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8月29日(木)

 6時10分ホテルを出る。乗車する電車は改札口を出てすぐの1番線から発車する。切符の2枚目に日付を入れてもらい改札口を抜けると、目の前に列車が停車している。日によってはこの時間、博多行きの「あさかぜ51号」が停車しているのだが、今日は運転されていない。近寄ってみると、車体の横に「カートレイン」と書いてある(右写真)。20系A寝台車に貨物車がつながっている。これがカートレインかと思っているうちに、6時18分発車していった。
 6時22分、1961Mが入線。下り普通の1番電車で、呉線の広駅5時34分始発である。この電車で終点の小郡まで行く。海の見える左側のボックスに座ろうと、なるべく人のいそうにない先頭車に乗ったが進行方向へ向かっての席はなく、ばあさま1人で座っているボックス席に落ち着く。6時26分に広島を発車。次の横川でばあさまは降り、進行方向に向かって座ることができた。
 次の西広島で「あさかぜ1号」に先を譲るため6分間停車する。西広島を出ると、左手に広島電鉄があらわれ部分的に並走する。きのう宮島を往復したときに通った線だ。新井口の駅手前の左側に、広電の車庫が見える。西ドイツ製の市電も2編成4両入庫していた。(後日河野氏に、あれはただの新車と言われる)
 廿日市を出てしばらく走ると、左手奥の方に海らしきものが見えてくる。ところがそれもほんのわずかで、すぐ丘の影に入ってしまい見えなくなる。きっとこの丘の向こうは海があるんだろうなと思っていると、電車はやや右カーブをしてトンネルへ入る。短いトンネルを抜けると、また左手奥の方に海が見えてくるが、やはりすぐ短いトンネルである。トンネルを抜けると左手に遊園地が見えてきた。宮島口である。
 宮島口を出るとやっと時々海が見えるようになる。大野浦を出てしばらくすると海沿いを走るが、すぐ内陸部に入ってしまう。岩国の2つ手前の玖波あたりから左手に工場郡が見えてきた。そして岩国に7時21分停車。ここで「あさかぜ3号」に道を譲るのであるが、どうも遅れているようである。こちらの発車時刻になっても到着しない。定刻に遅れること4分、29分に到着しすぐ発車していった。
 藤生の手前から左手に海がちらちらと見えるが、民家が邪魔でよく見えない。しばらく走ると急に民家が途切れ、パッと視界がよくなり瀬戸内海がよく見渡せるようになる。しかししばらく行ったところで右にカーブしトンネルに入る。トンネルを抜けると内陸に入ってしまう。
 由宇あたりから海岸沿いを行く。すぐわきではないが、少し高いところを走るので海がよく見渡せる。次の神代からは堤防を隔てて海、というところを走るので海がよく見える。柳井港あたりまでこれが続く。光を出ると再び海が少し見え、石油タンクが見える。

 外を見て「海が見えた・見えない」と一喜一憂していたら、隣りに座っていたおばさんに「どちらまで?」と尋ねられた。聞くところによると、おばあさんと小学校3年生ぐらいの女の子と3〜4人で秋吉洞へ行くのだそうだ。
 戸田を出て富海の前後まで海が見渡せるが、ところどころにある堤防が視界をさえぎる。防府を出たところで前に座っていたおばあさんと女の子が席を移ると、すぐ女の子2人を連れた別のおばさんが座った。この女の子が最悪で、靴をはいたまま動き回るので私のひざが汚される。おばさんもおばさんで、それを横目で見てわかっているはずなのに全く注意しない。文句を言ってやろうと思うが、おばさんの口調はきつく九州女のようである。下手に文句を言って面倒くさいことになってはと何も言えない。
 大道では貨物列車通過待ちのため7分停車する。この貨物列車は、汐留を昨日16時02分に出て東小倉へ行くのである。9時39分、小郡着。

 途中下車印をもらいに北口に行く。階段を降りると、薄汚れた青い客車が停まっている。よく見るとSL「やまぐち号」である。まだ機関車は連結されていない。改札口へ行ったが途中下車印はないということで南口へ向かう。途中でさきほどの秋吉洞親子に出会う。「お気をつけて」など声をかけあう。
 南口の改札口の駅員は機嫌がすこぶる悪い。9時41分に新大阪からのひかり81号、9時50分に東京行きのひかり100号、9時42分に久留米からの228M、そして9時44分に小野田からの722Mが集中的に到着したため混雑しているからである。私が途中下車印を頼んだら、はっきり言ってムッとするような態度であった。

 今度の電車は、南福岡行きの1227Mである。2両目海側に席をとる。これで下関へ行くのが当初の予定である。何かの本で読んだ下関〜門司間の歩いて渡れるトンネルを通ってみたいのであるが、下関での滞在時間は1時間15分。下関発12時32分の列車には必ず乗らなくてはならない。仮に門司港へ行ってみるとすると、門司で20分の待ち合わせ、門司港着は12時04分。果たして28分でトンネルを抜け下関駅まで戻ってこられるのか。どう考えても無理との結論には達したがどうもあきらめきれない。
 電車は11時17分に下関に到着。とりあえずこのまま門司まで行き、九州に挨拶しておこう。電車はここで4両増結し計8両になり、列車番号も3227M<快速>となる。増結された4両は冷房車なので、ほとんどの乗客はそちらに移動する。
 しばらくすると私のボックスに、黄色いワンピースのかわいい女性が座る。これはなにか話さねばと、海底トンネルのことを聞く。すると、トンネルの下関側は駅までバスで相当かかるとの返事。ついでにいろいろと話をする。彼女は広島の短大生で、小倉の実家へ帰るところらしい。すかさず名刺を渡しておく。
 電車は11時29分に下関を発車。左手に工場郡を見ながら関門トンネルへ。はじめての関門トンネルでワクワクしていたが、入ってみればただのトンネルであった。あっけなく11時36分に門司到着。彼女に「お気をつけて」と見送られ、後ろ髪を引かれる思いで九州への第一歩を記す。
 ところが、すぐ6分後の電車で下関へ引き返す。改札口で途中下車印を押してもらい、ホームへ向かう(左写真)。下車印はよく見ると、何が書いてあるのかわからない。ホームへ上がると、駅本屋の上の方に山がかすんで見えた。
 11時42分の下関行きは鳥栖発236Mで、80%ぐらい座席が埋まっている。私は座らずに左手のドアの横に立つ。再び関門トンネルを通り、左手に操車場を見て11時49分下関着。

 

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