■日本語 | |||
名称 | 略称・通称 | 簡単な解説 | |
01 | あかちゃん Baby |
ベイブ | 通称、ベイビー。 ベーブ、赤ん坊、赤子、あかちゃん様大閣下とも(ウソ)。 おかあさんのおなかから生まれてきた、ちいさくって、まるくって、ぷくぷくした小さな人間の総称。子供。世界は自分のためにのみ回っていると、本気で考えていらっしゃる恐ろしい御方。 主食は母乳で、こればっかりチューチュー吸ってるので、いつもミルクの匂いがする。因みに、吸引力は極めて強い。 口元に指先を1本当ててやると、母乳と間違えてチューチュー吸い出すおバカさがラブリー・チャーミー。 「だあだあ」「おぎゃ〜」「あぶー」等と怪獣のように喧しく泣くが、実は天使のように可愛らしい。でも、最初は変な顔をしている。 よく眠るのも特徴。というか、寝るか飲むか泣くか暴れるかのみ。理屈が通じないので、話し合いによる解決は望めない。 むっちりスベスベなお身体様を持つ、究極の生物。柔らかい。 解析不能な謎の言語で喋るが、これを解読したものは未だいない。フィーリングで理解すること。 |
02 | アダルト・チルドレン Adult Children |
AC | 本来は、「アダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス:ACOA」。 主に、アルコール依存症の家族の中で育った大人のことを指す。 近年は、機能不全家族で育った子供「アダルトチルドレン・オブ・ディファンクショナル・ファミリー:ACOD」も認められている。 アダルト・チルドレンは、アルコール依存症の親を助けよう、役に立とうと考えるようになる。 また、依存症の親から見捨てられないように、自分の感情や欲望を殺して、親の愛情、注目、評価を得ようと、格闘する。 こうして育ち、「ありのままの自分」を表に出すことができなくなった大人をACと呼ぶ。 自分自身に対しての評価が異常に低く、他人からの評価が無いと、自己の価値が見出せない。 また他人からの評価に対しても否定的になったりする。 病気ではなく、あくまでもトラウマ(心の傷)の一種。 |
03 | アフェレーシス Apheresis |
患者の腕から血液を抜き、血液中の特定の成分だけを取り分ける機械を通して残りの成分は身体に戻す苦痛のない処置。 この方法は血小板献血者の血液から血小板だけをとり出したり、末梢血幹細胞採取をする患者から幹細胞だけを取り出したりするときに使われる。 |
|
04 | アルカリ・フォスファターゼ Alkaline phosphatase |
肝臓や骨で作られる酵素。 血液中にアルカリ・フォスファターゼ値の上昇が見られるときは肝臓か骨根に異常があることを示している。 |
|
05 | アンソニー・ノーラン研究所 Anthony Nolan Research Center |
ANRC | 世界最初の骨髄バンク。 設立者は、アンソニーという子供を『先天性免疫不全症』で亡くした母、シャーリィ・アンソニー。 子供の病気を治すには骨髄移植しかないと宣告された彼女は、子供を救うために自らバンクを作り上げた。 現在は、イギリス最大の骨髄バンクとして世界的にも有名。 |
06 | 移植片対宿主病 (いしょくへんついしゅくしゅびょう) Graft Versus Host Disease |
GVHD | 同種骨髄移植後に起こり、ドナーの骨髄細胞(リンパ球)が、患者の組織や器官体を敵とみなして、免疫学的に攻撃すること。拒絶反応の一種。 100日までを「急性」、それ以降を「慢性」と区別する。 主に、皮膚・肝臓・消化管が標的となり、それぞれの臓器ごとに臨床的な重傷度(stage)が決められ、それらの組み合わせによって全身の重傷度(grade:I・II・III・IV)が決められる。 一部の臓器に強く反応が出ても、総合的な重傷度(grade)は、他の臓器も含めての判断なので、患者の感じ方や気持ちとは合致しないこともある。ジー・ヴィ・エィチ・ディーとそのまま読む。 |
07 | インフォームド・コンセント Informed consent |
説明を受け、同意する権利。 患者が医師から病状や治療法などに関する充分な説明を受け、提示された治療法に満足のいく状態で同意することを、医療を行う前提条件とすること。 ヨーロッパ(特に北欧)ではこれが先進的。日本では2000年11月、日本看護協会(南裕子会長)がインフォームド・コンセントの実態に対する初の全国調査を行ったが、「治療(手術)に関して医師に説明をうけなかった」という解答が43%に及んだ。この結果からも分かる通り、日本は医療技術こそ高いが、医療そのもののレベルは極めて低い。ムンテラと勘違いしている医者が大半。 |
|
08 | インフォームド・チョイス Informed choice |
説明を受け、選択する権利。 患者が医師から病状や治療法などの詳細な説明を受け、複数提示された治療法の中から自分の意思等に基づいて任意に選ぶことを医療行為を始める前提条件とするやり方。思想。 インフォームド・コンセントの発展型。 ヨーロッパでは、これが進んでいる。当然、インフォームド・コンセントすらなってない日本は後進的で未熟。 |
|
09 | 外傷性ストレス症候群 Post Traumatic- Stress Disorder |
PTSD |
外傷性精神障害。外傷的体験による、トラウマの一種。 |
10 | 核磁気共鳴コンピューター 断層撮影 |
MRI | MRIの項を参照。 |
11 | 化学療法 Chemotherapy |
多剤併用(2種類以上の抗癌剤の同時使用)を用いた、科学的な治療法のこと。 大抵の場合、放射線療法と併用される。 抗癌剤大量投与とX線全身照射により、可及的最大限に白血病細胞の減少を図る治療法。 副作用が激しく、様々な危険性を伴なう。 神城ユウタは、この副作用によりAML発病。 |
|
12 | 芽球(がきゅう) blastcells |
光学顕微鏡で判別できる骨髄内の初期の細胞を示す。 大部分は骨髄芽球で、成熟すると好中球になる。通常のリンパ節では、芽球はリンパ芽球で、リンパ球の成長過程の細胞。 通常、骨髄内の細胞の1%を占めるが、白血病はこれが80%まで達する。 |
|
13 | カルノフスキー・スコア Karnofsky score |
骨髄移植後の患者の全身的健康状態を測る基準。患者の活動性で判断する。 移植後の患者の状態を100(まったく問題なし)〜0(死亡)の10刻みに11段階に分けて表す。 間違っても『ミノフスキー粒子』と混同しないよう、要注意。 |
|
14 | 寛解 Remission |
白血病の徴候や症状が、全くなくなった時のこと。 血液の中にも骨髄の中にも全く白血病細胞が見えなくなる。 末梢血血球数が正常値に近づき、少し低形成ないし正形成の骨髄で芽球が5%以下しかないこと、及び中枢神経系や他の髄外領域を含めて、疾病の臨床症状や徴候がないこと。 だが、これをもって白血病の完治となるわけではない。 また、寛解には『完全』または『部分』という言葉がつき、『完全寛解』は病気の形跡がなくなっていることを示し、『部分寛解』は、治療により病気が非常に改善されたものの、形跡がまだ残っていることを意味する。 寛解率は様々な要因で大きく変動するが、新規に白血病と診断された患者の場合で、平均70〜90%。 近年、化学療法の確立と進歩により非常に高まってはいるが、大部分は1〜2年で再発。完全寛解は、CRと呼ぶのが普通。 |
|
15 | 完全寛解 Complete Remission |
CR | 完全な寛解。 15 末梢血血球数が正常値に近づき、少し低形成ないし正形成の骨髄で芽球が5%以下しかないこと。 骨髄移植の条件のひとつ。 |
16 | 急性骨髄性白血病 Acute Myeloid Leukemia |
AML | 白血病の一種。非リンパ性とも。 骨髄芽球性白血病、前骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄単球性白血病、赤白血病、巨核球性白血病。 小児では、発病ケースは少ない。成人に多い。 MPO陽性でアウエル小体がみられる。 FABで、M0〜M7の8病型に細分化される。 医者によってこの数字は異なるが、骨髄移植を施した場合、5年生存率は約50% |
17 | 急性前骨髄性白血病 Acute Promyelocitic Leukemia |
M3 | 急性骨髄性白血病の一種。現在はFAB分類により、M3と呼ばれる。かつての呼称は、APL。 白血病細胞が前骨髄球のレベルにまで分化したケース。 MPO強陽性、アズール顆粒が無数に細胞質内に認められる。 DICを起こし易いのが特徴でありネックだが、AMLの中では、もっとも治癒の確率が高いタイプ。all-trans retinoic acid (ATRA)の内服で完全寛解の確率大(分化誘導療法)。 近年、格闘家のアンディ・フグ氏が亡くなったことで話題になった。 |
18 | 急性リンパ性白血病 Acute Lymphoblastic- Leukemia |
ALL | 小児における白血病で、最も多いタイプ。 リンパ球性白血病、Bリンパ球性白血病、null cellリンパ球性白血病。MPO陰性でAuer小体陰性。 年齢によって、小児・成人と分けられる。小児の場合、2〜6歳の発病が最も多い。成人よりも完全寛解率は高め。 ただし、生まれて間もない乳幼児の発病例もあり、この場合は死亡率が高まる。 |
19 | 急性転化 | 慢性白血病にみられる病状の変化。 慢性白血病には『慢性期(初期)』『移行期』『急性期(後期)』があり、急性転化とは、慢性期から急性期になる移り変わる変化のこと。こうなると病気は急速に進行し、強力な治療を受けなければ、死に至る。 |
|
20 | 血漿 Plasma |
血液の液状成分とタンパク質成分。 | |
21 | 血小板 Platelets Thrombocyte |
血液の中で1番ちいさな細胞の成分。カバいい(可愛い)。 出血を止めてくれるという、素敵な能力がある。 |
|
22 | 顆粒球 Granulocyte |
白血球の下位分類のひとつ。細菌感染から身体を守る細胞。 細胞の中に細かい粒が見られることからこの名がついている。 |
|
23 | 顆粒球コロニー刺激因子 Granulocyte Colony Stimulating Factor |
G-CSF | 顆粒球の成長と成熟を促進するタンパク質。 |
24 | 顆粒球マクロファージ コロニー刺激因子 Granulocyte-macrophage Colony Stimulating Factor |
GM-CSF | さまざまな型の白血球の成長と成熟を促進するタンパク質。 |
25 | 抗原 Antigen |
身体の免疫系の反応を呼び起こす物質。 抗体を生じさせたり、白血球によるその他の防御活動をおこさせる。 |
|
26 | 好酸球 Eosinophil |
白血球の一種で、感染から身体を守るもの。 ノー・サンキューとは、発音が似ているようで全然違う。注意。 |
|
27 | 抗生物質 Antibiotic |
抗菌作用をもつ薬剤。細菌の感染と闘うために用いる薬。 近年、極めて多岐に渡る抗生物質が開発され、多くの細菌感染がコントロールできるようになったが、反面、多くの薬剤に抵抗力を有する細菌の感染が問題視されはじめている。 |
|
28 | 好中球 Neutrophil |
有害な細菌に対する主要防御壁的役割を果たす、白血球の一種。 | |
29 | コーディネーター coordinator |
調節係。複雑な機構の中で仕事の流れを円滑にするポスト。 骨髄移植に関しては、ドナーと患者との間に立ち、関係を取り持つ。ドナーと患者が直接会って交渉すると様々な問題が生じるため、このような役回りが必要となる。 どちらかというと、患者の代わりに骨髄移植に協力してくれるよう、ドナーに頼み込むような立場にある。 |
|
30 | 骨髄(こつずい) Bone Marrow |
骨の中に入っているスポンジ状の組織。 血球産生の主要な役割を果たす。思春期以降、脊椎、肋骨、胸骨、腰、肩、頭蓋骨が造血の中心となる。 よく『脊髄』と混同するおポンチ者がいるが、全然違うので考え直すように。 |
|
31 | 骨髄移植 Bone Marrow Transplantation |
BMT | 幹細胞移植(Stem Cell Transplantation)。 その名の通り、ドナー(提供者)から取り出した骨髄を白血病患者に移植すること。 AML、ALLの寛解後療法として挙げられる、化学療法以外の一選択肢。 CML(慢性骨髄性)に対してはallo-BMTが、殆ど唯一の治癒的治療法。 |
32 | 骨髄移植推進財団 | 1991年12月設立。日本骨髄バンクの中核となる。 普及啓発、ドナー募集、患者登録、骨髄提供予定ドナーのコーディネーション(仲介)、適応・検査基準の決定などが主な役割。 |
|
33 | 骨髄穿刺(こつずいせんし) 骨髄吸引 bone marrow aspiration |
マルク | 胸、もしくは腰の骨に針を刺して骨髄液を採取する検査。 大人でも、苦痛の叫びを洩らすケースがあるほど、非常な(ルンバール以上の)痛みを伴なう。 ちなみに、通称である『マルク』はドイツ語で『骨髄』の意。同じく、ドイツの通貨もマルクである。つまり、現代社会に必要不可欠な貨幣は社会の骨髄ということになる。 |
34 | 骨髄バンク Marrow Donor Program |
MDP | 一般人のHLA型を登録して巨大なデータベースを作る組織。 骨髄バンクは意訳ぎみであり、こう訳すのは少し妙。 おそらく、血液銀行のイメージを持ってきたのだと思われる。 これの存在で、骨髄移植が出来ずになくなっていく患者の数が激減したと言える。 |
35 | コモン・ドナー Common donor |
適応患者であれば、誰に対しても骨髄を提供しようという、天使のように優しいドナー。 | |
36 | コロニー刺激因子 Colony Stimulating Factor |
CSF | ある種の血球の生成と成長を促進させるタンパク質のこと。 |
37 | 臍帯血(さいたいけつ) | あかちゃん様(敬称)が生まれてくる時に娩出される『ヘソの緒』の中には、多能性の造血幹細胞が含まれる。 これは極めて増殖能に富むもので、無菌的に採取できれば、骨髄移植適応患者の移植に有効である。 |
|
38 | 臍帯血移植 Cord Blood Cell Transplantation |
CBCT | 正確には、臍帯血血液幹細胞移植。 分娩後、胎盤と一緒に処分される役目を終えた臍帯。 この臍帯の中にある臍帯血を分娩直後に採取し、骨髄移植の代わりに同様の治療を行う。 天使のように可愛いあかちゃん様(敬称)には一切負担はないので、安心。 なにがあろうと、小さくって、丸くって、ぷくぷくしている赤ちゃんに負担をかけてはならない。人間としての基本。 これから、あかちゃん様(敬称)を産もうという人は、先に産婦人科の先生に『移植に使っていいよ』と申し出ておこう。気の利いた医師なら意味を理解し、適切に扱ってくれるはず。 |
39 | 臍帯血バンク | 骨髄バンクの、『臍帯血血液幹細胞』版。 日本赤十字中央血液センターの臍帯血バンクプロジェクトによって、推進されている。イギリスやUSAには既に存在。 |
|
40 | サイトメガロウイルス cytomegalovirus |
CMV | 骨髄移植後の患者に非常によく見られるウイルス性肝炎・肺炎等の大きな原因の1つとなるウイルス。 サイトメガロウイルスによる肺炎は、致死率が非常に高い。 CMV以外では、単純疱疹性ウイルスherpes simplex virus (HSV) 、水痘帯状疱疹ウイルス varicella zoster virus (VZV)などの感染が多い。 なお、ウイルスを抱えている患者をCMV陽性という。 |
41 | 再発 Relapse |
病気が一旦改善したり、治った後に再び出現すること。 白血病の場合は、多分正式には『細胞遺伝学的再発』と定義されるように思う。 |
|
42 | 自家骨髄移植 auto-Bone Marrow Transplantation |
auto-BMT | 患者自身の骨髄を移植する方法。寛解期などに予め患者自身の正常な骨髄を採取して冷凍保存しておき、前処置後、当該患者にその骨髄を戻す。造血幹細胞が十分冷凍保存後も機能すること、白血病の場合は、悪性細胞を排除し得ることが条件になる。 |
43 | 自己末梢血幹細胞移植 Autologous Blood Stem Cell Transplantation |
ABSCT | PBSCT(peripheral blood stem cell transplantation)とも。 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などを投与し、幹細胞が血中に流出したところでアフェレーシス(成分採血)を行って採取。これを凍結保存(液体窒素)して化学療法後に急速解凍して静注する治療法。 AMLの第1寛解期の有効な治療法として、研究が進められている。 |
44 | 生着(しょうちゃく) Engraftment |
骨髄移植で輸注された骨髄が、患者に受け入れられて血液細胞を作り出すこと。 | |
45 | 生着拒絶 Graft rejection |
骨髄移植で提供された骨髄が患者の身体に拒絶されて、受け取られないこと。拒絶反応。 | |
46 | 生検 Biopsy |
顕微鏡下で検査をするためにごく少量の組織をとること。 正しい診断を下すために必要になるときがある。バイオプシー。 |
|
47 | 制吐剤 Antiemetic |
鎮吐剤の項を参照。 | |
48 | セカンド・オピニオン Second Opinion |
他の病院で、病状などに関する意見を求めること。 医者の梯子。イギリスでは、ドクター・ショッピング等と呼ぶ(?) 自分がかかっている医者が信用できなかったり、別の考え方が知りたい時、積極的に考えてみるべき。 これ止めようとする医者は、無能と考えて差し支えない。 |
|
49 | 脊髄穿刺(せきずいせんし) 腰椎穿刺(ようついせんし) Spinal Tap- lumber puncture |
ルンバール | 細い針を挿入して脊椎の基底の液体を採取すること。 何も白血病に限定されたものではなく、感染症の疑いがあったり、出血が疑われるのにも関わらず、他の検査結果にそれが出てこなかった場合に、この検査がおこなわれる。 腰椎穿刺(lumber puncture)から、ルンバールと呼ぶのが普通。痛みを伴なう。 しかし、看護婦さんが腰椎穿刺と漢字で書き記していたのを見たことがあるから、恐らく病院によって異なるのだろう。 |
50 | 赤血球 Red blood cell |
RBC | 肺から酸素を受け取り体中の組織に運ぶ役目をする細胞。 |
51 | 前処置 Preparative regimen |
骨髄移植に先立って患者に行う化学療法や放射線照射。 病気の細胞を殺したり、健康な新しい骨髄が入る場所を用意したり、生着拒絶が起こらないよう患者の免疫系を抑えておくために行われる。 |
|
52 | 全米骨髄バンク National Marrow Donor Program |
NMDP | 全米各地にあった骨髄バンクが1987年9月統合されたもの。 本部は、ミネソタ州ミネアポリス。 骨髄バンクの規模としては、世界最大。登録者数も200万人を超える。 1988年からは、毎年秋に年次大会が開催されており、多くの研究者や関係者が集う。日本からも、骨髄移植推進財団から代表が出席する。 ただし、日本の骨髄バンクとは色々とシステムや思想の相違がある。 |
53 | 造血幹細胞 | 血球の元になる細胞。骨髄移植は、骨髄中にある造血幹細胞を患者の体内に入れて、正常な機能を取り戻そうとする試み。 | |
54 | 層流式空気清浄装置 Laminar air flow unit |
クリーンルームなどの移植施設で、空気中から微粒子物質やカビ類を取り除くために用いられる空気浄化フィルター装置。 | |
55 | 単球 Monocyte |
白血球の一種で身体を侵略する細菌やカビと闘うのを手伝う。 | |
56 | 鎮吐剤 Antiemetic |
または、制吐剤。 吐気や嘔吐を抑える薬。吐気止め。 |
|
57 | 転座 Translocation |
骨髄またはリンパ節中の染色体の異常。 染色体の一片が切り離れ、別の染色体の一端にくっついた状態。 平衡的な転座では、二つの染色体がそれぞれ切り離され、離れた部分が相手の染色体の壊れた部分にくっつく。壊れた部分の遺伝子が変化。体細胞変異の一つの形で、遺伝子をがん遺伝子にと変質さる。 |
|
58 | 同種骨髄移植 allo-Bone Marrow Transplantation |
allo-BMT | 他人の骨髄を患者に移植すること。 患者自身のものではなく、ドナーの骨髄を輸注する骨髄移植。 普通、骨髄移植といったらこれを意味することが多い。 スタンダードな骨髄移植。 因みに、相手が一卵性双生児であった場合は『同種』ではなく『同系』と呼ばれる。これは医学用語で遺伝的に同一という意味。 |
59 | 同朋 | 両親を同じくする兄弟姉妹、血族。 | |
60 | ドナー Donor |
提供者。骨髄移植の場合は、健康な骨髄を患者に提供してあげる側の人間を指す。 今では日本でも一般的に使われるようになったが、骨髄バンク設立以前までは、横文字で馴染みがないことを理由に、この言葉の使用は極力避けられてきた。 場合によっては、骨髄提供希望者と訳されることもある。 |
|
61 | ドナー・プール Donor Pool |
骨髄提供希望者の登録リスト。 決して、ドナーが泳げるプールのことではない。 |
|
62 | ドナー・リンパ球輸注 Donor Leukocyte Transfusion |
DLT | 同種骨髄移植後の再発例に対し、ドナーのリンパ球を輸注し再発を治療しようとする同種免疫療法。 意図的にGVHDを引き起こし、白血病細胞を攻撃させようというもの。 すでに血縁者間ではかなり実施されてその効果が認められてきている。しかし、骨髄バンクを介した非血縁者間の場合は、ドナーコーディネートが再度必要となるなど、解決すべき課題が多く、日本では実施例が極端にすくない。海外では一般的に行われている。 |
63 | ナショナル・ミニマム National minimum |
N.ファーニストとT.ティルトンにおける『福祉国家の類型(The
case for the Welfare State)』によれば、イギリスは『社会福祉国家』となる。 これは経済政策の面では、民間の協力により経済成長を推し進め、公共事業を通して完全雇用を追及するかたわら、個人財産に代わって国民生活を保証する福祉国家である。 社会福祉国家が保障するのは、基本的に『あらゆる平等』ではなく、その一部の『平等的最低生活』である。 つまり、所得の有無に関わらず、市民社会の全員に対して必要最低限の保障と給付を国家の義務と考えるのが、ナショナル・ミニマムである。 自由主義的思想を基盤に、機会の平等を求めるものとも言える。社会政策における専門用語(?) |
|
64 | 日本骨髄バンク Jaapan Marrow Donor Program |
JMDP | 日本の公的骨髄バンク。1991年設立。バックボーンは、財団法人・骨髄移植推進財団など。 2001年3月末の段階で、ドナー登録数は約13万5000人。 内部に様々な問題を抱えており、特に上層部は酷く腰が重い。患者に訴訟をちらつかされて、漸くDLTを本格検討しはじめたという話もこれを証明している。 国際化の遅れも先進国にあっては甚だしい。 ちなみに、ドナー数13万5000の数字は、日本より2年遅れてできた『台湾骨髄バンク』では1996年、既に達成(14万人)。同年、『全米骨髄バンク』の登録数は200万人を超えた。 |
65 | バイオプシー Biopsy |
生検の項を参照。 | |
66 | 白血球 White Blood Cells |
WBC | 血液細胞の一種で、感染や病気に対する生体の防御に重要な役割を果たす。 好中球、好酸球、好塩基球、単球、そしてリンパ球と、大まかに5種類に分類される。 |
67 | 白血病 leukaemia |
血液のガン。 白血球生成組織が不可逆的系統的に増殖する疾患。 血液像、骨髄像(白血病細胞の種類)から分類される。 おおまかには、急性か慢性か。リンパ性か非リンパ性(骨髄性)かで分類する。また小児か成人かでも特徴が異なる。 専門的には非常に細かく分類されるが、際限がないので割愛。 ガンの中では、かなり治りやすい方。 |
|
68 | 非血族間骨髄移植 | 血の繋がりのない、血縁者でない他人から骨髄提供を得て行うタイプの移植。 骨髄バンクはこれを支援するために存在する。 |
|
69 | ヒックマン・ライン Hickman line |
Hickman | カテーテルの一種。 首と肩の間の部分から静脈内に挿入する太い点滴チューブ。 セントラル・ライン、ヒックマン・カテーテルと呼び方は様々。 |
70 | フィラデルフィア染色体 Philadelphia chromosome |
Phl | 骨髄液中に存在する特異的な染色体異常。 9、22転座。ヒトの染色体は46本(23個の対)からなるが、その中の9番と22番染色体の間で起こる染色体異常。 これが存在すると、リスクの大きな白血病として分類される。 ALLの場合、成人に多いが小児には少ない。 |
71 | プライベート・ドナー Private donor |
特定の患者に対して骨髄を提供しようというドナー。 提供する相手を選ぶ人。たとえば、家族にだけに提供し、他人には提供しないというような者をいう。 コモン・ドナーの対極に位置する。 |
|
72 | プロトコル Protocol |
プロトコール。治療手順。 症状や患者(家族)の意思・意見を考慮に入れ、医師(団)が計画する治療プログラム。 著者の知る限り、AML87〜97 study(AMLプロトコル、JALSG)。 TCCSG-L95-14HR、TCCSG-L92-13SR(ALLプロトコル、日本)。 Protocol NHL904(ALLプロトコル、イギリス)などがある。 最近は、従来のプロトコルにのっとった画一的治療から、患者によって個別化された治療へと変わってきている。 |
|
73 | ヘモグロビン Hemoglobin |
赤血球の一部分で、酸素を全身の組織に運搬する。 血が赤く見えるのは、これが赤色をしているから。 |
|
74 | 放射線療法 radiation therapy |
TBI | X線照射の機器から作り出される高エネルギー放射線を使った治療法。 白血病の治療に用いられる際は、主に2つの効果があり、1つは体内の白血病細胞を殺すこと。 もう1つは、抗がん剤投与の補助的な効果を期待する。 この全身照射により、治療効果が上がる。 しかし肉体にかかる負担が大きく、長時間に渡り動くことができなくなる。 |
75 | マクロファージ Macrophage |
白血球の一種で、外来性の有機体を飲み込んだり破壊したりして、身体が細菌や感染と闘うのを助ける。 異物侵入に際し、細胞内にとり込み(貧食)、異物を消化処理する細胞。 |
|
76 | ミエロペルオキシダーゼ Myeloperoxidase |
MPO | ミエロペルオキシダーゼ染色。 白血病を分類する決めてのひとつ。 陰性で、リンパ性。陽性で骨髄性。 |
77 | ムンテラ Mund Therpy |
ムンテラ | 「口で(ムント)癒す(テラピー)」という意味の、いまいち何が言いたいか不明な和製ドイツ語。早く言えば、「病状説明」のこと。 ムント・テラピーと言うべきなのであろうが、こう呼ぶ者はいない。 患者に病状の変化などを説明するなど、医者の言葉によって、次の治療の発展や、結末を患者もしくは家族に告げる事・・・・となっているが、医療側の「自己弁護」に終始する事になっているのが現状。 もし悪魔の辞典にこの「ムンテラ」の項があったら、きっとこう書かれているに違いない。 『ムンテラ=患者に有無を言わせず、医者の都合を押し通す事』 |
78 | 免疫抑制 Immunosuppression |
患者の免疫系が正常レベル以下の機能しかしていない状態。 | |
79 | ラウンド・テーブル Round tablr association |
ラウンド・テーブル・アソシエーション。 アンソニー・ノーラン研究所の主な財源のひとつで、イギリスのボランティア・グループ。6週間10万人という新規ドナー獲得の世界記録を樹立した大きな組織。 円卓(円形の丸いテーブル)には上座がないことから、これを『平等』の象徴として、ラウンド・テーブルの名を掲げている。 40歳を上限とする、青年の社交研修クラブ。 日本の青年会議所に相当する。 |
|
80 | リンパ球 Lymphocyte |
抗体を産生し、免疫系を調節して感染から身体を守るのに役立つ、白血球の一種。 | |
81 | リンパ球混合培養 Mixed lymphocyte culture |
MLC | 患者とドナーの白血球が反発しないか調べる検査。患者のドナーになるにふさわしいかどうかを決めるために使われることが多い。 |
82 | レシピエント Recipient |
移植を受ける患者。受給者。 対)ドナー | |
83 | 留置(中心静脈)カテーテル Indwelling Catheter Central venous catheter |
IVH | 心臓の右心房近くの大静脈に挿入される、特殊なチューブ。 しっかりと胸に固定するために、皮膚の下に潜り込まされ、外側に出た部分から、薬、液、血液などを注入し、また、血液サンプルを採取する。 このおかげで、採血の度に腕に針を刺さずに血液を採取できる。要するに、痛みの面では、患者への負担が少ない。しかし、慣れるまで違和感が付き纏い、邪魔になる。 細心の注意をはらってケアすることで、長期間(数ヶ月間)挿入したままにしておくことが可能。 白血病では、主にHickman(ヒックマン)あるいはBroviac(ブロビアック)カテーテルが使われる。 日本では入院後につけるが、欧米では入院に先駆けてとりつける場合もある。 |
84 | ローラ・クレイヴィス 骨髄移植財団 |
USA最初の骨髄バンク。 世界最初の非血族間骨髄移植の成功者であるローラ・グレイヴィスという19歳の少女の名から付けられた。 彼女は結局、白血病の再発で亡くなったが、彼女の父親であるロバート・グレイヴィスがアメリカ中で骨髄を探す人々の為に設立した。 |
|
85 | 予後 Prognosis |
予測した起こりそうな結果。 患者の病気がたどる経過についての、医学上の見通し。 |
|
■アルファベット | |||
名称 | 略称・通称 | 簡単な解説 | |
86 | B細胞 | 2種類ある白血球の1つ。抗体を産出する細胞。 ヘルパーT細胞、マクロファージの補助を必要とする。 |
|
87 | CBC | CBC | 全部の血球の数を調べる検査。患者の血液中に赤血球、白血球、血小板が適切な量だけあるかどうかを見る。 読みはそのまま、シー・ビー・シー。 |
88 | Child B | Jaymee | チャイルドB。ジェイミー・ボウィン。 1990代、イギリスを震撼させたAMLの少女。 子供の権利と生活を保護するため、本名や素性が明かされなかったことから(実名保護の法的規制)、Child Bとマスコミに呼ばれた。 ティーンにも満たないこの少女の、「身体の中に最後の命の一滴しかなくなるまで、絶対に諦めてはならない」からはじまるコメントは、国中にTV中継され、多くの視聴者に深い感銘を与えたという。 神城ユウタのモデルの1人となった。 |
89 | CTスキャン(CATスキャン) CAT Scan Computed Tomography- Scan |
CT,CAT | 放射線によって脳の断面を回転走査し、その画像をコンピュータで処理して見ること。 出血、穿通創、浮腫、脳室の大きさなどを見るには最良の検査。 脳挫傷や脳腫瘍の判断ができることもある。 |
90 | DIC | DIC | 播種性血管内血液凝固症候群。 血管内で小さな血液の固まりが大量にでき、あちこちの臓器を傷つけることで、出血が止まらなくなる。M3に顕著。 |
91 | FAB分類 | French-American-Britishグループが提案した、急性白血病の分類。 AMLをM0〜M7の8病型に、ALLをL0〜L3の4種に分類する。 小児ALL(リンパ性白血病)は、多くの場合L1。 |
|
92 | HLA Human Leukocyte Antigen |
HLA | 正式には、ヒト白血球抗原。 白血球の型。赤血球はA型、B型、O型といったタイプがあるが、これの白血球版。 この蛋白質は、大半の組織細胞上に存在し、組織の型を個人特有のもの。HLAを調べることを組織タイピングと言い、A、B、C、Dという4つの主なHLA抗原の型がある。組織適合性(HLA抗原)。 骨髄移植には、このHLAタイプの一致が必須。 両親を同じくする兄弟姉妹の場合、適合率は25%。 |
93 | IV Intravenous |
アイ・ヴィー。 静脈内の。静脈注射を意味する。薬や水分などを直接静脈内に注入すること。静注。 |
|
94 | MRIスキャン MRI Scan |
MRI | 磁気共鳴映像法。 強力な磁気によって、異なった3つの局面(軸面、矢状面、冠状面)から脳の断面を走査して得られた画像を見ること。 CTよりも感度が良く、微妙な損傷や脳腫瘍を見るのに利用される。白血病では、MRI検査として良く用いられる。 |
95 | T細胞 | 2種類ある白血球の1つ。 身体の中の異物を認識し、その破壊を指揮して免疫反応を停止させたり、異物が入ってくると攻撃したりするのが主な働き。 リンパ球のうち、胸腺由来の細胞の意味。ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞障害性T細胞など幾つかの種類がある。 |
|
■医薬品 | |||
薬品(一般名) | 略称 | 一般名、商品名、特記事項 | |
96 | シクロスポリン ciclosporin |
CSA | 免疫抑制剤。(劇)(指)(要指)。 白血病に関しては、骨髄移植における拒否反応及び移植片対宿主病(GVHD)の抑制効果が認められる。 骨髄移植の場合は、通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量6〜12mg/kgを1日1回又は2回に分けて経口投与。 3〜6ヵ月間継続して、その後徐々に減量し中止する。 高血圧、貧血、多毛症、その他肝障害および腎障害の副作用がある。他の薬剤との相互作用に注意が必要。 |
97 | シクロホスファミド cyclophosphamide |
一般名、シクロホスファミド。商品名、エンドキサン(Endoxan)。 抗悪性腫瘍剤。(劇)(指)(要指)。 多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、急性白血病の自覚的並びに他覚的症状の緩解に効果。 慢性リンパ性白血病にも効果があるが、この場合は他の抗腫瘍剤と併用することが必要。 骨髄抑制、出血性膀胱炎等の重篤な副作用が起こることがある。 |
|
98 | シタラビン Cytarabine |
Ara-C | 代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤。(劇)(指)(要指)。 急性白血病(赤白血病、CMLの急性転化例)に治療効果が認められている。メトトレキサートやビンクリスチンなどの抗癌剤との併用による効果もある。 急性白血病の寛解導入には、ブドウ糖液などに混入して点滴による静脈内投与などが一般的。寛解後は、維持治療として用いられる。骨髄機能抑制等の重篤な副作用に注意が必要。 |
99 | ノイトロジン Neutrogin |
一般名、レノグラスチム(lenograstim)。 遺伝子組換えヒトG-CSF製剤。(指)(要指)。 骨髄移植時の好中球数の増加促進に効果が認められている。 白血球が1000以下の場合投与される。 急性白血病の患者には、芽球増加の副作用があるがパーセンテージはかなり低い。 |
|
H0 | ピラルビシン Pirarubicin |
一般名、ピラルビシン。商品名、ピノルビン(Pinorubin)。 抗悪性腫瘍抗生物質製剤。(劇)(指)(要指)。 急性白血病や悪性リンパ腫の自覚的・他覚的症状の寛解並びに改善に用いられる。 骨髄抑制、心筋障害等の重篤な副作用が起こることがある。 未熟児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。 |
|
H1 | ビンクリスチン Vincristine |
VCR | 一般名、硫酸ビンクリスチン。商品名、オンコビン(Oncovin)。 抗悪性腫瘍剤。(劇)(指)(要指)。 植物の根から抽出されたアルカロイド神経毒。 急性白血病(慢性の急性転化時を含む)、悪性リンパ腫、小児腫瘍などに治療効果が認められる。 通常一日2mg以内の使用量であれば副作用は少ない。 ALLの一般的なファーストチョイス。その他の小児がんにもよく使われる。 重篤な骨髄機能抑制、末梢神経障害等の副作用の危険性がある。 |
H2 | プレドニゾロン Prednisolone |
PSL | 商品名、プレドニン(Predonine)。合成副腎皮質ホルモン製剤。 (指)(要指)。免疫抑制薬として使用。 白血病では、急性、非急性の急性転化、CML、皮膚白血病などの治療に用いられる。 誘発感染症、糖尿病、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、精神障害等の重篤な副作用の危険性がある。 副作用でおなかが空く。 |
H3 | メトトレキサート Methotrexate |
MTX | 一般名、メトトレキセート。商品名、メソトレキセート。 葉酸代謝拮抗剤。(劇)(指)(要指)。レダリー研究所(USA)開発。 白血病(特にALL)及び絨毛性疾患に治療効果が認められる。 骨髄機能抑制、肝・腎機能障害等の重篤な副作用を齎す危険性がある。小児の場合、特にこの副作用には注意が求められる。 未熟児、新生児、乳児(1歳未満)の安全性は確立されていない。 |