6●人は、人として、ただ生きるだけでよい
2006/04/23
人の世界にあって、
人の世界で生きることは、
何も特別なことではありません。
しかし・・・
人は、なぜか、人に脅え、
人は、なぜか、人に甘え、
人は、なぜか、人との暮らしを拒否します。
ここからは・・・
大昔、どんちゃんの生きた時代のことです。
人は、人としての仲間は不要でした。
人が、人として生きる上での
自然な人間関係について、
それを外から客観的に観たときに、
そういう、人同士の拘束の緩い集団を、
仲間、という認識で観ることはありました。
人は、人として、
自然の動物のように自由に生きていました。
また、人としての認識は、
現代とは、かなり違うものでした。
ある人は、その個性のままに生き、
他の、ある人も、その個性のままに生きます。
誰もが、個性のままに生きています。
すると、沢山の個性が集団となったとき、
それらの個性は対立することになります。
しかし、その対立は、現代のものとは、
かなり、かなり違っていました。
個性というものは、その人の生き様ですから、
それぞれの生き様が近くで同時に進行するとき、
それぞれの生き様と生き様にはズレが起こります。
そのズレは、物事に対しての受け取り方の違いや、
受け取った後での行動の違いとなって現れます。
現代では、そのズレを、
無理矢理にでも一致させようとするため、
個性は発揮されず、個性も歪められてしまい、
人間達の間に、様々な悲しい現実が起こっています。
ところが、当時は、そうでは
ありませんでした。
そういう集団で人と人とが、ズレる、その時こそが、
それぞれの個性の発揮しどころだったのです。
つまり、ズレは、いつも大歓迎されたわけです。
一つの例を紹介します。
どんちゃんは、ある人と、ある集団の中にいました。
集団と言っても、前記のような、
とっても緩い人間達の集まりでしかなく、
現代のように何かの目的を持って、
それぞれが、それに協力し合って進んで行く。
というようなものでは全くありません。
自然に、そこに居る人たちが、
何となく気が合う部分があって、
お互いに近い所で暮らしている。
というようなものでした。
その人は、どんちゃんとは、
次の二つの点で、大きな差がありました。
つまり、ズレが、ありました。
一つは、生き方の根本的な違いです。
彼の、人生の指針は、
ただ自然の動きに託すだけでいい。
というものでした。
どんちゃんは、人の想いは様々で、
人の想いには、それぞれの意思があり、
その意思こそが、動きの根本であり、
その動きは、不自然なものではあっても自然なもの。
というような感覚でいました。
彼は、人が不自然なものであることは認めながらも、
人の不自然さには留まることが無く、
その不自然を自然として認容することは、
不自然な世の中を更に大きくするだけだ。
そういう想いでいました。
どんちゃんとの、もう一つの違いは・・・
彼は、人との交流は、
動物的な自然な交流以外は求めるものではなく、
不自然な人間が求めるものは、
やはり不自然なものである。
そのため、そのような、求める交流からは、
やはり、不自然なものが増殖するだけだと言います。
どんちゃんは、
不自然さからの動きであっても、
そこから発生する自然な動きが、
不自然さを少しは解消する方向で、人間は動くもの。
そう主張していました。
人は、人として生きるときに、
必ず、人間として生きなければなりません。
人は、人として生きるときに、
どうしても、人間という柵(しがらみ)の中に生き、
その柵こそが、人が人間となるためには、
どうしても必要なものです。
それが、現実であり、
社会の人間として生きるために、
それは必要な条件となります。
ところが、彼は、こう言うのでした。
我々の想いは、本来は不要なものまでも求め、
本当に必要なものは、実は何も無いことを知らない。
我々の動きは、必要とするものを得ようとするが、
その動きは、実は不必要な動きとなっている。
また、我々にとって、必要なことが、
もし、本当にあるならば、それは既にしているはずだ。
不要なことを、必要なものと思い込むことで、
必要としたものを追い駆けることが出来る。
それにまた、不要とすることに常に躊躇し、
いつも必要な方向へと、巧みに、すり替えることも、
すっかり癖になっている。
人にとって、人間は不要なものであり、
人間にとって、人は必要なものである。
人は、人として生きることを恐れ、
人間は、いつまでも人間として生きることを望む。
この矛盾を、我々は繰り返して来ている。
もう、人間は、しなくても、いいのだ。
もう、人は、人間をする必要はないのだ。
もう、人は、人間を求めなくてもいいのだ。
人は、人として生きる。
人は、人として生きるときに、
人間としても生きることにはなる。
しかし、人を捨てるために、
人間になりたがるのは何故か?
彼は、このように話していたのでした。
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