのですが。
故に、ザクの主戦法は、安全距離(爆圧で飛散する破片で自機が被弾するため距離をあける必要がある)ギリギリまで近づきバズーカなどの強力な火器を、撃っては移動を繰り返す。だったはずです。つまり、安全距離ギリギリまで肉薄し、素早く照準し射撃、回避運動兼移動。
肉薄するまでの中長距離は、ミノフスキー粒子によって、レーダーが無力化されていますので、ほぼ安全です。よほど運の悪いパイロットで無い限り、命中しないでしょう。
そのため、連邦軍に採用された、二眼システム(ジムやガンキャノンも、ゴーグル型のカバーの下に、固定式カメラアイが二機設置されている)より、単眼のモノアイの方がズームが速く、照準も付けやすいはずです。人間でも、ねらいを付けるとき、片目を閉じますし、狙撃銃でも、スコープは一眼ですから。
モノアイは、平時、つまり索敵モードでば、レールに沿って常時移動しており、コクピットの人間が気になるモノを見つけたところで、モノアイを固定。ズームで確認という、実にのんきなシステムだったと言えます。
そのため、ジオンのMS搭載されているコンピューターは、モノアイのレール移動によって得られる映像の誤差修正が主な仕事だったと推測されます。ザクによく見られる、モノアイを消灯しておいて、敵に接近すると同時に、点灯する。と言うのも、実は、索敵モードから、戦闘モードへの切り替えだったのかも知れません。
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