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8月7日(火) 大阪 → 坂出

 

 5時近くになってだんだんと空が明るくなり始めた。新潟では4時で明るいので、だいぶ西に来たのが実感としてわかる。さて中国自動車道に入り、神戸から山陽自動車道に乗り入れたのだが、思っていたより道のアップダウンがある。イメージとしては海沿いを走る平坦な道と思っていたので意外。
 当初義父より四国に寄って行くと言われていたので、最短ルートの神戸淡路鳴門自動車道に入ろうと思っていた。しかし、走りながら義父に聞くと寄らないとのことで、分岐点である三木ジャンクションを直進。三木サービスエリアに5時15分入り休憩。かなりの疲れについつい妻に愚痴ってしまう。

 三木サービスエリアを出て30キロほど走った白鳥パーキングエリアでさすがにダウン。今回の旅行では絶対に運転しないと宣言していた妻と交代。時刻は6時ちょうどで、新潟からの走行距離678キロ。しかし交代したはいいが、「左にウインカーを出すには、スイッチを上にすればいいんだよね」などと運転免許を取得してからまもなく20年になる者の発言とは思えない言葉を聞き、ウトウトしただけ。

 7時近くなり、義父の「朝飯を食うぞ」の言葉により吉備サービスエリアへ(新潟から754キロ)。行楽客なのか帰省客なのか、サービスエリアの軽食コーナーは親子連れなどで満席。でもここは、軽食コーナーでもうどんなどばかりでなく、定食類も扱っていてメニューが盛りだくさん。こうなりゃ元気を出すしかないと、朝からスタミナ定食を注文。
 朝食後しっかりと1時間睡眠をとらせてもらい、やっと少しはシャッキリとしてきて運転を妻から交代する。

 吉備サービスエリアを出てしばらく走ったところで、義父より「瀬戸大橋へ行ってくれ」。やっぱり・・・、そうくると思ったんだ。でも仮眠のおかげで体力を持ち直したのでお説に従い、倉敷ジャンクションから瀬戸中央自動車道へ。早島、水島と「島」のつくインターチェンジが続いたので、すぐに瀬戸大橋かと思っていたのだが、予想より走って9時すぎに瀬戸大橋を渡り始める。見た目より坂になっているのか、車のスピードが出ず次々と後続車に抜かれていく。そして9時15分に瀬戸大橋中間の与島パーキングエリアへ到着。

 車を降りるととにかく暑い。暑さ対策をしていたら、義父たちはさっさとどこかへ行ってしまい、残ったのは妻と長男だけ。3人で展望台へ歩いていく。途中のモニュメント前で記念写真を撮ろうと通りがかりの人に頼む。撮影後「どちらから?」と訪ねられ、二言三言話す。その人は福島の人だった。
 展望台にたどり着き、今度は全員で瀬戸大橋をバックに記念写真。これも別の人に頼むと、その人は埼玉の人だった。どちらも「お気を付けて」などと言葉をかわす。

 休憩所のほうへ行くと郵便マーク。貯金もできるようなので案内所にたずねるとATMのみとのこと。昨年から旅行貯金という「郵便局の窓口でいくらかの貯金をし、その郵便局の局名が入ったゴム印を通帳の支払い欄に記念に押してもらう」ということを始めているので、おそるおそるその旨を尋ねてみる。
 「そういう客はよくいるが、郵便局の方へは島民以外の車乗り入れ禁止なので、島の郵便局へ歩いていく人もいる。ただし、連絡すると便宜をはかってくれることもある」とのこと。郵便局へきいてくれるとのことで待っていると、10分ほどで局長さんが来てくれるらしい。局長さんに通帳を渡すと郵便局を往復して、局印を押してきてくれるという。本当なら郵便局に自分で行って、その郵便局をながめ、その記念に局印を押すものであるが、とっても往復1時間もとっていられない。お言葉に甘えることにして局長さんを待つ。

 しばらく待ってから現れたのは女性の局長さん。通帳を渡すと、「いっしょに行きますか?」とたずねられる。おもってもみなかった問いに驚いたが、つい「お願いします」と言ってしまった。局長さんに案内されて軽自動車の助手席に座る。
 パーキングエリアの第2駐車場近くにゲートがあり、島民以外の車は進入できない。このゲートをくぐって島内へ。人がほとんど歩いていない。10分ほど走って郵便局へ。ちょうど島の反対側にある。
 貯金の手続きを待っていたら局長さんが記念にと、与島の鍋島灯台や人名(にんみょう)についてのリーフレットに未使用の記念切手を貼り、日付入り風景印まで押してくれたものを作ってくれた。恐縮のきわみである。

 パーキングエリアから郵便局への道すがら、局長さんから与島について話を伺う。以前テレビで、「与島はパーキングエリアができたことにより過疎化問題がなくなり活気が出てきた」という報道があったのを思いだし、そのことについて訊いてみると、確かにパーキングエリアが出来て働き口ができたが、賑わいは3年ぐらい。その後のバブル崩壊により、瀬戸大橋を通って人々は島外に出てしまい、一層の過疎化がすすんだとか。中学校に通う生徒は一人で、小学校は閉鎖。島の人の平均年齢は80歳代。人口は150人ぐらいだとか。
 パーキングで観光客が浮かれている反対側で、このような現実があるのである。このことがわかっただけでも、与島に来て良かったと感じた。瀬戸大橋を通ってよかった。局長さんに感謝。
(この時のお礼に帰宅後、新潟の名産品を送ると、逆に讃岐うどんと8月11日にパーキングエリアへ開設された臨時出張所のリーフレットが送られてきた。かえすがえす感謝の気持ちでいっぱいである。)

 与島パーキングエリアを10時半に出て瀬戸中央自動書道へ戻る。左手に与島の鍋島灯台がみえた。そして10時40分、坂出北インターチェンジから約13時間ぶりに高速道路を降りる。新潟からの高速代は、瀬戸大橋の通行料4500円を含めて19700円。高いんだか安いんだか・・・。いよいよ四国上陸。

 

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