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ロジックIC用 +5V安定化電源パッケージ
< For Logic use +5V Power Supply Package >

ロジック-ICで遊んでみたくてなり、電源を自作することにしました。ロジック-ICを駆動するために必須なのが+5Vの安定化電源です。この種の電源は市販品を購入するのが最も簡単で確実ですが、そこはアマチュア魂を発揮して自作することにしました。

回路図をみてください。+12Vを入力とし、3端子レギュレータ(3052V)を使用した出力+5V・2Aのコンパクトな回路です。どうせ作るのなら少しオリジナリティを出したいということで、電源スイッチ(POW)のほかに、+5V出力を3系統に分け、おのおのに独立したスイッチ(Vcc1〜Vcc3)をつけました。これでもなにか寂しい感じがしたのでLEDを数個を利用して、どの出力端子に+5Vが供給されているのかを表示(STOP・START・Vcc1〜Vcc3)させることにしました。一般的にLEDのドライブはトランジスタを使用しますが、この電源回路では、一部にSN74LS04(Hex Inverters)およびSN74LS20(Dual 4 Input NAND)を使用し、直接LEDをドライブしています。74LS系ICの規格表を調べてみるとICの出力側がローレベルのとき流れ込む電流の最大値は8mAです。カットアンドトライで電流制限抵抗を割り出したところ330Ωで6.4mAにおさまることがわかりました。これでICの出力側がローレベルになると、LEDは立派に点灯します。触指によるICの温度上昇もほとんどありませんでした。+5Vに直接接続したLEDも照度をあわせるため、電流制限抵抗は330Ωにしてあります。3端子レギュレータ(3052V)の最大出力電流は2Aですが安全のためヒューズは1Aを挿入しています。3052Vにはヒートシンクを必ず装着し放熱します。写真のユニバーサル基板はプラグイン用のプリント端子がでていますが、これは使用していません。たまたまガラクタ箱でみつけたユニバーサル基板がプラグイン仕様のもので、さらに半分に切断して使用したため、このような容姿になってしまいました。


さて、この回路のスイッチ操作とLEDと3系統に分けた+5V出力の関係はどのようになるのでしょうか。表にまとめてみましたので、回路の論理動作は考えてみてください。LEDのSTOPとSTARTは、ICでドライブしています。SN74LS04は入力が"1"のとき出力は"0"、"0"のときは"1"になります。SN74LS20は全ての入力が1"のときのみ出力は"0"で、それ以外は"1"になります。また、ICに接続されたLEDは、ICの出力が"0"のとき点灯します。LEDのVcc1〜Vcc3はスイッチの接点で直接LEDを点灯させています。簡単なのですぐわかると思います。


○ = ON   × = OFF
スイッチ操作 LED +5V出力
POW Vcc1 Vcc2 Vcc3 STOP START Vcc1 Vcc2 Vcc3 Vcc1 Vcc2 Vcc3
× × × × × × × × × ×
× × × × × × ×
× × × × × × ×
× × × ×
× × × × × × ×
× × × ×
× × × ×
×
× ○×無関係 × × × × × × × ×


  動作概要は以下のとおりです。

@POWスイッチのみをONにするとSTOPのみが点灯しますが、+5V出力はいずれの出力端子にも供給されません。
A
POWスイッチをONにした状態で、任意のVcc1〜Vcc3スイッチをONにするとSTOPが消え、STARTが点灯します。同時に、対応したVcc1〜Vcc3のLEDが点灯し、さらに対応したVcc1〜Vcc3出力端子に+5Vが供給されます。
B
POWスイッチをOFFにすると、全てのLEDが消え、全ての+5V出力端子の電源供給が停止します。

表まで作ってゴチャゴチャ講釈しましたが、なんのことはない。ただこれだけのことです。(^^;
まあ、お遊びでこんな回路を考えて作ってみましたが、便利なこともあります。ロジック-ICで2枚の基板に分けてなにかの回路を製作することがあります。その際、基板ごとに独立して電源をON/OFFできることです。(たとえば片方の基板の電源をOFFにした状態で、もう一方の基板の動作確認をするとか・・・。) さらに回路図をみてお分かりのように、ひとつの+5V出力端子に2個の電源接続用コネクタを装備してあります。前述の基板の動作確認をした後、最終的に両基板の電源線を同一出力の2個のコネクタに接続替えするだけで、2枚の基板の電源を1個のスイッチでON/OFFができるようになります。

下図は本電源基板に使用したICの結線図です。ロジック-ICのピン番号の付与方法は統一されていて、通常、自分の前に名称が読める向きに置いて手前側左端のピンが1番ピンです。そこから反時計まわりに連番で番号が付与されています。また、汚れや経年劣化などにより名称が見えにくくなっていた場合は、ICに、切かきや長円段落し、丸穴などのマークがつけられていますので、このマークを左にしておくと、前述した見方でピン番号を特定することができます。


昔むかしのアマチュア無線家は、なんでも自作して楽しんでいました。というより自作しなければアマチュア無線の設備構築ができなかったのです。時代は変わり、今ではあらゆる製品が市販されており、自作などしなくてもほとんどのものは購入で間に合ってしまします。また自作するよりも完成品の購入の方がはるかに安くなることもあります。しかし便利になった反面、自作した装置が動作したときの感動を味わうことは失われました。アマチュア無線を始めてはみたものの、短期間でQRTしてしまう人が多いのも、この辺に原因があるのかもしれません。筆者は、この電源をパソコンのプリンタポートを入出力とする汎用パラレルインターフェースアダプタやCOMポートを入出力とするシリアルインターフェースアダプタに利用しています。なにかを製作するとき、うまくいかなくてイライラすることもありますが、完成時の感動を味わいたくて、老眼鏡をかけ、半田ごてを握っている今日この頃です。

◎ このコーナーで公開した自作品は、筆者の単なる個人的な趣味で製作したものです。
本機製作により発生したいかなる不具合もしくは損害について、筆者が責任を負うものではありません。