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電界強度計
< Field Intensity Meter >


2004年2月20日、東京出張の帰り、飛行機の時間まで少しの暇ができたので、秋葉原へ寄ってみました。CQ誌などでも知られている秋月電子へいこうと、途中の電器屋さんで道を確かめたところ、すぐ裏手の小路だといいます。適当に歩いてきたのに、ラッキーでした。秋月電子は組み立てキットなどの販売で、根強いファンが多いと聞きます。さて、私が求めたのは、あらかじめインターネットで確認しておいた、電界強度計の組み立てキットです。店内は商品が所狭しと並べられているうえ、たくさんの客で品定めもままなりません。しかたがないので店員さんに、電界強度計の陳列場所を聞き、なんとか手にいれることができました。

写真は、完成した電界強度計です。実はキットの内容だけでは、このようには、組みあがりません。ケースやスィッチは部品内容に含まれていないからです。その分、作成する側からすると自由なスタイルで組み立てることができます。好みのケースの使用や部品配置ができるからです。写真のケース、スィッチ2個、LEDは、自前調達です。アナログメータのスケールは100μAの電流表示になっていますが、キットに紙印刷された校正済のdBμV表示のメータースケールがありますので、これを切り取り、両面テープなどでメータ面に貼り付け使用します。(写真はまだ貼り付けていない状態です。)

マニュアルにあるキットの概要は、機械式アナログメーター、7段ロッドアンテナ(10cm〜80cm)、シールドケース付、HI・LOレンジ選択(切替)可、電源:DC9V10mA(006P9V電池)というものです。性能は、測定帯域:10MHz標準(1MHz〜300MHz)、感知限界:Min100KHz・Max1GHz、感知強度:30dBμV(-77dBm)〜125dBμV(+18dBm)です。はたしてこの性能どおりなら、けっこう使える測定器といえますが、フィルタは装備されていませんので、使用する際は一考を要しそうです。


写真左はキットの内容です。組み立てにあたってアルミケースを別に調達したため、付属のシールドケースは、使用しませんでした。しかしできれば、シールドケースは使用したほうがベターだと思います。この場合、調達するアルミケースは若干大型のものが必要です。写真右は回路部品を基板に組み込んだ様子です。IC部分はソケットのみの装着で、ICそのものはまだ挿入されていません。配線や電源電圧などをチェックしたあと挿入します。基板は裏側で回路パターンができていますので、指定された場所に部品を装着し、半田付けするのみです。注意点として、部品の装着位置を間違わないことと、半田付けの際、ブリッジ(絶縁されている隣の部分と半田塊で接続され、導通状態となること。)にならないように、慎重に作業をします。また基板とアンテナ端子を接続する導線は、できる限り短くします。ここが長いと周波数特性に影響がでます。アナログメータをケース下部に取り付けたのはこのためです。

写真左は、別購入のアルミケースを穴あけ加工し、アナログメータ、スィッチ2個、LED、アンテナ端子を取り付けた様子です。その隣は組み立てが完成している基板です。基板はアナログメータの端子ネジを利用し固定することにしたため、下部に端子幅にあわせた穴があけられています。写真右は基板を取り付け、すべての配線が終り完成した様子です。006P乾電池は基板とアルミケースの隙間部分に入れてあります。配線は、後から故障などにならないよう、タイラップなどでしっかり束ね、固定します。(写真はまだタイラップ固定はされていません。)

操作部分の拡大写真です。黒のスィッチは電源ON/OFFスィッチで、電源をONにすると、中央のLEDが点灯します。LEDは電池消耗のチェックにもなります。白のスィッチは感度調整のHI・LOレンジ選択(切替)用です。HIは低感度、LOは高感度になります。スィッチはノンロックのものを使用しましたが、もちろんロック式のスィッチでもかまいません。

使用半導体は対数増幅器(AD8307)とオペアンプ(CA3140)および5Vレギュレータ(S81350)の3個のみで、あとはCRなどの回路定数です。いたってシンプルなので、部品調達ができれば、すべて自作可能だと思われますが、調達の手間や校正のことを考慮すると、セット価格3,800円で一括入手したほうが確実です。説明書にも記述してありますが、特別な校正はありません。しかしながら校正するための器材をお持ちの方は、個別校正をしたほうがベターなのは、いうまでもありません。本電界強度計は、簡易なアンテナ性能試験や雑音レベルの測定に重宝しそうです。      2004.03.10


Made by JA6CDC

2008年4月、JA6CDCさんが製作した電界強度計の写真をいただきましたのでご紹介します。秋月電子のキット部品を使用しているのは筆者と同じですが、決定的に異なるのは回路部分に厳重なシールドを施している点です。ケースを含め2重のシールドとなっていてFBですね。筆者製作のものは手抜き工作でシールドBOXは取り付けられていません。メータパネルも電流値表示からdb値表示にキチンと変更されていて立派な計測器の趣になっています。これから製作される方は、こちらを参考に工作されると、よりFBな計測器ができると思います。

  2008.05.02  TNX JA6CDC

回路図

部品表

記号 品名・仕様等 概算価格
IC1  AD8307(DC-500MHz,92Db Logarithmic Amplifier) 秋月電子
 電界強度計キット 
3,800円
IC2  CA3140 (OP-AMP)
IC3  S81350 (低ドロップ5Vレギュレータ) 
R1/R2  1/4W 10Ω
R3  1/4W 51Ω
R4  1/4W 5.6kΩ
R5  1/4W 11kΩ
C1/C2  0.01μF セラミック
 C3〜C6   0.1μF セラミック
C7  10〜100μF 電解コンデンサ
   基板
   アンテナ
   変換コネクタ
M  メーター
   006Pスナップ
   ICソケット×2
   アルミケース 自前調達
約800円
S1/S2  スナップスイッチ×2
LED  発光ダイオード
R6  1/4W 1kΩ
   線材少々
   合  計 約4,600円

◎ このコーナーで公開した自作品は、筆者の単なる個人的な趣味で製作したものです。
本機製作により発生したいかなる不具合もしくは損害について、筆者が責任を負うものではありません。