「ずーのえんば、どごだべなー」

新庄には「むがす」と称する民話が沢山ある。語り部はたいていそこの家のおばあさんだった。しかし誰でも語れるというものでもなかったようだ。そんな中で父方の祖父の妹のK婆さんはかなりの数を知ってるという話だった。私が聞いたのは2つほどだが内容は殆ど忘れてしまった。しかし、説得力のある独特の語り口だけは今でも記憶に残っている。一つは確か「ごへいか」という主人公の名前が出てくるもので、もう一つが「ずーのえんば、どごだべなー」という歌のように抑揚つけた掛け声が出てくる物語だった。後年、この「ずーのえんば・・・」が「笠地蔵」という物語だということを、民話の会の方から聞いた。小さい頃「むがす」は総じて怖いという印象をもっていたが、それだけK婆さんの語り口が真に迫っていたということだろうか。

その笠地蔵の話が数年前、北本町通りに再現されているのでスナップしてみた。なお、「ずーのえんば、どごだべなー」とは新庄弁で「爺さん(ずー)の居場所(えんば=家)は、何処だろうな?」というほどの意味である。

前置きはこれぐらいにして、いざ物語の世界へ!

ストーリーの順序

「むがすとんとあったけど〜」で、話は始まる。「昔、あったとさ」の意。

とんと、は強めの意味だろうか、記憶にないなー。

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