奥田祐斎

 

1950年紀州熊野生まれ
「縄文人」の直系を組むような風貌にたがわず
鋭い感性の持ち主であります。
従来の染色技法にはあきたらず
数々の技法を独自に開発。
草木染においても長く謎とされていた
「黄櫨染」(こうろぜん)の再現に成功。
大胆かつユニーク、そして色香の漂う作品を
創り続けております。

夢黄櫨染(ゆめこうろぞめ)

  

上の2枚の写真は奥田祐斎の染めた黄櫨染のスカーフです。
同じ柄の「2枚の」スカーフではなく、「1枚」のスカーフを
蛍光灯で見た状態と白熱灯を当ててみた状態です。
写真ではちょっと分かりにくいですが、要するにその時の
光の具合で色が変化する染なのです!

分かりやすく
表示すると、
こんな色が
  こんな色に
変化します

本当です!!

こんな不思議な染が、日本には古く1200年以上前からあったのです。
ゆえに、この染(黄櫨染/こうろぜん)は、平安時代に「天皇の色」として定められ、
以来、民間には,「最高位の染」、「幻の染」、として封印されてきました。

「色が赤く変化するらしい」との事から、『太陽の染』とも言われたようですが、
その実態は、確かめる事もできず、その染色技法も、長く謎とされてきたのです。
 (現在でも、新しく天皇が即位される時は、この染の装束を身に纏います。)

平成2年、歴代天皇の装束を保管している京都の広隆寺を調査する機会に恵まれる。

手袋をして、マスクをかけ、薄暗い部屋の中、装束を調べる・・
・・と、何かのはずみで、持っていた懐中電灯が手から滑り落ち、
金茶色の装束を裏から照らした。

「!・・」 なんと、光の当たった部分だけ、鮮やかな赤色に!
光を消すと、また元の金茶色に戻る・・

これが「黄櫨染」か・・!
まるで、内に太陽を宿しているかのような不思議な染・・

「しかし、一体どうやって染めたのか?」

ここから挑戦が始まります。

「古来からある染」という事で、はっきりしているのは、「草木染」であるということ・・
文献(延喜式など)を調べても、大まかなことは記されていても、
肝心な所は、「口伝」だったらしく、ぼかされている・・  

実験・・失敗・・また実験・・・しかし分からない・・実験・・ ・・

生半可じゃない試行錯誤が続いたようです。
そのうち大学関係などの協力者も現れた。さらに実験がつづく・・

で、ある時、ついに謎が解け、できるようになった。
それは、たぶん「ふっ」とできるようになったんじゃないかと思われます。
(掘り続けたトンネルが貫通して光が差し込むように・・)

こうして出来上がった(再発見された)黄櫨染にさらに奥田祐斎独自のアレンジ
を加えて多色展開をしているのが「夢黄櫨染」です。

(祐斎工房入口と内部)


奥田祐斎の本

「夢を染める」と「しゃれ文字遊び」の2冊が出ています。
「夢を染める」は染のうんちくよもやま話、「しゃれ文字遊び」は
祐斎流のくずし絵文字の「集大成」?どちらもどこからでも読めて
ユーモアたっぷり。お色気もちょっとある楽しい本です。

 

 
(工房内縁側で、遊びがてら絵を描く祐斎先生)

 


(広幅の生地に染色中)

 

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