■骨髄移植患者の死亡原因
■小児白血病にみられる、患者両親の感情・心理的反応
■移植後再発AML・ALL・MDSに対するDLTのGVL効果
■骨髄提供者のアンケート調査(NMDP)
■HLA適合血縁骨髄ドナーの確率
■日本における「インフォームド・コンセント」の実態
直接死因 | 非血縁者間移植群 (N=52)52人中の人数 |
同胞間移植群 (N=104)104人中の人数 |
生着前の非呼吸器性感染 | 1 | 3 |
非呼吸器性感染−GVH0〜1 | 2 | 3 |
非呼吸器性感染−GVH2〜4 | 0 | 2 |
肺炎−GVH0〜1 | 3 | 6 |
肺炎−GVH2〜4 | 9 | 12 |
肝不全 | 3 | 4 |
腎不全 | 1 | 1 |
出血−非中枢神経系 | 1 | 0 |
出血−中枢神経系 | 1 | 1 |
慢性GVHD | 0 | 4 |
遅延型呼吸不全 慢性GVHD(−) |
1 | 0 |
白血病の再発(再燃) | 9 | 24 |
総計 | 31/52 | 60/10 |
感情の種類 | 簡単な説明 |
混乱 | 「自分の子供が白血病にになった」 ・・・・・という事実だけが頭に残り、それ以外の思考が働かない。 診断(告知)直後によくある反応。 |
拒否(※) | 「医者の誤診に違いない」、「自分の子供に限ってこんなことが起こるはずがない」、「どうしても信じられない」といった反応を示し、事実を否定したり、受け入れるのを拒絶する状態。 混乱の次、全ての説明を聞き終えてある程度落ち着いた時に訪れる。 親によっては、この反応が強く長期化することがあるが、これは子供を孤立化させることにもなるし、また治療にもマイナスになる。 |
恐怖 | 子供の将来、治療費(経済的問題)、社会的問題(親戚や会社の反応)、この事態に対する自分の処理能力などに関する恐怖や恐れ、不安。 なるべく口に出すと良い。相手は、理解のある友人か、あるいはセラピストなど専門家が適切。優れた病院の場合、白血病患者やその家族の精神面をサポートするヘルスケア・チームがいるはずなので、相談すると良い。 |
怒り・憤り | 神、運命、現実、医師や医療従事者への(時に激しい)怒りや憤り。 場合によっては、「こんな病気になって」というように、子供にすら怒りを感じる。 これを表に出すか否かは別として、反応自体は特に珍しくはない。 ただし、これは主に患者以外の家族に向かってぶつけられるケースが多い。 はけ口を見つけるのは重要だが、家族も自分と同様の怒りや悲しみを抱えていることを考慮することが重要視される。 家族同士の不和は、患者(子供)にも間接的・直接的に影響する。 |
自責 | この悲劇が、過去に自分が犯した罪に対する罰なのではないかと思う。 主に怒りの後にやってくる場合が多く、過去を振り返っては自分が犯した間違いを探しだす。 また、患者である子供も年齢によってはこう考えることが多いので注意。 病気は過去に対する報いなどではなく、罪や罰とは何ら関係がないことを悟るべし。 |
悲嘆 | 悲しむ。なにかを喪失したような気分になる。非日常の世界を感じる。 『子供の為にできる限り、全力を尽くすこと』と『子供が死んでいずれいなくなるであろう日に備える』という矛盾に悩まされる。 あまりにも早期からの悲嘆は、患者にとっても深刻な悪影響を齎す。 |
※編集注 「どうせ死んでしまうなら、最初からいなかったことにすれば良い。」 ・・・・・どこかで聞いたような話ですが、これはあまり現実的な反応じゃないと思われます。 本当にその子に愛情を注いでいる家族ならば尚更のことです。 こう考える人が決してありえるわけがない、とまでは断言できませんし、あり得そうに思われる反応ですが、いかにも「お涙頂戴」な物語を作りたがる人間が考え出しそうな設定であるとも言えます。 拒絶するなら、『患者の存在』ではなく『患者が病気であること』というのが、自然な反応でしょう。 |
病名 | 例数 | 寛解数(寛解導入率) | 再再発(再発率) | 無病生存 |
慢性骨髄性白血病 (CML・慢性期) |
4 | 4(100%) | 0 | 4 |
慢性骨髄性白血病 (CML・急性転化) |
10 | 2(20%) | 1 | 1 |
急性骨髄性白血病 (AML) |
17 | 5(29%) | 4 | 0 |
急性リンパ性白血病 (ALL) |
21 | 6(29%) | 2 | 1 |
骨髄異形成症候群 (MDS) |
5 | 4(80%) | 4 | 0 |
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▲NMDP骨髄提供者のアンケート調査 (1987〜1990,493名)
出典:NMDP,骨髄バンク:十字猛夫,中公新書 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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兄弟姉妹の人数 (患者を含めた同胞数) |
適合ドナーが1人以上 見出される確率 |
2人 | 25% |
3人 | 44% |
4人 | 57% |
5人 | 68% |
6人 | 76% |
●インフォームド・コンセント 病気や治療法について、患者が説明を受け、同意する権利。 また、説明を受け同意することを、治療開始の前提条件とすること。 |
手術を受けた患者に関する調査結果 (対象:991人) |
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手術の危険性について | |||
説明を受けなかった・・・・・・・ | 422人 | (43%) | |
手術後の結果について | |||
結果を知らされなかった・・・・ | 155人 | (16%) | |
手術の具体的な内容について | |||
説明されなかった・・・・・・・・・・ | 68人 | (7%) |
全国41の病院を退院した患者の調査結果 (解答者:2341人) |
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薬の飲み方や使い方について | |
説明を受けた | 52% |
どうなれば退院できるかについて | |
聞かされていた | 44% |
「手術の危険性を聞いていない患者が40% あまりもいるのは意外。 インフォームド・コンセントが形だけで浮ついて いる現状を示している。」 唄孝一・北里大客員教授(医事法学) |
出典:いずれも朝日新聞,2001/05/01
参考文献は、▽MS4U計画について内のBibliographyを参照のこと。