ザクレロと言うと、両手に鎌を装着した、タイムボカンシリーズから出張してきたような、大河原色全開のMAです。たいていの場合、ネタにされる運命なのですが、イグルーでも取り上げられたので、真面目に考察してみましょう。
ザクレロの最大の特色は、その複眼システムというべき、カメラアイです。
ザクの項目で、モノアイシステムは、平時、索敵モードでは、レールに沿って起動しており、それによって、前方270度の視認を行っています。パイロットが気になるもの、もしくは、敵を発見してロックオンすると、モノアイは標的を固定し、追尾するようになる。と考えられます。
そのため、ザクでよくやる、一度、モノアイを消灯してから、ヴォンと再点灯するシーン。あれは、索敵モードから追尾モードへの切り替えと考えられます。
元々、ザクは対艦攻撃機ですから、切り替え時に、一度切ったとしてもさして影響はないと思われますが、これが対MS戦となると、この追尾モード切替時に、完全な空白が生まれる事は致命的な欠陥と言えます。
そこで、複眼システムにする事で、切り替え時の空白を補う事が出来たと考えられます。昆虫の複眼がそうであるように、ザクレロの複眼も、一つ一つの性能は、ザクのモノアイと同等の性能を持っていると考えられます。複数のモノアイで視認する訳ですから、その性能は格段に高まったハズです。
ただし、当時の技術力では、クリア出来ない問題がありました。一つは、モノアイそのものを小型化できなった。と言う事です。そのため、サイズ的にMAにしか搭載出来ない。
二つめは、入力装置が増えれば、それだけ制御に手間がかかります。複眼全てから得られた映像を一つのモニターに統合、補正する必要があり、その処理を十分に行えるほど高性能のコンピューターが存在しなかった。と言うことです。
この複眼システムは、ザンスカール帝国が、完成させます。狐か猫目と、ウッソに評されたザンスカールのMS軍ですが、二眼式に見えて、実は複眼式です。また、まぶたのようなシャッターを搭載する事で、使用するカメラの絞り込みを行い、コンピューターへの負担を軽減出来るようになっているのでしょう。
武装面では、使用方法に悩んでしまう両手の鎌ですが、普通に考えるように、縦に振り回すのでなく、刃を横に向けて固定(クワガタが、そのアゴを目一杯拡げたまま、突撃するような感じで)し、その潤沢な推力を活かした突進力で体当たりに近い斬りつけを行うのが筋と思われます。
しかし、間接がある以上、潤沢な推力と、敵との衝突力に、間接が耐えられるはずもなく、どちらにしても、あまり有効とは言えないでしょう。しかし、腕のあるなしは、アンバックというガンダムワールドでの基本機動に大きく影響する為、あった方がよいと思われます。
時代の先を進みすぎた複眼システムは、封印され、ビグロ、ビクザムとモノアイのまま採用されていきます。ビグロはともかく、巨躯を誇るビグザムでは、モノアイでは明かな能力不足で、複眼システムが完成していれば、ガンダムの接近にも対処出来たかも知れません。
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