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8月11日(土) 東京( 早稲田 ⇒ 本所 )

 

 さきほどの外国人は車内に入ってもうるさく会話していたが、電車が発車してしまうと気にならなくなった。自分は娘二人と前方がよく見える席に座ったのだが、外国人や息子たちは電車の後部に座っている。発車のときに鳴る「チンチン!」という音が心地よい。
 この都電荒川線はバス並みの間隔で駅がある。もちろん各駅に停車してゆくのだが、静寂な住宅街を行く道程が退屈させない。東京にもこんなに緑が多かったんだなと感じさせる。広島電鉄とは違った楽しみがある。
 早稲田を発車して10分ほどたった頃かなりの坂を下って大塚駅前に出る。そして急なカーブをおそるおそるといった感じで曲がり、山手線の下にもぐると大塚駅前という駅。ここでかなりの人数が入れ替わる。観光客といった風情の客も多く乗ってきた。
 さらに10分ほど走って飛鳥山を出ると、交通量の多い道路に入り文字通りの路面電車になる。ただしこれはわずか3分ぐらいのことで、王子駅を回りこむと再び専用軌道に入ってしまう。専用軌道が多いためにこの荒川線だけが生き残ったのであるが、やっぱり路面電車として走ってほしいと思うのは自分のエゴか。
 荒川車庫でしばらく停車した後、電車は下町エリアに入ってゆく。町屋の付近で再びの路面走行。こちらのほうがこの荒川線に似合っているように感じる。娘たちは連日の疲れからか、それとも荒川線に飽きたのかコックリコックリと居眠りをしている。
 14時40分過ぎに終点の三ノ輪橋に到着。すぐに本所防災館に電話をしてさらなる予約の変更を申し入れる。防災館ではいろいろな体験コーナーをツアー方式で案内してくれるのだが、そのスタート時間が1日に6回。9時10分、10時30分、11時50分、13時10分、14時30分、そして15時30分。最初は10時30分に予約を入れていたのを、今日の朝に14時30分へ変更。それがさらに15時30分に変更するというのだからいい迷惑。おまけにもう14時30分の回は始まっている時間。「15時半までには必ず来てくださいね」と念をおされてしまった。

 案内図「みんくる」をみて、この先のルートを検討。めざす本所防災館は本所消防署に隣接しているいるらしいので、横川三丁目バス停で降りる必要がある。三ノ輪橋近くを通るバスはほとんどが浅草止まりなので利用できない。ということで500mほど歩いた竜泉というバス停から[都08]系統の錦糸町駅行きに乗ることにした。息子は腹が減ったとブーブー文句をたれる。朝食以来なにも食べていないので当然のことだが、ここで立ち止まってなにか食べている時間の余裕はない。通り道にあった昔ながらの店で手づくりかりんとうを買い求めてすきっ腹へ押し込んでおく。
 たっぷりと1km近く歩いたところで竜泉のバス停を発見。バスはまだ来そうにない。目の前はパチンコ店。店内に入って涼をとりたいのはやまやまだが、ここでめげているわけにもいかず。
 待つほどのことはなく、まもなくバスが来る旨の放送が流れ、ややあってバスがやってきた。バスの中は冷房が心地よく効いていてホッとする。混み具合もちょうどよく、席にありつけてヤレヤレといった風情。
 浅草でレトロなバスを見かけたりしながら、15時15分過ぎに隅田川を渡って墨田区入り。いつも首都高から見える岡本太郎のモニュメントが頭上にあるのだが、根元を走っているので、見上げてもバスの天井が邪魔で見ることができない。目指す横川三丁目のバス停まであと5つ。順調に行けば間に合いそうだが、10分前までには来るように言われていたことを忘れていた。いつもバスの荒い運転に文句を言っている自分だが、今は逆に丁寧な運転に文句をぶつぶつ言っている自分がいる。なんと身勝手なことか。

 15時半に目指す横川三丁目のバス停に到着。目の前の商店の人に本所防災館の場所を聞いて走る。大通りから入ったところが本所消防署で、その先が本所防災館であった。受付に着くと、急かされながら手続きをして体験カードを受け取る。そして慌しくエレベーターに乗せられ4階へ向かう。まずは3Dシアターで地震についての映画をみる。座席が振動してなかなか面白い。
 つづいて2階に下りてきて煙の体験コーナー。子供連れチームと大人チームに分かれて体験する。子供連れチームの先頭が自分で、煙の充満する部屋に入る。室内の煙は仕事上で馴染みのあるロスコスモーク。ただ単に誘導灯の指示通りにすすめばいいのかと思っていたら、何回も「姿勢を低くしてください」とセンサーに引っかかってしまった。大人チームは途中で誘導灯を消されてしまう。
 最後に地震体験コーナー。自分は酔いやすいのでパスさせてもらったが、娘たちは震度5、息子と弟は震度6強を体験。いっしょに付いてくれた女性の係員は熱心に説明してくれるのだが、説明が細かすぎる。一生懸命に教えてくれようとする気持ちはわかるが、何か学校で講義を受けているように感じた。とりあえず、これですべての体験を終了。
 実は今回体験した地震と煙以外にも、消火体験や応急救護体験などがあり、またいずれかを暴風雨体験に変更するなどして合計4つの体験ができる。でも15時半からの回は2つしか体験できないのであった。自分としては応急救護体験をしたかったので残念。
 ロビーに出ると、夏休み期間中とあってかヨーヨー釣りやスーパーボールすくいのコーナーが設置されていた。最初に配られた体験カードには各体験コーナーでの成績が記録され、最後に訓練評価点と総評が表示された修了証が発行されるとパンフレットには出ていたが、実際には機械が壊れていてプリントアウトは出来ないらしかった。とりあえず満足して外に出る。外は相変わらずの蒸し暑さ。天気も悪く一雨来そうな気配。

 

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