エサオマントッタベツ岳〜カムイエクウチカウシ山
2008年8月9〜11日/単独
戸蔦別林道〜エサオマントッタベツ川〜JP〜春別岳〜ナメワッカ分岐
プリマモンテ〜カムイエクウチカウシ山〜八の沢〜札内ヒュッテ」


 日高国境稜線は長大、誰しもが憧れて地図を眺め夢に描く山域であるが、年々と林道崩壊による通行止・自然保護の観点等から中日高山系は一層遠くなる感がある。
 今回の日高稜線歩きは、今春「ペテガリJP〜神威岳」に続き2度目の山行であり、計画は、エサオマントッタベツ岳JP〜コイカクシュサツナイ岳」まで予定したが、下記写真の地下足袋破れによりカムイエクウチカウシ山で縦走を断念(残念)した記録である。
 1日目:単独縦走の課題は、下山
地点の「足」であるが、私の仲間「ミニバイク:初公開の下記写真参照」は、ハンドル部分を格納すると「軽自動車」にでも積載できる優れ物バイクを札内ヒュッテにデポ、エサオマントッタベツ岳登山口の戸蔦別林道に向かう。
 戸蔦別ヒュツテから5Km強の「びれい橋
」を渡ると程なく「6合砂防堤」ゲート広場であるが、昔日はこの先「土取り場」まで進入できたが距離的に大差はない。
 1000発、エサオマントッタベツ川の戸蔦別川分岐から北東カールを経て泊予定の札内JPまでの標高差は、1250m程であるが、旧年「札内岳〜エサオマントッタベツ岳」山行でエサオマントッタベツ川を下降した経験があり、気持ちに余裕を持って札内JPに向かう。

 踏まれた林道跡からC730でエサオマントッタベツ川に入沢、札内岳へのガケ
の沢・C997二股を過ぎるとC1245二股(左股)を直進すると入沢して最初の滝C1290であり上部は滑滝に繋がる。
 北東カールから流れる最初の滝を左岸を捲くと300m程続く滑滝の始まりであり、勾配が緩いが滑りやすく気が抜けなく、滑滝上部の二股は、水流が左股に続くが右股のガレ沢に入ると直ぐに北東カールである。
 広々とした草地混じりの北東カールには、細い水流の脇にテントが散見され、札内JPへのルートを確認するが、皆さん確信がなく、過去の記憶を頼りに地形を判読する。
 水を4L担ぐずっしりと重み、テント場から続く小ガレ沢次いで正面に小尾根を挟む両岩壁の左側岩壁を抜け、広いガレ沢に出ると勾配が増し、背中の重量が足に応え振り返るとテント場の皆さんが見上げている。
 広ガレ沢を上がると狭小沢に踏み跡が続き正解と確信、夕暮れ近い時間だけにホッとして森林帯に入り上部に稜線を見上げると待望の尾根に上がり、程なく2張程度のJP到着である。
 エサオマントッタベツ岳・幌尻岳を夕闇の雲海に望み、本日、出発は遅かったがJPまで予定通り上がれ、春別岳・カムイエクへの稜線を眺めながら、明日の行動に余裕ができたと食事する。
 高所低温に震えて食事
中、3度目の正直でナメワッカ岳を一泊にて往復して、夕闇迫るこれから北東カールへ戻る男性と御挨拶、「ナメワッカ岳」山行を想い返しつつ見送る。
 2日目:予定はカムイエクウチカウシ山までとするが、寝坊をした!!仕事疲れかな…
JPから1751Pまで緩やかに下る楽観気分とは裏腹でハイマツ濃く、時折、東側の草地斜面に踏み跡が散見され、次いで1760P間は足元に踏み跡が続くがハイマツは濃厚である。
 1760P(テント場)を過ぎると濃密な藪漕ぎから解放され、ナメワッカ分岐から続く尾根筋に奥深いナメワッカ岳を眺めつつ、八谷氏「ガイドブックにない北海道の山々/著書」と幌尻湖側から
自転車を押して2泊で山頂に立てたと感慨深く眺める。
 結論、1760Pからカムイエクウチカウシ山までは、強烈な藪漕ぎは無く順調に距離を延ばせるが、ナメワッカ分岐からは岩稜尾根が続くが危険箇所はなく、ザイル携行の必要もないと判断した。
 とは言え…私の山行は地味なる沢筋から山頂を詰める際、藪地帯で格闘する忍耐の登山が多いので、平素「道」を歩く方々にはハイマツ漕ぎと映るかも知れなく主観である。
 草地斜面から落ちる十の沢を眼下に緩やかに高度を上げると春別岳(直下テント場)、振り返ると岩稜線の壁面が迫力あり、結構高度感があると知らされる。

 春別岳から大きく高度を下げると南側から眺める山容は意外な程高く見事な山容であり、山名をもらうだけあ
ると1917Pへと再び鋭稜線を辿り体力的にはこの地点付近が辛抱である。
 目標とするカムイエクウチカウシ山は、出発してから望む事が無
く距離感が具体的に把握できないと1732コルを通過するが、この付近から東側の草地斜面には熊の掘り起こしがカムイエク直下の1730コルまで続く。 
 主稜線から西側に派生する1903P分岐の丸みある山容(テント場)に荷物をデ
ポ、坂口氏「一人歩きの北海道山紀行」の紹介では、1903Pを岳人はプリマモンテと呼称、素通りは出来なく空身で岩稜を辿ると標示・痕跡もない山頂、エサオマントッタベツ岳は遠くなったと静かな空間に腰を降ろす。
 再び重量物を背負い、東斜面を横断する草地踏跡に気分爽快で高度を下げると1730コル(テント場)からは標高差250mのカムイエクウチカウシ山を見上げる。
 広尾根に明確な踏み
跡が続くが、緩く長−く辛い、破れた地下足袋が進まない…これは修行僧か!!岩場を越えると直下にテント場がある。
 待望のカムイエクウチカウシ山!!本当かなと標識を確認する…やっと着いたと安堵感で一杯、思わず大の字になって青空を見上げる。
 夕方の山頂、八の沢カール、ピラミッド峰を眼下に思案…予定はここカムイエクウチカウシ山頂で泊、明日、カールで水を補給後コイカクシュサツナイ岳へ向かう予定であった。
 疲れたと足元を見ると地下足袋
は上記写真の様に踵は抜けてサンダル状態に破れ、補修用のガムテープも残り僅かとなり、明日の縦走より下山さえ心配の有様であり、本日は八の沢カールに泊まり諦めて下山と決心…無念!!
 正面にピラミッド峰を眺め、良く踏まれた稜線登山道から八の沢に降り立つと誰もいない!!…伏流水の溜ま
り場で水を腹一杯飲むと夕暮れは近く、沢寄りにテントを張る…星空がきれい。
 3日目:音のない高所、地下足袋の踵部をガムテープで巻き、その上に靴下を履き我ながら出来映えに感心!!朝焼けに染まるカール岩壁に心残し下山開始であるが、ここで沢筋を間違える。 昔日、日帰り山行の経験の慢心、眼下の八の沢に向かえば良いと楽観・過信、テント場から引き続くガレ沢を下降するが連続した滝が出現、1140二股に出れば本来の道筋と考え何とか降りるが、二股を眼下にする沢筋には4段滝次いで3段滝が連続、これ以上は無理と西側へと大高捲きをすると男性と遭遇…甘く観ては危険と痛感する。
 八の沢出合いのテント模様を眺め、広い河原歩きから七の沢分岐に出ると明るい広河原の砂防堤、ここからは長い林道歩きと「ぼろぼろ地下足袋」に最後のガムテープで踵
部を補修する。
 札内ヒュッテまでは7Km、1時間20分程黙々と歩くとゲート広場で車両が多い、更に2つのトンネルを抜けると札内ヒュッテで「ミ
ニバイク」と御対面、太陽は高く時間は十分と気抜け状態で裸で日光浴とする。
 縦走を振り返ると教訓!!
 ●「水」補給は、最低でもエサオマン北東カールとカムイエク      八の沢カールで補給(途中カールでも可能と判断)
 ●水を担いでも無理なく行動できる重量の工夫
 ●不可欠なる装備品・携行品の点検(今回は足回り)
 ●柔軟な計画設定
 ●体力の練成…以上でした。
時間行程:休憩含む総合時間
1日目:「戸蔦別林道ゲート(6合砂防堤)」6時間30分−「札内JP」
2日目:「札内JP」4時間「春別岳」4時間「プリマモンテ1903m」2時間「カムエク山頂」50分「八の沢カール」
3日目:「八の沢カール」7時間30分「札内ヒュッテ」(沢迷い含む)
備考:ミニバイクに跨り、戸蔦別林道のゲートに戻ると男性/旭川と御挨拶、戸蔦別川を辿り稜線に上が   り、戸蔦別岳から七つ沼カール泊で下山との事、沢筋の情報等ありがとうございました。
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