WEEKLY INTERVIEW 再録
(毎週土曜or日曜更新)時々臨時休業
第17回 1996年 出典:11月30日東京、銀座
山野楽器で行われたアルバム「KEY」発売記念のトー
クショーで美奈子さんと萩原健太さんの対談形式のショ
ーで当日来場の方からの質問にも答えています。
その 2回目
(お詫び:前回予告で、このトークショーの”完全再録”と銘打ち
ましたが、一部こういうメディアに載せては、問題のあ
る発言が数カ所ありました。また、雑誌、放送インタビ
ューの著作権以上に気を使わねばならないイベントの物
なので、当日の質問者の名前、住所は削除させて頂きま
す。結果的には90%再録となります。
今回忠告くださったT.Sさん、某FM局のT.Oさん
ありがとうございました。)
萩原(以下H)「まあ、日本の音楽シーンにもベテランの方が増えてきたじゃないで
すか。この投書の中にも、山下達郎さんに”発売遅らせるな”って一声言って
くれ!て(笑)言ってる方もいますけど。」
吉田(以下M)「山下くんっていえば(笑)プライベートで面白い話が1つあって」
H 「爆弾発言?(笑)」(場内 笑い)
M 「いえいえ、本当は”KEY”のアルバムでも入る予定だったの。それが若いの
に珍しく高熱を出して寝込んでしまって、スケジュールとってる3日前に土壇
場キャンセルあったんです。病気なんで、それはいいんですけど”スケジュー
ルはきちんとしてて、自分でやりますから”ってことでお断わりして”KEY
”完成させたんですけど、ついこのあいだFMのスタジオでバッタリ会ったの
。それで、”ヤッホー”って金魚バチ(ラジオのスタジオ)のドアのところか
ら手を振ったら出てくるなり ”だってさあー”から始まって」(一同爆笑
)
H 「”こんにちわ”はどうしたですよねえ」
M 「”だってさあ”から始まって15分間くらいベラベラしゃべって(笑)」
H 「風邪だったんだから、しょうがないだろう!みたいに」(爆笑)
M 「それで、39度6分まで熱が出て3日間熱が下がんなかったって話で、”ああ
そうー、大変だったんだねえ”って答えたんだけど、それでその日に(竹内)
まりやがゲストだったんですよ、新しいシングル出して。まりやが、やっぱり
奥様だなあと思ったのは一生懸命フォローしてて、まりやが”あの時は大変だ
ったわよねえ、40度越えちゃって”(笑)とか話してて、その1度か何分か
の差はどうなったんだろうと、そればっかり気になっちゃって(笑)…」
H 「さすが、まりやさん。内助の功ですねえ(笑)やっぱり」
M 「そうそう、残念に思ってたんですよって(笑)言われて、それでその後に、山
下くんから、”(”KEY”を)聴きたいからちょうだい”って言われて、”
買ってくれよ〜”って言ったのに(笑)宣伝の人があげちゃったみたい」
H 「そうか…、残念でしたねえ」
M 「もしかして、吉田の新しいアルバム聴いて、発売が遅れたらどうしようか」
H 「それかもしれませんよ。これはマズイなあって。」(周囲は爆笑)
H 「だって達郎さん。1回出来上がって、全部上がったみたいなんだけど、”これ
じゃイカン”と思ったらしいですよ。きっかけは何か知らないですけど」(こ
れまた周囲爆笑)
M 「”エクストリームビューティ”の時も、もう出すって言ってたんですよ。”エ
クストリームビューティ”一緒に演ってて、次の年の1月に会ったら、”ちょ
っと思うところあってバラしたって…”(笑)それで、今度はあの人、先に出
すだろうと思ってたらこっちが先だった。」
H 「何か、3曲、録りなおす、さらに付け加えるって言ってましたよ。ナマでやる
って(笑)」
M 「聞き込んでんでしょうかねえ?」
H 「もうやってんのかと思ってたら、このあいだ電話かかってきて”ケンちゃん、
マイクロソフト社のパワートイズ(笑)って、インストールのヤツ。右クリッ
クしても全然出ないんだよう〜”(一同爆笑)”そんなの、もういいじゃない
ですか、大してそんな機能付け加えることないですから、まあ忘れちゃえばい
いいですよ”って言ったら、”オレ、今日1日、これずっとやってるから”っ
て。……”レコーディングは!!!”(爆笑!)忙しいって」(爆笑)
M 「(笑)」
H 「困ったもんですねえ、何の話からこんな話になったんでしたっけ。ああ、だか
ら、みんなそうなんですよ、達郎さんも鈴木慶一さんとかも。ほら、さっき、
ほら、みんなすぐ忘れるっておっしゃったでしょ?」
M 「はいはい」
H 「昨日のこととか、すぐ忘れるんですよ。なのに20年くらい前のことはよく覚
えてるんだ−(笑)。みんな大変だなあって(笑)」
M 「山下くん、特に覚えてないでしょ?」
H 「あの人ねえ、5回くらい同じ話しますよねえ(笑)。同じ話の持ってき方で。
”この話は4回目だあ”って思いながらね。(一同爆笑)
さあ、質問にもどりますよ。”KEY”のアルバムの最後の”12月のイルミ
ネーション”のところのthis song dedicated to YUZO TODA と
クレジットされてるには?」(←”KEY”のスリーブ参照)
M 「あの方は”エクストリーム ビューティ”の時のA&Rの担当で、急性白血病
で亡くなってしまって。それで急遽、捧げるという形で。」
H 「次。最近、凝ってるものはありますか?」
M 「最近?ごく最近も凝ってるものはないですねえ」
H 「美奈子さん。普段何やってんですか?(笑)例えば、達郎さんは”パワートイ
ズ”をイストールしようとしてるでしょ」(笑)
M 「はいはい、あたしねえ、毎日生活に目標がありますかあ?」
H 「いえいえ、そうじゃなくて。僕なんかだと、昼過ぎに起きて、TV見て、マン
ガ見て(笑)そういう生活ですよ」
M 「マンガは見ないですねえ。何か細かいことあるんですよ。オフィシャルにスケ
ジュール入ってなくても、家でこれチェックしておいてくださいとか、公演の
の打ち合わせは、いつしましょうとか、なんだかんだ。いちおう、プロダクシ
ョンを自分で持ってますんで月末の支払いはこうなってます。とか(笑)」
H 「社長業やってるんですね。」
M 「そういうので、あんまりCDかけて、じっくり聴くってことないですね。年に
2回くらい、8万か10万円分くらい買うんですけど、ほとんどCD棚に入る
と、手前と奥で2重なんで、奥に何が入っているか全然わかんない状態。」
H 「へー。普段は敢えて”何かこれを聴こう”とかすることないわけ?」
M 「お客さんが来た時に、話をしなくていいようにかけてることはあります。」
H 「それ、イヤな客に?」
M 「何か気になっちゃうじゃないですか。話が止まると、”早く帰ればいいのに”
とか思うのに、帰らないと、場をもたせるために。」
H 「じゃあ、凝ってるものは特にない?」
M 「たまにポツポツとあるのは、すごくケアしてるアーティストに大竹伸朗(”B
ELLS”のジャケットの版画の作者)っているんですけど、彼からすごくマ
メにハガキがくるんで、それを読んだり、このあいだ電話が彼からかかってき
てアートについてとか話してる」(←この後、高尚なアートの話があった)
H 「この質問、すごく多いんですけど自主製作CD”BELLS”は再発する気は
ないんでしょうか?オフィシャルでは出さないんですかってのもあります。」
M 「あれは、ごめんなさいね。ないです、再発は」
H 「けっこう、みんな持ってるみたいよ」
M 「コピーしてみんな渡さないでね。(一同笑)あれはJASRACにちゃんと登
録している楽曲なんですから(笑)。なんかねえ、いっぱい出回っているんで
すよ、カセットが。」
H 「ああ、そうなんですか。美奈子さん、出さないからですよ、中古屋さんでも高
いでしょう」
M 「貸しレコード屋さんに”このCDを借りたいひとは店長まで”みたいになって
るみたい、1枚しかないんで」
H 「なんでださないんですか」
M 「それ、行事(レコーディングの)が1つ終わったって認識なんですよ。」
H 「ああ。過去のものって感覚?」
M 「原盤をどこかレコード会社が持ってて再発するんだったら、カタログとしてレ
コード会社がやるのはいいんだけど、自分が原盤を持っているんだから余計に
行事が終わったから、もう何か意識としてそれを繰り返すことはないんだし、
しないんです。」
H 「それでも、独自に聞き手のほうで勝手に何かされるのはイヤと」
M 「そうですねえ、印税払ってくれるなら(笑)」(爆笑)
H 「そんな(笑)出してもいないのに!出せばいいのに!」
M 「出したいって言ってくるレコード会社は今、契約してるMCA初め、各社いっ
ぱい来てますけど。(笑)高く売っちゃおうかなあ!(笑)」
H 「それって、それ武器にして何か取引しようとしてません?(笑)」
M 「うちの兄(吉田保さん)が”お前、あれ、もうプレスしないの?”って”しな
いよ”って。兄はエンジニアなんですけど、兄貴が何か悪いことを考えている
みたい(笑)」(爆笑)
H 「保さんは、だってあれコピーして何かしようとしたら、すごいちゃんとしたの
できちゃうでしょ」
M 「でも、マスターテープは持ってるよ、こっちが。あ CDから」
H 「いや、CDからね。CDトゥCDでね。でもエコーがすごい増えてたりして」
(笑)
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