等差・等比数列とΣ(no.2)
 
複利計算
  お金を銀行などに預けるとき金利がつきます。仮に年利 0.2% で10万円(元金)を1年間預けたとします。
  1年経つと、10万円の 0.2% にあたる金額200円が銀行から預金者に支払われます。この金利分の
  200円を1年前に預けた10万円に上乗せして、10万200円を元金として、さらに1年間預けます。
  次の年は、この10万200円の 0.2% にあたる金額が銀行から預金者に支払われます。
  このように、金利分を元金に加えて、預け続けるのが複利です。ふつう、これを元金成長といっています。
  元金成長に対して、利息受け取りもあります。この場合は、元金は増えません(単利ともいいます)。
  また、お金を借りた場合も同じように残金に対して金利がつきます。
  (なお、実際は、税法で金利分の20%が課税されますが、ここでは課税を考えていません。以下の例題も同様です。)

例題1 10年前に年利 5.2% で10万円預けました。ちょうど今年、満期になります。満期の金額を求め
     なさい。(指数計算はwindowsに付属している電卓で計算できます。電卓を呼び出すには、
     左下のスタート・・・>プログラム・・・>アクセサリー・・・>電卓)
     解答例
     この計算をするにあたり、10万円を100000と表して計算しては行けません。単位の万を省略して
     計算してください。速く、正確に計算するコツは、小さい数字で計算することです。
     10×1.05210=10×1.660188・・・=16.60188・・・ となり、単位の万円を考慮すると、
            16万6018.8・・・円となります。ここで、端数は切り捨てられるので、
                     受け取る金額は、16万6018円 になります。

     ここで、利息の端数処理が1年毎に行なわれたらどうなるでしょうか?
     この場合ですと、元金の10万円は1年後に 10×1.052=10.52万円 (まだ、端数はありません)
        次の1年後(預け入れ時から2年後)に 10.52×1.052=11.06704万円
                        ここで、端数の4は切り捨てられ 11万670円 になります。
        これを後8回繰り返すと、16万6012円 になります。


ちょっと横道にそれましたが、お金の積み立てについて考えます。(課税と端数の処理は考えないで下さい。)
例題2  年利 5.2% で10万円毎年4月1日に預けます。今年が西暦2000年ですから、西暦2005年の
      4月1日にはいくら受け取ることになりますか。(最後の年の2005年は預けません)

解答例
   2000年に預けた10万円は2001年、2002年、2003年、2004年、2005年の5年間の金利が
          付くので、10X1.0525円 になります。
   2001年に預けた10万円は2002年、2003年、2004年、2005年の4年間の金利が
          付くので、10X1.0524円 になります。
   2002年に預けた10万円は2003年、2004年、2005年の3年間の金利が
          付くので、10X1.0523円 になります。
   2003年に預けた10万円は2004年、2005年の2年間の金利が
          付くので、10X1.0522円 になります。
   2004年に預けた10万円は2005年の1年間の金利が
          付くので、10X1.0521円 になります。
   これらの合計金額です。
    10X1.0521+10X1.0522+10X1.0523+10X1.0524+10X1.0525
     =10X1.052X 10.52X 1.28848−1
   0.052
=58.3623万円


もう1題、等差と等比の混合の和です。計算方法は等比数列の和の求め方と同じです。

例題3  (1) 1・1+2・2+3・22+・・・+n・2n-1  を計算しなさい。
      (2) 1・X+2・X2+3・X3+・・・+n・Xn   を計算しなさい。(Xの値により場合分け) 
解答例
    (1) S=1・1+2・2+3・22+4・23+・・・・・+n・2n-1            とおく。
 
      2S=1・2+2・22+3・23+・・・+(n−1)・2n-1+n・2n
        (次数をそろえて書いたら引き算がし易い。文字の計算と同じで係数の引き算だけです)
      S−2S=1+2+22+23+・・・+2n-1−n・2n (最後の項に注意)   
         よって  −S= −n・2n

=(−n+1)2n

−1  より  S=(n−1)2n

+1
    (2) S=1・X+2・X2+3・X3+4・X4+・・・・・・・・・+(n−1)・Xn-1+n・Xn  ・・・[ア]
       XS=1・X2+2・X3+3・X4+4・X4+・・・+(n−2)・Xn-1+(n−1)・Xn+n・Xn+1  ・・・[イ] 
      より、辺々引くと、
       (1−X)S=X+X2+X3+X4+・・・・・・・・・+Xn-1+Xn−n・Xn+1  ・・・[ウ]
      厳密には、[イ] の等式は、[ア] と同値でない。X≠0 の制限を付加することで同値になる。しかし、[ウ] において、X=0
        とすると S=0 となり、[ア]においての X=0 と一致する。つまり、等式[ア]と等式[ウ]は同値であることになる。
        計算課程で同値でないものを用いて導いた結果が同値になっていることに注意してもらいたい。

   ここで、X=1とX≠1の場合について考える必要がある。この場合分けの根拠は、[ウ]の等式をS=・・・・
   と解くときに分母に 1−X という式になるからである。または、右辺の等比数列の部分の和の計算式にお
   いて、分母から考えてもよい。どちらにしても、式で割るときは、≠0 とする必要がある。
     [@]X≠1のとき
        (1−X)S=   X .
1−X
( 1−Xn

) −n・Xn+1

  1 .
1−X
X−Xn+1

−n(1−X)Xn+1

}
              =   1 .
1−X
X−(1+n)Xn+1

+nXn+2

           よって、S=   1   .
(1−X)2
X−(1+n)Xn+1

+nXn+2

 となる。入力の都合で分子にまとめていません
     [A]X=1のとき (X=1 を[@]の結果に代入して S=0 としてしまう間違いをよく見ます。)
         等式[ア]より、 S=1+2+3+4+・・・・+(n−1)+n  
                    = n(n+1)
   2

複利計算(返済)

返済についての説明が抜けていたので追加です。
例題
月利2%で10万円借りました。月末に同じ金額を返済し5回でを完了します。1回の返済金額はいくらですか。
ただし、借りたのは、その月の1日とし、1回目の返済は、その月の月末とします。
   
   解答例
       毎月返済する金額をX万円とします。 
       1回目の返済時には、借りた10万円に対して月利息2000円がつきます。
                ここで、X万円返済すると、残金は  10+0.2−X 万円になります。
                この式は、10・1.02−X  と表せます。
       2回目の返済時には、残金 10・1.02−X 万円に対して月利息(10・1.02−X)・0.02 万円
                がついて、ここで、X万円返済すると、
                残金は  (10・1.02−X)・1.02−X 万円になります。
                この式は、10・1.022−1.02X−X  と表せます。
       これを後 3回繰り返します。(1回目,2回目の形から類推してください。)

       5回目に X万円返済すると残金は、
    10・1.025−1.024X−1.023X−1.022X−1.02X−X    と表せて、この値が0になるので、
           10・1.025=1.024X+1.023X+1.022X+1.02X+X  の関係式が導けます。

       この式の左辺は、10万円を5年間預けた金額になっており、右辺は、X万円を積み立てるのと
       よくにています。(公比の次数が積み立てと異なっていることに注意)
       *毎月返済しているのに、最初に借りた10万円に対して五ヶ月分の金利がそのままついて、
         なんとなく損をした気がします。これなら、毎月返済せずに、毎月の返済額を預金して五ヶ月
         目に一括返済したほうが得なような気がしますが、預金の金利は貸付の金利より低いので、
         毎月返済すべきです。この様な金利の計算を知っておくと、将来役立ちます。

 
     
                        Σについて