マガンと共存する「ふゆみずたんぼ」宮城県蕪栗沼ツアーに参加して(2日目)                                    
●2月20日(日)の行程(●2月19日(土)の行程)


 05:15 ロマン館・発
       「蕪栗沼・雁の朝の飛び立ち観察」講師:蕪栗ぬまっこくらぶ・戸島氏、鈴木氏
 07:00 ロマン館・着、朝食
 08:30 ロマン館・発
 09:30 「ふゆみずたんぼの取り組み」講師:ふゆみずたんぼ農家・斎藤肇氏
 11:00 ロマン館・着、地元食材料理の昼食・意見交換会
 12:30 終了、就寝


昨日は午後2時から午後9時まで蕪栗沼の雁の飛び立ちや雁について講演を聞くなど充実した時間を過ごした。初めて経験した
鳥の観察に感動したが、今日は、雁の朝の飛び立ちの観察、マガンと共存し「ふゆみずたんぼ」の農業に取り組んでいる青年ガ
イドによる現地案内と講演、地元の食材を使った食事など参加料を度外視した中身の濃いイベントだった。


◆蕪栗沼・雁の朝の飛び立ちを観察

2日目は、まだ薄暗い午前4時30分頃に起き午前5時15分に宿泊先を出発した。バスの中では居眠りをしている観察者もいたが現地に到着するころにはうっすらと夜が明けていた。途中、ガイドから運転手に車のライトは下向きにして欲しいと指示があった。まだ寝ていると思われる鳥たちへの配慮だった。蕪栗沼の朝は冷え込んでいた。天気は晴れ。絶好の飛び立ちの観察となった。鳥たちへ気を使いながら堤防の下を歩いていったが突如として数千羽の雁が一斉に飛び立っていった。注意して歩いたが人の気配を感じて飛び立ってしまった。まだ薄暗い時間帯で太陽とともに行動する鳥たちにとっては迷惑なことと思った。暫くすると蕪栗沼のあちこちから一斉に飛び立つ雁の群れを観察することができた。それぞれにグループがあるようで飛び立つ方向はまちまちだった。集団の数も大小で雁の家族構成が違っているような感じだった。数羽が飛び立つ姿もあったがそれはグループに遅れを取った鳥たちかと思った。
◆地元産の朝食を堪能

朝食は、雁の飛び立ちを観察した後、午前7時30分から宿泊先の食堂で食べた。ふゆみずたんぼでとれた無農薬のご飯と産みたての生卵。炊き立てのご飯にプリッとした黄味の生卵をかけて食べた卵ご飯は格別だった。若い青年は山盛りのご飯に残っている卵をもう一ついただきお代わりして食べていた。


◆ふゆみずたんぼの見学と取り組み

朝食後は、伸萌地区農家の斉藤さんという方の案内で「ふゆみずたんぼ」の見学と講演を聴いた。現地に行くと斎藤さんは昔の農作業の井手達で迎えてくれた。すげ笠にみのを着ていた。ツアーに出席した人を迎えてくれる心意気が伝わってきた。

【お父さんが築き上げた農業を継いで】

斎藤さんは30歳。03年の夏に冬期湛水(たんすい)・不耕起栽培圃場(ほじょう)の見学会で生き物と共存す農業を知ったそうだ。冬期湛水に取り組もうとする斎藤さんは、両親に稲穂を食べたり食害になる鳥をなぜ重視するのかと反対されたそうだ。冬期湛水を始めて2年目、昨年の12月にお父さんは62歳で他界したてしまいお母さんから農業のノウハウをいろいろ教えてもらっていると話していた。お父さんとの思い出を話してくれた。水をくみ上げるポンプが故障した時、お父さんが夜遅くま車のライトを照らしながら直していたそうだ。そのことは後から知ったらしいが、あれ程反対していたお父さんは陰で応援してくれていたそうだ。お母さんもまたお父さんには「息子のや気の芽を摘むな」と再三お父さんに話していたそうだ。これも後で知ったことと言っていた。何ともジーンと来る話で親子の絆の深さを知った。参加者のあるお母さんはその話を聞いて自分にも斎藤さんと同い年の息子がいると涙を流してIいた。ご主人と一緒に農業をしてきたお母さんは斎藤さんにとっても心強い味方であると感じだ。斎藤さんの家には92歳のおじいさんが健在で昔の農法をいろいろ教えて貰っていると言う。おじいさん自身も斎藤さんに教えることで元気を貰っているらしい。斎藤さんは、おじいさんを農業の師と仰いでいると話していた。
斎藤さんは田んぼに広がる自然の風景を説明してはこの風景を残し環境の担い手になって励みたい。毎朝、ふゆみずたんぼに来る雁の数をカウントしている。雁の数が増えていると取り組みに応えてくれているような気がして我が子のように見えてくる。今年はねぐらをとっていた雁もいた。行政も一生懸命である。

【ふゆみずたんぼに取り組む課題】

課題もあるという。農家が水の管理をすればするほど雁が散ってしまう。第三者が増えると農作業をしている人は覗かれているという気持ちになる。車の出入が多くなりトラクターの通行の邪魔になる。雁を見に来る人もマナーやモラルをきちんととって欲しい。どうしたら共存できるかを一緒に考えて欲しい。何をすべきかこの風景を見ながら考えて欲しい。ラムサール条約に登録されると人も多くなると熱い気持ちを話してくれた。
マガンと共存する農家の取り組みに第三者の人の共存もまた重要な問題であると感じだ。その後、宿泊地へ帰り再び斎藤さんからスライドによる講演があった。ふゆみず田んぼの耕作模様など自分で撮った写真をベースに更に熱のこもった講演になった。
冬の夜に子供と一緒に観察したときに撮った写真も印象的だった。雪道に残る雁の足跡は餌を求めて歩く雁を想像してふゆみずたんぼの大事さを感じだ。雪を掘り起こして草をついばんだという写真も印象的だった。自然の厳しさを肌で感じながら一生懸命越冬する雁の姿を想像した。ふゆみずたんぼのあぜに鷹用の止まり木がある写真の説明があった。止まり木の下には藁が敷いていた。その藁にねずみがねぐらを構えそれを鷹が食べる。ふゆみず田んぼに雁がやってきて糞をして肥料にする。狸がきて鴨を食べる。全て共存の世界という感じだった。


◆地元食材料理の豪華な昼食

2日間の食事の中で昼食が一番豪華だった。
体験型農家レストラン「蔵楽」の料理長による手作り料理だった。
焼き魚は隣の一迫町で養殖された鱒。それは炭火で焼いた焼きたての鱒だった。ハム・ソーセージの盛り合わせ。ハムは地元のアグ
リハウスで作った手作りハム。地元の養豚家4人が飼育した豚を使用。アグリハウスでは毎月2回10日と25日に作るという。食堂で
は手打ち蕎麦の実演が行われ二八そばが振舞われた。また、餅つきのイベントがあり古代米のもち米を使ったつきたての雑煮も振舞
われた。手作りハムに添えられた野菜サラダにかけるドレッシングも手作りでゆずの香りがした。デザートのいちごは隣町で採れた地
場産のものでこれもまた甘くて美味しかった。地元の食材をふんだんに使い実際に手作りをしている現場を見て味わう食事は至福の
境地そのものだった。

◆今回のイベントに参加して

鳥の観察は初めての経験だったが参加して大きな収穫を得たと大満足した。
雁の研究の講演、冬水田んぼに取り組む青年の講演、雁のねぐら入りと飛び立ちの観察、地元の食材を使った食事に舌鼓をして2日間を終わった。
今回の参加は、ツアーモニターとしてアンケートを提出することになっていた。感じたままを赤裸々に記入した。参考になったかどうかわからないが今後のエコツアーに活かしていくといっていた。スタッフのみなさんには大変お世話になった。一生懸命に案内していただいた。
2日間のイベントは充実していた。心地よい満足感を抱きながらふゆみずたんぼの米とイナゴ入りのクッキーをお土産に宿泊先を後にした。
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