原題 ; BLACK ROSES(1987)
 監督 ; ジョン・ファサーノ
 脚本 ; シンディ・ソレル
 音楽 ; エリオット・ソロモン
 出演 ; ジョン・マーティン、ケン・ソフォード、ジュリー・アダムス、カーラ・フェリグノ
へヴィ・メタル・バンドが実は悪魔だったという安直な発想のホラー映画。まあ、へヴィメタ野郎が実は救世主だったって言う「エッジ・オブ・ヘル地獄のヘビメタ」とどっこいの作品。監督が同じだから当たり前か。
アメリカ中西部の小さな町ミルペイスンでヴォーカリスト、ダミアン率いるヘヴィメタル・バンド、ブラック・ローゼスのコンサートが開催されることになった。
コンサート行きを止められた高校生ジョニーは、町を真っ赤に塗りつぶす、と宣言してペンキを一缶持ち出すお茶目者。
コンサートが開始され、1曲目はおとなしいロックバラードを演奏。安心した大人たちは「一杯やっか」と帰っていく。
しめたとばかりに激しい演奏を始めるブラック・ローゼス。でも過激というほどの曲ではない。
高校教師ムアハウスは、生徒がブラック・ローゼスに熱中しすぎていることに危惧を抱く。
ブラック・ローゼスの曲が流れているスピーカーからモンスターが現れて襲いかかったり,、夜遊びをしかった母親が車ではねられたり、理由もなく父親を射殺したりという事件が続出。
ムアハウスの授業でも、ダミアンの詩を扱えと生徒が騒ぎ出す。彼はコンサートでマインド・コントロールをしている者がいるのではないかと疑う。
カウンセラーを窓から突き落としたり、義理の父親を灰皿で殴り殺したりと事件はさらに続く。
コンサートに行って確かめる、と決意していたムアハウスは図書館で朝まで寝過ごす大ボケぶりを発揮。彼の恋人プリシラも生徒ジュリーの犠牲となる。
ここまで来ても、全部事故や強盗事件で全て片付けられているのが不思議。
ムアハウスを誘惑するジュリー。彼女はムアハウスの眼前でモンスター化する。
怪物を刺し殺したムアハウスは、ダイナマイトを用意してコンサート会場に乗り込む。
こっそり忍び込んでガソリンを撒くムアハウス。でもすぐにばれる。
ダミアンはハゲで長髪はカツラだった。悪魔の正体を現すダミアン。
ここからはステージ上で着ぐるみの悪魔と戦いになる。主人公が変身してない仮面ライダー・ショーといった印象。股間を蹴られた悪魔が悶絶する間抜けな珍場面も登場してテンションを盛り下げる。
ダイナマイトを悪魔に投げつけるムアハウス。燃え上がるステージ。我に返った若者たちは会場を脱出。
逮捕されるかと思いきやムアハウスは、市長から君の言うとおりだったと感謝される。
その夜、テレビからブラック・ローゼスがニューヨークで5日間のコンサートを開くというニュースが流れるのだった。
ブラック・ローゼスのドラマーとして、ベック、ボガート&アピスでジェフ・ベックともユニットを組んだことがあるカーマイン・アピスが参加。サントラ盤でも4曲でドラムを叩いている。
ジョン・ファサーノ監督唯一の日本劇場公開作。ということで「エッジ・オブ・ヘル」や「ジッターズ」に比べると、やや完成度が高い気がするが、突っ込みどころはたっぷり用意されているし、クライマックスはやっぱり脱力。
ジョン・ファサーノは、しばらく監督作がなかったが、最近はテレフューチャーを撮っているらしい。これまで関わった一番の大作は、脚本を担当した「48時間PART2帰って来たふたり」ということになるが、これもたいした出来ではなかった。先日製作・脚本を担当したホラー版「ピッチブラック」といった趣きの「黒の怨」を観た。ストーリーのない作品だが、テンポ良く進んで脱力する部分も特になかった。少しは進歩したのかもしれない。
ブラックローズ