WEEKLY INTERVIEW 再録

 

(毎週土曜or日曜更新)時々臨時休業


               
   

    第36回 出典:「FASTBREAK」
         緊急再録。藤田千章&美奈子さん
         ”SPELL”について 他 (前半)
         (FM−FUJI 97.10/29)
         提供:佐藤敏久さん(ありがとう)

      

藤田(以下C)「さあ、今日はこの方をお招きしております」
吉田(以下M)「こんばんわ(笑)」
C 「(笑)吉田美奈子さんで〜す。ご無沙汰しております」
M 「たびたび、お招きいただき、ありがとうございます」
C 「こちらこそ、お久しぶりにお会いする訳ですけど、美奈子さん、ニューアルバ
   ムの”SPELL”早速聴かせてもらいました」
M 「いかが?」
C 「すごい!もう〜、もうイイ、コメントできない」
M 「ありがとうございます」
C 「10月22日にリリースされたばかりの”SPELL”素晴らしい。以前、美
   奈子さんにお会いした時に、歌詞の話をして”千章くん、歌詞カードに送り仮
   名を振りたくない時は、振らなくていいよ”って話してくれたじゃないですか
   」
M 「した、した」
C 「その方がイメージが広がるからって。ただ、今回のアルバム、見事にやり倒し
   てる(笑)」
M 「(笑)やり倒してる?… もう次から全部カタカナにしようかって(笑)」
C 「ダメだって(笑)それじゃ」
M 「(笑)昔の電報みたいで(笑)面白いかなって」
C 「でも、本当に視覚的な絵のようなイメージが広がるような感じになってて、歌
   を聴きながら読むと ”このフレーズはこんな風に歌われてる”と思ってて、
   その度に僕はひっかかって感心してしまって… 」
M 「やあ、、詞を書いてる人にそう言われるとうれしいですよ」
C 「すごい個人的な最初の感想だけど」
M 「言って言って、誉めてね(笑)」
C 「最初の3曲が、前進する吉田美奈子 って」
M 「アグレッシブで…。でも1曲目はヘビーな内容ですけど。戦っていることで、
   タフな感じではありますね」
C 「それで4曲目になると、(優しさが)広がったみたいになって」
M 「今度は内向的なんですよ、内容が。前回の”KEY”は客観的だったんですけ
   ど、今回は”一人のミュージシャンの苦悩”について(笑)をいろいろ綴って
   、それでそれだけじゃ救われないんで、励ますような曲も入っています。今の
   時代、オリジナルやってるミュージシャンってつらい不幸な時代だったりする
   じゃないですか、流行に左右されるとか。時代時代に苦悩がある訳で、それを
   隠してやったってしょうがないんで、内向的なものにリアリティがある訳だか
   ら、それを詞に書いちゃえ!!って」
C 「……… 」
M 「でもオリジナルって、そういうもんじゃないですか?」
C 「うん、実際オリジナルでやっていく時の苦しさみたいのを?」
M 「毎年、こんな年齢食って、曲作っていると煮詰まるわけですよ!一から作って
   いく訳で、借り物ゲームじゃないから最初から作っていくと大変じゃないです
   か?一人で、曲や詞やアレンジやプロデュース全部作る訳でしょ、毎年3年続
   けてごらんなさい、煮詰まるところあるでしょ、時代はこうだって。おばさん
   のボヤキが入っちゃった(笑)」
C 「どんな形であれ、音楽って誰かからの影響されて好きな音楽とかやってること
   あるけど、必ず自分のフィルターを透して取捨選択して出しているんで、それ
   が大事で、その意味で、今オリジナルは欠けてるね。難しい時代だと僕も思っ
   たりしてます。 そうアルバムのブックレットがね、キレイ。これゴージャス
   よ、美奈子さん」
M 「これはねえ、アートディレクターが、これでもか!ってやってるの。前回は2
   8ページだったんですよ。それが今回は36ページもある」
C 「(笑)」
M 「それで通常のCDケースに入らなくて、ワイドケースってちょっと厚めのケー
   スに入ってるんですけど、持つと2枚組ぐらいの重さがあるの。会社の方が
   OKしてくださって、ありがたいんですけど」
C 「写真あり、CG(コンピューターグラフィック)あり」
M 「光と影が底辺にコンセプトがあるんで、みんなポラロイドで撮ってるの」
C 「なるほど。これ 脂っこい、ニス掛け?(コーティングしてある)」
M 「写真だけじゃね、もうひとつ要素が欲しいって言ったら、アートディレクター
   が”じゃあ ニス掛け”って」
C 「これ、光にキラキラ光って、一瞬、僕の手の脂がついたのかって思った。ちが
   う、すごく工夫されてる、すごいキレイ。それからアルバムジャケットの美奈
   子さんの目」
M 「これね… 裏話聞いてくれる?」
C 「はいはい、聞きます」
M 「これ、実は重さ3キロ以上のスパンコールのドレス着てたの、この時」
C 「重たい(笑)」
M 「フラッシュなしで、シャッタースピード1秒くらいで撮ってて、なかなかキマ
   ったショットが撮れなくて3時間か4時間ばかり顔ばっかり撮ってたの、それ
   なのに全然、ドレス映ってないの」
C 「(爆笑)3キロのドレス着てたのに… 」
M 「着たにもかかわらず、それでその後、着替えてカジュアルな服着て撮ったんで
   すけど、全部ウンザリした顔してて、ほとんど使われない(笑)」
C 「(笑)」
M 「でも、これはアート印刷のような感じで」
C 「美奈子さんの、この目が、どこを向いているのか気になったよね」
M 「闇を見てるんですよ、きっと」
C 「アルバムの曲、その光と影の、影の部分の曲と 光の部分の曲とが見事にコン
   トラストだなって、思ってたんですけど」
M 「ありがとうございます」

  〜ここで、聴取者からの質問のハガキが紹介される〜
C 「こんなハガキが来てます。”20年も美奈子さんのファンを続けてきて、お伺
   いしたいことはたくさんあるんですけど、美奈子さんの曲はどういう形で生ま
   れて完成に至るんでしょうか?教えてください”って話なんですが」
M 「そういうの答えたくないなあ!夢を壊すような気がして」
C 「そうですか?  やっぱり曲が先ですか?」
M 「曲が先です」
C 「”詞は普段から書きためることはあるんですか?”って」
M 「全然ない。締め切りがないとやりません」
C 「オレと同じ(笑)」
M 「そんな殊勝なミュジシャンじゃない。ストックはゼロ(笑)」
C 「”何かこだわりはお持ちですか?詞のひとつひとつや言葉の観点、美奈子さん
   の日常のどんなところから生まれてくるのか、聞いてみたいです”だって」
M 「それはね、曲を作るときに、写真のような映像で1枚にイメージを決めるんで
   す。それで例えば、穏やかな日差しがあれば、速いテンポにはなりようがない
   じゃないですか。そういったようなイメージに合う絶対テンポみたいなのが、
   出来てきて、そこに音が重なって曲ができる。それから、その映像から詞を書
   く時も、抽象的に立体化させて、言葉に当てはめていく」
C 「立体化して、言葉を当てはめていくの、ふ〜ん」
M 「だから、あて字が奥行きを持たせるように使われるんですよ」
C 「なるほど、今回のアルバム”SPELL”はそのへんが感じられると思います
   」
M 「自分でね(笑)、仮歌入れる時に、何て読ませるのか、忘れちゃったのが1曲
   あったよ(笑)」
C 「(爆笑)おちゃめだねえ… それではここで1曲。”SHADOW WINTER”です。
  (この後、”SHADOW WINTER” がかかる。

     〜以下、次回。

  


 

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