空想特撮シリーズ
全48話ストーリー(第8話〜第13話)


放送8(制作10)
狙われた街

台本名=「狙われた街」
脚本=金城 哲夫/監督=実相寺昭雄
放映日:1967年11月19日
幻覚宇宙人 メトロン星人
(身長/2〜50m 体重/120kg〜18,000トン 出身地/メトロン星)

STORY
異常な暴力事件や殺人が続発。
犯人はすべて北川町の住人だった。
調査を開始したウルトラ警備隊は、犯人が全員駅前の自動販売機でタバコを購入していた事実を掴む。
科学班のカネダ隊員は、かつて宇宙ステーションV3の隊員がワイ星探検から持ち帰ったことのある
“宇宙芥子(ケシ)の実”によく似ている赤い結晶体がタバコに混入されており、
それを吸った人間は理性や感情を失い、敵を倒す殺意のみを持ったもった人間に変貌するという
分析結果を下す。
これは、人間同士の信頼感をなくし、お互いを戦わせ人類を自滅させようと企む
メトロン星人の地球侵略作の実験だった。
メトロン星人はこの計画を妨害しようとするモロボシ・ダンだけを恐れ、
北川町のアパートに隠していた宇宙船でダンを強制的に宇宙へ帰還させようとする。
ダンは素早くウルトラセブンに変身、彼らの野望を打ち砕いた。

My Opinion
ウルトラセブンの中でも屈指の仕上がりとなっているエピソード。
実相寺監督の独特なカメラワークと、全体に流れる夕陽のオレンジがある種の恐怖感を非常によく醸し出している。
ダンがメトロン星人の隠れるアパート(かなりボロイ)に潜入して星人が計画をダンに話すとき、
宇宙人どうしがちゃぶ台をはさんで会談するという、非常に有名な一シーンがある。
撮影当時「なぜ宇宙人どうしがあんな生活臭の漂うシチュエーションで話し合うんだ!?」と
実相寺監督はTBSのプロデューサからこっぴどく叱られたというエピソードもあるそうだが、
これが功を奏して名シーンに数えられるようになっているから、世の中はわからないものである。


放送9(制作11)
アンドロイド0指令

台本名=「アンドロイド0指令」
脚本=上原 正三/監督=満田 禾斉
放映日:1967年11月26日
頭脳星人 チブル星人
(身長/2m 体重/0.5トン 出身地/チブル星)

STORY
ソガ隊員と夜間パトロール中のフルハシ隊員が、ダン隊員に握手を求めてきた妖しい美女に対して
ダンの名を偽ったあまり、握手で放たれた電流で殺されかけた。
翌日、ダンとソガはパトロール中、“おもちゃじいさん”と呼ばれる老人から買ったという、
実に精巧な玩具で遊んでいる子供たちと出会った。
その日も老人は公園で子供たちを相手に商売をしていたが、ウルトラ警備隊の二人を見るや
さっさと店じまいをして隠れ家へ戻ってしまう。
ダンとソガは老人を尾行して場所をつきとめ、近所の主婦の証言から
老人が1年ほど前からそこに住んでいることを知る。
この様子を陰から見ていた老人はウルトラ警備隊に怪しまれたと察知し、
実は子供に玩具に見せかけた本物の銃器を売り、その際にいっしょに配るワッペンをつけた
子供たちに催眠周波を送ることで子供たちに地球を攻撃させて侵略しようと企む
“アンドロイド0指令”をその夜午前0時に実行することを決定する。
ダンとソガはその夜に例の美女をふたたび発見し、後を追う。
実はその美女は老人の作った精巧なアンドロイドで、二人の追跡を楽々とかわしてデパートへ逃げ込む。
夜中の暗闇と化したデパートの中では午前0時に”アンドロイド0指令”が発令される旨の
不気味なアナウンスが流れる。
そこへ例の老人と美女が現れ、老人はくだんの計画をダンとソガに話す。
そしてそれを信じない二人に対して、老人はデパート中にある玩具の戦車や戦闘機をつかって攻撃する。
防衛軍本部にビデオシーバで連絡をとろうとしても電波を妨害されて失敗し、ダンとソガは追い詰められる。
ウルトラセブンになりたくても、ソガがいっしょにいるのでそれもままならないダン。
ソガは迫る老人と美女に対して肉弾で立ち向かおうとするが、ダンの鉄拳で気絶し
そのスキにダンはセブンになり、立場は逆転する。
ウルトラセブンは老人と美女をデパートの屋上へ追い詰め、エメリウム光線で美女を粉砕する。
孤立無援となった老人は、頭脳ばかりが発達して攻撃力のないチブル星人の正体を現した。
ウルトラセブンはエメリウム光線でなんなくチブル星人を倒し、
大人の攻撃できない子供たちを使った地球侵略計画を未然に防いだのだった。

My Opinion
アイディアはとてもよかったが、攻撃力を完全に地球の子供たちに委ねてしまったというのがチブル星人の敗因だろう。
本当に子供が地球の敵になったら、果たして大人はそれに対して武力行使をして対抗できるのだろうか、
そこがこのエピソードの最大のテーマといえる。
しかし、1年もかけて子供に武器の玩具を売る労力があるのなら、
チブル星から部隊を率いて一気に攻撃した方が手っ取り早くはなかったか。
まして、子供たちを兵隊にして地球侵略がうまくいったとして、そのあとの子供の処分はどう考えていたのだろうか。
さらに催眠周波をつかって奴隷にでもするつもりだったんだろうか。
「頭脳宇宙人」という肩書きがあるわりには、案外浅はかな計画で地球侵略を企てたチブル星人といえるだろう。

ちなみに「チブル」とは沖縄のことばで「頭」の意味だとのこと。
メインライター金城哲夫とこのエピソードのライター上原正三はともに沖縄出身である。


放送10(制作7)
怪しい隣人 

台本名=「怪しい隣人」
脚本=若槻 文三/監督=鈴木 俊継
放映日:1967年12月13日
異次元宇宙人 イカルス星人
(身長/2.5〜40m 体重/0.3〜1.8万トン 出身地/第17惑星イカルス星)

STORY
地球防衛軍基地近くの別荘で交通事故の療養をしている水野アキラ少年は、隣の家の24時間背を向けたまま座っている不審な男を観察中、庭の空中に鳩が死んで停止している異変をウルトラ警備隊に通報する。
そこでダンとアンヌ隊員は現場に急行し、ダンは単身、その空間の亀裂に飛び込む。
そこは不審な隣人に変身した第17惑星のイカルス星人が、地球侵略用の前線基地を置く四次元区間だった。
イカルス星人は不気味な男に変身し、2ヶ月ほど前に別荘地の洋館を購入した。
そして地球と四次元空間を連結するコントロール・マシンの中枢部分を密かに組み立てていた。
侵略者はそこから宇宙船で地上攻撃を展開したが、四次元空間から脱出したダンはウルトラセブンに変身、巨大化して身体から流星弾を放つイカルス星人を倒す。

My Opinion
「住むには苦しい世界だ。しかし地球を攻撃するのにこれほど安全な場所はない。」とイカルス星人はのたまっていた。
たしかに人間の世界からは見ることもできないのだから、きっとどんなことでもやりたい放題だろう。
しかしこのイカルス星人、この容姿からはそんな知的な侵略計画を企てるようにはみじんも感じられないし、実際セブンと戦うときも肉弾戦ばかりでぜんぜん知的じゃない。

DVDを見ていると、ダンは急に少年の2階の部屋からダイビングして四次元空間に飛び込むようにしか見えない。
あまりの唐突さに、見ている方は首を傾げたくなってしまう展開なのは否めない。
しかもダンは、四次元空間をコントロールしているマシンを、ウルトラガンで破壊するという暴挙までおかしている。
普通に考えると、それを壊しちゃったら四次元空間の出入口を生成できなくなっちゃうんじゃないか?と心配してしまうのだが、そういうことはナシに無事に脱出している。

また、四次元空間でダンはウルトラ・アイを「ジュワッ!」とやるのだが、変身できなかった。
さらにカプセル怪獣を出すべくいつものようにカプセルを投げるのだが、何も現れなかった。
フィルムをよく見ていると、ダンがカプセルを保管している箱の中には5個のカプセルが入っているのだが、実際に劇中に出てくるのはウィンダム、ミクラス、アギラの3匹だけで、あとの2つはナゾである。
このときに投げたカプセルがそのナゾの2つのうちのひとつであると考えられている。
しかし、いつもは「ウィンダム、行け!」とか云いながら投げるのに、このときは何も云わずに投げているので、その怪獣がなんという名前なのかもナゾとなってしまっている。


放送11(制作12)
魔の山へ飛べ

台本名=「魔の山へ飛べ」
脚本=金城 哲夫/監督=満田 禾斉
放映日:1967年12月10日
宇宙野人 ワイルド星人(画像調達中)
(身長/2.2m 体重/150キロkg 出身地/ワイルド星)
テンガロンハットの牧童・幸村を殺してなりすまし、岩見山の三合目付近にある噴火で出来た風穴洞窟に潜む。
そして、人類の若い命を収集していた。

宇宙龍 ナース
(身長/120m 体重/150,000トン 出身地/ワイルド星)

黄金色に輝くメカニックな宇宙龍は、嵐を告げる稲妻とともに地球へ侵入した。
そしてとぐろを巻くと黄金の円盤に変貌を遂げ、高速で回転しながら飛行する。

STORY
岩見山で若者ばかりが原因不明の変死を遂げるという事件が連続して発生した。
この調査にソガとダンが向かったが、このときにダンもまた、同じ被害者となった。
これは、老衰によって民族が絶滅に瀕するワイルド星人が、生命カメラで若い新鮮な生命体を写し取っていたためだった。
キリヤマ隊長による、星人との機転の利いたやりとりによって、ウルトラ警備隊はそのフィルムとカメラを奪取し、苦慮の末に、奪われた生命を肉体に再び吹き込むことに成功する。
フィルムの返還を哀願するワイルド星人は、切望を絶たれて「ナース」と呼ぶ宇宙船に向かう途中、「ダンのカタキ」とソガにウルトラガンで狙撃されて焼死する。
主人を失ったナースは円盤となってウルトラ警備隊に復讐するが、ウルトラセブンと死闘の末、身体をバラバラにはじき飛ばされて敗れ去る。

My Opinion
チャチい描写はところどころに見られるが、もしも地球人が同じ立場になったらどうするか?
同じように他の星へ行って若い生命を奪ってくるか、それとも人工的に若い生命を生成するか?
自分の星の滅亡を免れるためなら、他の星を犠牲にしても、それは道義的に咎められることではないのかどうか?など、議論のネタに出来そうなテーマである。
地球にもそんな時代がいつの日かやってくるのだろうか...?

ストーリーには書かれていないが、生命カメラを奪ったかわりにソガがワイルド星人に捕らえられてしまい、
お互いを返すのに交換条件でキリヤマはワイルド星人と接触している。
このときワイルド星人はきちんとソガを返したのに、キリヤマはフィルムと称して空っぽの容器を星人に渡すという、けっこう姑息な手段を用いている。
まあ、中身を確認もせずに交換に応じてしまったワイルド星人の甘さと云えなくもないが、
やはりダテに隊長やってるんじゃないんだな、と妙に関心もするし、かたやオトナのずるさを垣間見た1シーンでもあった。
ダンの最後のセリフ「隊長、一度死んだら命がますます惜しくなりましたよ。」に対する
キリヤマの「それでいいんだ、命は自分だけの一度きりのものだ。そう簡単に宇宙人なんかにいのちをやってたまるか。」には
妙な重みを感じるのは私だけだろうか。


放送13(制作13)
V3から来た男

台本名=「V3から来た男」
脚本=市川 森一/監督=鈴木 俊継
放映日:1967年12月17日
宇宙鳥人 アイロス星人
(身長/ミクロ〜30m 体重/0〜13,000トン 出身地/アイロス星)

アイロス星人にはウルトラセブンの必殺兵器であるエメリウム光線とアイ・スラッガーは効かない。

STORY
アイロス星人の宇宙船が宇宙ステーションV3の防衛網を突破して地球に侵入した。
この攻防の際に部下を亡くし、地球まで宇宙船を追ってきたV3のパトロール隊長クラタは、士官学校以来の親友キリヤマ隊長と再会する。
その一方、秩父盆地でアイロス星人の宇宙船を発見して調査に出たフルハシ、アマギの両隊員はアイロス星人に捕らえられて人質になってしまう。
宇宙船の燃料を欠乏させていたアイロス星人はウルトラ警備隊に対し、固形燃料の供給を人質返還の交換条件として要求する。
燃料を差し出しても人質は返さないだろうから交換に応じない方がよいと論するクラタと、部下の命には替えられないと主張するキリヤマとで意見が対立するが、結局キリヤマはウルトラホーク3号に乗り、ひとりでアイロス星人のところへ向かう。
固形燃料を云われたとおりに差し出すと、卑劣なアイロス星人は案の定攻撃を仕掛けてきた。
ダンはウルトラセブンとなり人質を救出し、ウルトラビームやアイ・スラッガを跳ね返すアイロス星人を、新兵器のワイドショットで撃墜する。
逃げるアイロス星人の宇宙船を、キリヤマ・クラタの名コンビがホーク1号・3号の連携攻撃で撃破した。

このあとクラタはホーク2号で再びステーションV3へ帰って行くが、キリヤマは司令室でひとり、無線にてクラタと交信を交わす。
その姿を見て隊員たちは、大人の男の友情をそこに見るのであった。

My Opinion
「いいハナシじゃないか」と思える、やはり持つべきものはよい友人だよ、というメッセージ性の高いエピソードである。
ふたりはそれぞれ部下を持つ身となり、指揮官としての意見が対立してしまうが、キリヤマののピンチにクラタが駆けつけるシーンなどはなかなか心温まる。
ウルトラセブンのワイドショットはこの回が初出であり、かなりの威力であることを映像にて描写できていると思う。


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