クワウンナイ川 天空の楽園夢歩き
          
2006.09.16〜18日/GP

クワウンナイ川(天人峡)〜三川台〜上俵真布林道


 クワウンナイ川は、忠別川の支流であり、大雪山の主稜線に位置するトムラウシ山の裾野を源頭とする。
 日本有数の美沢として高名であるが、過去、遭難・死亡事故が相次ぎ、当時の営林署が管理責任を問われる事案発生後に長年の入林禁止、04年から森林管理署等が入山制限による解除の経緯がある。
 この沢筋は、天人峡温泉付近から入渓、次いで源頭から小化雲岳又は三川台を経由して下山する長大なる歩きとなり、1〜2泊装備が必要となる。
 1日目:初秋、天人峡温泉「羽衣トンネル」東側の駐車場にて同行者と合流、忠別川二股から左岸の作業道跡を捲くと昨年辿ったポンクワウンナイ川大二股586の出合である。
 今回の行程は、美沢の核心部をゆっくりと楽しみたいと2泊予定であり、本日はテン場指定地のカウン沢二股と気持ちに余裕を持って歩くが、渡渉は深水・流速があり、油断禁物の場面を繰り返す。
 中州地形が連続して地図を眺める場面が多いが、大きな函もなく、渡渉以外は平凡な歩きが続き、辛抱の時間が続くとC980カウン沢二股であり、左岸の標示テープにテント場指定地があり、6張程度の快適な地積である。
 2日目:本日は、クワウンナイ川の美景核心部を抜け、トムラウシ山を経由、三川台までの行程であり、晴日下に入渓する。
 魚影(オショロコマ)を眺めつつ、左岸枝沢を抜けるとC1090「魚止めの滝」が忽然と姿を現す…長かった沢歩きの時間が報われる瞬間であり、天空の楽園へのプロローグである。
 「魚止めの滝」左岸を捲くと感嘆の「滑滝」の始まり…美しいの一言であり、苔の柔らかい感触に滑るように流れる水流
を味わう。
 こんな世界があるとは…沢歩きの喜びを胸に刻みつつ
、ゆっくりとした足運びの時間が続くとC1175二股滝(左股)を右岸に辿ると再び滑滝が続く。
 滝・滑滝から流れ落ちる水流は、太陽にキラキラと輝き、雪原を地吹雪が滑る景観であり、心が潤う。
 C1280滝を直登すると程なく至福の時間は終点
であり、C1350滝(右岸捲き/岩場ロープ)次いでC1370大二股のハングの滝が高度感を見せる。
 右股は広大なる黄金ヶ原の東側を抜け、トムラウシ山と三川台との縦走路に抜けるものであり、左股へと二股滝の中央部踏み跡に高度を上げると沢幅が狭くなり、連続する階段滝を越えると一層沢筋は狭小に変わる。

 正面にヒサゴ沼への縦走路稜線を眺め、C1550で水流が消えると程なく、開放感のある源頭(水流)である。
 初秋景観の山容を見上げ、
ロックガーデンに愛くるしい動きのナキウサギ、踏跡に高度を上げると行程の結節点となる縦走路に飛び出て、振り返ると懐かしき中尾山東側の谷間に長かったクワウンナイ川を追う。
 南沼のテント場を抜け、ユウトムラウシ川源頭の湖沼群、過去に世間を騒がしたツリガネ山次いでオプタテシケ山が高く聳える。

 三川台の夜、遠くに旭川市のネオンと星空が輝き、台地に冷風の秋風が吹き抜け、本格的な沢時期も終末と実感する。

 
3日目:台地稜線を強風が走り、この時期は装備を油断すると致命的な状態に陥ると実感しつつ、懐かしき景観に硫黄沼を眼下に眺め、高度を下げると天空の楽園歩きの山行は終わりを告げる上俵真布林道の登山口である。
 私以外はクワウンナイ川遡行の経験があ
健脚揃いの男4人旅、平素、単独山行で慌ただしく登る事が多く、今回は気持ちに余裕を持ち学ぶ事も多く、貴重なる3日間であり同行者に感謝する。
 
備考:クワウンナイ川遡行の教訓
      ●1日にで源頭まで抜けるのは健脚者であるが、核心部の景観・余録を十分に味わう        時間がなく、テント場指定地のカウン沢出合い1泊の行程がお勧めである。
               ●沢筋次いで滝の瀬13丁滑滝の何れも水流が多いと危
険な要素が大。
      ●天候変化による柔軟性ある山行計画(予備日)。
 同行者:O氏/T氏/S氏
1日目:入渓(5時間)カウン沢出合 2日目:三川台(8時間)3日目:上俵真布登山口(3時間)

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