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 ソフトウェア・ラジオの製作
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CQ ham radio 2006年12月号に付属されてきたプリント基板です。左が部品実装面、右が半田付面で、大きさは60mm四方、ガラスエポキシ製です。ガラスエポキシは性能上の優位性のほか製作上でも利点があります。すこぶる原始的なことですが光源にかざすと透過するので、半田ブリッジになっていないかどうかが容易に確認できることです。筆者は部品を半田付けする度に、この確認を行っています。それにしてもこんな基板が付録についてくるのはありがたいことです。もしプリント基板も自作するとしたら、それだけで製作意欲をなくしてしまいそうだからです。(^^;


付属してくるのはプリント基板のみなので搭載する部品は自己調達です。CQ誌には使用部品の一覧表が掲載されています。容易に調達できるように、特殊な部品は使用しないよう配慮されていますが、筆者はセット頒布されていたもの(写真)を購入しました。点数も少なく、部品店に行って調達するのも楽しみの一つですが、一品でも欠けると取り寄せ調達となったり面倒なことも起こりえます。部品を揃える点での注意点は、この基板をシングルバンドで動作させるのか、マルチバンドで動作させるのかで異なってきます。当然シングルバンドの方が部品点数は少なくて済みます。またCW帯域を受信するのかSSB帯域を受信するのかで使用する発振子の周波数が異なります。筆者はマルチバンド・SSB受信仕様の部品(写真)を調達しました。発振子はクリスタルで、14.120MHzです。以降、マルチバンド・SSB帯域受信仕様のソフトウェア・ラジオの製作として記述しますが、シングルバンド帯域受信やCW受信について興味にある方は、CQ誌を参照してください。


プリント基板に部品を実装し裏面で半田付けします。ICは部品実装面に3個、半田付け面に1個(写真右)の計4個あります。実装面の74AC74・74HC4066・NJM2068D(DIPタイプ)の3個にはトラブル時に備えICソケットを使用しました。他のCRやジャックなど実装面への部品取り付けは比較的簡単です。難しいのは半田面に取り付けるICS512S(SOPタイプ)です。 直接プリント配線に半田付けしますが端子間が非常に狭いため位置決めが難しく、下手をすると隣の端子と半田ブリッジを起こしてしまいます。取り付け後はルーペなどを使用してブリッジになっていないか十分確認する必要があります。また、CQ誌に掲載されているクローズアップ写真は、ICの取り付け方向が180度逆になっており誤りですので要注意です。右の写真が正しく、ICモールド面のマルポッチが1番ピンマークです。間違わないよう正しい向きで取り付けます。(翌号CQ誌に訂正
記事が掲載されています。)



プリント基板を裸で動作させることも可能ですが、チョットカッコ悪いので、あるアイデアを思いつきましたた。以前使用していて今はガラクタ同然になっている携帯電話の充電器(写真左)を使えないかと考えたわけです。SDRのプリント基板回路には3端子レギュレータ(+5V)が実装されるようになっており、外部からレギュレータに対し、7V〜16V程度の電源を供給するように設計されています。たまたま携帯電話の充電器が、+5V(無負荷時電圧5.4V、600mA)の仕様であったので、これを利用することにしました。したがって筆者が製作したSDR基板では、3端子レギュレータは使用していません。また充電器はホルダー付きで使用していたのでこれを台座にし、基板を搭載することにしました。たまたまこの携帯電話は、ほぼ正方形の形状だったのでホルダーも正方形に近く、製作する基板の台座にピッタリです。ホルダーは+5Vとグランドの端子がバネ状の接触端子として出ています。電源はこのバネに赤白の電源線を直接半田付けし、プリント基板にコネクタで接続するようにしました。ついでに電源スイッチとLEDを使用したパイロットランプも付けました。アンテナ線はAVジャックをホルダーに取り付け、二心線でコネクタを介し基板に接続するようにしてあります。右の写真はこれらの部品を取り付け、配線が完了したものです。この台座に基板をスペーサーで浮かして固定し、電源線とアンテナ線をコネクタでドッキングします。こうしておくとトラブル時には容易に基板を台座からはずすし点検がが可能になります。充電器ホルダーとSDR基板間の結線を下図に示します。



これで一応SDRの製作はほぼ完了です。写真左は、携帯電話の充電器・加工したホルダー・SDR基板およびパソコンのサウンドカードと接続する両端に3Pステレオミニジャックが付いたコードです。筆者はこのほかアンテナを接続するケーブルを作成しました。(写真右) ケーブルは3D2V(3m)を使用し、一方にM型コネクタ、もう一方にAVプラグを取り付けてあります。このケーブルで実際に使用しているアマチュア無線のアンテナケーブルとSDR基板を接続します。役者は揃いまし
た。(^^;


写真左は完成したソフトウェア・ラジオです。ラジオというよりもアンテナとパソコン間に入れるインターフェースといった方が当たっているかもしれません。上方の赤いAVプラグはアンテナに、下方のミニプラグはパソコンのサウンドカードに接続されます。ミニプラグの下にある平たいプラグは+5Vの電源(携帯電話の充電器)のプラグです。写真右は受信実験をしているときのもので、パソコンのキーボードと比較してみるとかなり小さいものであることが分かります。・・・で・・・鳴った? CQ誌にも書いてありましたが、「過度の期待をされないで、気軽に実験してみるというスタンスで・・・。」・・・ということで過度の期待はせず動かしてみると・・答えはYES!見事にSSBで交信中の音声を捉えることに成功しました。v(^^; フィルタなどは一切省かれている回路のため混信には弱いものの、反面帯域が広いためか音質の良さにびっくり。こんな簡単な回路でSSBが受信できてしまうんですね。感動ものでした。




◎ このコーナーで公開した自作品は、筆者の単なる個人的な趣味で製作したものです。
本機製作により発生したいかなる不具合もしくは損害について、筆者が責任を負うものではありません。


◎参考文献:CQ ham radio 2006年12月号 簡易版ソフトウェア・ラジオの実験(CQ出版社)