日本映画主題歌(Vol.2)
花を愛するように/永六輔(1977)
アナログ盤シングル
映画「春男の翔んだ空」主題歌。主演の永六輔がヴォーカルと作詞を担当。いずみたくが作曲した。B面はインストゥルメンタル・ヴァージョン。
決して上手いとはいえないヴォーカルなのだが、映画本編と同様に生真面目で素朴な歌声に好感が持てる。「花を愛すように人を愛せませんか」とストレートに歌い上げる歌詞。いかにも、いずみたくらしい綺麗なメロディーラインを強調した曲作りも魅力的。
いずみたくは「手のひらに太陽を」で親しまれ、「恋の季節」「夜明けのスキャット」「希望」など数々のヒット曲を生み出した。また永六輔とコンビを組んだ、にほんのうたシリーズ(「いい湯だな」「女ひとり」が代表作)は高く評価された。映像の仕事はテレビの方が印象的で「これが青春だ」「太陽野郎」などの青春ドラマ、「ゲゲゲの鬼太郎」「宇宙エース」などのアニメの分野を得意ジャンルとしたが、映画では「宇宙怪獣ギララ」のような異色作もある。1992年に亡くなったが、今でも「それいけ!アンパンマン」には氏のメロディーが流れているらしい。

典子は、今−愛のテーマ−/三上寛(1981)
アナログ盤シングル
同名映画主題歌。脚本・監督の松山善三が作詞して、作編曲は森岡賢一郎が担当した。
ヴォーカルは友人の兄役で出演もしていたフォーク歌手の三上寛。「友達愛のかたち、幸福ひとりひとり、たがいに手をさしのべ、明日を語り合おう」と歌い上げる歌声には土俗的ともいえる優しさと力強さがあり、命の輝きを描いた作品にはぴったりだったと思う。
作曲の森岡賢一郎は、編曲の分野で多く活動していたらしい。映画音楽での代表作は「宇宙からのメッセージ」。マーチ曲がショスタコヴィッチにそっくりじゃないかといわれてしまったが、スケール感のある演奏だったし、「エメラリーダのテーマ」の美しいメロディーも忘れられない。
B面はピアノを中心にしたインストゥルメンタル・ヴァージョン。ピアノ演奏を元NHKアナウンサー、鹿内家に嫁いだことでも話題を呼んだ頼近美津子担当した異色作。さすがは才媛という達者な演奏を聞かせてくれる。