WEEKLY INTERVIEW 再録

 

(毎週土曜or日曜更新)時々臨時休業


               
   

       第40回  1周年特別再録
         出典:「ヨコハマ東京ベイストーリー」
            角松敏生&吉田美奈子さん
            (FMヨコハマ 95.4/19)
            2回連続の 回目
         提供:黒崎明子さん(ありがとう)

      

角松(以下K)「本日の”ヨコハマ東京ベイストーリー〜マイブルーズライフ”のお
   客様はもうずいぶん前に来ていただくことになっていたんですが、風邪をお召
   しになってですね、…その後もたくさんの方からゲストに呼んでくださいと言
   われてて突然プログラムを変更して来ていただきました。吉田美奈子さんです
   。」
吉田(以下M)「どうもすいやせん(笑)」
K 「かなりひどかったみたいですね」
M 「あのね、年甲斐もなくプロモーション頑張ったら風邪ひいちゃった(笑)イン
   フルエンザのダブルで」
K 「40度以上出たって…」
M 「出ちゃった」
K 「体温計をいれたら、すぐに40度までいっちゃう。 美奈子さんって病気しな
   い人ってイメージあるんですよ」
M 「小さい頃、例えば東京オリンピックの頃の記憶の映像って横の場面だったり、
   けっこう病室の子供だった。で、大人になって仕事やるようになって休めなく
   なるじゃないですか、それで、初めの頃ほとんど1人でやってたんで、とにか
   く休めない。頑張ってやってたから、メンタルでコントロールして体調くずさ
   ないようにしてた。今、フィジカルなものも加わって、年をとっちゃうと(笑
   )来ちゃうってヤツかな?」
K 「そうですかね?ここ最近は大病なんかしなかったんですか?」
M 「しない、しない。記憶あるんだと9年前に入院したのはあるんだけどそれ以降
   はほとんどない。」
K 「僕もメンタルな部分で健康維持というか病気にならないというのはありますね
   。それくらい頑張ってプロモーションしたという(笑)新しいアルバムが『エ
   クストリームビューティ』というアルバムがですね… 僕は実はですね、裏か
   ら手をまわして去年から聴いて知っていたんですけど。(笑)あ!吉田美奈子
   が出すって知って」
M 「誰それ(笑)、業界の人!それは誰だかわかっているんですが(笑)業界の人
   に渡すとそうやってコピーされてワッとまわるんでしょうね(笑)」
K 「ダメ、それ。美奈子さんの性(サガ)なんですから(笑)あきらめないと」
M 「(笑)また、業界のオモチャなんですよね(笑)」
K 「そういう人なんですからダメ(笑)」
  (〜このあと”Beauty”が流れる)

K 「それで、あっ出るんだなあと思って、発売が今年(95年)の2月」
M 「そう2月」
K 「今回のプロモーションをすごく一生懸命やることで」
M 「いや、業務だからね」
K 「とりあえず最近のことから入りたいと思うんですけど、あとから昔の話とかも
   したいんですが、美奈子さんがだいたい発売3ヶ月前に完パケが上がっている
   っていうことが僕にとって不思議だったですね。けっこうギリギリまでやるの
   かなと」
M 「そんなこともないですよ、わりと計画たてて、その通りに作る」
K 「前も言ってたんですけど、自分が妙に秘密にされるところがあると」
M 「あっ。それはありますね。スタジオのセッティングに触ってもらいたくないと
   いうこともあって、例えばロックアウトですって札をかけたりするじゃないで
   すか、エンジニアが、次の日のために。そうすると、秘密にレコーディングし
   てるんではないか、と思われる。で、客が少なくなあ。(笑)」
K 「(笑)」
M 「ボクは扉を開けているんだけど、なかなかみんな入ってこない。お土産持って
   きてくれる人も”つまんない”って(笑)っていうの。遊びに来てて」
K 「なんで?」
M 「こっちは仕事だからローテ−ション通りどんどんやってるんんだけど、仕事ば
   っかりしてて、つまんないって」
K 「(笑)」
M 「すごいそれって変なんだけど、例えばテーブルにお菓子があるとか、もちろん
   くだらない話ダラダラしてるんですけど、しながらテキパキ仕事してるんです
   けどね。それを見てると自分が入れないってつまらない」
K 「(笑)入ってくるなって!言いたいですね」
M 「(笑)そう!見てろ!って、黙って(笑)」
K 「そういう見学者っていますよね。(笑)」
M 「どうしてるって人の仕事場来て言うかね(笑)」
K 「仕事しろって(笑)そういうイメージあるんじゃないですか。今回はかなりオ
   ープンに自分を率直に打ち出していく作品っていう… 」
M 「やっと人間になった!」
K 「そういう言い方をすれば、そうなんだけど高見からやっと降りてきてくれた」
M 「そう?そんな上から、ボクは見下ろしてる訳じゃなくて」
K 「見下ろしてる訳じゃなくて、見下ろしもしないで」
M 「みんなが棚に上げちゃうでしょう」
K 「そういうところあるんだと思うんですよ。僕たちも棚にあげてた方だから、”
   吉田美奈子は日本の至宝だ”っていう言い方をする人もいるし、自分でそうし
   ておきたいタイプのシンガーじゃないかと思うんですよね。またプロの立場か
   ら見てもというのがあってね」
M 「オリジナルって、すごくプライベートな音楽なわけで、そういう解釈はもちろ
   んいいし、あってしかるべきという気がしないでもない」
K 「でも今回はプロモーションを業務といいつつも、かなりいろんなところに出ら
   れて、メディア関係もかなり積極的にトライして」
M 「(笑)あんまり急に顔出しちゃうと希少価値なくなる(笑)」
K 「(笑)テレビ、出たんでしょう?」
M 「ん?テレビ、でたよ」
K 「また、どういう風の吹きまわしかと思っちゃうじゃないですか?」
M 「出たのって2本しか出てない」
K 「いや2本でも、吉田美奈子がテレビに出れば…」
M 「別にテレビに出たくないって言ってたわけじゃないから」
K 「じゃないけどね、たまたまそういう縁だから出たって?」
M 「音楽がちゃんとできればいい というのが基本にあって、トーク番組だったら
   ちゃんとしゃべれればいい。そんなに難しく考えてないんです」
K 「僕も実は同じなんです。テレビ嫌いで出ないんじゃなくて… 」
M 「吉田美奈子は以前テレビに出ないっていうのは、”この人テレビに出ないだろ
   う!”って解釈がその制作者の方にあるから」
K 「あと、付加的なまわりのガードとかあるじゃないですか?それがテレビの制作
   者に別な個々の架空のイメージを持たれてしまうことがあったりして、そうい
   うのがネックになるこたがある。確かにちゃんと音楽がいい音でながれる番組
   だとか、カットがなくて(笑)きちんとしゃべれる番組であれば、それって僕
   も昔、何度かテレビに出たことあるけど、意外と難しいじゃないですか」
M 「難しいよね」
  (〜このあと”Mystick Paradise”が流れる)

K 「こういう風に言うとたぶん美奈子さんは”何も変わらないよ”とおっしゃるか
   と思うんですけど、今回のアルバムというのは、ここ最近の作品と比べると、
   ものすごく入って行きやすい人がいっぱいいるんじゃないかな と思うんです
   よね。僕くらいの音楽屋の感性からみると、必然的な流れだとか、変わってな
   いものとか、わかるんですけど 非常に”削ぎ落とし”が多かったですよね。
   すごくシンプル、声と歌を伝えるっていうか…… 」
M 「でも、編成はほとんど変わりない、バランスだと思う」
K 「ミックスのバランスとか音の作り方だとか」
M 「たった今、作るわけだから、その時代時代のエクウイップメントの進歩とか本
   人のどういうバランスをとりたいか とで決まってくるじゃないかな。」
K 「それが全体的に起しくもそういう物にあがったという気がするんですけど、昔
   から僕なんかは思ってたんですけど 時代そのものがもっとコアな方向、メン
   タルなものとか、もっと単純に優しさだったりするんですけど、そういうもの
   になってて欲しいなとか 絶対でてくるんだとか。 聞いてて楽しい音楽じゃ
   なくて、聞いて心がずっとついていくものだとか、ときめいたりするものだと
   か、今の時代の楽しみとかいう感覚と違うもので、そういうものが人間の心の
   中に再形成されるための音楽文化みたいなものがでてくればいいと思うし、出
   てくると思っているところに、美奈子さんが今回みたいなアルバム作ってくれ
   たり、そういう流れが徐々に これは僕の私見なんですけど、感じてて、大御
   所と言われてるような音楽のオーソリティがそっちの方向に行ってくれたりし
   てくれたりする気がしてる」
M 「それは必然じゃない人もいるんだろうけれど、その人のキャリアによって培わ
   れて、年もとって音楽家として自立して、それなりにテンションを保っていけ
   れば絶対耕されるフィールドはあるはず。培われていくものは必ずある。自分
   のこと信じてあげる。全部ひっくるめて、そういう年齢というか、音楽家にな
   ったというこたじゃないかな。もちろん今までと違う状況に住んでいるわけじ
   ゃないし、同じ街に住んで、同じ空気を吸って、同じニュースを見て、感じて
   暮らしているわけで、自然とそうなって当たり前というかオリジナルを買いて
   いるんで、本来の音楽家としての自分というものが、年輪を重ねてきちんと出
   てこなかったらウソじゃないですか?それを大切にしてあげて、傲慢にならず
   に謙虚に といったそういったところですよね。
   いつも46時中そういったことを考えて生きてるわけじゃないけど、年齢相応
   になった、リアルテンポ。時間の流れと自分の中の絶対テンポが一緒になる、
   同じ速度になる、と言う感じなんじゃないかな
     (〜このあと”Voices”が流れる)

   

 

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