GO MAD!〜Fishing>Working?

某事務系派遣会社営業開発室室長のほんの週末のお話。
ちなみに彼は狂釣人。
Mad fisherです。


4.まず一匹目!

オイラにはこの風景に憧れた原体験がある。それは一本のビデオである。

その筋(マニア)では有名な「1991 バスマスターズクラシック」(釣り人社)である。
そこにはアメリカの本場のバストーナメントの姿があった。年に一回開かれる全米最大の大会。選ばれた者しか出場できない最高の舞台があった。
そこにこの年初日(3日間ある)からトップを独走したのが、ゼル・ローランドという名のバスプロであった。当時オイラはバスがあまり釣れず、バス釣りは釣れなくて普通、釣れればラッキーと思っていた。
そしてトーナメントとはとにかく釣るのが大事=セコイ釣り、と思っていた。だがこのビデオを見て衝撃を受けた。なんとゼル・ローランドはトップウォータープラグと呼ばれる水面に浮くルアー一本で勝負(正に!)していた。

当時オイラの中ではトップウォーターは一番難しく(食う瞬間が見えるので楽しいが・・)トーナメントではやらない釣りという認識があった。
しかーし!本当にゼルは釣ってくる。衝撃を受けた。「かっちょいい!」出るだけで名誉のクラシックでトップで勝負なんて・・。正直信じられなかった。結局バラシ(掛けたが途中ではずれる事)でゼルは負けたが、この年のクラシックは名勝負として語り継がれる事になった・・・。

オイラは単純なんでこの日よりゼルにはまった。リール・ルアー・竿・糸・船までレプリカントに費やしたのだ。難しいと思っていたトップも無理やり「ゼル・ローランドモデル」のトップウォーター専用の竿を購入し(現在も超現役!)ルアーもゼルのサイン入り(これも現役!)のポップRを購入し、ひたすら投げた。

すると徐々にコツがつかめてきた。それからは、オイラには無くてはならないルアーへと変わっていった・・・。といった歴史があった。しかし!やはり大会で使用した事は今まで無かったし、当然結果も無かった。

だが、この日使えるルアーが限定されていたので竿を用意していた。木浜に到着し、一投目はポップRを投げた。オイラの夏の日は朝はトップから始まるのだ。2〜3投すると水面が割れた!ノンキー(30cm以下)だった。しかし出方からまだ行ける!と確信したオイラはしばらくトップを続ける事にした。視界に斜めに立った黒い棒を発見。「まさかこんな教科書通りの場所に居るわけないやろ・・・」と独り言(オイラは多いのだ)を言いつつ、船を少し近づける。
キャスト(投げる)、ヒュ〜ポチャ。。。。
しばらく待つ。この時期やや着水後待った方がいい、気がした。波紋がプカプカと輪を2・3度描く。

すると「ガボッ!!」と魚がもんどりうって出た!「よし!」リールを夢中で巻く。いいサイズ!この時も何故かネットを用意していた。引き寄せてネットですくう。入った!大会でトップは初ではないか!

「ヒャッハッハーッ!!」この時はオイラはアメリカ人になる・・。GoMADだ。。。その後ネットに入れたまま写真を撮る。ルアーを見て欲しい。これが前述のサイン入りルアーだ!桟橋であの子に「こんなぼろぼろのルアーありえへん!」と言われたが、これは一番のお気に入りである。ゼルになった気分だった。

また一つ夢が現実になった。でそのままにしていると何かおかしいのに気づいた。ハリとルアーが離れているのだ!!ありゃ?よく見ると強烈な引きか劣化のためかスプリットリングと呼ばれるハリを着ける部品が伸びている。

危なかった−。でもこれでテンションは上がった。オイラは過去朝イチトップで釣るとその日必ずいい釣りをしていたのだ。この時8時30分。あと2匹!!


5.きたぜ、キッカー!

カツ・レツ・キッカでは無い。解る人は30代前後であろう。。。
関係ない。「キッカー」とは決め手になる魚の事。タイニークラスタという名前のちっちゃいワームで釣った。
トップをあきらめたオイラはしゃーなしでワームの付いた竿を握った。これを水深4〜5mの所へ投げるのだ。しばらくアタリも無く猛烈な睡魔に襲われた。
ZUZUZUZU。。。。。。。知らぬ間に時計が一周していた。
たぶん疲れていたんだろう。
気をとり直しワームを投げる。ポチャ・・・グン!と竿が曲がる。フォーリング(沈む途中)で食った!経験上フォーリンラブじゃない、フォーリングで食った魚はデカイ。無茶苦茶走る。アフター特有だ(マニア用語)。
で写真の様な水草に巻き込まれた。魚は人間から逃れようと障害物に逃げ込む。水草と糸がこすれる。「ギギギギ!」頼む!ライン(糸)よ、もってくれ!と祈る。
ここでふと糸の太さをやや太めにしていた事を思い出した。なんや、行ける行ける、とやや強引に草ごと引っこ抜く。ネットに入れる、「よし!」40overの見事なバスであった。この時10時過ぎ。あと1匹!


6.やっと揃った!

ここからが地獄であった。
最近というか何故か釣りは「見えた」と思う瞬間から地獄に落ちる事が多い。先程の一匹で魚は4〜5mの水深で中層に浮いている。そいつをフォーリングで攻めて行けば同サイズの魚を取れる、と確信し攻めるが全くアタリがない。
10時頃から約2時間その周辺を往復し攻めたが、小さいサイズがごくごくたまにくるだけ。そのまま木浜沖から名鉄(オイラのマリーナがあるとこ)沖まで下ってきた。

去年のこのあたりでいいサイズの魚を釣ったよな〜、とか思い出していると12時前に待望のバイト(アタリの英語Ver)!合わせるとキーパーの引き。結構引く。船の下へ潜り込もうと最後の抵抗をするが、じっくり耐えると観念して浮いてきた。よし!の声と共にネットですくう。よーっし!!の大声?と共に船の中に魚を入れる。MADな雄たけびである。

オイラは声がでかいかな?しかしすべてを忘れる瞬間である。推定2800g。この日の状況ならば結構いいとこ行くのでは?と既に表彰台でのコメントを考えたりしていた(ノー天気な・・)。

ここからこの釣りではこれが限界と悟り、名鉄シャロー(浅瀬)→下物(おろしも)沖いつもの浚渫跡と攻めに入るが、タイムアップ。結局リミット3匹ぎりぎりでウェイインとなった。。。


ウェイイン〜表彰

とりあえず会場まで戻ってきた。目測で2500〜2800g。この日の天候(ドピーカン)ならばいいとこ行くと思っていた。戻ってくる選手に聞いてみるとやはり釣れてない様子。ライバルのあの子が気がかりだ。天気に関係なく釣ってくるので。。。

この時の模様の写真は無い。いろいろルールに厳しいので今回一人で参戦のオイラは違反をおかさないように写真を撮る余裕も無かった。桟橋のとなりに着けた人に聞くとやはりいいとこ行きそう。

ライブウェルから一匹一匹取り出すと周りから歓声(小さいが。。)が起こる。「オーッ!」。みんなそうとう厳しかったようだ。

「どこで釣らはったんですか?」
オイラ「木浜」
「何で釣らはったんですか?」
オイラ「トップ」
「エーッ!」
(むふふふふ)
その人「おい、トップやて、ほんまかいな?(と周りの友人へ)」。

快感だ。。恍惚だ。。MADな瞬間だ。。。やはり解ってる同類のアホどもに自慢するのはサイコーだ。
その気持ちを必死で表に出さず「いやぁ、ええ感じで出ましたよ」とひたすら余裕を装う。やった。。。。で魚を袋に入れて桟橋を渡りウェイイン(もう解るよね?この言葉)へ向かう。途中今回の標的あの子(オーナカ君という)に会う。

オイラ「どやった?」
オーナカ君「全然ダメですわ。1kg位」
オイラ(勝った。。。)「2キロ半ば位やわ〜。お立ち行けるかな〜」
オーナカ君「やりますやん」
オイラ(あたりまえやんけ!)「いやいや、たまたまよ」

と20才そこそこの若者と大人の会話をかまし、ウェイインへ。オイラの番だ。魚を乗せる。2500位かな?・・・・「2200g!」オイラ(ウソーッ!?ナンデ−!?)「ハイ」と引き下がった。どうもオイラの目測は前回の三瀬谷ダム以来完全に狂ってしまってるようだ。魚が大きさの割りにやせていたのも影響したと思う。納得できなかったオイラは魚を再びライブウェルに入れマリーナでもう一度計る事にした。(がやっぱり2200gだった!)

後は結果を待つだけ。どきどきどきどききどきどきど。。。。結構待った。メシ食った。オーナカ君「どうでした?」オイラ「2200」オーナカ君「微妙ですね〜。ギリギリ5位ちゃいますか」オイラ「やっぱそーかな(頼む!5位であってくれ!)」とまたも大人の会話をたしなんだ。
5位と6位の差は非常に大きい。商品がもらえるのは5位までなのだ。過去レイクX氏はオイラの目の前で3〜4回6位になっている。最新の6位は5月の京都チャプターだが、5位と同ウェイトでゼッケン負けであった。同ウェイトなので二人で抗議に行ったが、ゼッケン差と言われ肩を落として帰った記憶がある。その分祈るような気持ちで待った。

F1の中島も4位が最高だった。対して鈴木アグリは3位。。この違いと思っていただければ解りやすいかと思う。「表彰式を行いますので集合してくださーい!」とアナウンスが聞こえた。みんな集まる。どっくん。。どっくん。。どっくん。。。。。。激しく心臓が高鳴る。まるで思春期の初恋のように・・・(アホか。。)発表は5位からだ。

「第5位、ゼッケン028208、オカダ ヨシヒロ選手!」よっしゃ!ぎりぎり残った!喜びをかみしめ、入賞盾と賞品をもらう。みんなが拍手してくれる。オーナカ君「すごいですやん!」オイラ「ありがとう、やっぱぎりぎりやったね(当たり前じゃ!)」とまたも軽く大人の会話を交わし、みんなの前に立った(上位5人にはインタビューがある)。

ちなみに賞品は、非常にありがたいライン(釣り糸)とルアー色々となぜか人力?携帯電話の充電器だった(なんじゃこりゃ?)。湖南チャプターの賞品は結構変なものが多い。表彰の後の抽選会でもオイラは電機カミソリをゲット。副題は「海外でも使える2電源切り替え受電式!」だった。なんじゃこりゃ?まあそんなこんなでインタビューも無事終え、やはりオイラがトップで釣った事がみんな一番の驚きだったようだ。

ちなみに優勝ウェイトは2550gくらいだった。相当厳しかったようだ。逆に十分勝つチャンスがあったと思う。もう500g上乗せできてれば・・・。とにかく自信が出た大会だった。帰ろうと桟橋を歩くとやはりみんなの視線を感じる。『アイツ5位のヤツだぜ』てな感じである。釣り人はねちっこいヤツラが多い(オイラもか?)だけに余計に快感である。オイラは意気揚々と桟橋を後にし、名鉄マリーナへ帰るべくアクセルを踏んだ。

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