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モービル
 
2009年6月、車種入れ替えのため、現在モービル運用は行っていません。参考のため当分の間、このまま掲載しておくことにしました。
 

とかくアマチュア無線は「家の中でなにやらゴソゴソやってるネクラの趣味」的イメージがつきまといます。真空管時代はリグを野外に持ち出し運用することは困難でした。しかし、昨今の技術革新は、この世界でも例外ではなく、超小型のトランシーバーが容易に手に入り、モービル用のアンテナもHFからV/U/SHFまで数多く市販されていて、手に入らないものはありません。私はHFモービルを以前から運用してみたいと思っていたので2000年10月、車を入れ替えたのを機に、HF機をセッティングしました。「ネクラの趣味」から開放され、大自然の中に飛び出して交信を楽しんでいます。

FT-100D IC-706MKUG
さて、最初に悩んだのがどんなトランシーバを購入するかでした。まず、HFが運用できること、小型であること、操作部がセパレーションできること、50W出力があることなどを勘案した結果、次の2機種に絞られました。 
 (1)YAESU FT-100D
 (2)ICOM IC-706MKUG
この2機種はスペックも価格もほぼ同等で、HF+50MHz+V/Uのオールモード機です。結局、CWナローフィルタが標準装備で、アンテナの自動チューニング機能を持ったFT-100Dにしました。

FT-100Dは本体と操作部がセパレートできるのでFBです。操作部は薄型軽量で、どこにでも取付けられ場所を選びません。私は運転席側ダッシュボード上に設置しました。液晶表示も視認しやすく、ぴったりの場所です。操作も姿勢を変えず手を伸ばすだけでできます。取付けカバーを両面テープでしっかり固定し、操作部をカチャっとセットするだけです。操作部とトランシーバ本体は専用のケーブルで接続します。本体は車のトランクに設置しましたが、マイクラインとスピーカーラインは別線で接続しなければなりません。このため、操作部(運転席)と本体には次の3本のケーブルが接続されます。
 (1)本体をコントロールするためのケーブル。
 (2)マイクを接続するためのケーブル。
 (3)スピーカーを接続するためのケーブル。
このほかに、ボンネット内にあるバッテリーから本体に接続する電源線が必要です。よく雑誌などに各種トランシーバーのセッティング記事が掲載され「取り付けは簡単!!」などというのを拝見しますが、あれはよほど手慣れた人の話で、実際にケーブル類の引き回しをやってみるとその困難さがわかります。たとえば車種にもよりますが電源線をボンネットルームから車内に引き込むだけでも大変なのです。

本体と操作部をセパレーション設置する場合、外部スピーカーは必須です。本体にスピーカーは付いていますが、トランク設置で聞こえないからです。なるべく口径の大きいものが音もよく聞きやすいようです。使用したのはCOMET GSP-80でNOISE FILTERとMUTE SWが付いたものです。

トランシーバーの本体部は車のトランクにあるポケットに放り込みました。放り込むといっても、ポケット底にはスポンジクッションを敷き、本体には衝撃保護シート(指で押すとプチッとはじけるアレ)を巻いて養生し、振動には十分な対策をとってあります。このような設置で注意しなければならないのは、冷却空気循環路の確保です。空気の取り入れ口と、排気口(ファンモータ部)は必ずあけてあけておかなければなりません。冷却風の循環が悪いとファイナル部が温度上昇により破壊につながるからです。写真では確認できませんが、衝撃保護シートは上下2段に巻いてあり中央付近の空気取り入れ口を塞がないように工夫しています。

電源はカーバッテリーから直接トランク内のトランシーバーまで引き込みました。一工夫したのは、イグニッションキーをOFFにするとトランシーバーへの電源供給もOFFになるようにリレーコードキット(PA-792定格電流20A)を挿入したことです。カー用品店で入手しました。以前、V/Uモービルをやっていたころ、電源OFFを忘れ、何度もバッテリーをあげてしまったことがありましたが、以降このようなことはなくなりました。電源線は電流容量に十分な注意が必要です。トランシーバーの消費電流値を確かめ、それ以上の電流容量を持った線材を使用します。FT-100Dの場合出力50Wで約15Aの消費電流なので線材は20Aのものを使用しています。電源線の接続は特にしっかり行います。圧着端子を電源線先端に圧着してバッテリーの+端子にはめ込み、しっかり締め付けます。接触不良を起こすとトランシーバーのみならず、セルモーターが回らないなど車自体の故障の原因になります。

FT-100DはHF+50MHzと144MHz/430MHzの2つのアンテナ出力端子を持っています。接続は使用するアンテナの数や仕様によってさまざまな方法があります。私はFT-100Dのアンテナ自動チューニング機能に対応したYAESU ATAS-100専用アンテナとV/U、2バンドのホイップアンテナを使用しています。実はATAS-100は7MHz〜430MHzまで1本のみでカバーできる性能を持っています。しかし、写真でもわかるように非常に太く、まがりなりにもカッコイ〜ような風貌ではありません。また本体の2つのアンテナ端子をまとめる、デュープレクサが必要になってきます。ATAS-100は高価で盗難の恐れもあります。そこで通常はV/Uのみの運用とし、ATAS-100は、はずしておくことにしました。HFは週末などのみATAS-100を取り付け運用しています。このアンテナはトランシーバーのTUNボタンを押すだけで伸び縮みし、自動チューニングしてくれますので、バンドによってアンテナの交換や、手動の調整がいらず、重宝してます。(私のような、ずぼら人間にはぴったりです。HI)

ATAS-100アンテナは結構太く(モータが入ってる)、重量も980gあります。また、ラジアルアンテナなので、アースもしっかりとらなければなりません。このためアンテナ基台の選択は重要です。なるべく大型のもので、背丈の低いものが必要です。アースを良好にとるため六角レンチナットは4点以上のものがFBです。使用したのは、これらの条件を備えたDIAMOND K600M基台です。ATAS-100と組み合わせ、一発で各バンドのSWRは1.5以内におさまりました。

最後に秘密兵器を紹介します。(秘密ってほどでもないですが・・・・。)V/Uホイップアンテナに取り付けて使用している、アンテナを倒したり起こしたりを車内のスイッチ一つで自由にできるものです。Maldolから販売されています。(他のメーカ品もあります。)車庫入れ前、アンテナを車内にいながらスイッチで一つで倒せます。これも、ずぼら人間にはぴったりの装置です。ただ、注意しなければならないことがあります。車種がセダンの場合、アンテナを車に対して前(後)に倒すように設置すると、アンテナの先端が目の位置に近くなり、非常に危険です。(子供は目の位置そのものになる場合があり更に危険)このためアンテナが車に対して内側(写真参照)に倒すように設置しています。マニュアルにはこのことは書いていませんので、注意しましょう。

写真はHONDA Accord SiR のエンジンです。トランシーバーで消費される電力はすべてこのエンジンが発電します。モービルを始めたら無線機ばかり大事にしないで、車も愛情をこめて整備したいものですね。