インパクトで勝負!変わるCM業界


インパクトといえば、15秒という短時間にひしめき合うCM(テレビコマーシャル)業界は熾烈です。

短時間で商品の全貌、または特徴を伝えるのは並大抵のことではありません。

特に今のようにインターネットが普及してない時代は、商品を具体的にアピールできる場は、CMくらいなもので、商品を宣伝したあとは、実際にお店に来てもらうしかありませんでした。

そのため、業者はいかに商品をアピールし、客に興味を持ってもらえるかということに躍起になっていました。

一度聞いても忘れることがあるだろうし、お店に来るまでは覚えていたのに、いざ買いに来た時に忘れてしまうということもあるので、まずは商品名だけでも覚えてもらおうと、業者はそれぞれ歌を作ったり、覚えやすいフレーズを作るなどして、様々な工夫を凝らしていました。

インターネットが普及した現在、そんなCM業界も大きく変化を遂げました。

一見なんの関係もないように思えるCMとインターネットですが、実は密接な繋がりがあることをご存知だったでしょうか?

インターネットほど自社をアピールする媒体として便利なものはありません。

そもそもCMの目的は、商品をアピールすることにあるわけで、なにも15秒に旨みを凝縮して、他社とCMの完成度を争っているわけではありません。

それぞれ手法は異なりますが、記憶に残ってもらうことが第一の目的なんです。

しかし、たったの15秒じゃ伝えたくても伝えられないことがたくさんあります。

確かにCMでも大まかな特徴はわかるのですが、人によっては「あれはどうなの?」とか「こんな機能はないの?」という疑問を持つ人もいるでしょう。

そんな時、 「時間さえあればもっと機能のことをアピールできるのに・・・」「他社より優れていることを知ってもらいたい!」などの思いはあったと思います。

人それぞれ、考え方も違えば、好みも違います。

たった15秒の内に全ての人のニーズに応えることは不可能だったのです。

そんな問題を解決してくれたのが、インターネットです。

最近では、物を買う前、実際にお店に行く前にインターネットで調べるというのが当たり前になってきています。

インターネットなら商品の詳細を知ることができ、ほぼ全ての人のニーズに応えることができると言っても過言ではありません。

そのため、現在ではインターネットを新たなビジネスの場と考え、ほとんどの会社がインターネットでの事業展開を進めています。

そして、最近のCM業界に見られる大きな変化ですが、多くのCMでその会社のホームページのアドレスが表示されるようになりました。

ホームページのアドレスのアピールの仕方にもいろいろあり、大々的にアピールするものもあれば、最後にちょこっとだけ映すものなど様々です。

最後にちょこっとだけ映すのは、あくまでCMそのものがメインで、あわよくばホームページも見てもらいたい、という狙いだと思います。あるいはホームページのアドレスが知りたいという人のニーズに応えたものかもしれません。

大々的にアピールするもので、最近特に目にすることが多くなったものに「続きはWEBで・・・」なんてものがあるのですが、これはまさに革命です。

本来、商品や自社をアピールするためにあるCMで、商品や自社をアピールしているホームページをアピールしているのですから。

内容もまるで商品とはかけ離れたものが多く、「続きはWEBで・・・」の元祖ともいえる、「ライフカード」のCMはほとんどの方がご存知かと思います。

こちらのCMは、まったく商品とかけ離れているとまではいえませんが、限りなく関係ないといえるでしょう。

では、なぜこのようなCMが作られたのでしょうか?

それは、宣伝している対象がホームページだからです。

まったく関係ないと思われるドラマ仕立てのCM。ドラマといえばみなさん経験があると思いますが、大体その日の最後は気になるところで終わるものです。

それは、「次はどうなるの?」「早く次が見たい!」という効果を狙っていて、言うなれば意図的に気になるところで終わらせているともいえます。

当然、次が気になった場合、本来であれば1週間待つか、あるいは「アイフル」のCMのように、いつ次が放送されるかわからないものまで、とにかく待たなければいけませんでした。

そんな時、「続きがWEBで見られるなら」と続きが気になった人が、思惑通りWEBを見るということです。

このように、CMは対象ごとに、対象にあったCMを作ります。
(お菓子なら、見ている人に「おいしそぉ〜」と思われるCM、電気製品などは、いかに自社製品が他社よりすぐれているかを、アピールしたCMといった具合)

まったく関係ないと思われるものも、そこには人間心理を巧妙に突いた業者の狙いがあり、インパクトを与えるという意味で、CMは全て一貫しているといえます。


ここからもう少し、CMにおけるインターネット戦略について追求していきたいと思います。

前述でも述べましたが、CMとインターネットには密接な繋がりがあり、インターネットでの事業展開は勢力的に行われています。

インターネットの効果については、いうまでもありませんが、今やテレビ、マスメディアに匹敵する影響力があるといわれています。

そして、更にインターネットには、テレビやマスメディアにもない、その場で商品が買える、すぐに契約してもらえるというメリットがあります。インターネットはただ商品を宣伝するだけでなく、商品を売るという機能も兼ね備えているのです。

それだけインターネットによる効果は絶大で、特にカード会社など、直接お店に足を運んでもらう必要のない会社は、商品そのものというよりも、「お店(ホームページ)に来てくださいね!」という意味の、「続きはWEBで・・・」を大々的にアピールしているわけです。

WEBが直接市場に繋がらないからといっても、インターネットの戦略は欠かしません。

直接「続きはWEBで・・・」などといわなくても、自社製品をアピールしつつ、ホームページを見てもらうCM作りをしている会社もあります。

それは意図してなのか、していないのかはわかりませんが、「アイフル」や「ファンタ」のシリーズCMは、CMそのものに人気が集まり、CM見たさにホームページを開いたという人も数多く存在します。

この2社に限らず、今ではほとんどの会社のホームページでテレビで放映されているCMをそのまま見ることができます。


とはいっても、やはり主役は商品なわけで、「おもしろいですよ〜、ぜひ見てくださいね〜」といっている映画の宣伝とは根本的に異なります。

CMとその続きはあくまでおまけで、それを目的にホームページを訪れた人に、あわよくば商品に興味を持ってもらいたいと思っているのは明白で、なにも本気で、「このCMに興味を持ってください」といっているわけではないのです。

CMに興味を持つことが、結果的にその会社の商品に、果てはその会社自体に興味を持つことに繋がるのですが、そればかりを追求しすぎて、まるでおもしろいCMを作る会社みたいになってしまったのでは本末転倒です。

やはりCMはCMであるべきで、何をいっているのかわからないCMや、WEBで続きを見ないとわからないCMは、そういった意味で少しCMの観点からずれているように思えます。

これから先、もっと「続きはWEBで・・・」が活発になれば、各社、続きはWEBで合戦が始まり、大事なことはホームページを見ないとわからないCMだらけになるかもしれません。

昨今、「CMを見直そう」ということが、声高にいわれていますが、ただCMに興味を持ってくださいという見る側の意識改革だけでなく、作る側の意識の改革も必要だと思います。

インターネットが普及し確かに便利になったのですが、「ネットでいつでも見れるからいいや」という意識は、更なるCM離れを生み出します。

15秒に圧縮された技術には目を見張るものが多く、ぜひ見習いたいと思うものばかりです。

どうかインターネットとCMの融合を履き違えず、これからも進化を続けて欲しいです。



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