ねっとCafe/nc:小説工房談話室


タイトル  :著作権について 「4行小説」 「発言活用」 「4章小説」
発言者   :和香
発言日付  :1998-08-05 05:39
発言番号  :172 ( 最大発言番号 :273 )

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 なのはなさんが、『宿題』の結の章に奮闘されている間に、著作権のことについて考えてみました。
 以下は、私案あるいは私見です。なるべく単純明解にと思いましたが、厳密に言えばいろいろとおかしいところがあるかもしれません。
 みなさんのご意見、ご感想、ご叱責、賜りたいと思います。
 (もちろん、今までROMだけだった方でもかまいませんので、お気軽に。・・・それに、早急にこの件を固めなければならないという事情も特にありません。ずっと後でも思い付かれたことがありましたら、どうぞ)
和香
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著作権について

「4行小説」 「発言活用」 「4章小説」
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1) 4行小説

 通常の文芸作品の場合、一人の人が創るのですから、その人に著作権がある、ということで、とくに問題はないと思います。
 が、「4行小説」は、真性の場合、一人では創れません。つまり、誰か別の人から「お題」をいただいて、それを核にして、短いお話を創るのですから。
 ※ 自分でお題を考え、自分で答えても、それは「4行小説」ですが、「真性」ではないでしょう。

 ならば、真性「4行小説」は合作とみなすべきなのか。にしては、お題を出す人の負担があまりに軽過ぎはしないか。創造的活動をしているのは、99%、答える人の側なのに。
 ・・・などの、疑問があります。

 そこで、私は、「4行小説」の著作権に関しては、次のような扱いでいいのではなかろうか、と思いました。

◎ その「4行小説」の著作権は、100%、お題に答えた人にある。
◎ ただし、人の礼として、お題を出した人(出題者)については、その作品に付随するものとして、共に明記しなければならない。当フォーラム以外の場所で発表する場合は。(これを怠った場合は、文芸人としての資格を失う)
◎ さらには、出題者と回答者が出会わなければその「4行小説」は成立し得なかったのだから、出会いの場を設けてくださった方に礼を尽くすという意味で、成立した場所(初稿の発表された場所)、ここで言えば、CHANCE様主催パーソナルフォーラム「小説工房談話室」についても、明記しておかなければならない。

 「4行小説」については、以上です。

 現在、私のHP 『生きるってとっても伊勢物語』 の中の一部屋で、

 『4行小説 [贈答定型掌編小説]』 

 という連載をしております。
 ※ 当フォーラムの最初期の頃、私は初めて「4行小説」に出会い、そして実作を開始しました。そこから現在までのことを順次まとめていこう、という趣旨でした。ここにこのように紹介するのは、もっと量としても質としても恥ずかしくない程度になってからと思っていたのですが、進み具合が相当にのろいので、とりあえず、中間報告という形です。本日までのところ、平成10年2月27日 の発言No.52までやっと進んでいます。

 上に述べました私の思う著作権の解釈に従って、記しておりますので、参照していただけたら、と思います。




2) 発言活用

 さて、上掲の『4行小説 [贈答定型掌編小説]』においては、「4行小説」を転載するだけではなく、それに関連するみなさんの発言も、引用させていただいています。
 その「4行小説」がどのように成立したのかという経緯、または雰囲気を、なるべく当時の実際の場合に近づけて、この連載を新たに読まれる方にも味わっていただきたかったからです。

 今、簡単に、「発言も、引用させていただいて」と述べましたが、ここにも、著作権の問題があるのです。
 それが「引用」である限りは、その引用元の方の著作権は侵害していない、ということになります。慣習では(法律的にもそうでしょうが)、出典を明記さえすれば、事前であれ事後であれ著作権者の承諾を得る必要すらないのです。
 が、それが「引用」の範囲を超え、引用先の著作物の核心をなしたり、あるいは、量としても部分とは言い難いものとなったとしたら、著作権を侵していることになるはずです。たとえ出典を明記していても。
 ※ 出典を明記していない場合は、前者では「剽窃」、後者では「盗作」などと呼ばれるものと思います。

 例えば、先人の一万行の書物があったとします。
 この中から、十行を引用して、ある人が、別の一万行の書物を著したとします。もちろんその引用の出典は明記して。
 これはまあ、常識として、「引用」ということで疑問はないでしょう。

 ところが、このようなネット上のフォーラムの場合、みなさんそれぞれの発言は、ごくごく短いものです。
 この発言を引用として使わせていただく場合、部分として数行の場合でもそれはその発言自体の半分近いと言うこともあります。また、一テーマについて、見事に簡潔にまとめられている場合など、文章は分かち難く、これを引用する場合、全文転載が一番適切である、ということもあります。
 個々の発言にある、それぞれの方の著作権をこういう場合は、侵しているのでしょうか。侵してはいないのでしょうか。
 出所を明記はしましたが、それだけでは不足で、承諾を得る必要があったのでしょうか。
 ここが、どうも、すっきりとはしていません。

 ※ 「引用」の量という観点からだと、それが、引用元(原典)に占める割合が鍵なのか、引用先(自らの著作物)に占める割合が鍵なのか。ここもよくわからないのです。

 ※ 短編、詩、4行小説など、作品として昇華したものと、たとえ文字で書かれてはいても一般の発言とは、純度が違う、密度が違う。扱いに差があってもしょうがないのではないか。・・・こういう考え方もあるかもしれません。
 しかし、とてもこういう単純な割り切りでは済まないような、・・・普通のおしゃべり、思いつき、気軽なつぶやきのごとき体裁を取っていながら、「純度」「密度」あるいは「風格」や「品位」、「真情」「巧みさ」「温かさ」その他その他、作品といってもおかしくない、あるいは「作品」という体裁を取っているものよりも数段、貴重であり、素晴らしいという発言だってありそうです。いや、あるでしょう、数限りなく。
 これは、当フォーラムの場合だけでなく、ということにもなってきます。
 また、ある人の尺度で、「作品」だとか「文芸」だとかそうでないとか言っても、当の著作権者の考え方が違えば、当然、行き違いが生まれます。
 ここらへん、たいへんに、むずかしいか、と思いました。
 省みて考えると、どうも偏見持ちは、私あたりが一番かもしれません。

◎ 基本的に、フォーラムにおける発言にはすべて著作権がある。これは動かし難いでしょう。
◎ その質を云々して著作権の色合いを差別する権限は、基本的に、他人にはない。これが最も公平でしょうか。
◎ それを転用させていただく場合、「引用」とそうでないものの境界はどのあたりにあるのか。承諾を必要とするものと必要としないものの境界は。
 やはり、ここでしょうか。問題は。
◎ といって、フォーラム等での発言を活用させていただく場合、あらゆる場合に承諾を得なければならないとしたら、煩瑣が過ぎて、論評や研究がちぢこまってしまう。そういうおそれはないのか。
 承諾を得られないことを危惧して、なされるべき批判を矯めてしまう、といことはないのか。

 ・ ・ ・

 以上ですが、曖昧なところがある以上、私は大変な失礼をしていたかも知れません。


 この場をお借りして、事後にはなりましたが、上の連載で発言を活用させていただいた方々に、あらためてお願いしたいと思います。

 あのような形ですけれど、お借りいたしました。どうか、お許しください。

m(_ _)m
.

 具体的には、次の方々となります。ご確認ください。


 ※ 現在までで、全五章です。

〈 処 女 作 〉

山本_智之様 発言No.13

〈 カ オ リ 七 変 化 (1) 〉

山本_智之様 発言No.16
CHANCE様 発言No.20

〈 カ オ リ 七 変 化 (2) 〉

CHANCE様 発言No.26
小熊ライフ様 発言No.28
CHANCE様 発言No.29
CHANCE様 発言No.32
CHANCE様 発言No.35

〈 カ オ リ 七 変 化 (3) 〉

CHANCE様 発言No.35
tau様 発言No.36
山本_智之様 発言No.38
なのはな様 発言No.39
CHANCE様 発言No.37
山本_智之様 発言No.38
CHANCE様 発言No.40
tau様 発言No.42
なのはな様 発言No.49

〈 手 ま り 遊 戯 の 会 〉

なのはな様 発言No.49


 誤字その他技術的なことに限らず、引用として不適切と判断なされましたら、いつでもご連絡ください。著作権者のご意向を最大限、尊重いたします。




3) 4章小説

 「4章小説」は、ついこの間始まったばかりで、そして、まだ一作品も完成しておりません。
 私は言い出しっぺですが、予想はできても、まだ「4章小説」とはどういうものか本当には分かっていないでしょう、たぶん。
 ですから、「4行小説」の場合をふまえて、著作権について考えてはみましたが、かなり乱暴となったかもしれません。
 「4章小説」が、合作である、つまり、著作権を分かち持つ、という点は、ご異論はないと思います。

◎ その「4章小説」の著作権は、100%、お題に答えた側の人たちが分かち持つ。
◎ 著作権は、起の章を答えた人が、25%。承の章を答えた人が、25%。転の章を答えた人が、25%。結の章を答えた人が、25%。それぞれ分かち持つ。各章の量(文字数、行数)などは、関連させない。
◎ ただし、人の礼として、お題を出した人(出題者)については、その作品に付随するものとして、共に明記しなければならない。(「4行小説」の場合と同じ)
◎ さらには、参加者一同の出会いの場を設けてくださった方に礼を尽くすという意味で、成立した場所についても、明記しておかなければならない。(ここも、「4行小説」の場合と同じ)

 というところです。
 いかがでしょうか。

 繰り返しますが、ご意見など、お待ちしております。








 当フォーラムではありませんが、私は以前、

> 私は、音楽に限らず、文章、画像、その他、自分が創ったもの以外は著作権について考慮すべきだと思います。
> 他の人の作品を尊重して初めて、自分の作品を尊重してもらえる資格を得るのではないでしょうか。
> (作者が「どうぞご自由にお使いください」と宣言している場合であっても、それが自分の作品ではないこと、誰それ、どこそこからお借りしたものだということは明記すべきだと思います。法律とか権利云々以前に、人として、礼儀として)

ホームページ作成質問箱 #1418

 と、発言していました。
 我ながら立派なことを言っていると思いますが、有言実行、これができて初めて立派ですね。
 終わりなき約束、でしょう。


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