空想特撮シリーズ
全48話ストーリー(第14話〜第19話)

諸々たる星星に愛を
宇宙開発は地球にとって最も重要なテーマである。
実験用惑星が無人(無生物)だと判断した地球防衛軍は、探査ロケット(さくら9号、ペダン星観測ロケット)や実験用ミサイル(R1号)を打ち上げた。
ところがそこには高度な生命体がいて、これによって打撃や不信を覚えた彼らは報復をしに地球を目指してやってきた。
一方遊星人の中には自らの核実験の結果、滅亡を招いたものもある(この際の物質スペリウムを研究して作ったミサイルは後にバンダ星人母船を破壊する)。
また、地球上でも人類以前に高度な文明を築いていた、地下ロボット都市や、海底に住む原住生命を、人類の繁栄のためウルトラ警備隊はそれらを壊滅させている。
地球人のしたことはこれでいいのか。
ダンは複雑に思いながら、やがて異星間にまたがった生命体同士が手放しで分かち合える日がきっと来ることを願わずにいられなかった。


放映14(制作17)
ウルトラ警備隊西へ(前編)

台本名=「U警備隊西へ」
脚本=金城 哲夫/監督=満田 禾斉
放映日:1968年1月7日
侵略宇宙人 ペダン星人
(身長/2m 体重/50kg 出身地/ペダン星)

シルエット姿のペダン星人は、物体A内の円盤に潜む。

宇宙ロボット キングジョー
(身長/55m 体重/4.6万トン 出身地/ペダン星)
 
ペダン星人の巨大ロボット。
アイ・スラッガもエメリウム光線も効かない。


頭・腕部の物体A、胸部の物体B、腰部の物体C、脚部の物体Dが合体する。

STORY
[前編]


地球防衛軍ワシントン基地が3ヶ月前に発射した観測ロケットを侵略と誤解したペダン星人は、報復のため六甲山の防衛センターで開催される防衛会議出席の各地球防衛軍基地の科学班チーフを次々と暗殺していた。
そこでウルトラ警備隊は会議の最重要人物となるワシントン基地の女性科学者ドロシー・アンダーソン博士の護衛に関西へと発つ。
しかし彼女はすでに来日途中の船上でペダン聖人に誘拐され、実は護衛中の博士こそが宇宙人のスパイで狙撃者であることを、彼女を護衛していた秘密諜報部員マービン・ウエッブから知る。
そのころ、防衛センターにペダン星人のスーパーロボットが来襲、ウルトラセブンが迎え撃つが...。


放映15(制作18)
ウルトラ警備隊西へ(後編)

台本名=「U警備隊西へ」
脚本=金城 哲夫/監督=満田 禾斉
放映日:1968年1月14日

STORY
怪ロボットを誇示したペダン星人は、ドロシーの姿でモロボシ・ダン隊員と協議して地球防衛軍の真意を確認、地球撤退の証しに本物のドロシーを解放する。
ところが彼女は完全に記憶を失っており、地球侵略の本性を見せたペダン星人は、第8銀河系の彼方から宇宙船団を呼ぶ。
しかも神戸港を怪ロボットが襲撃、ウルトラセブンはふたたび苦戦を強いられる。
しかし、ついに回復したドロシーは土田博士と"ライトンR30爆弾"を製造、スーパーロボットの破壊に成功する。
こうしてペダン星人先発隊は全滅、地球攻撃に飛来した宇宙船団も引き返していくのだった。

My Opinion
「特撮ギャラリー」も別ページで発表しているのでまずはご覧を。
これを書くに当たってDVDを視返してみたが、前後編として尺を長くしてある割には、細かなところでいろいろとアラが見つかるなあ...って感じだった。
前編のクライマックスでは、ロボットがウルトラセブンに馬乗りとなり、いかにもセブンは力尽きてしまうような描写だったが、なんとか脱出したセブンは、ロボットの足をはらって仰向けに転ばせる。
ロボットは転ぶと自分では起きられないという、なんともショボい造りだ。
転んで動けないロボットは、また4つの物体に分離して逃げていってしまう。
なぜセブンはそれを叩かなかったのか。
いかに超兵器が効かない素材だったとしても、小さくなった物体ごとに叩き落とすとかすれば、ふたたびロボットは現れることもなかったろうに。

ダンとペダン星人が神戸港で話し合う場面。
あれだけの宇宙船団を発進させるにはそれなりの人件費とコストがかかっているだろう。
それを立ち話で合議した結果であっさりと撤退としてしまう強引さに脱帽。
ペダン星人にだって、意志決定の権限はいろいろと分かれているだろうに。
ドロシーに化けた星人は上申なしで意志決定できるほど偉い立場なのか?
そんな立場のヤツが先発隊で地球に報復をしに来るというのがどうも納得できない。

科学者ドロシー・アンダーソンはペダン星人に誘拐されて記憶を消されてしまっていたが、アンヌの介抱により、あっという間に記憶が戻る。
しかも、ロボットを破壊できる唯一の兵器であるライトンR30爆弾を、ほんの数分で造ってしまうのだ。
その間、セブンは神戸港でずーっとロボットと格闘している。
当然のことながら、その間ダンは行方をくらましているが、誰もそんなことは気に留めない...

...とまあ、突っ込めばたくさんアラはあるが、セブンが唯一自力で倒せなかった相手ということで、見ごたえとしては充分。
この回だけ舞台が神戸なのは、当時の番組提供だったタケダ薬品が大阪にあったため、そのからみでという商業的な事由らしい。


放送16(制作14)
闇に光る目 

台本名=「闇に光る目」
脚本=藤田 桂介/監督=鈴木 俊継
放映日:1968年1月21日
岩石怪獣 アンノン(画像調達中)
(身長/60p〜30m 体重/1s〜15万トン 出身地/アンノン星)

STORY
宇宙開発局と地球防衛軍によるアンノン星探査用無人宇宙船"サクラ9号"は、目的地到着後に消息を絶っていたが、三ヶ月後に突然、地獄山に帰還して爆発する。
一方、弱虫のヒロシ少年は地獄山で奇妙な形の石を見つけ、部屋に出現した単眼の頼みでその石を火口へ落とせば強い子にしてもらえると信じる。
この目玉はさくら9号を侵略ロケットと誤認した、アンノン星に棲息する頭脳だけの宇宙人で、少年が運んで火口で巨大になった岩石を地球攻撃用の身体として活動させて報復攻撃に出る。
そして怪獣化したアンノンはウルトラ警備隊と交戦するが、同じ宇宙人のウルトラセブンの説得を信じて本体の眼球のみで母星へ戻る。

My Opinion
わたし的にはあまりおもしろくないエピソードであり、DVDなんか視るときも飛ばしてしまう。
テーマが「ウルトラ警備隊西へ」とダブってしまうので、それもあまりよくないのだろう。
セブンとアンノンが巨大化して日本語で会話するという、めずらしいシーンはあるが...


放送17(制作16)
地底GO!GO!GO!

台本名=「地底GO!GO!GO!」
脚本=上原 正三/監督=円谷 一
放映日:1968年1月28日
地底ロボット ユートム(身長/2.8m 体重/2t 出身地/不明)

STORY
朝地炭坑に原因不明の落盤事故が連続し、ウルトラ警備隊は生き埋めになってしまった坑夫・薩摩次郎の救出にマグマライザを出動させた。
実はこの青年こそが、ウルトラセブンが地球で出逢った最初の地球人だった。
その当時、彼は登山中に転落危機に瀕しており、仲間とロープで繋がって宙づりになっている状態だった。
そして仲間を救うため、下に宙づりになっている自分のザイルを切ることでロープへの負担を軽減させ、自らは転落していく。
そこにちょうとウルトラセブンが飛来し、間一髪で彼を救う。

仲間の命を救うために自らの命をいとわない次郎の勇気に感動し、ウルトラセブンは彼の魂と姿をモデルに地球人の姿となった。
こうして"モロボシ・ダン"が誕生したわけで、次郎はウルトラセブンにとってはかけがえのない地球人だった。


ウルトラ警備隊は炭坑地下に拡がる、住民全員がロボットの謎の地底都市を地震源として内部を捜索する。


ダンはロボットに捕らえられて拘束されるが、なんとか自力で脱出してウルトラセブンとなる。

一方ウルトラ警備隊も、襲いかかるロボットをどうにか駆逐し、地底都市を破壊することに成功する。


次郎はウルトラセブンにふたたび命を救われ、"奇跡の男"の生還を果たすこととなった。

My Opinion(2004/03/10)
第17話にして、ウルトラセブンとモロボシ・ダンとの関係性が明らかにされる重要なエピソードではあるが、ストーリ自体はどうもインパクトが弱い。
モロボシ・ダン役の森次晃司氏は、このエピソードでは二役を演じているわけだが、ほかの炭坑作業員もウルトラ警備隊も、このふたりがウリふたつであることについてはまったく触れないのがどうもおかしい。
地底ロボットもなんだかへっぽこで動きはギクシャクしていて、まったく強くない。
こんな連中が、どうやってあれだけの地底都市を築いたのか、そっちのほうがむしろ気になる。

結局エンディングでは、この地底都市についての真相は謎のままで終わってしまった。
思うにロボットたちは主に作業用に作られていて、持っていた光線銃は自衛用の申しわけ程度に装備されたもののようである。
影で操る黒幕の宇宙人がどこかで操っていたが、計画が頓挫したため、地底の開発を断念したものと考えるのが妥当だと思う。


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