• 『ボストン1947』

    製作 2023年
    監督 カン・ジェギュ
    出演 ハ・ジョンウ
    イム・シワン
    ペ・ソンウ

     ヒトラーが開会宣言をした1936年 ベルリンオリンピックのマラソン競技で、日本代表は世界新記録を出し金と銅のメダルを獲得した。国民は歓喜に湧いたのだが、メダルを貰った孫基禎と南昇竜は複雑な思いだった。孫は勝利後「独立した朝鮮ではなく、占領国日本のために闘ったのが恥ずかしい」と吐露した。 
     日本の敗戦による開放後、荒れた生活を送っていたソン・ギジョンのもとにナム・スンニョンが現れました。「第2のソン・ギジョン」と期待されている若いソ・ユンボクを育て、ボストンマラソンに出場させようというのです。祖国の記録を取り戻すため、2人は再びマラソンチームを組みます。祖国への思いを胸に命がけのレースに挑んだ、マラソン選手の実話をもとに描いたヒューマンドラマです。
     上映 8月30日(金)より
     「テアトル梅田(旧シネ・リーブル)」他、全国各地で公開

  • 『ソウルの春』

    制作 2023年
    監督:キム・ソンス
    出演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン

    1979年10月26日、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の独裁政治に義憤を感じていた側近の金載圭(キム・ジュギュ)KCIA部長は、女性献上の酒宴の席で大統領を暗殺した。政敵であった金大中氏の軟禁が解かれたのを聞いた国民は、チェコスロバキアの「プラハの春」になぞり「ソウルの春」だと喜びあった。
     しかしソウルに銃声が響いたあの夜、本当は何が起こっていたのか 知る人は少なかった。
     大統領暗殺事件直後、合同捜査本部長についたチョン・ドゥグァンだったが、陸軍内の秘密組織「ハナ会」の将校らを集めて自らが独裁の座につく画策を進めていた。軍部の不穏な動きに気付いた首都警備司令官のイ・テジンは、軍内の暴走を止めるため独り立ち向かった。独裁者になろうとした男と、国を守ろうとした男との、国の命運をかけた9時間のスリリングな攻防が始まった。
     朴正熙への女性献上をリアルに描いた映画は、イム・サンス監督の「ユゴ 大統領有故」2005、また 暗殺実行犯の金載圭の心情を描いた映画では、ウ・ミンホ監督の「 KCIA南山の部長たち」2020 があり、あわせて見るのも興味深いです。

  • 『ありふれた悪事』

    監督:キム⋅ボンハン
    出演:ソン⋅ヒョンジュ、チャン⋅ヒョク、キム⋅サンホ
     その国で「普通の人」は正義に殺される。韓国民主化直前の1987年、平凡な刑事に命じられた連続殺人犯の捜査は、国民に安心感を与えるための完全な捏造捜査だった。足の不自由な息子の治療費補償と引き換えに陰謀に巻き込まれていくソンジン刑事を演じるのは、監督ドラマの冴えない中年役でお馴染みのソン⋅ヒョンジュ。暗黒の軍事独裁政権時代の歴史に真っ正面から向き合った本作は、世界4大映画祭の1つ「モスクワ国際映画祭」で2冠を獲得しました。黒幕の国家安全企画部ナムギュ室長役にチャン⋅ヒョクなど、演技派俳優陣を脇に揃え、フィクションながら説得力のあるサスペンスに仕上げています。

  • 『わたしたち』

    2017年制作
    監督:ユン⋅ガウン
    出演:チェ⋅スイン、ソル⋅へイン、イ⋅ソヨン、カン⋅ミンジュン、チャ⋅ヘジン
     「ポエトリー」「シークレットサンシャイン」の名匠イ⋅チャンドンが認めた若き才能、ユン⋅ガウンが描いた2人の少女の成長物語です。
     共働きの家で育つ小学生ソンと裕福な家庭の転校生ジア。友情で結ばれたはずの2人が、家庭環境の違いから微妙な関係に。なんどでも、友だちになれる⋅⋅⋅。
     幼い日の監督自身をモデルに、子どもの目線で丁寧に描かれた作品は、大人になった私たちに向けられています。

  • 『華麗なるリベンジ』

      監督:イ⋅イルヒョン
       制作:2016年
    出演:ファン⋅ジョンミン カン⋅ドンウォン イ⋅ソンミン…
     「国際市場」の主役ファン⋅ジョンミンと 「群盗」の悪役カン⋅ドンウォン、この実力派の2人が共演するとなれば 期待度も上がります。韓国内では、今年トップ970万人の観客動員を記録しています。原作タイトルは 検事外伝、濡れ衣を着せられた熱血検事のリベンジを描いています。
     取り調べ中の容疑者の死で殺人の汚名を着せられた検事のピョン⋅ジェオクは、一転 刑務所に服役させられます。悶々とした服役中のある日、刑務所の中で出会った前科9犯の詐欺師が 事件の鍵を握っている事を知り、出所させる事を条件に協力を頼みます。 やがて出所した詐欺師のハン⋅チウォンは、塀の中とタッグを組み 巨大な権力に立ち向かいます。最高の相棒を得て リベンジ作戦が始まります。

  • 2016年 おススメ映画

     『弁護人』
     監督 ヤン⋅ウソク
     出演 ソン⋅ガンホ
     何故、軍事政権の下で人権弁護を貫いたのか? 今も、韓国の人々から愛されているノ⋅ムヒョン元大統領の若き日の姿を描いています。

    『フィッシュマンの涙』
     監督 クォン⋅オグァン
     出演 イ⋅グァンス
        イ⋅チョニ
     新薬の治験者になったフリーターが、副作用で魚男になってしまう。驚愕の事実に、一躍国民のスターになった魚男だったが、あっという間にメディアは手のひらを返す。奈落の底に落とされた魚男は、やがて製薬会社に闘いを挑んで行く。

    『リバイバル妻は二度殺される』
     監督 キム⋅ポンジュ
     出演 ソン⋅ヒョンジュ     オム⋅ジウォン
     殺人事件から一年たったある日。かかってきた電話の声は、殺されたはずの妻の声だった。

  • 『マダム⋅べー ある脱北ブローカーの告白』

      ドキュメンタリー
    制作:2016年 韓国⋅フランス
    監督:ユン⋅ジェホ
     脱北するつもりじゃなかった⋅⋅⋅。家族を養うための出稼ぎのはずが、連れて行かれたのは貧しい中国の農村。悪徳ブローカーに騙され、農村の嫁として売られたのです。 仕方なく受け入れた生活の中でも、気になるのは北朝鮮に残した息子たち。自らが脱北ブローカーになり、息子たちを韓国へ脱北させます。後を追い、命からがら韓国へたどり着いた彼女に待っていたのは⋅⋅⋅。
     ただ平凡な幸せを望み、北朝鮮、中国、韓国と生き抜くマダム⋅べーの予想外の生き様は、世界に衝撃を与えました。モスクワ、チューリッヒの映画祭で最優勝ドキュメンタリー賞受賞。

  • 「レンタルDVDで見る韓国のあの事件」

     『KT』 
    制作:2002年
    監督:阪本順治
    出演:佐藤浩市
        キム・ガブス
     後に第15代大統領(1998―2003)になった金大中氏の民主化運動時代。
    朴正煕政権が画策した、1973年8月8日の「金大中氏拉致事件」が描かれている。

     『ユゴ~大統領有故』
    制作:2005年
    監督;イム・サンス
    出演:ハン・ソッキュ
       ペク・ユンシク
     第5~9代朴正煕大統領(1963~1979)が、側近により撃たれた1979年10月26日の「大統領暗殺事件」が描かれている。題名の有故(ユゴ)は、翌日の新聞見出しが「大統領は事故にあった」に由来。

     『弁護人
    制作:2013年
    監督:ヤン・ウソク
    出演:ソン・ガンホ
        オ・ダルス
     第16代盧武鉉大統領(2003ー8)の釜山での弁護士時代。時の全斗煥政権による民主化勢力抹殺が目的の「釜林事件(1981年)が描かれている。この事件が人権弁護士へのターニングポイントになった。

  • 『哭声 コクソン』

    制作:2016年
    監督:ナ·ホンジン
    出演:クァク·ドウォン、ファン·ジョンミン、國村隼、チョン·ウヒ
     韓国の青龍映画賞にて、日本人が二冠を達成した。男優助演賞と人気スター賞、その外国人史上初の快挙の國村隼を始め、実力派俳優を集めて作られた究極のサスペンス作品です。しかも「チェイサー」のナ·ホンジン監督の最新作となれば、期待は高まります。
     ある静かな村に、得体の知れないよそ者が現れます。謎の男の噂で、村中はもちきりになります。時を会わせるように、次々と村で殺人事件が起こります。不思議な事に、犯人の誰もが、体に湿疹が出て口も聞けない状態で現場にいます。
     謎の事件を追っていた警官のジョングは、自分の娘にも、犯人たちと同じ湿疹が出てきたのに気付きます。娘を救うため、よそ者を追い詰めて行きます。しかしその事が、村を更なる混乱へと落とし入れてしまいます。想像を超える結末は、カンヌ映画祭など世界を熱狂させ、リピーターを増やしました。
     すべてを疑え、真実は何か?

  • 『SLEEP スリープ』

    制作 2023年
    監督・脚本 ユ・ジェソン
    出演 イ・ソンギュン
       チョン・ユミ
     出産をひかえて幸せいっぱいの結婚生活を送っていた、夫ヒョンスと妻のスジン。そんなある夜、眠っていた夫が突然 起きあがり「誰か入ってきた」とつぶやく。その夜を境に、平凡で幸せだった生活は一変した。妻の訴えで睡眠クリニックを受診するも、ヒョンスの奇行は収まらない。悪霊がついたと、巫女のお祓いを受けさせようとする義母。
     かつてないユニークで恐ろしいストーリー。平凡な日常の空間で、予測不能な物語りがくり広げられる。幸せな日常生活を蝕む その正体は?恐怖に怯える妻役に、「82年生まれ、キム・ジヨン」で主人公を演じたチョン・ユミ。眠れない夫役に、アカデミー受賞作「パラサイト 半地下の家族」で社長役を演じたイ・ソンギュン。昨年12月 警察の執拗な取り調べに、惜しくも他界してしまったイ・ソンギュンの遺作になった映画です。

  • 『罪深き少年たち』

    制作 2022年
    監督 チョン・ジヨン
    出演 ソル・ギョング、
       ユ・ジュンサン、
       チン・ギョン
     今から25年前、韓国南西部にあるサムレという村のスーパーで強盗殺人事件が起こりました。この映画は、その実際の事件をもとに描かれています。
     1999年 サムレにあるウリスーパーで強盗殺人が発生。間もなく警察は、近所に住む3人の少年を逮捕しました。事件はそれで集結したものと思われていましたが、翌年 警察に真犯人の通報が入ります。「狂犬」の異名を持つ敏腕刑事ファン・ジュンチョルは、密かに再捜査を始めます。調べていく内に当時の捜査内容には不可解な点が多く、警察と検察の隠された暗部に気付いて行きます。
     少年たちの無罪を証明するため奮闘する刑事を「キングメーカー」のソル・ギョングが、メガホンは「権力に告ぐ」の社会派チョン・ジヨン監督という見応えのある話題作です。
    上映 6月7日(金)~
    「シネマート心斎橋」
    「テアトル梅田」
    など各地で公開

  • まだ見れるオススメ韓国映画

    『成功したオタク』
    制作 2021
    監督 オ・セヨン 
    K-POP界を揺るがした性加害事件を取り上げ、韓国社会の実態を描かき出した話題のドキュメンタリー

    『貴公子』
    制作 2023
    監督 パク・フンジョン
    出演 キム・ソンホ
    巨額の遺産を巡ってくり広げられるノワールアクション

    『ビニールハウス』
    制作 2022
    監督 イ・ソルヒ
    出演 キム・ソヒョン
    ビニールハウスで暮らすヘルパーの一瞬の選択から起きる負のスパイラル

    『梟 フクロウ』
    制作 2022
    監督 アン・テジン
    出演 リュ・ジュンヨル
    宮廷内で王子の暗殺の場に居た事から、追われる身になった盲目の鍼師

  • 『アリラン ラプソディ』

    制作 2023年
    ドキュメンタリー
    監督・語り金聖雄
     川崎といえば、2020年 多目的交流施設「ふれあい館」へのヘイト年賀状事件を思い出します。京浜工業地帯を抱えた川崎には、戦前から多くの在日コリアンが暮らしています。
     映画の主人公は、川崎で生きて来たハルモニたち。戦争に翻弄され、生きる場を求めてたどり着いた川崎で、ささやかながらも力強く生きてきました。ハルモニたちは戦争を語れる最後の世代。在日2世の金聖雄監督は、今しかないとハルモニたちに密着しました。今、語っておきたいことは?

     大阪鶴橋生まれの金聖雄監督は袴田巌さんと桜井昌司さんを密着した「獄友」(2018)を撮られたことでも有名なドキュメンタリー監督です。想像を絶する苦労を笑顔で語るハルモニたちに、映画館で会ってください。

  • 『ビニールハウス』

    制作 2022年
    監督 イ・ソルヒ
    出演 キム・ソヒョン、
       ヤン・ジェソン、
       シン・ヨンスク
     韓国の住宅事情は深刻です。一昔前までは屋根部屋が貧困の象徴でした。やがて半地下部屋へと、今ではビニールハウス暮らしも表れて来ました。
     ムンジョン(キム・ソヒョン)は、少年院にいる息子と暮らせる費用を貯めるため、重い認知症を持つ妻と盲目の歳いった夫の家で介護ヘルパーを続けていました。そんなある日、入浴介助のさなか突然暴れ出した妻が、床に頭を打ちつけそのまま息絶えてしまいました。息子との未来を守りたいムンジョンの一瞬の選択は、認知症の実母を身代わりにすり替える事でした…。
     貧困・孤独・介護、現在の社会問題を鋭く見つめたサスペンスドラマ。釜山国際映画祭を始め、多くの賞を獲得した話題作。若きイ・ソルヒ監督の長編デビュー映画です。

  • 『梟 フクロウ』

    制作 2022年
    監督 アン・テジン
    出演 リュ・ジュンヨ
       ユ・へジュン
     盲目の天才鍼師のギョンス(リュ・ジュンヨル)は、その技術を見込まれて宮殿で働くようになった。同じ頃、丙子の乱の敗北により清に人質にされていた、仁祖の息子ソヒョン世子(リュ・ジュンヨル)が人質を解かれ宮殿に戻って来た。第16代国王 仁祖(ユ・ヘジン)は、8年ぶりの再会を喜びながらも、世子が西洋学問を取り入れないかとの不安を感じていた。自国に戻ってわずか数か月 世子が突然死するや、仁祖は父としての悲しみを爆発させた。遺体は黒く変色し、目や耳、鼻や口7つの穴からの出血。それは明らかに薬物中毒死を表していた。激しい怒りで犯人捜しを命じた仁祖だが…。
     一方、病の弟を救うため宮殿入りしていたギョンスには明かせない秘密があった。あの夜、世子の死を"目撃"した。彼の目は昼盲症、実は闇の中ではうっすらと見えるのだった。恐ろしく悍ましい目撃で追われる身になったギョンス。朝になるまでの命がけの謎明かし。彼が見たのは何だったのか?
    「仁祖実録」に残された怪奇の死。その"謎"に迫る歴史サスペンス。韓国内の映画賞を総なめにした話題作。ついに日本公開です!

  • 『コンクリートユートピア』

    制作:2023年
    監督:オム・テファ
    出演:イ・ビョンホン
       パク・ソジュン
       パク・ボヨン
     世界的な地盤変動により、一瞬にして廃墟となった首都ソウル。近隣のタワーマンションは全て崩壊したのに、皮肉にも残ったのは古いマンション「ファングンアパート」だけでした。普段は付き合いのない近隣住民たちで、溢れかえるエントランス。一向に来ない救援に危機感を抱いたアパート住人たちは、急遽 全戸選挙で代表を決め、自治による生き残りに動き出します。代表に選ばれたのは、アパート火災を身を持って防いだ 902号室の男ヨンタク。居住者以外の住民を追い出す事に成功した代表に、アパート住人は残った食材を全て出し管理を求めます。強権の代表にいぶかしく思っていた公務員のミンソンも、次第にヨンタクと共に行動する事に。権力が代表一人に集中していく内に、知られざるヨンタクの狂気が目覚めて行き
    ます。
     代表ヨンタクを演技派イ・ビョンホン、「梨泰院クラス」のパク・ソジュンがミンソンを演じます。ソウルの住宅事情を皮肉るように、古いマンションが最後の砦のパニックドラマ。生死の淵に立った時… 試されているのは自分自身と気付かされるラスト。


  • 『スイッチ 人生最高の贈り物』

    制作 2023年
    監督 マ・デユン
    出演 クォン・サンウ    オ・ジョンセ
       イ・ミンジョン
     トップスターのパク・ガンは、自他共に認めるスキャンダル俳優。セレブなシングルライフを謳歌している彼だが、クリスマスイブの予定は年末の受賞式だけ。唯一の友でもあるマネージャーのチョ・ユンをお酒に誘う。酔いながらも、タクシーで自宅に帰ったはずなのに…。翌朝、目が覚めると見慣れぬ家。成功のため別れた、元恋人のスヒョンが家事をしている。何故だか小さな双子がまとわり付いてくる。さらに驚く事には、マネージャーのチョ・ユンが人気俳優になっていた。
     クリスマスイブに起った人生最高の入替わり(スイッチ)。もしも違う人生を生きられるのなら、あなたはどちらを選びますか?
     アクションからコメディまで幅広いジャンルで人気のクォン・サンウが、トップスターから180度入替わるパク・ガンを演じます。


  • 見のがし「韓国ドラマ」 『ミスター・サンシャイン』

    制作 2018 24話
    監督 イ・ウンボク
    脚本 キム・ウンスク
    出演 イ・ビョンホン
       キム・テリ、
       ユ・ヨンソク…
     李氏朝鮮末期に貴族両班の家で、最下層の奴婢の子として生まれたユジン。1871年に勃発したアメリカ海軍艦隊の江華島の侵攻「辛末洋擾」の混乱に乗じ、奴婢の身分から逃れられるかもと、1人米軍艦に忍び込む。辿り着いたのはアメリカの地。苦労の上、長じて米軍海兵隊大尉となったユジン(イ・ビョンホン)は、大統領の命により、皮肉にも逃げ出した祖国に戻る事に。
     朝鮮に駐在し始めたある夜、ユジンは名門両班の令嬢コ・エシン(キム・テリ)を見かける。朝鮮最高の両班の血を引くエシンは、親族にも内密に祖国独立のための闘いを手伝っていた。高い志の秘密を持つエシンとの出会いによって、ユジンの運命は大きく変わっていく…。
     韓国のアカデミー「百想芸術大賞」を受賞した話題の歴史ドラマ。イ・ビョンホンの代表作と云われています。日本の地上波では放送されませんでしたが、配信での視聴が始まりました。

  • 『極限境界線ー救出までの18日間』

    制作 2023年
    監督 イム・スルレ
    出演 ファン・ジョンミン
       ヒョンビン

     2007年、タリバンにより韓国人23名が拉致される事件が発生した。本作は、実際の事件に基づき制作された命をかけた交渉劇です。人気のファン・ジョンミンとヒョンビンが初共演の今年一番の話題作です。報
     ある日 アフガニスタンの砂漠で、韓国人23名が拉致された。犯行に及んだタリバンの要求は、韓国軍の撤退と 刑務所に収監されたタリバン戦士23名の釈放。そして期限は24時間。韓国政府は、交渉役としてエリート外交官チョン・ジェホ(ファン・ジョンミン)を派遣。ジェホは直ちに、アフガニスタン外務省にタリバン戦士の釈放を要請するが、にべもなく拒絶される。一方、韓国情院も 現地工作員パク・デシク(ヒョンビン)を派遣。アフガニスタンのフィクサーの交渉に当たらせるが、こちらも交渉は決裂。迫るタイムリミットに、ジェホとデシクは不本意ながらも手を組む。国民より国家ファーストの韓国政府の下、2人は 最後の命がけの交渉に当たっていく…。
     監督のイム・スルレさんは、旧くは「もし、あなたなら」から、最近の「リトル・フォレスト春夏秋冬」まで、ジェンダー平等の視点で映画制作を重ねてこられた女性監督のリーダー的存在です。

  • 『福田村事件』

    制作 2023年
    監督 森達也
    出演 井浦新 田中麗奈、
       永山瑛太 東出昌丈、
       コムアイ…
     100年前の時を経て、関東大震災時の隠された負の歴史が蘇る。M7・9、震度7の大地震は自然災害のみならず、関東在住の朝鮮の人々6千超のジェノサイドまで起こしてしまった。本作は 大地震発生から6日後、千葉県福田村で実際に起きた事件を素に描かれました。ドキュメンタリー畑の森達也監督が、どうしても撮って置きたいと手掛けられた初劇映画です。
     1023年、日本統治下の京城(ソウル)で教師をしていた澤田智一(井浦新)は、妻の静子(田中麗奈)と共に故郷の福田村に戻って来た。その年、関東大震災が起った。被災の混乱の中「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの流言飛語がまことしやかに飛び交うと、それを利用するかの様に、当時の日本政府は戒厳令を敷き治安維持のためと軍を出動させた。
     福田村でも流言飛語を信じた村人たちは、自警団を名乗り鍬や鋤を持ち「朝鮮人狩り」を始めた。日本統治で朝鮮人たちは憤懣を持っているはずの思いから、一方的に仕返しを恐れ、守りと主張しながら攻撃していった。ただ福田村事件には皮肉な事実があった。村人が朝鮮人だと思って殺したのは日本人で、被差別部落の人たちだったのです。誰にも知らされなかった負の歴史。
     人間はある条件の下では、限りなく残酷になれる…。

  • 『あしたの少女』

    制作 2022年
    監督 チョン・ジュリ
    出演 ペ・ドゥナ、キム・シウン、チョン・フェリン

     この映画は、2017年韓国で起きて国中を震撼させた「ある事件」を元に描いた話題作です。
     日本同様、韓国では青年層の深刻な就職難が続いています。物価高騰の中、大卒者と共に高卒者の失業率も高止まりしています。そんな現状を受けて、韓国の高校のビジネスコースでは、企業の現場実習が必修になっています。大手通信会社のコールセンターの実習が決まったキム・ソヒは、ダンスの好きな明るい性格の高校生です。大企業での実習に少しの不安はあるものの、気持ちは高揚していました。ところが現場の労働環境は、想像以上に過酷なものでした。疲弊の末にソヒは「やめたいです、この仕事を」と訴えるのですが、聞きいれて貰えません。絶望したソヒは、極端な選択をしてしまいます。
     ソヒの死を担当した刑事オ・ユジンは、自死と思われる彼女の死の真相がどこにあるのかを執拗に調べて行きます。
     国を動かした衝撃の事件。青少年を消耗品のようにこき使う、企業の実態をリアルに描いています。労働搾取の犠牲者となったソヒの、生前のきらめく日常の姿が私たちに問いかけて来ます。何故とめられなかったのか…と。
     問題作「私の少女」の若き監督チョン・ジュリと俳優ペ・ドゥナが、再びタッグを組んだ社会派ヒューマンドラマです。

  • 『小説家の映画』

    制作 2022年
    監督 ホン・サンス
    出演 ヘヨン、
       キム・ミニ、
       ソ・ヨンファ…
     日本でも多くのファンを持つホン・サンス監督の最新作。2人の女性の共感と連帯を描いています。
     執筆から遠ざかっている著名作家のジュニは、長らく会っていない後輩を訪ねる旅に出た。旅先のソウル郊外で偶然に出会ったのは、やはり撮影から遠ざかっていた人気俳優ギルスだった。言葉を交わしているうちに、ジュニは彼女に興味が湧いて来た。ギルスを主役に短編映画を撮りたいと、唐突な提案を持ちかけた。過去の栄光に縛られて心に葛藤を抱える2人に、不思議な共感が生まれる。予想外のコラボレーションの行方は…。
     ホン・サンス監督の長編27作目。2022年ベルリン国際映画祭で、3年連続4度目の銀熊を受賞した記念すべき注目の映画です。


  • 朝鮮戦争を知るための韓国映画

     今から63年前、朝鮮半島で戦争が勃発した。韓国では「6・25(ユギオ)」とよばれる「朝鮮戦争」、休戦協定から70年経った今も継続中です。先頃、日本から2千余名が憲法違反の参戦をしていた事が、アメリカの文書で明らかになりました。大きな原因を作った日本で、殆ど語られない朝鮮戦争の実相。平和憲法を改悪してでも、戦争が出来る国に向かおうとしている今、映画を通して朝鮮戦争を検証してみませんか?

    『ブラザーフッド』
    制作 2004年
    監督 カン・ジュギュ
    出演 チャン・ドンゴン
       ウォンビン
     1950年6月、戦争勃発時の混乱を描く。南と北に分かれて、戦場で戦い合わねばならなかった兄弟の悲劇。

    『戦火の中へ』
    制作 2010年
    監督 イ・ジェハン
    出演 クォン・サンウ
       T.O.P
     1950年8月、浦項の戦いの実相を描く。朝鮮軍は首都ソウルを陥落し南進を続けた。浦項司令本部の死守を命じられたのは、司令本部として使っていた学校にいた学徒兵71名だった。

    『長沙里9・15』
    制作 2019年
    監督 クァク・キョンテク 出演 キム・ミョンミン
       ミンホ…
     1950年9月、長沙の戦いの実相を描く。朝鮮軍侵攻の打開策として「仁川上陸作戦」の奇襲を計画。その際、敵を欺く揺動部隊を反対側の海岸に上陸させた。命じられたのは、まだ戦いを知らない772名の学徒兵だった。

    『高地戦』
    制作 2011年
    監督 チャン・フン
    出演 シン・ハギュン
       コ・ス…
     1953年7月、休戦協定寸前の劇戦を描く。最終陣地の獲得の命を受け、休戦ギリギリまで死闘を続けなければならなかった両軍兵士の悲劇。

  • 《韓流映画祭2023》

    『ショー・ミー・ザ・ゴースト』
    制作:2021年
    監督:キム・ウンギョン
    出演:ハン・スンヨン、
       キム・ヒョンモク
     20年来の親友イェジとホドゥは、念願の新居に大喜び。ところが2人の住む新居には幽霊がいた。急激な物価高でお金のない2人は、割引中の除霊師と共に幽霊退治をする事に。

    『オーバー・ザ・レインボー』
    制作2002年
    監督:アン・ジヌ
    出演:イ・ジョンジェ
       チャン・ジニョン
     交通事故で一部の記憶を失ってしまった お天気キャスターのジンスは、事故以来 誰かわからない女性の幻覚に悩まされていた。

    『家門の復活』
    制作:2006年
    監督:チョン・ヨンギ
    出演:シン・ヒョ
        キム・スミ
     大ヒットコメディ。ヤクザの跡取り息子と ヤクザ取り締まる検事とのドタバタロマンス。

    『燃ゆる月』
    制作2002年
    監督:パク・チェヒョン
    出演:チェ・ジンシル
       ソル・ギョング
     「シュリ」の監督が手がけた作品。対立する部族の間に生まれた事から、様々な難に会い、それらと闘い成長していく 少女ピを描いたロマンスドラマ。


  • 『不思議の国の数学者』

    制作 2022年
    監督 パク・ドンフン
    出演 チェ・ミンシク
       キム・ドンフィ
     学問の自由を求めて北朝鮮から国外脱出した天才数学者イ・ハクソン(チェ・ミンシク)は、自らの正体を隠して 、上位1%の英才が通う名門私立高校の夜間警備員として暮らしていた。無愛想で冷たそうなハクソンに、学生は誰一人近づかなかった。ある日、数学が苦手なハン・ジウ(キム・ドンフィ)から、数学を教えて欲しいとせがまれる。正解だけが全ての学園生活に息苦しさを感じていたジウに、ハクソンは問題を解く過程の大切さを教えて行く。そんな日が続く中、ハクソンにも思わぬ人生の転機が訪れる。
     世の中には正解よりも大切なことがある。脱北した天才数学者と挫折寸前の劣等生の、一歩踏み出す勇気と希望を描いた感動のヒューマンドラマです。

  • 『オマージュ』

    制作 2021年
    監督 シン・スウォン
    出演 :イ・ジョンウン
    クォン・ヘヒョ
    タン・ジュンサン
     ヒット作に恵まれず次回作のめどもたたず、母であり妻である現実にも挟まれて、映画監督もこれまでと諦めていたジワンのもとに、旧い映画の修復の仕事が舞い込んだ。
     作品は「女判事」1960年代では珍しい女性監督ホン・ジュウォンが残した映画の修復である。当初 欠落した音声を吹き込むだけの仕事のはずが、作業が進む内に一部フィルムが欠落している事に気付く。失われたフィルムを探すため、ジワンは ホン監督の家族や関係者を訪ねる旅に出る決心をする。真相が1つ1つ解明される度、今以上に困難だった女性監督の姿が目の前に現われて来る。過去と現在、夢と現実… 。フィルムを探す旅は、いつの間にかジワン自らを見つめなおす旅となって行く。映画を愛し映画に携わる女性たちの、時空を超えた心の触れ合い。すべての映画ファンに捧げる1本です。
     「パラサイト」での家政婦の名演技が記憶に新しい、 イ・ジョンウンが主演の監督を演じています。

  • 『別れる決心』

    制作 2021年
    監督 パク・チャヌク
    出演 パク・ヘイル、タン・ウェイ、コ・ギョンピョ
     韓国の民主化運動に関わった、いわゆる386世代の監督の1人パク・チャヌク監督の期待の最新作です。パク・チャヌクといえば、復讐3部作の「オールドボーイ」人間ではない存在3部作の「サイボーグでも大丈夫」が受賞作ですが、38度線上の共同警備区域の事件を描いた「JSA」を思い出される方が多いでしょう。
     今回の映画は、山頂から男が転落死した事から始まります。男の死の捜査に乗り出した刑事のヘジュンは、被害者の妻ソレに事情聴取を行います。それぞれの本音を探り合う取り調べの中で、2人の感情は微妙に惹かれ合って行きます。疑惑は残るものの事件はいちよう解決します。しかしそれは、新たな迷路の始まりでもありました。
     喪失の物語りをただ悲劇的に描きたくなかった、とは監督の言葉。繊細でエレガンスにユーモアをまじえた、珠玉のサスペンス・ロマンスをお楽しみください。
    2月17日(金)より「大阪ステーションシティシネマ」ほか各地で公開!!

  • 『非常宣言』

    制作 2021年
    監督 ハン・ジェリム
    出演 ソン・ガンホ
       イ・ビョンホン
       チョン・ドヨン…
     韓国映画界を代表する名優を集め製作された、まさに「今」を投影した飛行機パニック映画です。
     それはいつもと変わらないフライトのはずだった…。娘の転地療養のためハワイ行K1501便に搭乗したパク・ジェヒョク(イ・ビョンホン)は、挙動不審の若い男が同乗しているのに不安を感じた。悪い予感は的中し離陸後まもなく1人の乗客が謎の死をとげた。一瞬にして機内は恐怖の渦に巻き込まれる。
     地上では、飛行機テロの予告動画がアップされた事で、ベテラン刑事ク・イノ(ソン・ガンホ)のもと緊急捜査が始められた。一方、バイオテロの知らせを受けた運輸大臣スッキ(チョン・ドヨン)は緊急着陸を模索し国内外への交渉を開始したが。
     見えないウィルス感染の拡がり、燃料切れのタイムリミットは迫り、パイロットは不時着要請の「非常宣言」を交信する。高度2万8千フィートの密室で、果たして乗客たちを救う方法はあるのか?それぞれの思いが交錯する中、運命の判断を下す時が近づく…。

  • 『アングリーバードと バナナ合唱団』

    制作 2016年
    韓国・インド
    ドキュメンタリー
    監督 ジー・ヘウォン
     著名な韓国人オペラ歌手 キム・チェチャンは、その熱意溢れる人柄を見込まれて、2006年 ケニアの子どもたちの合唱指導を頼まれます。スラムの子どもたちの合唱指導には紆余曲折がありましたが、「ジラニ子ども合唱団」は見事な成功をおさめました。
     2010年 キム・チェチャンは自らNGOを立ち上げ、今度はインドのカースト最下層の子どもたちに合唱を教え始めます。気の短いキム・チェチャンに、子どもたちは「アングリーバード」(ガミガミ鳥)とあだ名をつけ、厳しい指導には嫌厭気味になります。実は子どもたちの親たちも、音楽より勉強をが望みでした。
     ケニアの「ジラニ子ども合唱団」、インドの「バナナ合唱団」、2回の韓国テレビドキュメンタリーを手がけたジー・ヘウォンPDが、自身の母娘関係を思い起こしたというインドの子どもや親たちをさらに密着し再構成した劇場版です。
     貧しい暮らしの中、音楽によって人々の思いが変わっていく、キム・チェチャン先生の奮闘を描いたヒューマンドキュメンタリー。心あたたまる年末オススメの映画です。

  • 『梨泰院クラス』

    製作 2020年
    ドラマ 16話
    原作 クァンジン
    演出 キム・ソンユン
    出演 パク・ソジュン
       キ厶・ダミ、
       ユ・チェミョン

     ネット配信が拡大し簡単に韓国ドラマが見られる様になった2020年。「愛の不時着」と共に「梨泰院クラス」も世界中で大ヒットしました。今夏には「六本木クラス」として、日本でもリメイク放送されました。
     9月29日 ソウルで起こった群衆事故は、タイトルからも本作を想起してしまいます。梨泰院が舞台のこのドラマを、改めて紹介します。
     物語は、ひき逃げ事件で父を失くしたパク・セロイが、父の死の原因を作った飲食業界の「長家グループ」をトップから引きずり降ろそうとする復讐劇です。しかし単なる復讐劇ではなく、少年院帰りのセロイが、元ヤクザ、海外養子にされたアフロコリアン、性自認に悩むトランスジェンダー、非社会性パーソナリティ障害という多様な仲間と共に「タンバム」を飲食業界のトップに押し上げるようと奮闘する成長劇でもあります。
     このドラマの世界的人気が、海外からも多くの人を集める事になったのは、とても喜ばしい事ではあったのですが…。主人公が初恋の人と再開するのが、ハロウィンの夜、そして梨泰院の雑踏の中なのです。

  • 『雪 道』

    製作 2015年
    監督 イ・ナジョン
    脚本 ユ・ボラ/
    出演 キム・ヨンオク、キム・ヒャンギ、キム・セロン、チョ・スヒャン
     日本の植民地支配からの開放を祝う「光復節」が 70年目を迎えた2015年、韓国では関連の様々な取り組みが行なわれました。韓国の公共放送局KBSは、日本軍慰安婦をテーマにした記念ドラマ「雪道」を製作し放送しました。
     この映画は、その70周年記念ドラマを再編集し劇場版にしたものです。史実をもとに製作されたこの映画は、朝鮮中部の村で生まれた2人の少女の半生を描いた物語です。貧しい暮らしのチョンブンと豊かな家で育ったヨンエ、それぞれ家の事情は違っても幼馴染みの2人は仲良しでした。1944年、小さな村にも戦争の嵐は押し寄せて来て、やがて2人は過酷な現実と向き合うことに。
     どんな時でもあなたがいた。あなたがいたから乗り越えられた。
     主演は、名子役から大人の俳優へと向かっていた若き実力派キム・ヒャンギとキム・セロン。7年前のその時だからこそ演じられた少女の友情物語、2人の輝く演技をご覧ください。

  • 『ポーランドへ行った子どもたち』

    制作 2018年 
    監督 チュ・サンミ
    出演 チュ・サンミ
       イ・ソン
     今年5月、子どもを含むウクライナ市民 約50万にんが、ロシアの僻地へ強制移送との報道がされた。子どもの強制移送は、国際法違反です。けれど、今も分断を生み続けているこの世界です。
     かつて朝鮮戦争時に、戦災孤児たちを、北朝鮮からポーランドへ秘密裏に移送していた。知られざる朝鮮戦争の闇の姿です。分断国家、戦争による飢餓、彷徨い続けた子どもたちは今…。
     俳優のチュ・サンミさんは、十代で命がけの脱北を経験した大学生イ・ソンさんを伴って、ポーランドを訪ねる事にした。この映画は、戦争の真実と向かい合う旅に出た、2人の女性を追うドキュメンタリー。韓国で異例の動員を記録した話題の映画、ついに日本公開です!

  • 『キングメーカー 大統領を作った男』

    制作 2021年
    監督 ビョン・ソンヒョン
    出演 ソル・ギョング
       イ・ソンギュン
       ユ・ジェミョン
     今では KCIAの犯行と判明している金大中事件(1973)を覚えていますか?命がけで朴正煕軍事政権と闘った金大中氏は、後に韓国15代大統領(1998-2003)に就任し2000年には東アジアの平和に貢献によるノーベル平和賞を受賞しています。
     この映画は、世界を変えるために大統領を目指した金大中(キム・デジュン)と、選挙に勝つために影の参謀に徹した巌昌録(オム・チャンノク)の実話を基にした選挙サスペンスです。
     韓国江原道で薬局を営んでいたソ・チャンテ(イ・ソンギュン)は、社会を変えたいとの思いから野党「新民党」のキム・ウンボム(ソル・ギョング)の選挙事務所を訪ねるようになりました。1961年の補欠選挙でソ・チャンテの提案した勝つための選挙攻略が功を奏して、キム・ウンボムは初当選を果たします。続く1963年の国会議員選挙でも地元の対立候補を破り、キム・ウンボムは新進気鋭の野党議員として注目を集めます。選挙参謀のソ・チャンテの存在は、名前こそ知られませんでしたが、益々大きなものになって行きました。ただ、勝つためには手段を選ばないソ・チャンテの攻略法に憂いを抱いたキム・ウンボムは、「大事なのはどう勝つかではなく、何のために勝つのかだ」と諭します。しかしこれを境に、2人の関係は次第に離れていくことに……。
     選挙を票取りとしか考えずに、カルトとでも手を組む政治家がいる。そんな日本の選挙実態を思いながら観るのも面白いでしょう。

  • ベイビー・ブローカー

    制作 2022年
    監督・脚本 :是枝裕和
    出演 :ソン・ガンホ、
       カン・ドンウォン、イ・ジウン、ペ・ドゥナ、イ・ジュヨン
     「万引き家族」でカンヌ国際映画祭の最高賞を受賞した是枝監督が、韓国スタッフ・豪華俳優陣を集めて、念願の初演出をしました。再びカンヌに招待された本作は、主演のソン・ガンホ の最優秀男優賞とエキュメニカル審査賞の2冠を受賞しました。
     ある雨の夜、赤ちゃんポストの前に乳児が置き去りにされます。ところが、その赤ちゃんを連れ去った者がいました。連れ去ったのは、クリーニング店を営んでいるサンヒョン(ソン・ガンホ)。赤ちゃんポストの施設で働いているドンス(カン・ドンウォン)を仲間にして、子どもが欲しい夫婦に赤ちゃんを斡旋する裏稼業をしていました。子どもを置き去ったものの様子を見に来た母親は 、施設に我が子が居ないのを知り子どもの行方を探し始めます。一方、乳児斡旋を捕まえるため張り込んでいた刑事たちも、犯人を追跡を始めます。
     赤ちゃんを巡る三者の、悪意と善意がからみ合う不思議な旅が始まります。社会の底辺に生きる人たちに優しい目を向け続ける、是枝監督ならでのヒューマンストーリー。それでも生きていていいんだと背中を押してくれる、心あたたまる珠玉の一本です。

  • 『スープとイデオロギー』

    制作 2021年
    監督・脚本 ヤン・ヨンヒ
    音楽監督 チョ・ヨンウク
     「ディア ピョンヤン」「かぞくのくに」で、自身の在日コリアン家族と 北朝鮮との関係を描いてきたヤン・ヨンヒ監督ですが、本作では初めて 母のルーツ韓国と向き合っています。
     大阪に住む在日コリアンの約4割が、済州島をルーツに持っています。イデオロギーから国籍を「朝鮮」にしたヨンヒ監督のオンマも、実は「韓国」済州島出身者です。韓国近代史の最大のタブー「済州4・3事件」の体験者でもあったのです。
     1948年4月3日に始まる 李承晩政権による島民大虐殺「済州4・3事件 」とは…。当時アメリカ軍政下の南朝鮮で、アメリカの意向である南側のみの単独選挙が行われようとしていました。南北分断を決定づける単独選挙に反対する蜂起が、各地で起こりました。済州島は、その弾圧の見せしめにされたのです。「アカ狩り」の名の下で、島民の無差別虐殺が繰り返されます。1954年9月に至るまで、約3万人の島民が虐殺されました。
     年老いアルツハイマー病を患うオンマと共に、母の記憶を紡ぐため、ヨンヒ監督は済州島への旅を決心します。そして明かされたオンマの秘密。韓国でも話題のヤン・ヨンヒ監督の最新作です。

  • 『教育と愛国』

    制作 2022年
    ドキュメンタリー
    監督 斉加 尚代
    語り 井浦 新
     あなたにも知って欲しい。いま、教科書で何が起きているのかをㅡ
     深夜枠ながら、40年を超える長寿ドキュメンタリー番組があります。MBS毎日放送の「映像 22」です。2017年「映像 17」で放送されて大きな反響を呼んだ、ドキュメンタリー「教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか~」が、最新取材を加えて帰って来ました。2017年テレビ版は、国内で放送された優秀番組への顕彰「ギャラクシー大賞」を受賞しました。改めて劇場版が公開されるのは、政治と教育の距離がさらに近くなって来た危機感からでしょうか。メガホンを取ったのは、MBSで20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加 尚代監督。映画・ドラマで人気の井浦 新さんが、語りを担当しています。
     安倍・菅・岸田と続く保守政権の下、教育現場で、何が起きているのか?政治介入ともいえる教科書検定制度、それに抗う人々。コリア問題講座でお馴染みの、あの平井美津子先生もスクリーンに登場します。
     「教育と政治」を見つめたドキュメンタリー。日本の未来を決める参院選を前に。1人でも多くの人に見て欲しい劇場版映画です。

  • 『手紙と線路と小さな奇跡』

    制作 2021年
    監督 イ・ジャンフン
    出演 パク・ジョンミン
       イ・ソンミン
       イム・ユナ
     線路は通っているのに駅がない。1988年、慶尚北道にある田舎村に、韓国初の私設駅「両元駅」が開設されました。本作は小さな駅づくりの実話をもとに、それに奮闘した人々を描いた感動のヒューマンストーリーです。
     機関士テヨンには、天才的な数学の才能をもつ息子ジュンギョンがいました。往復5時間もかかる高校に通う彼の目標は、自分の村に汽車 駅を作る事でした。汽車駅は無理だと反対する父テヨンですが、ジュンギョンは大統領府へ請願の手紙を出し続けました。姉のボギや、クラスメイトの自称ミューズのラヒの応援を受けて、説得力のある手紙を書きたいと正書法を習い努力します。有名になればと、テレビの高校生クイズのチャレンジを考えたり、数学大学の1位合格も狙います。気がつけば、請願の手紙は54通になっていました…。

  • 光州事件

    昨年11月23、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が亡くなった。1980年5月18日~27日、自国民を大量殺戮した光州事件の首謀者である事から、「謝罪なく死亡」と韓国内の報道は厳しいものだった。韓国民のトラウマになったといわれる「光州事件」とは何だったのか?配信で観られる映画とドラマで探ります。

    映画『タクシー運転手』
    監督:チャン・フン
    出演:ソン・ガンホ、
    トーマス・クレッチマン
     韓国最大の悲劇「光州事件」の真実を追い求めた1人のドイツ人記者と、戒厳令下の光州へ彼を乗せて行ったタクシー運転手の、実話をもとにして描かれた作品。韓国内で1200万人が観たという映画。まだといわれ方は、ぜひ一度ご覧になってください。

    ドラマ全12話『五月の青春』
    監督:ソン・ミニョプ
    出演:イ・ドヒョン、
    コ・ミンシ
     2021年のある日、光州の工事現場で身元不明の白骨が発掘される。遡って41年前の光州市。歴史の渦に巻き込まれる事も知らず、生き辛い社会をただ一生懸命生きている青年たちがいた。惹かれ合う医大生ヒテと看護師ミョンヒの儚い恋愛を縦軸に、市民から見た光州事件の実態が描かれています。

  • 『ハード・ヒット 発信制限』

    制作 2021年
    監督 キム・チャンジュ
    出演 チョ・ウジン、チ・チャンウク、イ・ジェイン
     銀行の支店長ソンギュは、出勤時に、娘を学校まで送るのを日課にしていました。その日も父娘は、いつものように車に乗りました。走り出したとたん、携帯電話の着信音が鳴り「シートの下に爆弾を仕掛た。助けを呼んでも 席を立っても車が爆発する」と脅す声が。発信制限(非通知)の電話だけにイタズラだと切ろうとした瞬間、目の前の同僚の車が爆発。相手が誰なのか、何が目的なのか、何も分からないまま車は走り続けた。止まらない車に、爆発テロの容疑をかけた警察の追撃も重なり、終わりの見えない恐怖が始まった…。
     主演の支店長に、「国家が破産する日」で個性光る敵役を演じたチョ・ウジン。謎の発信者に、ドラマ「奇皇后」の皇帝役で人気を博したチ・チャンウク。人質の娘に、「サバハ」の一人二役で新人賞を総なめにしたイ・ジェイン。実力派俳優陣の演技バトルが見ものです。ラストまで目の離せないノンストップ・ストーリー。迫力なカーチェイスをスクリーンで実体験してください。

  • 『声もなく』

    制作 2021年
    監督 ホン・ウィジョン出演 ユ・アイン、
       ユ・ジェミョン
     話すことが出来ない青年テイン(ユ・アイン)は、貧しさから闇の仕事を生業としていた。いわれるがまま、殺人の死体処理さえ請け負っていた。そんなある日、11歳の少女の面倒を見てくれと依頼される。どうやら身代金目当てに誘拐して来たようだ。ところが少女チョヒの両親は身代金を出す様子も無く、テインとチョヒの奇妙な生活が始まる。誘拐犯になってしまった青年と誘拐された少女、出会うはずのなかった2人。社会から疎外されてきた2人の、まるで家族になったかのような温かい日々。ねじれた誘拐の行方は…。切なさが胸を貫く、珠玉のサスペンス。
     犯罪作品の常識を覆した演出と個性的なキャラクター設定で、韓国映画界に新風を吹き込んだのは、80年代生まれ女性のホン・ウィジョン監督。初長編にして世界の映画賞を次々と受賞。

  • 『ファイター、北からの挑戦者』

    制作 2020
    監督 ユン・ジェホ
    出演 イム・ソンミ
    オ・グァンロク
    ペク・ソビン

     韓国の現実を知りながら、それでも一筋の希望を持ち北朝鮮を逃れて来たリ・ジナ。同じ言葉を話せても、脱北者としての毎日は差別と偏見に満ちていた。ただ中国に残した父を呼び寄せる資金のため、出来る仕事は何でも引き受けた。あるボクシングジムの清掃の仕事で、ジナはボクシングに希望の光を見つけた。かつて北朝鮮の軍隊でボクシングを習った事があるジナは、女子ボクシングでお金を稼ごうと決心する。その日から、脱北者ジナの闘いが始まった。負けても負けても何度も立ち上がる。国会に翻弄されまいとする闘い、そして何より自分自身との闘い。明日をあきらめないジナの闘いは、まだ終わらない…。
     ジナ役のイム・ソンミは、ドラマ「愛の不時着」の中で韓国製化粧品を蜜売していたあの女性です。ボクシングの特訓を受けて臨んだ、初主演の本作で釜山国際映画祭最優秀女優賞を受賞しました。
     韓国内に暮らす3万3千人の脱北者の1人、ジナ。韓国の地で、自分の人生を取り戻そうとする1人の女性の希望と闘いを描いたヒューマンストーリーです。

  • ジャーナリズムとは何か?

    今月は 報道の力を描いた実話映画を紹介します。必見のドキュメンタリー2作品です。

    『共犯者たち』
    制作 2017年 韓国
    監督 チェ・スンホ
     李明博・朴槿恵と続いた長期保守政権による言論弾圧。主犯は 時の「政権」、共犯者は権力に骨抜きにされた「放送業界」。韓国公営放送局を不法解雇されたチェ・スンホさんが独立メディア「ニュース打破」を立ち上げ、放送業界の共犯者たちにカメラを向けて、その実態と構造を明らかにした。
     この映画を見た市民の怒りが、朴槿恵政権の弾劾・罷免へと追い込んだ。

    『コレクティブ 国家の嘘』
    制作 2019年 ルーマニア
    監督 アレクサンダー・ナナウ
     ルーマニアを震撼させた巨大医療汚職事件に、ジャーナリスト・市民・政治家たちが立場の違いを越えて権力に立ち向かった姿を描いたドキュメンタリー作品。
     2015年ブカレストのクラブ「コレクティブ」で死者27名、負傷者180名の火災が発生。被害は留まる事なく収容された複数の病院で患者は次々と亡くなり、最終死者数は64名となった。異常事態に不審感を抱いた、あるスポーツ紙の編集長は調査を始めた。事件の背後に製薬会社・病院経営者・政府関係者の巨大癒着があるのを突き止めた編集長は、命の危機を感じながらも真相を暴き出した。報道を目にした市民たちの怒りは、ついに内閣を辞職にまで追い込んだ。

  • 『白頭山 大噴火』

    制作 2019年
    監督 イ・ヘジュン
    キム・ビョンソ
    出演 イ・ビョンホン
    ハ・ジョンウ
    マ・ドンソク
     韓国で820万人が観たという、豪華出演陣によるパニックムービー。
     北朝鮮と中国の国境にそびえる白頭山(ペクトゥサン)で、観測史上最大の噴火が発生。それに連なる大地震で、ソウルでも高層ビルや漢江に架かる橋が崩壊、朝鮮半島はパニックに陥る。韓国政府は 地質学の権威カン教授(マ・ドンソク)に協力を要請、75時間後に再び大噴火が起きるとの報告を受ける。火山の沈静化を図る極秘命を受けた韓国軍爆発処理班のチョ・インチャン大尉(ハ・ジョンウ)は、急遽部隊を組み北朝鮮へ潜入する。作戦遂行の鍵は、北朝鮮人民武力部のリ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)の協力を受ける事。成功率わずか3.48%、命をかけてのミッションが今 始まる。

  • 『サムジンカンパニー 1995』

    監督 イ・ジョンピル
    出演 コ・アソン、イ・ソム
    パク・ヘス
     タイトルからも分かるように、この映画は 大企業サムソンで実際に起った事をもとに描かれた痛快エンターテイメントです。1900年代後半、国際化を目指す韓国企業は、昇進を餌に社員たちに英語研修を進めていた。実務能力は高くても高卒のため昇進を諦めていた女性職員たちも、希望を胸に英語教室に通い始めた。
     そんなある日、自社工場が有害物質を川に流している事を知ってしまった彼女たち。不正に立ち向かうのか、会社を守るのか。その日から、彼女たちの内と外の闘いが始まった。
     数年前の韓国映画「もう一つの約束」を見られた方は、サムソン電子の半導体工場で働く従業員たちが、リンパ造血系癌で次々と亡くなられた事を思い出されたでしょう。
     ちっぽけな彼女たちの、でっかい逆襲。挫折を繰り返しながら、決して諦めない彼女たちを、スクリーンの前で応援してください。

  • 『王の願い ハングルの始まり』

    制作 2019年
    監督 :チョ・チョルヒョン
    出演: ソン・ガンホ
       パク・ヘイル
     いまや ハングル創製で世界にその名を知られている、世宗大王の知られざる物語です。李氏朝鮮第4代国王・世宗の在位時代、朝鮮王朝は明国の影響下に置かれていました。朝鮮の自立を夢見ていた世宗は、民をまとめるためにも自国の言葉を書き表す文字が必要と、固有文字の創製を決意する。当時は低い身分とされていたが、文字をよく知る僧たちを呼び集め秘密裏に作業を進める。しかし漢字を使い特権階級を保っていた両班や、独立を許さない明国からの攻撃を怖れる臣下の反発は強く、固有文字創製は次第に困難を深めていく。
     「タクシー運転手」「パラサイト」のソン・ガンホが世宗大王を演じるとなれば、見るしかない。

  • お家で映画を〜 生徒と教師編

    『ワンドゥギ』
    制作 2011年
    監督: イ・ハン
    出演 :ユ・アイン、
       キム・ユンソク
     母もなく貧しい家庭で暮らす高校生のワンドゥクは、勉強もせずケンカにあけくれる毎日。近くに住む担任教師のドンシクが、遠慮なく私生活に干渉してくるのが悩みの種。

    『パパロッティ』
    制作 2013年
    監督: ユン・ジョンチャン
    出演 :イ・ジェフン、
       ハン・ソッキュ
     歌を諦めた音楽教師と歌を信じた高校生。2人の出会いから始まった感動の実話。

    『守護教師』
    制作 2018年
    監督: イム・ジンスン
    出演: キム・セロン、
       マ・ドンソク  
     放課後に生徒が消えた。容疑者は町に住む全ての人。謎だらけの女子高校生失踪事件に、1人立ち向かう体育教師。

     教師と生徒の心あたたまるヒューマンドラマ。レンタル、配信でお楽しみください。

  • 『ザ・バット・ガイズ』

    制作:2019年
    監督:ソン・ヨンホ
    出演:マ・ドンソク、キム・アジュン…
     韓国公開時450万人を超える観客を動員した、マ・ドンソク主演の大ヒットアクションムービー。
     ある日、囚人たちを乗せた護送車が、武装集団に襲撃されるという重大事件が発生。街に放たれた凶悪犯確保のため、警察上層部は元警察官オ・グタクに極秘プロジェクトを指令する。目的は、唯一犯人逮捕。集められたメンバーは、元ヤクザ、元エリート刑事、元天才詐欺師…刑務所に収監中の服役囚たち。目には目を、悪には悪を。プロジェクト始動、勝つのはどっちだ。


  • 『ミナリ』

    制作 2020年
    監督 リー・アイザック・チョン
    出演 スティーブン・ユァン、ハン・イェリ、ユン・ヨジョン
     1980年代、農業の成功を夢見て、アーカンソー州に移住した韓国人家族を描いた映画。子どものためにと、広大な土地を買い農業を始めるが、移住先は田舎町の荒れ野。しかもボロボロのトレーラーが家代わり。苦労して収穫した作物もさっぱり売れない。追い詰められた一家に、水が干上がる更なる事態が··。
     在米コリアンであるリー監督の本作は、世界の映画祭で各賞を受賞。ベテラン俳優ユン·ヨジョンの印象的な祖母役は、アカデミー助演女優賞の最有力候補にあげられています。何より、尖った作品作りで人気の新進気鋭二大製作会社「A24」と「プランB」がタッグを組んだ事が一番の話題です。
     「ミナリ」とは、春の七草「せり」の韓国語。2度目の収穫が美味しいとされている事から、子ども世代の幸せを願う意味を持たせたタイトルです。

  • 『野球少女』

    制作 2019年
    監督 チェ·ユンテ
    出演 イ·ジュヨン
    イ·ジュンヒョク

     今春、阪神タイガースに女子チームが誕生します。女子プロ野球がある日本とは違い、韓国ではまだ女子プロ野球はありません。本作は、その韓国でプロ野球を目指した実在の女子選手をモデルに描いた映画です。
     最高球速134キロを誇るチュ·スイン(イ·ジュヨン)は、高校卒業を控えてプロ野球選手になる夢を叶えようとしますが、女子というだけでテストさえ受けられません。母や友人、野球部監督からもプロの夢を諦めるよう説得されます。しかしスインの諦めない心と努力を見た新任コーチのチェ·ジンテ(イ·ジュンヒョク)は、同じくプロになる夢を持っていたかつての自分を思い出し、二人三脚の特訓を始めます。スカウトの目に留まる作戦も練って、ようやくテストが受けられる事になるのですが···。
     諦めない心と夢を追いかける勇気が、一歩前へと進ませてくれる。全ての女性への応援メッセージ、ジェンダーをぶっ飛ばせ!!

  • 『南山の部長たち』

    制作 2020年
    監督 ウ·ミンホ
    出演:イ·ビョンホン、イ·ソンミン、クァク·ドウォン
     軍事クーデター(1961)で権力を手中にした朴正煕は、独裁政治により5代に渡る大統領の座を独占していた。しかし皮肉なことに、その独裁政治により側近からクーデターを企てられた。本作は朴正煕暗殺事件(1979)をモチーフに書かれた、金忠植の実録小説の映画化です。
     今では米国政府の関与も云われていますが、大統領直属の諜報機関(KCIA)のトップ金載圭が、何故大統領を暗殺したのか?クーデターの失敗で死刑執行された金載圭が述べた、韓国の民主主義の回復は本心だったのか?映画「ユゴ 大統領有故」でも描かれなかった、何故を焦点に事件の40日前に遡って描かれています。韓国の誰もが知り、誰もが知らない歴史サスペンスです。
     タイトルの「南山」は、韓国中央情報部(KCIA)の本部の所在地。当時の調査室は、拷問致死事件(1987)被害者の名「朴鐘哲記念館」で保存、観覧も可能です。(月曜休·南営駅)

  • 『マルモイ ことばあつめ』

    制作 2019年
    監督 オム·ユナ
    出演 ユン·ゲサン、ユ·ヘジン、キム·ホンパ、ウ·ヒョン、キム·ソニョン
     民族の言葉が消えてゆく日本統治下の京城(ソウル)で、母国語を守る事によって国を守ろうとした人々がいた。アジア太平洋戦争の勃発は、朝鮮語の弾圧をさらに厳しいものにしていった。
     読み書きが出来ずその日暮らしのパンス(ユ·ヘジン)は、息子の授業料欲しさに、裕福そうなジョンファン(ユン·ゲサン)の鞄を盗んだ。その鞄から、ジョンファンが朝鮮語の辞書を作ろうとしている事を知る。
     本作は、朝鮮語学会事件(1942年)を描いた初めての映画です。厳しい時代の中で共に夢を叶えようとした人々の姿が、今の私たちに訴えかけてきます。待ちに待った話題作、ついに公開です。

  • 『愛の不時着』全16話

    演出:イ·ジョンヒョ
    脚本:パク·ジウン
    出演:ヒョンビン、
    ソン·イェジン
     冬のソナタから17年、韓国ドラマの視聴方法も、地上波TV、ケーブルTV、レンタルDVDから、コロナ自粛を経て ネット配信へと大きく変わりました。昨冬、韓国のケーブルTVで放送され大ヒットした「愛の不時着」が、Netflix(ネットフリックス)で配信されると、アメリカを始め世界中で人気を集めました。日本でも、冬ソナ以来の大ヒット配信中です。
     このドラマは、パラグライダーの事故でDMZ(非武装地帯)に不時着してしまった韓国企業CEOのユン·セリと、偶然 彼女を助ける事になった北朝鮮軍人リ·ジョンヒョクの出会いから始まる愛の物語です。人気の理由の1つは、ドラマの舞台が北朝鮮である事です。ベールに包まれた北朝鮮の、普通の人々の暮らしを垣間見る楽しみです。もう1つは、愛に落ちる2人の関係をあくまでも対等に描いている事です。ジェンダー平等を意識した脚本が、多くの人の支持を受けたのです。しかも主人公を演じるのが「ラストプリンセス」のソン·イェジンと、「王の涙」のヒョンビン、絵になる2人です。大ヒットも頷けます。笑いあり涙ありのストーリー展開は続きが気になり、ハマる事間違いなしです。
     月契約でドラマ·映画が見放題のネット配信サービス「Netflix」月800円でご覧になれます。

  • 今だから 家で韓国映画
    ─全斗煥は何をしたのか

    『弁護人』
    制作:2013年
    監督:ヤン·ウソク
    出演:ソン·ガンホ
       イム·シワン
     1981年、全斗煥軍事政権は民主化勢力弾圧のため、各地の読者会を取り締まった。ソウルでの読者会参加者の不当逮捕「学林事件」に続き、釜山でも読者会に集った市民·学生19人を令状もなく逮捕拘束した。この「釜林事件」被告の無罪を求め国家権力と闘った、若き弁護士時代の故·盧武鉉(ノ·ムヒョン)元大統領をモデルに描いた映画。
     李明博から朴槿恵の保守政権時、メディアへの介入の実態をあばいたドキュメンタリー。本作上映がきっかけで、韓国国営放送局MBCとKBSが全面ストライキに入った。

    『1987、ある闘いの真実』
    制作:2017年
    監督:チャン·ジュナン
    出演:キム·ユンソク、
       ハ·ジョンウ、
       ユ·ヘジン
     ソウル五輪を1年後に控えた、1987年1月に起きた「ソウル大生パク·ジョンチョル君拷問致死事件」がモチーフ。1人の学生の無惨な死が多くの市民の心に火をつけ、瞬く間に「6月民主化闘争」に繋がって行く過程を描いた映画。

  • 今だから 家で韓国映画

    『共犯者たち』
    制作:2017年
    監督:チェ·スンホ
    (元MBCプロデューサー)
    李明博から朴槿恵の保守政権時、メディアへの介入の実態をあばいたドキュメンタリー。本作上映がきっかけで、韓国国営放送局MBCとKBSが全面ストライキに入った。

    『工作 黒金星と呼ばれた男』
    制作:2018年
    監督:ユン·ジョンビョン
    出演:ファン·ジョンミョン、
       イ·ソンミ
    1980年代、核施設を
    確かめるため北朝鮮に潜入した、コードネーム黒金星
    と呼ばれた韓国工作員の実話がモチーフ。1997年の韓国大統領選挙をめぐる、北朝鮮との裏取引を描いたサスペンスドラマ。

    『国家が破産する日』
    制作:2018年
    監督:チェ·グクヒ
    出演:キム·ヘス、
       ユ·アイン
    1997韓国、通貨危機を予測する銀行の通貨政策チーム長、それを好機と暗躍する金融コンサルタント、経済情勢に疎く翻弄される工場経営者。各々の目を通し、通貨危機の裏側、IMFとは何かを描いた社会派ドラマ。

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  • 『はちどり』

    製作:2018年
    脚本:キム·ボラ
    出演:パク·ジフ、キム·セビョク、チョン·インギ、イ·スンヨン

     空前の経済成長を迎えていた1994年のソウル。小さな餅屋を営む両親、姉、兄と共に団地暮らしの14歳ウニ。学校にも馴染めず、他校に通う親友と遊んだり街をさまよっていた。日常茶飯事の兄からの暴力も、忙しい両親は気付かない。そんな時ウニが通う漢文塾に、ヨンジャという女性講師がやって来た。大学を休学中のウニは、自分の話しを聞き励ましてくれるヨンジャに心を開いていった。ある日、ソンス大橋崩落の知らせが入る。それは姉が乗っているバスが橋を通る時間帯だった。ほどなくしてウニのもとに届いたのは、ヨンジャからの小包と一通の手紙だった···。
     キム·ボラ監督 長編デビューの本作は、ベルリン国際映画祭を始め世界で45冠を受賞、韓国単館上映作品として異例の大ヒットをしました。

  • 『幼い依頼人』

    製作:2019年
    監督:チャン·ギュソン出演:イ·ドンフィ、ユソン、チェ·ミョンビン、イ·ジュウォン

     ロースクールは卒業したが、なかなか就職出来ないジョンヨプ(イ·ドンフィ)は、姉の薦めで児童福祉館のアルバイトをしていた。その中で継母から虐待を受けているダビン(チェ·ミョンビン)姉弟に出会うが、さほど深刻に考えなかった。
     ほどなく法律事務所に就職したジョンヨプのもとに電話が入り、継母の虐待でダビンの鼓膜が破れた事を知る。継母から離さなければとダビンを連れて来るが、その事でジョンヨプは誘拐犯扱いされる。その上、弟ミンジュンの死体が発見され、今度はダビンが殺人の容疑者となってしまう。
     この作品は2013年韓国で実際に起こった「チルゴク継母児童虐待死亡事件」をもとに、弟殺しの容疑をかけられた10歳の少女に寄り添い、真実を明らかにするため奔走した若い弁護士を描いたサスペンスドラマです。「エクストリーム·ジョブ」で鋭いアクションを見せたイ·ドンフィの熱演が見ものです。

  • 『スウィング☆キッズ』

    製作:2018年
    監督:カン·ヒョンチョル出演:ディオ 〈EXO〉、ジャレッド·グライムス、パク·ヘス、オ·ジョンセ、キム·ミノ

     K-POPグループ〈EXO〉の名前を出さなくても、「明日へ」「神と共に」など俳優の実力も兼ね備えたディオの主演映画。ディオ入隊直前の力作です。
     舞台は1951年、朝鮮戦争時にあった巨済(コジェ)捕虜収容所。新任の所長が対外的イメージアップのため、捕虜たちによるダンスチーム結成を計画。ブロードウェイのタップダンサーだった黒人下士官のジャクソンをリーダーに、集められたのは4ヵ国語を操る通訳のヤン·パンネ、生き別れの妻を探していて捕まった朝鮮民間人のカン·ビョンサム、ダンスは出来るが栄養失調状態の中国人シャオパン、そして収容所のトラブルメーカー朝鮮人民軍のロ·ギス(ディオ)。つけられた名前は「スウィングキッズ」。国籍も言葉もイデオロギーも何もかもかみ合わない人たちによるタップダンスの挑戦が始められた。朝鮮戦争最中の苦しい時代、しかしダンスは彼らの胸を熱くさせていった。
     「サニー永遠の仲間たち」をヒットさせたカン·ビョンサム監督の最新作。ビートルズ、ベニーグッドマン、デビットボウイが、見ている私たちの胸も熱くさせてくれます。

  • 『エクストリーム·ジョブ』

    製作 2019年
    監督 イ·ビョンホン
    出演 リュ·スンリョン、イ·ハニ、チン·ソンギュ、イ·ドンフィ、コン·ミョン

     韓国で歴代興業収入第1位になったという話題のアクションコメディ、ついに日本上陸です。
     昼も夜もなく駆けずり回りながらも実績の上がらない麻薬捜査班。解散も目前と諦めかけていたある日、コ班長(リュ·スンリョン)が国際犯罪組織の麻薬取引の情報をつかむ。今度こそはと、チャン刑事、マ刑事、ヨンホ、ジェフンのメンバーを揃え捜査を開始する。組織のアジト前にあるチキン屋で張り込みを続けていたのだが、そのチキン屋が閉店するという。仕方なく店を引き継ぎ、チキン屋を営業しながらの捜査が始まる。ところが絶対味覚を持つマ刑事(チン·ソンギュ)のチキンが大評判、商売に追われて捜査も後回しに。そんな時、犯罪組織を一網打尽に出来る機会が訪れる。
     チキンを揚げるか、犯人を挙げるか、麻薬捜査班の運命は如何に?奇想天外の大捜査線ムービー2020年の初笑いは、この映画で決まりです。

  • 〈韓国映画百周年〉

    韓国映画『パラサイト』が カンヌ映画祭最高賞パルムドールを初受賞!!

     今から百年1910年10月、3·1独立運動の熱も覚めない京城市(ソウル)にある「団成社」という会館で、映画が上映されました。朝鮮半島における独自制作映画の初上映です。今年は韓国映画百周年でした。
    その記念する年に、世界三大映画祭(ヴェネツィア·カンヌ·ベルリン)の1つであるカンヌ国際映画祭で、最高賞パルムドールをポン·ジュノ監督の『パラサイト~半地下の家族』が受賞しました。韓国映画で初の快挙です。
     この映画は、誰一人定職を持たない貧しい家族が、色々な手段で裕福な一家に次々寄生していくというブラックコメディです。昨年の是枝裕和監督『万引き家族』に続き、格差社会を新しい切り口で見つめたアジア映画の2年連続パルムドール受賞です。
     1969年大邱市生まれのポン·ジュノ監督は、2006年「グエムル~漢江の怪物」2009年「母なる証明」など韓国を代表する映画監督です。李明博·朴槿恵の保守政権時に作られた、政権に不都合な文化芸術界ブラックリストに載せられていました。同じくブラックリスト筆頭の俳優ソン·ガンホとタッグを組み制作したのが『パラサイト』です。年明け全国公開です。
     韓国映画百周年でもう1つのトピック、ソウル市鐘路に今も残る映画館「団成社」が、「映画歴史館」として生まれ変わります。ソウルの新しいスポットになることでしょう。

  • 『国家が破産する日』

    制作:2018年
    監督:チェ·グクヒ
    出演:キム·ヘス、ユ·アイン、ホ·ジュノ、ヴァンサン·カッセル

     その時、政府は何をしたのか?
     85%の国民が自らを中間層と考えていた1997年、韓国で実際に起こった通貨危機(IMF経済危機)を描いています。韓国経済が急成長を遂げていた当時、国民はこのまま好景気が続くと信じていた。そんな中、通貨危機を予測した者がいる、韓国銀行通貨政策チーム長のハン·シヒョン(キム·ヘス)。  政府は秘密裏に対策チームを召集、国家破産までに残された時間がわずか7日間しかない事を知らされる。
     金融コンサルタントのジョンハク(ユ·アイン)も、独自で経済危機の兆候を察知、これをチャンスと株の大勝負に出る。
     一方、経済情勢を知らされていない町工場経営者のガプス(ホ·ジュノ)は、手形決済が条件のデパートからの大量注文を受けてしまう。
     「タクシー運転手」「1987」「工作」に続く、韓国社会派映画の傑作。未曾有の危機に直面した、国の裏側を描く衝撃の問題作です。

  • 『風水師 王の運命を決めた男

    制作 2018年
    監督 パク·ヒゴン
    出演 チョ·スンウ、
    チソン、
    キム·ソンギュン

     朝鮮王朝末期を舞台に、王座を狙う者たちのバトルを描いた歴史エンターテイメントです。家や墓はもとより国の行く末さえ「風水」で決めていたその当時、最高の運気を宿す土地「明堂(めいどう)」を持てた者が天下を取ると信じられていた。王族でありながら金一族に阻まれて国王になれなかった興宣君は、明堂を探し当てる天才風水師パク·ジェサンと出会い、金一族を滅ぼし天下取りの闘いに身を投じて行く。
     朝鮮王朝最後の国となった高宗の実父であり実在の人物、興宣君役を演じたのは、映画ドラマでお馴染みのチソン。正義を貫こうとする天才風水師役に、映画「マラソン」で一躍有名になったチョ·スンウ。時代を再現した衣装、息をのむアクション、そして何より演技派2人の演技バトルが見物です。

  • 『ザ·ネゴシエーション』

    制作 2018年
    監督 イ・ジョンソク
    出演 ヒョンビン、ソン・イェジン、キム・サンホ

     「王の涙」のヒョンビンと「四月の雪」のソン·イェジン、韓国二大スターがぶつかる心理サスペンスドラマ。
     ソウル市警危機交渉班の警部補ハ·チェユン(ソン·イェジン)は、事件現場の交渉で犯人と人質まで死なせ辞職を考えていた。そんな折、新たな人質事件が起こり、ミン·テグ(ヒョンビン)と名乗る犯人から名指しで呼び出される。犯人は、外事課が追っていた国際的武器売買組織のリーダーだった。
     「1時間以内に来なければ、全員殺す」動機も要求も不明なまま、事件現場に駆けつけるハ·チェユン。タイムリミットは、特殊部隊突入まで14時間。数日前のトラウマに苛まれながら、一歩も引けない交渉が始まる。人質は無事救出できるのか···。

  • 『新聞記者』

    制作 2019年
    原案 望月衣塑子
    監督 藤井道人
    出演 松坂桃李、シム·ウンギョン、高橋和也、田中哲司

    公開中の本作が話題です。現在進行形の日本の闇を描いたこの映画は、実在する記者の体験をヒントに製作されました。安倍政権批判に繋がるのを恐れたTV メディアは、人気俳優の主演にも関わらず一切の宣伝を封じました。それでもSNS上で公開前から期待が拡散され、上映が始まるや全国134館で10万人の観客を動員しています。
     首相官邸とメディアの裏側を描いた本格サスペンス。加計問題を想起するストーリーは、リアル感があふれています。
     昨年12月28日、首相官邸は、質問をくり返す「東京新聞」望月衣塑子記者の排除を狙い、記者クラブに申し入れをした。それを問題視した「新聞労連」は、今年2月5日に 抗議声明を発表。続く 4月5日に「国民の知る権利を守れ」のメディア労働者デモを取り組んだ。安部政権の執拗なまでの情報操作が続く中、それに抗う人々の闘いが始まったのです。本作の製作もその一つです。
     主演に人気№1の松坂桃李。スタッフが決まらない中、最初に出演を受けたのが彼。その勇気に拍手です。W主演は「怪しい彼女」でお馴染みのシム·ウンギョン。巧みな日本語で女性記者を演じました。
     物語は、ある大手新聞社に、大学新設に関する機密文書が送信されて来る事から始まります。取材を始めた吉岡エリカ記者(シム·ウンギョン)の下に、内閣からと思われる圧力がかかります。一方「国民につくす」という理想を持ち官僚になった杉原拓海(松坂桃李)は、「政権につくす」だけの内閣情報調査室の仕事に疑問を持ち始めていた。どうしても真実を書きたい吉岡記者と理想を貫きたい杉原、それぞれの葛藤が交わる時、衝撃の事実が明らかになります。 
     貴方はこの映画を信じますか?
    参院選最中の全国上映!!この映画が日本を沸騰させるか?

  • 『ニジノキセキ』

    制作 2019年
    ドキュメンタリー
    監督: 朴英二、金功哲

     「サイサ」と呼ばれる闘いがありました。 1948年、兵庫·大阪で激しく闘われた「4・24阪神教育闘争」の事である。70年目を迎えた昨年、2本のドキュメンタリー映画が製作されました。今年1月に公開され評判になった高賛侑監督の『アイたちの学校』、そして兵庫県青年商工会が製作した本作『ニジノキセキ』です。
     1945年、日本の敗戦により朝鮮半島は植民地統治から開放されました。当時日本に暮らしていた朝鮮の人々は、失われた母国語と文化を取り戻すため、各地に国語講習所を作りました。ウリハッキョ(私たちの学校)と呼ばれる「朝鮮学校」の誕生です。みるみる間に全国に広がった1948年、突如、GHQの指示により文部省が朝鮮学校に閉鎖令を下しました。この閉鎖通達への抗議は全国で闘われましたが、中でも2名の犠牲者まで出た阪神間の闘いを「4・24阪神教育闘争」と呼んでいます。
     サイサから70年、今なお日本政府から授業料無償化の除外という差別を受け続けている朝鮮学校です。本作では3つのキセキ(軌跡·奇跡·輝石)をキーワードに、朝鮮学校は世界へ虹を架ける存在になると決意を表らしています。キラキラと輝く七色の光を確かめに行きませんか?

  • 『バーニング 劇場版』

    制作  2018年
    原作: 村上春樹
    監督: イ⋅チャンドン
    出演 :ユ⋅アイン、スティーブン⋅   ユァン、チョン⋅ジョンソ

     イ⋅チャンドン監督の代表作といえば、光州事件をベースに青年の苦悩を描いた「ペパーミント⋅キャンディー」と、社会から疎外された男女の純愛を描いた「オアシス」です。その巨匠イ⋅チャンドンが「ポエトリー アグネスの詩」から8年ぶりに監督した映画、しかも原作はあの村上春樹の短編「納屋を焼く」。世界注目の話題作品です。
     小説家をめざすジョンス(ユ⋅アイン)は、偶然 幼馴染みのヘミ(チョン⋅ジョンソ)と出会う。すっかり綺麗になったヘミから、アフリカ旅行の間の猫の世話を頼まれる。しかし帰国したヘミは、ベン(スティーブン⋅ユァン)という青年を連れていた。働こうともしない正体不明のベンを交え、男女3人の関係は微妙に動き始める。そんなある日、ヘミが姿を消す。彼女は一体何処へ⋅⋅⋅。嘘か現実か、深まっていく謎。待ち受ける衝撃のラストを、貴方は想像出来るだろうか。
     カンヌ映画祭で歴代最高の評価を受けた本作、関西最後の上映です。お見逃しのないように。

  • 『主戦場』

    制作:2018年 米国
    ドキュメンタリー
    監督:ミキ・デザキ
    出演:渡辺美奈、吉見義明、中野晃一、ユン·ミヒャン、櫻井よしこ、ケント·ギルバート、杉田水脈、パク·ユハ

     YouTuber の日系アメリカ人ミキ·デザキさんは、「慰安婦問題」にからむ執拗な脅迫にむしろ好奇心を持ち、ドキュメンタリー制作を決めました。
     慰安婦たちは性奴隷だったのか?
     強制連行は本当にあったのか?
     慰安婦証言は何故ブレるのか?
     日本政府の謝罪と法的責任とは?

     おびただしい量のニュース映像と記事を検証分析し、激しく対立する主張の数々を冷静に反証させて行きます。様々な角度から「慰安婦問題」を捉えた、スリリングなドキュメンタリーです。そこには日本と韓国だけでなくアメリカも複雑にからみ合う、世界の情況が鮮明に浮かび上がって来ます。
     映像作家ミキ・デザキ、渾身の長編デビュー。日本史の真実が、今証されます。

  • 『探偵なふたり:リターンズ』

    制作 2018年
    監督:イ⋅オンヒ
    出演:クォン⋅サンウ、ソン⋅ドンイル、イ⋅グァンス

     シャーロック⋅ホームズおたくで漫画喫茶店長のカン⋅テマン(クォン⋅サンウ)と、広域捜査隊の元ベテラン刑事ノ⋅テス(ソン⋅ドンイル)が韓国初の探偵事務所をオープンさせました。2015年ヒット作「探偵なふたり」の最強コンビが、元サイバー捜査隊のエースのヨチ(イ⋅グァンス)を加えて帰って来ました。
     未解決事件はお任せと自信満々でオープンした探偵事務所でしたが、現実は厳しく依頼人はなかなか現われません。生活費も事欠き密かに警察署にまで営業をかけていたある日、ついに依頼人が登場。しかも成功報酬は5千万ウォン(約5百万円)。飛びついて引き受けた事件でしたが、次々と容疑者が謎の事故死。事件は危険な様相に発展して行きます。残されたメッセージは「ドクサ」。真犯人は誰なのか?3人の推理合戦が始まります。

  • 『金子文子と朴烈(パク⋅ヨル)』

    制作:2017年
    監督:イ⋅ジュンイク
    出演:イ⋅ジェフン、チェ⋅ヒソ、キム⋅インウ、キム⋅ジュンハン、山野内扶、金守珍

     弁護士で社会運動家あの布施辰治の2004年授章に続き、昨秋日本人として2人目の大韓民国建国勲章の授章がありました。韓国の独立に貢献した人物に授与される「建国勲賞」、授与されたのは金子文子(1903‐1926)、この映画の主人公です。
     1923年関東大震災後の混乱の中、日本政府は、朝鮮人や社会主義者らを無差別に検束しました。「不逞社」を結成し、アナキスト(無政府主義者)を標榜していた朴烈と、その恋人の金子文子(後に獄中結婚)も、予防検束の口実で逮捕されました。囚われた2人は自らの信念に基づき、法廷で日本政府と闘う事を決意します。しかし皇太子結婚式への爆弾テロ計画を企てたとして、2人に「大逆罪」での死刑判決(後に無期懲役に減刑)。大正時代の「朴烈⋅金子文子事件」を検証し描いた本作が、いつしか「共謀罪」のある今に重なって行きます。
     いきいき輝く文子役のチェ⋅ヒソは、父の転勤で小学生時代を大阪で過ごしました。巧みな日本語はそのためです。韓国で235万人を動員し大鐘賞映画祭主演と新人女優賞をW授章したチェ⋅ヒソは、この映画で一躍スターになりました。
     「朴と共に死ねるなら、私は満足しよう」―本当の金子文子と会える映画です。

  • 『アイ(子ども)たちの学校』

    ドキュメンタリー
    制作:2018年
    監督:高賛侑

     寒い中でビラ配りやってるわけ⋅⋅⋅」社会派ネタで話題のウーマンラッシュアワー村本が、漫才の中で話した一言です。朝鮮学校が全国各地にある事はよく知られています。しかし朝鮮学校が何故創られたのか、そのリアルな姿もあまり知られていません。
     朝鮮学校の歴史と現状を記録した映画を作りたいと、ノンフィクション作家の高賛侑さんがクラウドファンディングを呼びかけました。この作品は、「4・24阪神教育闘争」から70周年を記念して、多くの協力と賛同を得て完成されたドキュメンタリー映画です。
     歴史修正者の集まり「安倍政権」によって官製ヘイトが続けられている異常な日本の中で、差別と闘っているアイ(子ども)たちは輝いていました。この世に差別されるべき人間は一人もいません。
     官製ヘイトを辞めさせるのは、アイ(子ども)たちではなく、私たち大人の責任です。

  • 『それだけが僕の世界』

    制作:2018年
    監督:チェ⋅ソンヒョン
    出演:イ・ビョンホン、
    パク⋅ジョンミン、ユン⋅ヨジョン、ハン⋅ジミン

     元東洋チャンピヨンだったボクサーのジョハ(イ⋅ビョンホン)は、今ではチラシ配りでその日を暮らしていた。ある夜偶然出会ったのは、中学生の頃出て行った母(ユン⋅ヨジョン)だった。抗いながらも連れて行かれたのは、母の住む家だった。そこには、存在も知らなかったサヴァン症候群の弟ジンテ(パク⋅ジョンミン)がいた。ピアノだけに興味を持つ弟に苛立ちながらも、貧しい親子3人の暮らしは始まった。
     母をまだ許せない兄と、母だけが頼りの弟。正反対に見える2人でも、母の愛を求める思いは同じだった。日々の暮らしに馴れて来たある日、弟をピアノコンクールに連れて行ってやっての言葉を残し、仕事のためと母は家を出ます。1ヵ月過ぎても帰らない母を待たず、ジョハも家を出る事に。1人残されたジンテは、ピアノコンクールは、そして母は⋅⋅⋅。
     「天命の城」のイ⋅ビョンホン、「東柱」のパク⋅ジョンミン、「バッカスレディ」のユン⋅ヨジョン、実力派3人の演技が見ものです。子から、親からの目線が絡み合うこの作品。
    あなたはどちら目線で涙を流すのでしょう。

  • 『共犯者たち』

    制作 2017年
    ドキュメンタリー
    監督 チェ·スンホ

     李明博⋅朴槿恵9年の保守政権による言論弾圧の実態をあばいたドキュメンタリー。2017年8月韓国で公開されるや大反響を呼び、翌9月韓国公営放送MBC、KBS2社の「政治は公営放送から手をひけ」の全面ストライキへと繋がりました。
     今から10年前、市庁前広場にロウソクを持った20万の人が集まりました。米国産牛肉輸入を再開した李明博政権への退陣要求デモです。当時米国産牛肉BSE問題などの報道で支持を失っていた李明博政権は、MBCとKBSをターゲットに執拗な介入を続けました。政権を忖度したMBCは、名物ジャーナリストのチェ⋅スンホさんを解雇しました。不当解雇された彼は、2012年同じく解雇された記者たちと「ニュース打破」を立ち上げ、この映画を作りました。
    2018年の日本、NHK大阪で森友問題に関するスクープを連発していた相澤冬樹記者が突如報道から外されました。政権忖度人事と声が上がりました。
     闘いの後、本作を監督されたチェ スンホさんはMBC社長に選任されました。闘い最中の元NHK記者相澤冬樹さんは、今は大阪日日新聞の記者として森友問題を追い続けています。
     記者が黙って国が壊れる。激動する韓国で、メディアを政治を変えた衝撃のドキュメンタリー。安倍政権による放送への政治介入が続いている日本。今私たちが見るべき映画です。

  • 『ファイティン!』

    制作 2018年
    監督 キム⋅ヨワン
    出演  マ⋅ドンソク
    クォン⋅ユル
    ハン·イェリ

     ヒット映画「新感染ファイナル·エクスプレス」のあのマッチョ俳優マ⋅ドンソクが、家族のため再びアームレスリングの試合に挑戦する主人公を演じています。
     幼い頃アメリカに養子に出されたマーク(マ⋅ドンソク)は、アームレスリング(腕相撲)のチャンピオンになるのが夢でした。ところが八百長の嫌疑をかけられ、選手資格を剥奪されていました。仕方なく用心棒として暮らしていたある日、スポーツエージェントと名乗るジンギ(クォン⋅ユル)が表れ、韓国の試合に出るように勧められます。韓国にいるはずの実母の事も知りたいと、悩んだあげくジンギの話に乗ります。韓国に帰ったマークは、母が住んでいたという家に行き、妹スジン(ハン·イェリ)とその子どもたちの存在を知ります。
     一方韓国でのスポンサー探しをしていたジンギは、チャンス社長から八百屋が条件の援助を突き付けられてしまいます。
     この映画は、50センチの上腕筋パワーのスポーツアクションのエンターティメントだけでなく、養子、シングルマザーなど格差社会で生きるマイノリティの心の再生を描いています。ラストのクライマックスの感動が口伝てで広まり、韓国では100万人の観客動員が記録されています。

  • 『1987、ある闘いの真実』2014年

    制作:2014年
    監督::チャン·ジェナン
    出演::キム·ユンソク
    ハ·ジョンウ、ユ⋅ヘジン、
    キム·テリ、パク⋅ヒスン、カン·ドンウォン

     日本がバブルに浮かれていた1987年、韓国で驚愕する事件が起こっていた。当時の全斗煥政権は、「タクシー運転手」でも描かれたように、反共の名の下で徹底的に民主化運動を弾圧していました。民主化運動に関連した逮捕が拡がる中、ソウル大生パク⋅ジョンチョル君が警察の取り調べ中に亡くなりました。
     この映画は、ソウルオリンピックを1年後に控えた1987年の1月に起きた「パク⋅ジョンチョル拷問致死事件」をモチーフに、拷問致死を隠蔽しようとする公安当局と真相を明かそうとする人々の歴史の流れを変えた「6月抗争」を描いています。1人の大学生の死が、多くの人の心に火をつけました。光州で市民に武器を向けた全斗煥政権は、日増しに高まる真相究明集会でも躊躇なく武器を使いました。武装警察の催涙弾を後頭部に受けた延世大生イ⋅ハニョル君の死が知れ渡ると、ソウルばかりでなく韓国の学生⋅労働者⋅市民が立ち上がりました⋅⋅⋅。
     権力を私物化した朴僅恵大統領を弾劾に追い込んだ、あのソウルの街を埋めつくした「キャンドル革命」のルーツが、ここにあります‼

  • 『7号室』

    制作:2017年
    監督:イ·ヨンスン出演:ディオ(EXO)、シン·ハギュン

     DVDボックス店を経営しているドゥシク(シン⋅ハギュン)は、アルバイト代も払えなくなり、店を売る決心をします。少しでも高く売るため、店は繁昌していると見せかけのサクラを雇ったのだが、店内の不慮の事故で亡くなってしまう。パニックに陥ったドゥシクは、慌てて店の7号室に遺体を隠くす。
     一方、バイト代が払われずに困っていたテジュン(ディオ)は、多額な報酬につられて、麻薬売人のブツを7号室に隠していた。ブツを取り出そうとするテジュンと、部屋に入れたく無いドゥシクの究極の心理戦が始まります。
     店主に「高地戦」のシン⋅ハギュン、バイト役に「あの日、兄貴が灯した光」のディオの演技対決が見物です。その扉が運命を握る。最後まで目が離せないシュチュエーションサスペンスです。

  • 『天命の城』

    2017年
    原作:金薫
    監督:ファン⋅
    ドンヒョク
    音楽:坂本龍一
    出演:イ⋅ビョンホン
    キム⋅ユンソク
    パク⋅ヘイル

    1636年、後金のホンタ
    1636年、後金のホンタイジは、皇帝に即位して国号を「清」に改めると、李氏朝鮮に臣従を迫った。   しかし16代国王·仁祖は、すぐには従わなかった。これに激怒したホンタイジは、10万の兵を率いて朝鮮に侵攻した。仁祖は1万3千の兵を伴い南漢山城まで逃げたが、敵軍に城を包囲され飢えと寒さの極限状態で、国の存亡をかけた決断に迫られた。民を生かすための和睦を勧める吏曹大臣チェ⋅ミョンギル(イ⋅ビョンホン)と、国の名誉を守るための交戦を主張する礼曹大臣キム⋅サムソン(キム⋅ユンソク)の対立は深まるばかり。
     ヒット作「怪しい彼女」のファン·ドンヒョク監督が、「丙子の役」最後の47日間の戦いを描いた歴史フィクションです。生きる道は心を捨てることなのか。

  • 『焼肉ドラゴン』

    制作:2018年年
    監督:鄭義信(チョン⋅ウィシン)
    出演:大泉洋、真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、キム⋅サンホ、イ⋅ジョンウン

     全州映画祭のオープニング作として韓国で初公開、3千人の観客から喝采を受けたという本作。日韓合同制作で話題になった、あの演劇「焼肉ドラゴン」の映画化です。1970年前後の大阪を生きた、在日コリアン家族を描いています。
     大阪万博に沸く、伊丹空港近くの在日コリアンが多く住む町。第二次世界大戦で左手を失った金龍吉(キム⋅サンホ)と妻の高英順(イ⋅ジョンウン)は、小さな焼肉屋「焼肉ドラゴン」を営み、静花⋅梨花⋅美花の三姉妹と末息子⋅時生との6人で暮らしていた。店は、静花(真木よう子)の幼馴染み⋅哲男(大泉洋)や常連客でいつも賑わっていた。高度成長期は逞しく生きていた在日コリアンだったが、時代が変わり各々の運命は狂い始める。
     舞台で鶴屋南北戯曲賞などを受賞した鄭義信さんが、映画でも監督を引き受けた。それだけに、舞台出身の大泉洋、韓国実力派キム⋅サンホなどキャステングが絶妙です。

  • 『マルクス⋅エンゲルス』

    制作:2018年
    フランス·ドイツ·ベルギー
    監督:ラウル·ペック
    出演:アウグスト·ディール、シュテファン·コナルスケ

     今から200年前の1818年5月5日、ドイツ⋅プロイセン王国で1人の男の子が生まれました。名はカール·マルクス。30年後、その子が世界の未来を大きく変える本を書くとは、誰も想像していませんでした。
     この映画は、若きカール⋅マルクスが生涯友として行動を共にするフリードリヒ⋅エンゲスと、永遠の名著「共産党宣言」を誕生させるまでの日々にスポットを当てて描いた歴史ドラマです。マルクスとエンゲルスは何を考え、何と闘い、何を成し遂げたのか?
     世界中に貧困と格差が拡がる今日、「マルクスとエンゲルスの思想は過去のものではなく、社会を良くするという思いが不滅である限り永遠である」社会派の名匠ラウル⋅ペック監督の熱い思いの詰まった感動の一本です。カール⋅マルクス生誕200周年記念映画です。

  • 『タクシー運転手~約束は海を越えて』

    制作:2017年
    監督:チャン⋅フン
    出演:ソン⋅ガンホ、トーマス⋅クレッチマン、ユ⋅ヘジン、 
    リュ⋅ジュンヨル

     韓国現代史上最大の悲劇「光州事件」を、実在したドイツ人記者とソウルのタクシー運転手の目を通して描いた社会派ロードムービーです。
     独裁的な維新体制を強いていた朴正煕大統領が、1979年10月側近により暗殺される。一時は民主化ムードが高まった韓国だが、全斗煥が軍の実権を握ると野党リーダーの金大中氏を逮捕、再び民主化運動を弾圧した。1980年5月18日光州で起こった、金大中氏逮捕に抗議する学生デモに、政府戒厳軍は武器を用いて弾圧した。戒厳軍の過剰な暴行を目の当たりにした光州市民は怒り、1人また1人と抵抗の輪の中に入って行く。
     東京駐在のドイツ人記者ピーター(トーマス·クレッチマン)は、光州で起こっている事を報道しなければと1人ソウルに向かう。「通行禁止時間までに光州に着いたら10万ウォン」に喜んだタクシー運転手マンソプ(ソン·ガンホ)は、言葉も通じないピーターを乗せ車を走らせます。そこに何が待っているのかも知らないままに···。
     本作の舞台から38年。今年2月韓国国会で「5・18特別法」が通過、5・18真相調査委員会の成立が決まった。全斗煥元大統領らの虐殺行為が、国際犯罪として再起訴される可能性が出て来ました。
     韓国の1200万人が笑って泣いた話題作が、4月21日(土)から全国各地でついに公開です。

  • 『泉南石綿村 vs. ニッポン国』

    制作 2017年
    上映時間215分
    ドキュメンタリー
    監督 原一男

     大阪泉南は戦前から石綿紡織工場が密集していました。戦前は軍需産業、戦後は基幹産業を下支えしてきた地域です。多くの労働者が必要なこの地域には、他ではなかなか雇ってくれない在日コリアンや離島からの集団就職者などが集まって来ました。過酷な仕事でも高度成長期には賑わいがありました。ただその仕事が、体の中にアスベストという時限爆弾を埋め込むとは誰も知らなかったのです。
     この映画は、原一男監督が8年余の時間をかけて「泉南アスベスト国家賠償訴訟」原告を一人一人密着したヒューマンドキュメントです。大阪ならではの笑いもいっぱい詰まっていて、215分の長さを感じさせません。
     2014年10月9日最高裁判決は、ついに国の責任を認めます。しかしその和解は1951~71年に就労していた工場労働者のみの賠償で、近隣住民の訴えは棄却されました。
     安部政権により国のかたちが変えられようとしている今、「普通の人々が国に向かって声をあげた」このドキュメントを一人でも多くの人に見て頂きたいと思うのです。

  • 『沈黙 立ち上がる慰安婦』

    制 作 2016年
    監 督 朴壽南
     韓国文在寅大統領は1月4日青瓦台に8人のハルモニを招き、「12月28日 韓日合意は真実と正義の原則に反するだけでなく、政府がハルモニたちのの意見を聞かずに一方的に推進した、内容と手順の全てが間違ったもの」として謝罪しました。
     この映画は、81歳になった朴壽南が同じ女性目線で元日本軍慰安婦たちに寄り添い、その闘いを記録したものです。半世紀の沈黙を破り、戦争犯罪を証言し出した元慰安婦たち。ただ名誉と尊厳の回復を望むハルモニたちの訴えは、胸に刺さります。
     2015年12月18日「当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している」とした日韓合意すぐの1月、安倍政権の文科副大臣桜田(当時)から「元慰安婦は公娼だ」との発言で、ハルモニたちを深く傷つけた事を思い出します。
     キネマ旬報2017年ベスト6位の話題作です。

  • 犬にまつわる映画

     ◇ファミリー向き

     戌年にまつわる出来事といえば、1946年世界に戦争の放棄を宣言した「日本国憲法」の公布、これ以上の事はないのですが···。
     さて犬にまつわる映画、今月号では韓国作品の中から選んでみました。

     『犬どろぼう完全計画』
    制作:2014年
    監督:キム⋅ソンホ
    出演:キム⋅ヘジャ、イ⋅レ、   チェ⋅ミンス
     アメリカ名作童話の実写コメディ。ある事情から車で暮らしていた少女ジソが、家を買うための資金にと、お金持ちの愛犬の誘拐を思いつく。

     『ボクとマウミの物語』
    制作:2011年
    監督:イ⋅ジョンチョル
    出演:ソン⋅ジュンギ、
       ソン⋅ドンイル
     父の形見の愛犬マウミ、その子犬たちと主人公ドンウクの心温まる絆を描いた作品です。2006「マウミ⋅⋅⋅」の続編。

     ◇社会派なら

     『豊山犬(プンサンケ)』
    制作:2012年
    脚本:キム⋅ギドク
    監督:チョン⋅ジェホン
    出演:ユン⋅ゲサン、
       キム⋅ギュリ
     38度線を越えて韓国と北朝鮮を往復する運び屋の男を描いたフィクションドラマ。いつも北朝鮮の煙草「豊山犬」を吸っている事から、男はプンサンケと呼ばれていた。

     『ムサン日記~白い犬』
    制作:2010年
    監督・出演: パク·ジョンボム
     北朝鮮を脱け出して来たスンチョルの心の拠り所は、白い捨て犬だけだった。ソウルに暮らす脱北青年の厳しい現実を、実話をもとに描いた問題作です。
     いずれもレンタルDVD でご覧になれます。