南信州エコツアー 特別編 飯田市エコツアー

<お知らせ>
 このページは、2005年4月当時、市議会議員としての活動の一環で行った個人的な視察研修の報告です。公職を降りた現在、ここにこのページを載せるのは、私が深く共感するスウェーデンの「持続可能な社会」という考え方に敬意を表するとともに「環境を意識した自治体作り」に努力を重ねるレーナ・リンデルさんの活動、に敬意を表してのものです。

 なお、「持続可能な社会=Natural Step」という考え方と、それを主唱する「持続可能なスウェーデン協会」に関してはこちらを参考としてください。Natural Stepについてはここで参考となる資料を見ることが出来ます。

 このページについての問い合わせは 藤岡のぼる 宛お願いします。(11/Apr/2009)

「南信州飯田市へのエコツーリズム研修」  〜持続可能な日本ツアー飯田市トライアル〜2005年4月の訪問より

 スウェーデンの「持続可能な社会=Sustinable Society」の考え方を日本で紹介してくださっているレーナ・リンダルさんから案内をいただいて、南信州・飯田市へのエコツアーに参加しました。丁度スウェーデンから来日され、各地で講演をしてきた、バルブロ・カーラさんの「日本のエコツアー」にご一緒する、というものでした。

 「長野県飯田市」の取り組みは、同じくISO14001を取得している恵庭市にとっても、大きな目標となります。そのキーワードは・・・住民自らが行う「参加と創造による地域での取り組み」です。

  南信州・・長野を訪れるのは初めてでした。4月7日、夜遅い便で千歳を発ち、この日の宿泊は新宿です。午後11時30分を過ぎてホテルに着き、翌朝7時5分の新宿発長野飯田市行きの直行高速バス便に乗りました。富士山を左に眺めながら、中央自動車道を西へ進みます。途中、山梨県甲斐市の双葉パーキングエリアで15分間の休憩を取り、バスが集合場所の飯田駅前に着いたのは、集合時間の10分前、午前11時05分でした。
 <新宿←→高井戸←→相模湖←→大月←→甲府南←→(双葉)←→諏訪←→伊那←→飯田>

 飯田市では住民達が組織したNPOによって、太陽光発電の導入が進められています。京都議定書で日本は2012年までに6%のCO2削減が義務づけられましたが、飯田市では「2010年までの10年間で、全世帯の30%にソーラー発電を導入する」計画が立てられて、自治体としてCO2の削減目標を10%においた活動を進めています。とても大きな取り組みを行っている自治体です。もちろんそれを支える力を理事者が持っていることと、スタッフの努力のたまものです。
こぶしの花とさくらの花 4月8日(金)

 まだまだ雪の残る北海道から見ると、一月ほど気候が進んだ気がします。途中の景色のあちこちで「桜」の花が満開です。こぶしの花と一緒に咲く桜を見つけました。中央自動車道・双葉パーキングエリアにて
古い農家を利用したレストラン「はこぜん」  飯田駅前に着いたのが午前11時過ぎです。エコツアー用に飯田市が用意してくださったマイクロバスで移動して、まず昼食になりました。ここ「箱膳」は、農家が自ら運営する古い農家住宅を利用した民宿で、昼食も取ることが出来ます。内装や調度品などは、古いままの住宅の良さを残しながらも、適度にモダンな作りに替えられています。
レストラン「はこぜん」の昼食  「箱膳」の昼食です。ゆかりご飯にそば団子のあげもの、長芋の酢の物、ヤマメの甘露煮、シメジと豆腐のみそ汁、地鶏の手羽のごま揚げ、そしてゴボウ・にんじん・ほうれん草のあえものと香の物。箱に出されたこれらを、お膳のように組み立てて食べます。そばは信州そば、地鶏もヤマメもすべて、この地の恵みです。
早春のよこねたんぼ

黄金の実りのよこねたんぼ
 左は飯田市を代表するグリーンツーリズムの聖地「よこね田んぼ」の4月の様子です。2千枚を越える「棚田」のうち650枚ほどが管理されて、景観として、また自然農法に都会の人々が触れる場所として、地域の農家の人々によって大事に保護されています。訪れたときは左の状態ですが、これから水を張り、代掻き、田植え、草取り、稲刈りと、全国から人々が押し寄せると、ここを管理する関口さんが説明をしてくださいました。

 下は、同じ場所の「秋の実り」です。写真は、ネット上からいただきました。
(http://www.ne.jp/asahi/oda/kaze/tanada/2002aki/iida.htm)こんな季節にもう一度是非、訪れたいものです。
千代小学校の里山学校林  飯田市の小学校の一つ、千代小学校を訪問しました。飯田市では全ての小学校に「学校林」が併設されていて、「里山」のようにこども達に開放されています。こども達は休み時間になると、この山に来て様々な遊びを始めます。それは私たちのような年代の大人達がかつて経験し、遊びを通して様々な生きる力を学んだ場所になります。
千代小学校の炭焼きがま
       炭焼き釜
 千代小学校ではこのほかに、「炭焼き」や「椎茸栽培」が教育プログラムに組み込まれています。さらに、暖房用に木質ペレットを使うストーブも設置され、太陽光発電をはじめ、地球環境に優しいエコロジカルな取り組みが行われています。
 学校裏に立てかけられたシイタケのホダギ 木質ペレットを使う暖房ストーブ
 左 校舎の日陰で育てられる椎茸
 右 音楽室に設置されている木質ペレットを燃やすストーブ。蓋が開いているところに木質ペレットを投入し、モーターで燃焼室に送り込む仕掛けだ
工場内にて太陽電池パネル生産の概要をうかがう

太陽電池セル
 三菱電機中津川製作所・飯田工場にて

 ここでは太陽光発電用のパネルを生産しています。工場長のお話を聞いてから工場内を見学しましたが、工場内は撮影禁止。

 下は、太陽電池のセル。これを何枚もつなげて、一枚の太陽光発電のパネルになる。
 
どぶろく特区で作ったどぶろくは絶品

五平餅
 飯田市の取り組みは、グリーンツーリズムやワーキングホリデーなどの体験型ツアーに代表されます。しかしそれらにまさるとも劣らないのが、信州高原で収穫する様々な食材を使った「食」と言っていいでしょう。ついには民宿が自家用と宿泊客用に作る「どぶろく」を、「特区」を作って醸造してしまいました。左の写真は私たちが泊まった民宿「原農園」の女将さん、原さだ子さんの手による「どぶろく」。甘酒のように美味しく、一合徳利をおかわりしてしまいました。
  

 下の写真は五平餅。ご飯を丸めて軽くあぶったものに、甘いみそダレを付けたもので、飯田市の美味しい「食」の一つ。
民宿「原農園」 4月9日(土)

 私たちがお世話になった民宿「原農園」の全景。秋には、家の前に拡がる柿木畑で収穫した渋柿を、二階から壁面一面につるす干し柿づくりが行われます。ここ原農園は「市田柿」の生産で有名で、干し柿作りのシーズンには全国から「ワーキングホリデー」に参加する人々が押し寄せます。
酒琳(さかばやし)と民宿の女将さん  民宿原農園の女将さん原さだ子さんと、民宿の玄関先で。つるしてあるのは杉の葉を丸く編み込んだ杉玉。新酒が出来ると軒先につるして人々に知らせたものです。「酒琳(さかばやし)」とも言います。
龍江保育園と太陽パネル  保育園を訪問しました。龍江保育園の屋根で輝く「太陽発電パネル」。公立の保育園のほとんどに、こうした太陽発電設備が設置され、それぞれの園で省エネと新エネルギーへの取り組みが行われています。
保育園の庭に咲く桜 龍江保育園の園庭に桜が咲いていました。雪の北海道から行くと、いきなり一ヶ月進んだ季節を味わうことが出来ました。保育園での省エネ・新エネの取り組みは徹底しています。子ども達は毎日、「今日のお日様はどれだけの電気を作っているの?」とパネルに示される発電量を覗きに来ます。保育室ごとにゴミの分別も徹底されていて、家へ帰ってからも省エネ・新エネのことをお父さんお母さんにお話しします。そのことが何よりの「教育的効果」になる、と園長先生がおっしゃっていました。園庭にさくさくらは、こども達の取り組みへの、太陽からの贈り物のようでした。
保育園長から保育園の取り組みを聞く  龍江保育園の園長さんから、「いいむす21(飯田市環境管理システム)」についてを具体的に、保育園でのエコロジカルな取り組みについて説明を受けました。灯油の消費量、ガスや電気の消費量のチェック等、担当者を決めて出来るところから取り組むことを原則に、可能な目標を設定しています。しかし、見せていただいた資料によると、保育業務の合間に出来るのだろうか?と言うほどに、細かい環境への配慮が工夫されています。もちろんゴミの分別も、このように各保育室でも徹底していました。
  保育室のゴミ箱も分別する  省エネも担当者を決めて進めている
 左 ドラエもん・アンパンマン・キティちゃんと、分別が子どもにも分かる工夫がされている 右 担当者を決めてチェック
そばうち体験でうったそばを食べる
みんなで打ったそばをみんなで味わう!
 信州で有名なもの・・そうです!「そば」ですね。参加者全員で「そばうち」の体験をしました。「信州飯田そば」達人会の皆さんの指導で、そば粉をこねて、のばして、切って・・・。今回のツアーの主役、バルブロ・カーラさんも初めてのそば打ちに取り組まれました。もちろん、私も初めてでしたが!打ち終わって早速ゆでて、ゆでたてをみんなで食べました。どのチームのそばが美味しいか・・みんなで食べ比べです。私とカーラさんの組んで打ったそばが、格別に、そして一番美味しかったことは言うまでもありません!
 そばをこねるカーラさん バルブロ・カーラさんもそば打ち名人に!
エコセンターにて  午後からは、市内のエコロジー関連施設を見学させていただきました。リサイクルセンターでペットボトルの再生と「古新聞」を使った断熱資材「セルローズファイバー断熱材」の工場を見学しました。特にセルローズファイバー断熱材は、ブローイング工法で住宅の断熱が出来ます。古新聞が材料とはいえ、しっかり不燃加工もされています。
 断熱材の燃焼実験 断熱材の建物に詰め込まれる様子
ティータイムの様子  ツアーの締めくくりは「環境を語るティータイム」に合流です。飯田市環境課が主催した市民参加の「ティータイム」です。お茶と飯田産のお菓子をいただきながら、環境問題や森や川での遊び、スウェーデンのエコロジカルな暮らしの事など、パネラーからの問題提起を受けて、三つのグループに分かれて話し合いを行いました。
    風力と太陽電池を使ったシンボルの発電塔  飯田市の中心部にそびえ立つ「風力&太陽光発電塔」。この回りにはリンゴ並木があって、中学生達が手入れをするのだそうです。エコロジカルタウン飯田のシンボルです。
郷土行事のししまい   郷土行事の獅子舞が行われていました。
    夜桜  夕食の後、夜桜ツアーに出掛けました。南信州には、飯田市を中心に樹齢200年を越える桜がおよそ80本以上もあるそうです。その中には地域住民の手で、200年以上も夜桜に灯明をつけて守り続けてきたものもあります。桜の時期であったこと、天気に恵まれたこと、最高の桜の見頃であったことなどなど、エコツアーの最後を飾るに相応しい、生涯忘れられない「飯田市の思い出」をみんなが作りました。

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