WEEKLY INTERVIEW 再録

 

(毎週土曜or日曜更新)時々臨時休業


               
   

  第18回 1996年  出典:11月30日東京、銀座
   山野楽器で行われたアルバム「KEY」発売記念のトー
   クショーで美奈子さんと萩原健太さんの対談形式のショ
   ーで当日来場の方からの質問にも答えています。
   その 3回目

  (お詫び:前回予告で、このトークショーの”完全再録”と銘打ち
       ましたが、一部こういうメディアに載せては、問題のあ
       る発言が数カ所ありました。また、雑誌、放送インタビ
       ューの著作権以上に気を使わねばならないイベントの物
       なので、当日の質問者の名前、住所は削除させて頂きま
       す。結果的には90%再録となります。
       今回忠告くださったT.Sさん、某FM局のT.Oさん
       ありがとうございました。)



萩原(以下H)「コーラスがいつもすごくカッコイイんですけど、どこで息吸ってん
   ですか」
吉田(以下M)「これはミュージシャンにも聞かれるんですけど、ケ○の穴(つまり
   アヌス)で吸っているんです(笑)」
H 「また〜、おい(笑)こら!」
M 「吸ってますよ、ちゃんと。サンプリングじゃなくて、フルに入ってるんですで
   すけど。”BELLS”の1曲目に”WIND”って曲入ってるんですけど、あれ
   はビートじゃなくて28秒ってタイムでコードを変えているんですよ。現代音
   楽っぽいんですけど。28秒間ずっと出し続けて、それで次に変わるんですけ
   どね、あれは立ち上がりがブレスの音から入ってるのに、坂本龍一は”あれは
   サンプリングだ!(笑)そんなことできるわけない”って言うんですよ」
H 「(笑)」
M 「だけど、それはどうして培ったかというと、例えば深夜仕事やってて煮詰まる
   あるわけですよ。コマーシャルソング作ってたりすると、ストップウオッチが
   欠かせなくて、15秒タイプだ、30秒タイプだ、デモテープ製作だって。そ
   のうち飽きてくると、そのストップウオッチで遊び始めるんです(笑)それで
   、一定の声のボリュームは小さいんですけど、それで何分間声を出せるか、と
   か(笑)夜中、明け方やって、すごいの!1分10秒続くんです。」
H 「1分10秒も!」
M 「1回やって、1分5秒だったんで、5秒半端だからって2回目やったら1分1
   0秒できたんですけど、そうやって遊びの中で鍛えられることもある。大きく
   息吸って大声出すのは、誰だってできますけど、深く大きく息を吸って、一定
   にずっときちんと声をだす練習をする。それがブレスが確実になる」
H 「そんなに歌える人いなくなりましたからねえ。声出したとたんに、フラットし
   てる人とかねえ」
M 「テクノロジーの進歩って善し悪しありますよね」
H 「歌だけじゃなくて、演奏も含めてですけど、何かに頼るのはよくないね」
M 「CD聴くと、カッコイイと思っちゃうじゃないですか」
H 「できちゃってるように見えますからね」
M 「歌くらいはナマでね、やってもらいたい」
H 「それでも美奈子さん!判定にキビシイっていうじゃないですか、自分の歌に対
   しても。レコード会社のスタッフに聞くと”これ、すごい!カッコイイ!バッ
   チリじゃん!”と思ったものでもほとんど美奈子さんにとっては全部ダメ。と
   か」
M 「あれは、言葉じゃなくて、何か後味なんですよ。必ず、最初から、最後までス
   ルーでやっているんですけど、後味が良くないと…」
H 「やった!!!って感じじゃないとダメみたい?」
M 「そうそう!これはいいかな っていうのが良いみたい。もちろんボクにとって
   ですけど。あと、出だしの気持ち。出だしの気持ちが安定してないと、即、や
   めてまたイントロのアタマからやる」
H 「4つ前、4小節前とかそんなのはない?」
M 「イントロ16小節あったりすると、多くて8つくらいからかけてもらう。人間
   急に立ち上がることできないじゃないですか。ちゃんとその中に入るように、
   タイムは取ってもらう。コーラス入れる時は2小節前だけど。」
H 「ボーカルって何テイクくらい録るんですか?」
M 「3テイクか4テイク。今度の”KEY”のアルバムはリードヴォーカルは都合
   3日間で録った」
H 「全曲?」
M 「はい」
H 「すげえ!」
M 「っで、バックグランドヴォーカルは都合4日で全部」
H 「一人で?」
M 「うん。で1日に3曲やってると、1日に7時間ぐらい立ちっぱなしで歌います
  」
H 「バックコーラスとなると?」
M 「1曲2時間から3時間もする、一人でやると。それで3曲やると全部で1日8
   時間くらい。あいだに鍋焼きうどん食べたりしてるんですけど(笑)」
H 「鍋焼きうどんじゃないとダメ?」
M 「そう」(一同笑)「全部食べられないんですよ。おなか一杯になっちゃうとよ
   くない。最初に天ぷらを先に出しておくと、うどんを残しておいてもツユが濁
   らない」(一同笑)
H 「知恵です」(笑)
H 「次。ラジオのパーソナリティの復活の予定はないんでしょうか?」
M 「今のところはないです。それは健太さんにお任せします。」
H 「ええ、ゲストのドンドン来てもらって。それがいいかも」(拍手、拍手)
H 「美奈子さんの番組に招いてもらったことあるんですよ。ビックリしましたよ、
   オレ、ゲストだって(笑)」
M 「だってねえ、話詰まるとまとめようとしてくれるから、その性(さが)が身に
   ついてるみたいね」
H 「しょうがないですよ。美奈子さんだって自分の曲のイントロがポーンと流れて
   きたら、歌っちゃうかもしれないじゃないですか?」
M 「意外と?急にかけられると、”聞いたことあるなあ?これなんだろう”って」
  (一同笑)
H 「困っちゃうなあ! 次の質問。作詞 吉田美奈子、作曲 山下達郎 のゴール
   デンコンビは復活するんでしょうか」
M 「最近、山下くんは 作詞 松本隆さんですから」
H 「そうですねえ」
M 「意地でも頼まないんじゃないのかなあ(笑)」
H 「達郎さんの曲の世界を作る上で、美奈子さんの歌詞の1人称でも2人称でもな
   いあの世界って重要でしたよねえ」
M 「ええ、まあ、踏み台ってことで(笑)」(一同笑)
H 「次。自分の作った曲の中で想い出深い曲と思えるのは何でしょうか?」
M 「最近としては”星の海”が一番。とてもペーター佐藤さんは一番愛していた人
   でしたからね。ご家族はもちろん、26年来の友人というか、音楽のプロにな
   るちょうど狭間の時に、ちょうど居候して彼のポスター、コラージュとか切り
   抜くのを手伝ったりして、それからですから”星の海”は一番ですね」
H 「最近、”時よ”は歌わないんでしょうか?って質問ですが」
M 「”時よ”はねえ、ハチロク(8分の6拍子)の曲いっぱいできあがっちゃった
   んで(笑)」
H 「(笑)もう名物になっちゃいましたね」
M 「ハチロクの曲入ってないと良識から外れるよ!みたいになってきちゃって、…
   …ビデオ見てください。」
H 「昔のモノは昔で味わえ!と」(笑)
M 「いや〜、そこまでは言わないけど、今度、プライベートで来て頂ければ、
   耳の横で一節。」
H 「おお!!来て頂ければ、ってどこへいくんですか?」(笑)
M 「耳の横で歌って知ってる人に言わせると”拷問だ”って言われてるんです(笑
   )」(一同爆笑)
H 「それフルの声でしょ(笑)そりゃ すごい!」
M 「このあいだ長野のイベント(註:8月の富士見高原スキー場コンサート)の時
   ポンタ(村上秀一)と久しぶりに一緒になって、どうしても”時よ”が聞きた
   いっていうから、他のミュージシャンと同じ楽屋だったんで、小さい声で耳の
   横で歌って差し上げたら、ポンタ泣いてた」
H 「最近ね、ポンタさん涙もろくなってきたらしい(笑)」(一同笑)
M 「そうらしいねえ」
H 「それって、ぜいたくですねえ…横でなんてねえ」

     〜 以下 次回 〜

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