8月19日(月) 福井 ⇒ 長浜
郵便局さがし
ここ福井で約30分の待ち合わせ。あらかじめ妻に断わっておいた通りに、一人で郵便局を探しに出かける。手近な階段を上って出口に向かうと、そこは京福電鉄の駅のそば。改札口で郵便局のある場所を聞けばよかったのだが、なんとかなるとそのまま出てしまった。しかし、外に出てもそれらしい建物が見つからず。
福井といえば大きな町だと思っていたのだが、どうやらここは栄えている方とは反対側の出口らしい。近くにいた老婦人に郵便局の所在をたずねるが「ワシらはこのあたりの人間じゃないからわからん」と言われてしまう。人は見かけで判断してはいけないのだが、聞いた相手はなんとなく浮浪者のようないでたち。なにか違うところへ迷い込んでしまったような感覚にとらわれる。そういえば歩いている人が極端に少ない。
フラフラとさまよっているうちに一軒のパン屋を発見。何の看板も出ていないそのパン屋で郵便局の所在を聞いたところ、親切に場所を教えてくれた。そうしてたどり着いたのが、福井豊島郵便局。時刻は14時50分すぎ。つぎの電車の発車まであと20分もない。局の女性に駅までの近道をたずねるが、どうやら線路づたいに来た道を引き換えすのがベストのよう。すこし早足で駅に戻ると15時になっていた。
福井15:08(228M)15:59敦賀
ホームに下りたが、まだ電車は入線しておらずホッとする。金沢での入線が7分前だったので、ギリギリセーフといったところか。ところがホームの放送はなかなか入線の案内をしない。やきもきしているうちに向こうのホームに札幌行きのトワイライトエクスプレスが入線してきた。この列車は大阪を12時に出て、終着の札幌に翌朝9時07分に着く憧れの列車なのだが、新潟駅には寄らないこともあり、今回が初の対面。しかし、天候がすぐれないためか思ったより野暮ったく見える。
この列車が出発していったあとでホームの放送が盛んに遅れの放送をしていたことに気がついた。それによると折り返す電車は27分遅れで運転していて、到着は15時19分頃になるとのこと。発車予定は15時21分になるらしい。
娘がトイレに行きたいというので、先ほどの改札を出て京福電鉄の駅の横にあるトイレに連れて行く。戻ると列車を待つ人がかなりの数になってきていた。そのほとんどが見るからにヤンキー。地べたにベッタリと座り込んでいて見苦しい。
折り返しの電車は15時18分に入線。本日2度目の寝台電車の改造車。今度も3両編成で大勢の客が出入り口に群がる。中間の車両に乗り込んだところ、ボックス席はわずかに4つで残りはロングシート。ボックスシートは満席だったが、なんとかロングシート部分に席を確保。ホッとする間もなく、15時22分に14分遅れで福井を発車した。
落ち着いてフッと妻を見ると手にはタオルで包まれた飲み物。それをこちらに向かって見せびらかすように掲げてニヤッと笑う。どうやら念願だったビールのもよう。こちらへのおすそ分けは一口だけ。
車窓を見ようと振り返ると窓が小さくてなんとなく圧迫感がある。わずか1駅3分の越前花堂でまとまった下車があり、車内にゆとりが生まれる。でもボックス席は空かず。そのうちに疲れが出てきたのか子ども達が居眠りを始めた。妻は金沢で買ったパンをつまみにビールをチビチビ。鯖江、武生とどんどん車内がすいてきたが、遅れは14分のまま。
北陸トンネル内でこの旅はじめての車内改札にめぐり合う。その際に、電車が遅れたのは台風の接近のためではないかと思い車掌にたずねてみる。すると、台風とは関係なしで、朝に起きた滋賀県内での機関車故障のためとのこと。
長い北陸トンネルを出てしばらくすると、終着案内の車内放送が流れる。下車のしたくをしていたら、この電車がそのまま次に乗る長浜行きとなるとの案内。遅れをまったく回復しないままに、14分遅れの16時13分に終着の敦賀着。ほとんどの乗客が下車し、あいたボックス席に移動。発車は16時54分なので、外に出てみる。
敦賀16:54(150M)17:36長浜
子どもたちに「一緒に行くか?」と聞いてみたが、案の定だれも賛意をしめさず。一人で駅の外に出る。ホームでは気にならなかったのだが、外は肌寒いぐらいの強い風。本当ならここで郵便局を探して旅行貯金をしたいところであるが、すでに窓口の営業は終わっている時刻。この旅行貯金のために、新潟駅5時22分の電車で出発しようとも思ったが、前日残業だったこともあり断念している。
駅前に出てはみたが人通りは少なく、活気が感じられない。天候のせいだと思うが、とくにどこへ行こうという気も起きずに駅舎へ戻る。待合室をのぞくと駅弁の売店を発見。駅弁好きのわりにこの旅ではまだ駅弁を買っていないことに気づき、売られている駅弁をチェック。緊縮の旅だが、「鯛鮨」と「鯖街道さばずし」を買って電車に戻る。
席に戻ると妻の傍らにビールの缶。ホームの売店で買った竹輪をつまみにすっかり上機嫌になっている。そばに何本かビールがあったので1本もらおうと手を出したら、自分で買ってくるように言われる。仕方なく売店でアサヒの発泡酒を買ってくる。
鯛鮨を肴に発泡酒をゴクリ! 美味い、生き返るような心地。電車の旅に出て、駅弁を買って、昼間からビールを飲む。これがしたかった!! 長女は興味を示して鯛鮨をつまんだが、長男と次女は我関せずの体。次女はジャガリコをかかえてご満悦。
ビール2本と駅弁でいい気分になったところで定刻となり、電車が動きはじめた。ここから2つ目の駅「近江塩津」は自分にとって、「筒石」に次ぐこの電車の旅でのポイント。それはこの駅で大阪方面行きの短絡線である湖西線が分岐するため。
この近江塩津駅と湖西線方面の次の永原駅との間に交流と直流が切り替わるデッドセクションがある。これがネックとなり、この2つの駅の間は特急が頻発するのに普通電車が1日に数本しか運転されない。高校生の頃この事を知って、いつかはこの区間を普通電車で通ってみたいと興味をもったのである。
今回は時間の関係でそのデッドセクションを通ることができないが、交通の要衝である「近江塩津」がどんな駅か興味津々。子どもの頃の行ってみたいという願いがかなう。ところが、実際に近江塩津に停車してみると単なる山の中の小駅に過ぎなかった。でも大阪方面に線路が分かれていくのをみて満足した。
そういった子どもの頃から興味のあった近江塩津周辺をながめつつ電車は走る。この辺りは、昨年夏の広島・USJ旅行に向かう途中に山の中、大雨の中で北陸道がアップダウンした悪路の場所が近い。余呉の駅からは遠くに湖が見えて、一瞬琵琶湖かと勘違い。この余呉湖の近くには、昨年の旅行で1回目の給油をした賤ヶ岳サービスエリアが近い。などと外を眺めながら去年の思い出に浸っているうちに、定刻17時36分に終点の長浜に到着した。