んちは〜
今朝、炬燵にたましい宿りました。
ぬくぬくしてよろしい。
ヒューズはすでに数十回交換、木組みをとめるネジはたぶんほぼ全部初期のものではなく、ささくれ禿げた電源コードは昨冬やっと新品と交換。削ったり色々こぼしたりその他で、世界に一つしかない木目模様となっている炬燵板の風情といったら・・
他に、大正時代から、祖母、母、私と引き継がれた座机などもあります。この座机の上には現在、PCミドルタワーと電話が載っています。引き出しの中には『論語』とかが入っています。
古いものは、ゴミとして捨ててしまうのは簡単です。けれど、私の所にある間は価値があるのだと思うと、いとしくなってしまうのです。
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昔話です。
あみん『待つわ』が流行った年か、翌年あたりのことです。
私の部署に、短大卒の新人女性がふたり入ってきました。甲乙つけがたい、たおやかな娘さんたちでした。孝子さんは、美しい字を書いて、肌がきめ細かくて、数理にも明るい人でした。晴子さんは、はきはきして元気ですけど、どこか気弱そうなところがたまらない「美少女」でした。
ふたりの新人歓迎会の時、話し合って練習までしていたのかもしれません、ふたりでその『待つわ』のデュエットをしたのです。実にうまかった。よかった。みずみずしい声とハーモニーに酔いました。
私は、役職もなく、彼女たちより四五歳年長なだけでしたけれど、すでに部署のヌシの如き顔をして相当に好き勝手をしていたようです。自分ではそんなつもりではありませんでしたが・・
今なら、パソコンに覚え込ませてしまえば済むことだと思うのですが、かなり面倒な決まりごとのある仕事で、そのこまごました所まで仕事の意味合いも含めて理解している人はあまりいませんでした。私は、部署の生き字引と思われていたようです。教え好きでもあったので、訊かれれば丁寧に答えたし原簿を調べて引っかかっているポイントまで発見してあげました。困っている人は、たとえ先輩でも助けずにはいられませんでした。
さて、二三ヶ月して、また何かの飲み会がありました。私は、年齢不相応に夜遊びもしていたので、そういう場でも、毎年てなずけてきた後輩女子社員たちと話したり飲んだりじゃれたり笑ったりしていました。次は誰が歌うかということになり、新人ふたりの『待つわ』をリクエストしました。
ふたりは、だろうとおもってましたよ、という感じでステージに上がり、マイクを握り、これまたさらに磨き込まれたのではという歌唱を披露してくれました。私は、手を叩いて喜びました。
そしてまた、何ヶ月かして、また何かの飲み会がありました。私は、いいものは何度でも味わいたい、賞賛したい、というたちでしたので、ふたりの『待つわ』をリクエストしました。
いつものようにふたりはにこやかに歌い始めました。が、途中で、晴ちゃんがちょっとつかえてしまいました。気丈な孝ちゃんが眼で励まして、いったんは立ち直ったのですが、しばらくするとまた詰まりました。音曲は先に進み、孝ちゃんも歌い継いでいましたが、晴ちゃんはもう涙声でした。聴衆もかけ声で励ましたのですが、ほどなく、晴ちゃんはしゃがみ込んでしまいました。ぽろぽろ涙を落としていました。
「美少女」とは書きましたが、二十歳過ぎの女性です。彼女を大勢の前で泣かせたのは、どうやら私らしいのでした。ふたりは歌が好きなんだろうな、と思い、歌うのが楽しくてしょうがないんだろうな、と思い、親切というのは言い過ぎでしょうが、ふたりのためにもと思って、リクエストしていたのです。
が、彼女たちにとってそれは、逆らえない人の「命令」に聞こえていたようです。最初はその場だけの趣向だったものが、いつか、責め苦に変わっていた、ということがあったようです。
こんな話をしたのは、当事者たちは楽しんでいるみたいだ、と、はやしたてているうちに、後戻りできないところへ追いつめているということもあるかもしれない、そんなことを思い出したからでした。
晴ちゃんは、数日後にはすっかり立ち直ったようでした。その後、晴ちゃんを特にかわいがったのは言うまでもありませんが、壊れやすい瀬戸物かもしれないと気を付けましたし、あの曲をリクエストすることももうありませんでした。
晴ちゃんは二年ほどいて、田舎に帰りました。
孝ちゃんは経理を仕切るようになり、その後、社内結婚して退職しました。
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花島賢一さん (Re:481)
> 林葉直子の文章はぽんぽん小気味よいテンポで書いていますが、慣れると
> これがきついです。
彼女の本は、読んだことありません。
女流棋士のころは、ファンでした。親父さんに創られた才能、というような裏事情があったとか聞いていますが、でもそれでも、将棋は捨てて欲しくありませんでした。あそこまで極めたのですから。自分で決めて、もう一度選び取って欲しかったなあ・・
才能は、そして容姿の美しさは、必ずしも幸せを呼び寄せるとは限らない、そんなことを考えさせてくれる人です。
> 好きな女優はシガニーウエィバー、この人エイリアンで怖い怪獣と一人で
> 戦うんです、かっこいい。凄い美人じゃないんですけど好きになってしまう。
一人で受難に遭うというタイプで私が好きなのは、ジェシカ・ハーパーです。『サスペリア』のヒロインとしか覚えていないのですが、印象強烈で、(この映画の中だけの妄想なのでしょうが)世の中にこんなきれいな人が生きているのか、とまで感嘆しました。
一番忘れられないのは、『道』のジェルソミーナかな。女優としては、ジュリエッタ・マシーナでしょうが、いずれにしても、名前の語感まで素敵です。
平松高太さん (Re:482)
> 「こうたろう」の方が恐縮してしまいます。
> ほんとはそれほど気にしてはいなかったんですよ。
なるほど。
自殺でもされたら、と考えすぎてしまいました。
↑ もちろん、冗談ですが(^^;)
高度な技を修得して、大向こうを唸らせるような応酬、期待しています。
> ご主人様が女の子達に手を出さないよう、
> 見張っていてください!
これはあまり期待しないでください。
爽やかで申し分ない青年に満足できないで、妙齢の女性たちが年配のおじさまになびいていってしまうのを、いくつも見てきましたので。
・・・な〜んてね。(^^)
ご主人様がはたして、「おじさま」なのか「じじ」なのか、よく分かりませんので、なんとも。
それよりも、不在の間に、平松さんを指名してしまって、みんなで「何してるのかしら」「遅いなあ」と、『わかっていながら噂話する』ってのも、面白そうかな。
(うそっすよ〜)
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ではまた。
あ〜、ぬくい。