Suzulan > しろうと無線 > ハンドメイド >

RF コモンモード電流検出計
< RF Common Mode Current Probe >


おそらくアマチュア無線を趣味としている人の99%は、テレビ、ラジオ、ステレオ、電話機などに電波混入障害を起こした経験をされているのではないでしょうか。極端なはなし、これによりせっかく始めたハムというすばらしい趣味を放棄する人もいると聞きます。電波混入障害の原因は、いちがいに「これだ!」といえるほど単純ではありませんが、その中に、コモンモード電流による回り込みが原因で障害を起こす場合があります。しかしながら、コモンモード電流があるのか否か、また電波混入対策後、コモンモード電流が減少あるいはカットされたかなどをチェッするには、なんらかの方法でコモンモード電流を検出し、さらに電流値の大小を判別することが必要になります。本RFコモンモード電流計はこのような必要が生じたとき、非常に役にたちます。このRF電流検出計は1999年QST誌2月号に掲載されたN5SV ( Steve L.Soarks氏 ) の記事をもとに、ある雑誌が製作記事として掲載していました。JA8JCR松田OMから紹介され、わたし流に一部改良を加え作成したものです。部品点数も少なく、いたってコンパクトな回路になっていますので誰でも作成可能です。ぜひ1台あなたのシャックに揃えてみてはいかがでしょうか。さて、改良した点はメータの感度調整がポテンシャルボリュームだったものを、6接点のロータリースイッチにより固定抵抗をステップ単位で切り替えて感度調整をするようにしたことです。測定データを比較するとき、電波障害対策前の測定と同一のロータリースイッチポジションで測定することにより、正確な比較を行うことができます。測定器前面のロータリスイッチのポジション表示はパソコンで作成、紙印刷し透明アクリル板で挟むようにケースへネジ留めしています。

写真左:完成したRF電流検出計、:内部配線の様子。

測定は検出器上部に取り付けた2分割するフェライトコアを開き、同軸ケーブルや電源線などの被測定ラインをこのコアにはさみこみ、搬送波(キャリヤー)を送信します。コモンモード電流が検出されるとメータが振れますのでロタリースイッチで感度調整をします。このメータの振れが少しでも小さくなるように(願わくば"0"になるように)、電波障害対策を施します。

2002.03.31  TNX N5SV , JA8JCR

回路図

部品表

記号 概算価格 品名・仕様等
D1〜D4  30円X4=120円  1N60ゲルマニュームダイオード(シリコン不可)
R1〜R5  20円X5=100円  22Ω(なるべく高精度のもの。)
M  2,000円X1=2,000円   100μA(FUJI−FA38)
C  30円X1=30円  0.1μF  セラミックコンデンサ(積層でも可)
L  450円X1=450円  フェライトコア(2分割開閉できるもの。被測定ラインが通る口径のもの。
RT  360円X1=360円  2回路6接点ロータリSW(アルプス M26) 1回路6接点でもOK
N  200円X1=200円  RT切替ツマミ(適当な大きさのもの)
CASE  480円X1=480円  アルミなど金属製(シールドのため。)
透明アクリル板  580円X1=580円  前面スケール、裏面換算表の挟み込み用
合 計 4,320円  



もっと簡単に作りたい人は・・・


紹介したコモンモード電流計は、部品ひとつひとつを揃えて作成します。回路はいたって簡単ですが、作ってみると以外に面倒です。特にケースの加工が結構大変です。そこで、もっと簡単に作りたいという人には、市販キットの利用をお勧めします。写真は(有限会社)大進無線で販売されているもの(写真左)で、大型のセンタクバサミを利用し、ハサミ部に2分割フェライトコアが装着されたものです。電流検出回路はセンタクバサミの握り部内側に組み込みこまれ(写真中)、ミノムシクリップのついた測定リードを外部に出します。キットの内容はここまでで、実際の電流値は手持ちのデジタルマルチメータなどに接続して(写真右)読み取ります。写真は本格的なデジタルマルチメーターを使用してしますが、安価なデジタルテスターなどで十分です。大型のフェライトコアを使用していますので、10Dクラスの同軸ケーブルでも使用可能です。測定電流の正確な絶対値が読めるのもFBです。検出部(センタクバサミ部)と表示部(デジタルマルチメーター部)が分離されるため、使い勝手も大変FBです。 (2005年2月)
 * キット製作:JA8JCR(松田OM) TNX
内部にフェライトコアが見える 握り部に組込まれた検出回路 デジタルマルチメーターと接続

◎ このコーナーで公開した自作品は、筆者の単なる個人的な趣味で製作したものです。
本機製作により発生したいかなる不具合もしくは損害について、筆者が責任を負うものではありません。