<ORIGINAL ALBUM>



               

           MONOCROME

         1980.10.21発売  ALCA−9120(アルファ)
                 

                

               1.TORNADO
               2.RAINY DAY
               3.BLACK MOON
               4.SUNSET
               5.AIRPORT
               6.MIRAGE
               7.MIDNIGHT DRIVER
               8.AFTERNOON

                吉田美奈子(vo,kyd)
                松木恒秀(g)
                岡沢 章(b)
                渡嘉敷祐一(ds)
                清水靖晃(sax)
                MICHAEL MAINIELI(vib,mari)


               Produced by 吉田美奈子 

         

      ☆美奈子自らによる曲紹介(ADLIB誌 80年11月号より)

   「TORNADO」
      メロディーそのものにハーモニーを(4声)もたせ、いわゆるソロボイ
      スと絡み合わせて、形成されている楽曲です。曲のダイナミックスをつ
      けるための効果としてイントロに34ヘルツの正弦波が入っています。
      でも、小さなスピーカーではこの正弦波を感じることはできません。で
      すからなるべくなら大きくして、低音の豊かなスピーカーでローカット
      しないまま聞いてくださると良いのですが…。閑話休第。内容はベース
      になるリズム(ファンク)の上にとてもクールで美しいマイクマイニエ
      リのバイブソロが聞きもの。それに反比例していくかの如き岡沢章のベ
      ースソロも圧巻。何声にも重ねたボイスと絡み合いながら曲をどんどん
      盛り上げ、あなたのもとに竜巻に身を変えた妖しい恋を伝えてくれます

   「RAINY DAY」
      この曲はタイトル通り雨の日に起こった出来事を歌ったバラードです。
      この曲のバイブのダビングの日、マイクに詩の内容を話したところ、「
      あるツアーで知り合った女性と急速に恋に落ち、自分は心からその女性
      を愛したのだけれど、結局ツアーが終わると同時にその恋はどこかへ消
      えてしまった」という彼がまだ若い頃(失礼)の物語をしてくれました
      。マイク自身の幻の様な想い出も手伝ってか?この曲では彼のとてもデ
      リケートなプレイが聞き所となっています。あまりの彼の入れ込み様に
      打たれて、トラックダウンの時フェードアウトできず、とても困りまし
      たSEも何も使わずに雨。それも都会に降る幻の雨が見えることでしょ
      う。

   「BLACK MOON」
      この曲の聞き所は、渡嘉敷祐一のドラムソロと、それに絡みあうボイス
      (9色)のコーラスです。この曲も1曲目と同様に主になるメロディー
      にハーモニー(4声)をもたせて、ダイナミックスをつけていくやり方
      で構成してあります。エンディングのカットアウトもわざとエコーを残
      さず、曲の印象を一層不吉に引き立たせています。アルバム中一番テン
      ポの速い曲です。

    「SUNSET」
      このアルバム中で一番聞いて欲しい楽曲です。時間も7分52秒という
      大作で、ゴスペルに基いて創られた曲です。私は今年の3月ニュージャ
      ーのバプティストチャーチへ行くチャンスを得、ゴスペルそのもののス
      ピリットに触れることができました。以前から、日本人によるゴスペル
      (様式として)を創れたらと思い色々試して来たのですが、それらは、
      ただの憧れだけのもので終わってしまっていた様な気がします。でもあ
      の3月の出来事に触れた今、ただの憧れではない、ブラックミュージッ
      クそのものの大切な心が少しわかったのではないか!?と思っています
      。このアルバムを聞いてくださる方々にも届くことを願っています。

   「AIRPORT」
      ソウルの中で私はイーストコーストのものを特に好んで聞いています。
      この曲はこのアルバム中、最も渋い曲です。ウインディーシティの風が
      あなたへと吹くでしょう。

   「MIRAGE」
      真昼に起こる都会の蜃気楼ってきっと白昼夢のことなのでしょう。マリ
      ンバがキュートで、そして少々とぼけた感じで歌と遊んでいます。実は
      私、この曲にエレクトリックピアノをいれようと思ってフレーズまで考
      えていたのですが、マイクがマリンバのダビングでほとんど考えていた
      のと同じフレーズをやってしまって、急遽予定変更。そのまま仕上げて
      しまいました。ニューヨークのミュージシャンが私と同じことを考えて
      るとは!!とっても嬉しいことでした。

   「MIDNIGHT DRIVER」
      私はゴスペルやソウル、R&Bの他にファンクの大フリークです。特に
      ジョージクリントンのプロデュースしたものには目がなく、ニューヨー
      クのアポロシアターでのコンサートには何と3回も通い、パーラメント
      、ファンカデリック、ブライズオブファンケンシュタインのステージを
      見ました。日本では少々アクが強く言葉の問題もあって好きな人も少な
      いと思えますが、1度その中に入り込んだなら絶対に抜けられないのが
      ブラックミュージックですね。この曲は、日本のファンクフリークが情
      念のおもねくままに創り上げたファンクです。流れて歌う松木恒秀のデ
      ィストーションギターソロが聞きもの。それに、左右にふられたダブル
      ドラムが、一層ファンキーに仕上げています。

    「午後」
      このアルバムの最後をしっかりと締めくくるラブバラードです。この詩
      のような愛し方もあることを忘れてはいけません。少しのことで人のこ
      とを憎んだりする恋は本当の恋ではないのでは?。振り返ると優しく見
      守ってくれる人がいるのはとても、素敵なことです。悲しいまでの優し
      い愛にはやはり静かなバラードが似合っています。間奏のテナーサック
      スのソロは清水靖晃。彼は2日間もかけてこのソロを創ってくれました
      。心が伝わりますか?
         
              
        

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