WEEKLY INTERVIEW 再録

 

(毎週土曜or日曜更新)時々臨時休業


               
   

       第41回  1周年特別再録
         出典:「ヨコハマ東京ベイストーリー」
            角松敏生&吉田美奈子さん
            (FMヨコハマ 95.4/19)
            2回連続の 回目
         提供:黒崎明子さん(ありがとう)

      


 (”overture”〜”Still I'm in love with you”が流れ,BGMへ)

吉田(以下M)「若い時って、”あそこんとこ あーやっときゃよかったなあ、実は
   ”みたいな秘密に反省してることってあるじゃないですか?そういうところが
   ほとんどなくて、印象が淡々と いい意味で日常として印象がピンで止められ
   た というそんな雰囲気があった。」
角松(以下K)「うむ〜(笑)て感じですか?年齢とりゃ誰でもそうなるかっていう
   と、なかったりするじゃないですか。難しいですよね。」
M 「いろいろだよね、ディスコでブイブイいわせてるお姉ちゃんたちも、ユーロビ
   ートがかかると落ちつくんだわ(笑)って思ってるだろうし(笑)。」
K 「(笑)それもそうだろうし、落ちつくんだわって人ならまだいいじゃないです
   か。何をやっても落ちつけない、選ぶものってたくさんあって… 」
M 「選択肢に気をとられているから、落ち着きがない」
K 「ないでしょう?そのコアの意味、遊びでもすごくくだらないことでも考えすぎ
   ていきましょうって僕は言っている訳じゃなくて、そういうことを知る楽しみ
   、喜びってあるじゃないですか。”何んでユーロビートは落ちつくのかなあ?
   ”とか、考えてるイケイケ姉ちゃんがいたらカワイイよね(笑)」
M 「(笑)」  (〜番組タイトル ナレーションが入る)

   (〜”頬に夜の灯”が流れる)
K 「美奈子さんの詞っていうのが,僕は大好きで 音楽聴く前に詞を読むって言っ
   たでしょう?」
M 「うん」
K 「詞を読んで,逆に納得して(曲を)聴かないこともあるんです(笑)。本のよ
   うな感じで,僕は美奈子さんのアルバムに接しているから,歌詞カードを読ん
   で聴かない,しばらく聴かないってことするから。今回もそうだったんですけ
   ど,実際に聴いてみて最近のアルバムって,パ〜っと聴いてその音で”殴られ
   る”ってこといくつかあったんですけど,今回のアルバムは”音に殴られる”
   っていうよりも”言葉が殴って”きましたね」
M 「そう(笑)タンコブできた?」
K 「(笑)オイコラ!っていうの感じましたね」
M 「割と,音の響きとして言葉が捉えてたところがあって,その言い回しに特徴が
   あるんだと思うのね,詞を。歌としての詞っていうのは,通常の文章の詩とは
   ちょっと違うわけだけれど。日常から外されてしまっては何んにもならないし
   繰り返すようだけど,オリジナルなんだから,その人の細胞がふるえる よう
   な言葉がでてくるのが一番だし、といって通常難しい言葉を使って生きてる訳
   じゃない。その”さりげない”ところから,光の当たっているところをちょっ
   と振るわせれればいいなって。かといって人生の機微みたいじゃね(笑)。そ
   ういうものだと”生きざま”を聴いてくれ!に近い恥ずかしさがあるんで,そ
   れはイヤだけど」
K 「生活的な問題もあるんでね(笑)」
M 「そう(笑)いやだなって思ったくらいで,その言葉のシンプルな響きはそのま
   ま生かそうと考えてましたけどね、あと昔から意識しなくてもそうなるんです
   けど,無意味に傷つけるような言葉は選ばない。それはイコール自分に対して
   刺しているようなもんですから。全く,自分が不愉快に思っていることが入る
   わけないんで,音楽っていうのは響きを楽しむわけだから,それは自然に出て
   くるのだけ ザ〜と書いていった気がします。あんまり考えない,最近は(笑
   )」
K 「だから 今回,特定のイメージする情景とか風景とか,1曲の中にいくつもあ
   ったんですよね,僕が聴いてて」
M 「はい。こういうことあんまり言っちゃいけないのかもしれないけど,商業音楽
   っていうのは結局,聴き手がやっと聴いて受けとめて完成すると思うんですよ
   。それ以上にこのアルバムの中で”コンセプトは何だ!”とか”これを聴いて
   くれ”とか”メッセージはこれだぜ!”っていうのはあっても,聴き手が聴い
   てその人がイメージを持たなければ無意味なわけでしょ。別にないんですよ。
   聴き手のイマジネーションが豊富であればあるほど,その人は映像,その他 
   空気が感じられるだろうし,それから温度を体感できるだろうし,それでやっ
   と完成すると思ってますから,それが結果的にその人の暮らしに役立っていた
   だければそれでいいんですよ(笑)」
K 「僕もそう思いますよ」(〜”Angeldust”が流れる)

    (〜”永遠に”をBGMに)
K 「美奈子さんは東京出身?」
M 「いや,違います,埼玉県です」
K 「あ、埼玉っていってもいろいろありますけど,あれ子供の頃から音楽やってい
   たんですか?」
M 「高校生のときから」
K 「小さいときはピアノのレッスンを授けたとか?」
M 「全然ない!したことないです」
K 「音楽と出会ったのは?」
M 「ピアノはありましたし、兄が楽器をやってましたし、それで一番最初の仕事っ
   ていうのは中学3年のときの夏休みディスコのオルガン弾きのアルバイト」
K 「それはすぐ できちゃったんですか?」
M 「それはね、ドアーズの”ライトマイファイアー(ハートに火をつけて)”とか
   ね,レコードをもらってそれをコピーしてって言われて,コンボオルガンで”
   ちららら〜”って(笑)」
K 「むしろ音楽的っていうより,感覚で入ってた教育的には?」
M 「うん。そう,実存主義かな」
K 「わあ〜 才能ですね(笑)」
M 「(笑)それで高校の時から曲をちゃんと作って」
K 「変な子でしたか?」
M 「たぶんね」
K 「木登りが好きだとか」
M 「イチョウの木があったんですよ,家の近くのね料亭なんですけど。日本庭園で
   イチョウの木があって頂上まで途中に枝がないんで大変なんですけど,ちょっ
   と上の方へいくと,交互に登りやすく枝がなっているの規則正しく。そこのテ
   ッペンに登って遠くを見ているのがすごく好きだった」
K 「何かわかりますよね。オルガン弾き,木登り(笑)」
M 「オルガンはだからアルバイトの時。木登りは小学校にあがる前」
K 「じゃあ,木登りかあr始まったんですね」
M 「そう,遠くを自然発生の音を,遠くを見ながら聴くっていうのは小学校あがる
   前からですよね。まわりが自分より年上の人が多くて」
K 「環境もありますよね」
M 「でも,そういう人たちを引き連れて,何か遊んでたみたいですよ(笑)それで
   あきる と孤独になって木に登って。あとこれは面白かったんですけど,どこ
   の木に登るかって教えてないんですよ,何本か木があったんで。勝手に遊びに
   行って木に登るから。夕方近くになるとおばあちゃんが なぜか その日登っ
   ている木の下に来て”ゴハンですよ”って(笑)呼ぶの」
K 「ぴったり当たるわけですよね(笑)」
M 「不思議で不思議で,本当に不思議。最後まで解明できなかった。もちろん靴脱
   いで上がっているわけじゃないから,そんな大ボケなことはしないから。葉が
   落ちてないグリーンな時って茂っているわけでしょう,それでもわかるんです
   よ」
K 「なるほどね(笑)」
M 「何んでしょうかねえ(笑)」
K 「不思議な幼児体験をお持ちの吉田美奈子さんですが(笑)」
M 「(笑)」
K 「月並みな質問ですが今後の御予定は?」
M 「5月にライブが2日間,中野サンプラザであって追加公演が決まったみたいで
   す。それが5月19日かな?恵比寿のガーデンホール。サンプラザの2日間は
   ほとんどソールドアウト」
K 「うらやましいペースでやられてますねえ」
M 「そうですかねえ。結構,契約して(小声で)自分の時間がもてない。失敗した
   かなあって(笑)」
K 「(笑)自分の時間を持とうとする」
M 「持とうと思わないと持てない」
K 「そうですね」
M 「違います?」
K 「僕なんて,持てると思ってたんですよ,仕事いれたんですけど。やっぱり持て
   なかった(笑)ってこと多いですよ。”やっぱり休みねえじゃん”って(笑)
   」
M 「修行が足らない(笑)」
K 「足らないですよね(笑)まあ,一生足らないです。修行ができたっていうのは
   やめたんです。」
M 「(笑)徳を積むようにしてください(笑)」
K 「はい(笑)徳を積まないといけないですよね,ということで今日はありがとう
   ございました」

     〜おしまい
   

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