雪踏み(道つけ)

 朝、雪踏みは日課だった。隣同士の境をお互い若干オーバーして踏みつける。私の少年時代は戦時中のこととて男手が足りず少年団で一斉に町内の道を全部踏んだ。学校に登校する前の仕事である。踏み俵といってちょうど米俵のようなものの中に藁靴を入れて履く、雪踏みは少年にとって結構な労働であった。今は市の除雪機で朝起きてみるともう道ができ上がっている。雪踏みをやっているところはもう見られないだろう。冬の自動車など誰も考えられない時代であった。