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lk_topttl_btn_06.gif遥かなるバセンジー    base-tri1home.gif

 遠くアフリカの大地に数千年に亘り育まれてきた我が友バセンジー。その気高さは全てを圧倒してやまない。バセンジーに関する人間のさまざまな批評は、その純血の永い歴史を顧みるときに大樹の中のほんの一枝葉に過ぎない。これは本当のロマンなのである。
(2000/9/23 issay/K.M)


 Pharaohs(古代エジプト王)の宮殿犬として知られ、古代エジプト王朝の崩壊と共に絶滅したと信じられていたバセンジーというユニークな犬は1800年代遅くアフリカ大陸の奥地に入り込んだ探検隊によって再発見された。Pharaoにこよなく愛された連れ合い、仲間としての存在からアフリカ原住民の生活に欠くことのできない一部分としての存在へ、バセンジーはこのふたつの世界において重要な位置を占めていた。そして1900年代に至り、バセンジーはまたしても別の世界である西洋文明に紹介されるに至ったのである。
(The BASENJI Out of Africa to You より)


lk_topttl_btn_06.gif純血犬バセンジーの種について考える
(ブリーダーさんも是非お読みください)

 今から25年ほど前、1980年代、アメリカのバセンジーは絶滅の危機に瀕していました。米国内で、たくさんのバセンジーに、「溶血性貧血」という症状が現れるようになったのです。これはまだ若いうちにバセンジーが死んでしまうという大変恐ろしい血液の病気です。もともと少ない限られた頭数で近親交配が続いた結果、特有の遺伝性疾患(血液の病気)がバセンジーを覆うようになりこのままではアメリカバセンジーが絶滅すると言われたのです。

 1988年、これを憂慮した四人のバセンジーオーナー、Damera Bolte(Owner/Breeder)、Michael Work(Owner/Breeder)、Stan Carter(Owner/Veterinarian)、Jon Curby(Owner/Breeder)がアフリカのコンゴにわたり、現地の人たちの暖かい友好にも恵まれ、18頭の健康なアフリカバセンジー達を米国に連れて帰り、そのうち13頭がアメリカンケンネルクラブに登録されアメリカのバセンジー達と交配、新しい健康な血(遺伝子)を導入したのです。

 これが大きな成果を挙げ、今では毎年米国で生まれるバセンジーの25%が1988年アフリカから連れ帰ったバセンジーの血を引いています。またアメリカバセンジーのいくつかの健康上の問題はすでに克服されており、あと10年〜15年すれば完全に問題がなくなるだろうといわれています。

 四人がアフリカでもっとも驚いたのは、偏った食事や有害な寄生虫の存在にも拘わらず、バセンジーがアフリカで元気に生きているという事実でした。これはバセンジーがどんな環境でも逞しく生き抜く力を持っていることを証明しています。注意深くブリーディングを重ねていけば、バセンジー特有の病気はなくなっていくでしょうし、将来的にはとても健康な犬種になると思われます。

(2003年7月Sky Perfect放映 Animal Planet「ブリーディングのすべて」より抜粋しました)

【番組を見て・・・パルのおやじコメント】
 日本のバセンジー達に、純血種に見られるこのような傾向が現れてこないのを願うばかりですし、日本のブリーダーさん方にもこのことをよく心に受け止めて欲しいと思っています。
 ちなみにバセの毛色でブリンドルというのはこのとき連れ帰った健康なアフリカバセンジーの子孫だそうです。
 そのほか、バセンジーは独立心が旺盛で訓練しにくいけれど、狩猟犬としての能力はすばらしいものをもっているとか、知恵が働き賢い犬種だったからこそ、アフリカの奥地で生存してきたとか、擬似狩猟ゲーム(ルアーコースィング)でのバセンジーの疾走振りとか、日常生活での注意事項やほほえましいコメント、エジプト王朝でのエピソードなど、盛りだくさんでした。
 それから、これはパルのHPでも、バセンジーとの暮らしには「忍耐と愛情とユーモアを解する心」
が必要だと紹介していますが、四人のオーナたちから「ユーモアのセンス」「辛抱強く付き合う」「根気よく躾ける事」「バセンジーとはなるべく沢山一緒にいてあげること」などのコメントがありました。


(この番組をビデオに取って提供していただいたmomoさんに心からお礼申し上げます。)

lk_topttl_btn_06.gif犬の祖先たち

 現在の飼い犬の祖先についてはいろいろな説がありますが、それぞれを裏付ける証拠は必ずしも残っていないといいます。祖先として考えられるのは、オオカミ、キツネ、ジャッカル、コヨーテ、ディンゴそして野生犬といわれるものなどです。一般的にはオオカミとジャッカルが犬の祖先の最有力候補だといいます。
 
オオカミは歴史的にはやはり残酷で恐ろしい悪役という評判を取ってきました。しかし20世紀初頭あたりからのオオカミ退治(乱獲)による数の激減に伴って、オオカミと犬は兄弟だということをほのめかすような小説(『荒野の呼び声』1903年Jack London作)が出たりして、オオカミに対するイメージが高まりオオカミは犬の祖先であると人々の心が受け入れやすくなってきたのです。


 ところが、、ジャッカルが祖先だとする説はあまり歓迎されていません。(ことバセンジーに関してはジャッカルが祖先だとする説が有力とか)ジャッカルのイメージは悪いのです。墓をかぎまわり掘り起こしたり腐敗物を食べたりというような好ましくない評判が災いして、ジャッカルが犬の祖先であるという説を受け入れにくくしてきました。

 しかし、ジャッカルの生態や行動の特徴は小型のオオカミやコヨーテと共通していて特別ジャッカルだけが非難の対象となるのは筋違いらしいのです。むしろ科学的に見て、ジャッカルは犬と共通の特徴をもっているといわれます。犬の身体のどこかに少しでも白い毛の部分があるならば、尻尾の先にも白い毛があることが多い。ジャッカルもまた尾先が白いことが多いといいます。オオカミやコヨーテにはこうした例は皆無だそうです。すなわち、犬の祖先にはジャッカルの遺伝子が含まれているという説が有力になったのです。

 バセンジーの嗅覚系行動や、尾白等を見ると、ジャッカルが祖先だとする説には不思議と説得力があります。(バセンジーに関するあるサイトには「Basenjiの足先をみると、水鳥の足のように、指と指が水かき様の皮膚の膜でつながっていて、これもジャッカル説の論拠のひとつのようです」という説明もあります。)
(参考 Fudakuan Site http://www2c.airnet.ne.jp/fudakuan/)

 家犬の本当の祖先は、これと特定できるものはなく、あらゆる野生のイヌ科動物(オオカミ、キツネ、ジャッカル、コヨーテ、ディンゴそして野生犬等)の遺伝子を受け継いでいるいう風に理解しておくのが妥当のようです。

         (参考文献:The Intelligence Of Dogs by Stanley Coren 1994   日本語版 木村博江訳)


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(パル5歳の誕生日にあたり)

 パル5歳。人間で言えば36歳前後の壮年期といったところでしょうか。5年といえば人間だって一区切りの年数です。ましてパルにとっては既に人(犬)生のほぼ三分の一を過ごした勘定になります。この5年間をどのような思いで過ごしてきたのでしょうか。共に暮らす飼い主としてパルに恥じることがなかったか、必ずしも自信はありません。

 人に媚びることもなく、ただひたむきに遊び、ひたむきに走り、ひたむきに追う・・・パルと共有した時間と空間は何事にも替えがたく、どれほど明日への勇気を与えてくれたか分かりません。決して日本の自然や暮らしている条件が充分という訳でもないのに、それに適応していこうとする姿、あるいは、生き抜くことだけを前向きに考えているようなバセンジーの姿、単に動物だからと簡単には片付けられない、正直、深い感動を覚えます。

 数千年にわたりほとんど人の手を加えられていないと言われ、純血に近い犬種であるバセンジー、そのバセンジーが日本の環境に適応しながら、こうして目の前にいることが今でも不思議に思えてなりません。この不思議さ、あるいはバセンジーの歴史的ロマンを大切にしながら、これからの5年、10年を共に想い豊かに暮らしていけたらと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。


lk_topttl_btn_06.gif不幸なバセンジーをつくらないために


 2005年2月某日、動物愛護相談センターに収容されていた一頭のバセンジーが天国に召されました。心から冥福を祈りたいと思います。このバセンジーは迷子というより、状況から判断すると捨てられたものと思われます。しかも長年にわたり実質的に飼い主不在のまま不幸な生活を強いられていたとも想像できます。収容期限が切れる当日、バセンジーの飼育経験が豊かなあるご一家がこのバセンジーを引き取ることを決意してセンターを訪れました。しかし・・・・・・・・・以下はその方からいただいた当日の様子を伝えたメールの抜粋です。(ご本人にご了解をいただき掲載させていただきました)
(2005.2.22)
 こんにちは。本日、八幡山のセンターに家族3人で行って参りました。数年前でしたら、娘も3頭も我が家におくのかよ!などと言っていましたが、今回は、受け入れてくれ強引にも、捨てられたバセンジーを引き取る覚悟で出かけました。しかし当のわんちゃんは、推定7〜8歳(※)でゲージを開けても出ようとはせず、ゲージの中に顔、手等近づけると歯をむきだし、唸る始末。右眼が、かすかに見えるくらいで、ほぼ盲目の状態でした。まだまだ未熟な私では、到底扱えることができず、心ならず見放す事となりました。ゲージの中でなにか悟った様な目をしていました。晩年の長い間かなりひどい扱いを受けていたようです。でもセンターはとても暖かく最後の1週間は、彼女にとっては、幸せだったのかもしれません。明日には、処分されるとの事で、メールを打ちながらも涙が、・・・・・・・・・・・
(返信2005.2.22 パルのおやじ)
>センターはとても暖かく最後の1週間は、彼女にとっては、幸せだったのかもしれません。
そうですね。このバセンジーにとって安心できた一番幸せな数日間であったことだと思います。 明日には悲しい現実が待っていますが、でも、ご家族でセンターまで行って下さった事もこのバセンジーにとって本来の人間の暖かさに触れた最後のひと時だったと思います。 本当にありがとうございました。
※あとから考えると本当は5歳くらいではないかとおっしゃっていました。特徴から5年位前吉祥寺のスーパーで売られていた仔と符合するとも・・・
 不幸なバセンジーをこれ以上つくってはいけない。もちろんバセンジーに限らず不幸な動物達をつくってはいけない。そのために私達が出来ることは限られていますが、小さなことでいい、これからバセンジーと暮らそうとしている人も含めて飼い主の輪を広げることでもいい、そうでなくても、絶対にこの仔を不幸にしないと心の中で叫ぶだけでいい。小さな心掛けひとつでも、やらないうよりはやったほうがいいに決まっている。そこにはバセンジーの特質を本当に理解した上で共に暮らしているだろうかという自問自答が必ず生まれてくるはずです。不幸なバセンジーをつくらない強力な手立ては結局は飼い主である人間の心です。バセンジー達は(あるいは動物達は)飼い主がどんな人間でも、最後までその人のあとをついていこうと努力します。純真でひたむきなバセンジーを、純真でひたむきな動物達を決して裏切ってはいけない。不幸なバセンジーをつくってはいけない、このことを胸に深く刻みたいと思います。


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