因数定理と高次方程式(PART-T)
まず、2次式と2次方程式の違いについて、説明します。この区別がきっちり説明できる人は、案外少ない
と思います。
3X 2 −4X+2,2X 2 +2X−1 ・・・ などは2次式です。
3X 2 −4X+2=0,2X 2 +2X−1=0,3X 2 −4X+2=1,2X 2 +2X−1=2 ・・・ などが2次方程式です。
では、Y=3X 2 −4X+2,Y=2X 2 +2X−1 などはどうでしょうか。じつは、これらも2次方程式なのです 。
厳密には、Xについての2次方程式 になるのです。(Yについての1次方程式にもなる。)普通このよような
X と Y の関係式を2次関数(放物線)の式といっていますが、厳密には2次関数の方程式といいます。

少し前置きが長くなりましたが、そろそろ本題の因数定理に入ります。
2 −3X+2 を因数分解するとき、和が−3,積が2 になる整数の組を考 えて (X−1)(X−2)
2X 2 −3X−2 を因数分解するとき、たすき掛けをして、(2X+1)(X− 2)  のようになります。つまり、
2 −3X+2=(X−1)(X−2),2X 2 −3X−2=(2X+1)(X−2) と表せます。

では、3次式  3 +2X 2 −3X−2 の因数分解について考えていきます 。
このような3次式になると2次式のように”和と積”,”たすき掛け”が利用でません。では、どうやって因数分解
するのでしょうか?
もし、因数分解できたならどのような形になるか考えて下さい。1次式X2次式 ,1次式X1次式X1次式
のようになるはずです。だから、3次式を割りきることのできる 1次式を見つければよいことになります。
3 +2X 2 −3X−2 を割りきることのできる 1次式 X−α が存在したなら、
             X 3 +2X 2 −3X−2=(X−α)X(適当な2次式) ・・・・(@)  
と表せます。ここで、説明を簡単ににする為に αは整数とします。このとき、適当な2次式は整数係数にな
ります。(αが有理数の場合も考えれますがここでは省略します。少し難しくなりますが興味のあるかはここ
ここから説明方法が2通りあります。少し長くなりますが、頑張って最後まで目を通してください。

[そのT]
    (@)の両辺にX=αを代入すると α 3 +2α 2 −3α−2=0 となる整数αを見つけるのです。
           (解くのではありません。解けるぐらいなら因数分解できています。
        α 3 +2α 2 −3α=2  より  α(α 2 +2α−3)=2  となり、αは整数なので
          α=±1,±2 の値が可能です。
[そのU]
    (@)の(適当な2次式)は整数 m ,n を用いて X 2 +mX+n と表せます。このとき、(@)は
             X 3 +2X 2 −3X−2=(X−α)・(X 2 +mX+n)  となります。
       ここで、両辺の定数項に着目すると  2=αn となり、α,n は整数なので
          α=±1,±2 の値が可能です。

    [そのT] ,[そのU] から求められた可能性 α=±1,±2 について調べます。
    これ以降のやり方は、どの教科書にも載っているので各自の教科書を参考にして下さい。
  

ここまでは、3次の係数が 1 で考えましたが、3次の係数が 1 でない場合はどうなるのでしょか?
 

では、最高次の係数が1でない場合について説明します。
例として  3X 3 +X 2 +X−2 を因数分解してみましょう。 
前ページと同様に、これを割りきることのできる適当な 1次式を考えます。このとき、割られる式の最高次
の係数が1でないので、この1次式を X−α とおきます。(前ページと同様に ,αは整数)
      3X 3 +X 2 +X−2=(X−α)(bX 2 +cX+d)  と表せます。b,c,d は整数
ここて゜、両辺の最高次と定数項から   b=3,αd=2   の関係式を得ます。 
また、最高次の係数は正に固定してもよいので、 =1,3  
この場合ですと、X−α ,3X−α が考えれます。さらに、αとしての可能性は、
α=±1,±2  があります。だから、X−α としては、
X−1,X+1,X−2,X+2,3X−1,3X+1,3X−2,3X+2 の1次式が考えれます。つぎに、これらの式
で割り算を実行して、割りきることのできるものを探せばよいのですが、かなり面倒です。また、
   X=1,−1,2,−2,
,−

,−
 を代入して式の値が0になるものを探します。
これも面倒です。少しでも速く、面倒な計算をしないで、求めるためには組み立て除法を薦めます。
この組み立て除法を用いると、順に調べることには変わりないのですが、割り算の実行より計算が簡単で、数値代入のような累乗計算などをしなくてすみます。これより先の計算は、各自の教科書などを参考にして下さい。

3次以上の整式を因数分解するときは、これを割り切ることのできる 1次式として、
      (最高次の係数の約数)X±定数項の約数  
   を考えてください。


   
                剰余定理