モンブランは更にすごかった。
 カップのスポンジにカスタードの芯を入れるのも人だった。
 栗乗せて、刷毛で寒天塗って、当然、うずまきだって、人間が絞ってる。
 業務用の大きな絞り袋に巨大ボウル。
 すくうのは特大柄杓と思ったら、ステンレスの片手鍋。(笑)
 チョコソースはおたまで、削ったようなチョコはスプーン。粉糖はやっぱり茶漉しかふるい。
 食用純金スプレーというものある。
 一回一回振らないと目詰まりして、一本があっという間になくなっていく。
 商品を置くケースは、最初「まんじゅう」と聞こえたが、実は「ばんじゅう(番重)」。
 まあ洋菓子部門はともかく、和菓子部門で「まんじゅう」だったら困るだろう。
 そして、天井の配管、何かと思えば生クリームパイプ!
 コックを捻ると上から、生クリームが絞りの機械に入っていく。
 この辺はさすがに工場だ。
 何しろ作る数が半端じゃない。
 一日、数千から一万個以上!
 五分で百個も珍しくない。
 やはり作りおきなのだろうか。
 すぐに食べれば、もっとおいしいような気がする。
 驚くべきは夜勤者がいることだ。
 延々、ニ十四時間クリスマスデコレーションを作り続けているのだろうか。
 スーパーや駅の店頭販売考えると、出回る個数はかなりの量だ。
 
 どこかで心待ちにしている人を思い浮べつつ、にわかケーキ職人達は、日夜問わず、
 手を動かし続けるのである。


                          <完>



 お察しのことと思いますが、ほとんど私のバイト体験記です。(笑)
 もっと機械化が進んでいると思いきや、見事なまでの人海戦術。
 実際、作るの見てたら、この場で食べたらおいしいんだろうなーと、ずっと思ってた。
 手間のかけかたは、すごいですよ。
 シュークリームに切れ目入れるのさえ、人だったもので。
 確かにパティシエケーキなんて最近のものだし、特に小さな子供のいる家はこういうケーキが
 圧倒的に多いはず。
 生産部門は中間管理職だって、ベルトコンベアーの間に立ってます。
 感心しながら、いつかネタにしてやる〜、と、反射神経のない私が両手にサンタを持ちながら
 心の中で叫んでおりました。(笑)
 菓子パン工場だけあって、社員食堂においてあるパンは食べ放題。
 ベルトコンベアーで転がってしまったケーキや傷付いた苺も廃棄せずに、食堂に出せばいいのに、
 もったいない。
 デコレーションケーキを見かけたら、食事の一時間以外、休憩なく働く健気な人達がいることを
 頭の片隅に浮べてもらえると、嬉しいです♪
 
 
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