CAUTION:全ての運動「スポーツ」また自然の知識や安全な対処方法ならびに救助方法を学習・習得する為には実際の環境下(水の上)で正しい指導と安全管理のもと学習ならびに練習する事が大切です。
6.川でのレスキュー

6-4.ロープを使ったレスキュー
  大きな瀬に入る前には、スカウティングをしますが、ここで「沈して流されたら危険」と判断した場合には、あらかじめ陸上からレスキューできる準備をしておきましょう。最も実用的なレスキュー法はスローバッグを使ったロープレスキューです。ただし、ロープレスキューは助ける側の人がよほど熟練をしていないと、ロープ共々川に引きずり込まれる恐れもあるので、十分に練習をする必要があります。助ける人も、助けられる人も、状況に応じてロープを放せるようにしておきましょう。


 ロープを使ったレスキュー

1.レスキューする人は、足場がしっかりとした場所を確保し、沈脱者が流されてくるのを下流で待ち構えます。沈脱者が流れてきたら、沈脱者めがけてスローバッグを投げます。コントロールが要求されますので十分な訓練が必要です。(野球のピッチャー経験者ならGOODですが)
2.沈脱者がロープを受け取ったら腰を落として半円を描くようにエディーにリードします。
3.ロープには沈脱者の体重+水の抵抗がかかるので相当な力が必要です。楽だからといって間違っても、岩とか木にロープをくくりつけないようにしましょう。なぜなら、沈脱者の首にロープが巻き付いたなどのトラブルが発生したとしたら、すぐにはロープが離せなくなり、沈脱者が川の中で首吊り状態になってしまうからです。

※上手に助けられるには
流れの中では、6−1項で説明したように、両足を上げて仰向けになって流されます。ロープで助けられる時も同じで仰向けの状態でロープを受け取り、下流を向いたままエディーまでリードしてもらいましょう。このとき、上流側を向くと流れが顔にあたって息が出来なくなります。


★カヌースクール(4月22日)に参加した後、インストラクター(鈴春工業 鈴木謙ニ氏)より掲示板にて追加講習をしていただきました。救助に対する素晴らしい理念が書いてあります。是非お読みください。

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さて、いささか長い前置きでしたが、向上心のある初級者パドラー(失礼)にお教え出来て、インストラクターとしては実にやりがいのあるレッスンでした。まだまだ伝えたいパドリングのスキルやレスキューの方法がありますが、貴殿方なら独自に勉強なさることでしょう。

とりあえず、今後じきに必要になるであろうスローロープでの引っ張られ方を述べて追加講習とします。
ロープは、あお向け状態で引っ張られるのが正しい。うつ伏せだと引かれる勢いで水が顔面を覆ってしまうので呼吸が苦しくなります。せっかくつかまえたロープを放しかねません。

仰向きで、しかも上流に頭を向けた姿勢で、レスキュアー(助けてくれる人)と反対側の肩のあたりでロープを両手でつかみます。この時、ロープは首の後ろを通っていること。丁度、ロープを横にぴんと張って肩に担いだ様な状態にするのです。

そしてレスキュアーが右岸にいたら、自分の左肩のあたりで両手でロープを握ります。こうして引っ張られると、ああら不思議。まるでフェリーグライドの時の様に体は流れを横切って右岸にたどり着きます。

みんなでためしてごらんなさい。納得したら、なるべく大勢の人達に教えてあげてください。レスキュアーもビクティム(被害者)も、どちらも楽になる方法です。

では、いずれまた。また試乗会に参加するなら、色々詳しく教えて上げられます。何しろ小生は普段は東京に居るものですから。

★追記
ところで、更に追加しますと、スローロープでビクティム(被害者)を引っ張るレスキュアー(助ける人)には、かなりの強さで川に引きずり込もうとする力が加わります。油断していると助けようとした人が助けられる対象になりかねません。

これを防ぐには、さらにもう一人の手助けが必要です。ロープを投げてビクティムがそれをつかんだら、レスキュアーは急いで腰を後ろに引き、「へっぴり腰」になって自分を引き込む力に備えます。同時にもう一人がレスキュアーの腰を後ろから抱えてサポートするのです。この時、後ろの人は前に回した両手の、四本指を曲げた手のひら同士を重ねる様に組んで、手が離れない様にします。

二人がかりでふんばれば、めったなことでは引きずり込まれません。それでも引っ張られたら、さらにもう一人がサポートします。あるいは、人数さえいれば、最初から三人体制で引っ張るのです。それでもだめな時は、もう仕方がありません、ロープを離すのです。

ここで離さなければ、流されている人に加えて、助けようとした二人、あるいは三人も一緒に流れてしまいます。そうなれば三人か四人が危険な状態になってしまうのです。これを救助するには、当初がんばった人数かける流れている人数と云うとてつもない数の救助者が必要になります。これは、助かる確率をかなり低めてしまいます。

一方、一人が流されているのを何もしなければ、被害者はたったの一人で済みます。冷酷な様ですがこれが現実です。被害者の数は少ないに越したことはないのです。誤解しないでください。何もするなと言っているのではありません。自分や仲間の命を危うくしてまで人を助けようとするのは、聞こえは良いですが間違っています。自らの身を犠牲にする救助法は、その方法自体が間違っているか、あるいは技術的に未熟なせいかのどちらかです。

いずれにしても、助けようとした人も共に犠牲になるのは美談ではありません。間違いなのです。涙を流す人の数をいたずらに増やすことになど何の意味もありません。

自らの安全を確保した上で、初めて人の命を助けることが出来ます。落ち着いて考えてみましょう。助ける側が途中で力尽きてしまった時、流されている人は助かるでしょうか。無理ですね。確実に自分も相手も助けられる方法と技術がない限り、下手に手を出すよりは何もしない方がまだましなのです。勿論、自分の手に負えないのなら、大声で助けを求めるのも立派なレスキューの方法です。くりかえしますが、共倒れになるのは決して美談ではありません。

くどくどとある種の「理念」を述べました。共倒れも見殺しもしないためには、救助方法の理解と練習しかありません。助ける側だけでなく、助けられる側にもそれはあります

--------------ここまで-----------------

鈴春工業東京オフィス 鈴木様には大変感謝しております。


確かな技術と知識を習得するためには『Rescue 3』などの急流救助の専門的知識と技術をトレーニングする、団体も活動を始めています、是非そう言った専門的なトレーニングを受けられることをお薦めします。



7.カヌーツーリング
・・・・・・・へ続く



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