業界最大手、エルフの河原崎家の一族2です。同時期にかまいたちの夜2もプレイしておりまして、比較っぽくなるかも知れません。
最初のプレイでは、フローチャートの五マスぐらいで、突然、フローのスタート地点に戻されて、なんだこりゃと思いました。くわえて、フローチャートから、ストーリーに復帰できない(シーンの回想は出来る)ので、そつのない作りをするエルフにしては、不親切な設計だなぁと思ったものです。
もうしばらく続けてようやく分かりました。かまいたちの夜は、各シナリオは並列世界での展開となりますが、この河原崎家2では、タイムパラドックスネタとなっているのですな。だから、フローチャートから直接選択肢のところへ戻れななったのです。前の時間軸での行動が、のちのち影響しているので、かまいたちの夜のように、直接選択すると不具合が出ますから。
この点から、ゲームシステムは、かまいたちの夜と言うより、YUNOに近いと思います。ただまぁ、YUNOでは、意図的に時間を戻せるし、そのからくり(謎の玉)も用意されているのですが、この河原崎2はなぁ・・・酷いもんですわ。
merdreのデザイアでも、触れていますが、こうしたタイムパラドックス物と言うモノは、事件の発端こそが全てなのです。フローチャートの9割を埋めましたが、謎解きは一切されません。なぜ、主人公だけが、時間軸を戻されても、記憶を積み重ねられているのか、そもそも、なぜ時間軸は閉じてしまったのか。こうした根幹の部分がなにも語られません。
よもや、縄綱の日記の記述だけで、謎の解明終わりなんて思ってないですよね?、エルフさん?
これでは、密室トリックのミステリーで、トリックが解明されないまま犯人が逮捕されるようなもので、物語としてまったく成立していません。伏線や謎だけ提起していて、放置されています。エルフらしからぬ、体たらくと、言い切って良いのではないでしょうか?。と言うか、エルフ物で、一番最後にやったのが、脱衣雀2ですから、知らぬ間に零落していたんでしょうかねぇ。
では、なぜメルドル行きでないかというと、悪役に悪事を働いているという認識があるからです。社会通念からすれば、悪であることを知っているからこそ、河原崎家の中でしか生活の場がないと認識しているから。と言う点がデザイアとの差でしょう。稲垣の「いきる場所が一カ所しかない人間もいるのでございます」と言う言葉に現れているかと。
と言うわけで、お世辞にも出来がよいとは言えません。謎が何も解明されない上、ただの狂人の妄想という設定止まりで、ストーリー的にも、とてもとても浅いものとなってます。
また、「同じ時間軸での別行動が出来る」のが売りとなっていて、その点だけは次第点を出していると思いますが、最初に述べたとおり、タイムパラドックスと言うか、閉じた時間軸の物語なので、選択肢は多数ある物の、全体の物語としては一本道のつまらないシナリオです。
他のゲームで言うバッドエンドになると、特定の選択肢のところまで引き戻されるのですが、正解を見つけるまで、延々とループするハメになります。別の時間軸へ行かないと進まないわけですから。
前作、河原崎1では、マルチストーリー(と言うか展開が多岐に渡る)かつマルチエンドで、ヒロインとのエンディングはもちろん、味方となってくれるキャラとの個別エンドや、河原崎家の一員になったりと、多彩なエンドパターンを用意してありました。くわえて、河原崎家の謎と狂気も、解明されます。
それに比べると、この河原崎2では、エンディングと呼べる物は、ただの一つだけ。謎は何も解明されない。無駄なポリゴンアニメを入れる暇があったら、マルチエンドにして欲しいものですわ。つーか、謎の解明ぐらいしてよ。
マルチエンドと呼ばれ始めた頃から思っていたのですが、主人公死亡をマルチエンディングの一つとして数えるのは、どうなんでしょ?。ならばデストラップの数だけエンディングも増えるの?。エンディング数130。そのうち129が主人公が死ぬデッドエンドだとしても、マルチエンドなん?。それだったら、メディアがテープの頃のミステリーハウスもマルチエンディングだよ。
叙情的と言うのでしょか、不条理ネタが流行し、全ての謎は解明されなくても良い。と言うのはどうなんでしょうか?。全ての謎を解明しなくてはならない。と言うのは少し違うと思いますが、根幹となる部分の謎をも、放置したまま、叙情的にな美しさだけで終わられても、納得できません。
繰り返しになりますが、トリックの解明をしないミステリーなど誰が読むでしょうか?。いや、動機すらも解明さて無い物語を誰が評価するでしょう?。全ての謎が解明される必要はないと私も思います。しかし、根幹となる部分の謎解きや解明は、最低限の責務なのではないでしょうか?
率直な感想として、人気作であり、秀作だった前作の名を借りた駄作と言えましょう。別に野々村病院2でも良かったはずです。こうした過去の人気作の力を借りようとすること自体、会社の減退の兆候と思ってますので、エルフもまさに斜陽なんですかねぇ。企業力や資本力ではなく、クリエイト能力の斜陽かと。
なにか、引っかかっていたのですが、ようやく思い出せました。列車の車内からスタート、夢オチ、ショートカットのヒロイン、メイド、記憶をも朦朧とさせる催淫薬。会社名忘れたけど「拘束」と言うゲームのシナリオとよく似てるなぁと。もしかしたら、シナリオライター同じ人かも。
拘束も、閉じた時間軸の話なのですが、なぜ時間が閉じたのか、全く語られないと言うのも同じですし。まぁ、拘束の方は、閉じた時間と言うより、ただの夢オチなんですが。
もう一つ。
縦筋に沿って穴を埋める悦び。と言うフレーズがコマーシャルコピーとなっているようですが、プレイ中、何か懐かしさを感じていた理由が分かりました。
テープ時代やディスク初期の頃のアドベンチャーゲームって、自分でこうしたフローチャートを書くことが、ゲームの攻略だったんです。厳密には、異なりますが、スタートから東西南北に進んだら何があったとか、フローチャートっぽく、マッピングしたモノです。山下章方式とでも言うのかなぁ。
要するに、この河原崎2でのチャートマップは、昔は紙に書いてたモノを、別ウィンドウで出しているに過ぎない。チャートマップは、通過していないイベントを探すためだけのモノでしかない。別段目新しいシステムでもなく(古いゲーマーならみんなやってた)、かまいたちシリーズのように、意味のあるシステムでもない。
つーか、テープ時代に退化してない?
トドメの一つ。
このゲームの売り文句が「同じ時間軸での別行動が出来る」なんですけど、よくよく考えたら、ゲームというスタイル上、それって当たり前のことだと思うんですけど?。
そうでしょう、道が二つあって、右に行くか、左に行くか、この選択肢を選ぶ行為でさえ、同じ時間軸での別行動です。ただそれは、プレイ回数が異なるだけ。端的な例で言えば、ときめきメモリアルで、一年目の体育祭の種目、どれに出るかでさえ、同じ時間軸での別行動だと思うんですけど。
マルチストーリー、マルチエンドとなれば尚更で、同じ時間軸での別行動は至極当然のことで、売り文句どころか、最低限の条件でもあると思うのですが。
まぁ、セーブ&ロードをすることなく、時間を強制に引き戻されて、失敗したとこの選択肢を選び直せる。と言うのが、「同じ時間軸での別行動が出来る」と言うことの真意なのかも知れません。が、結局それは、セーブ&ロードするのと同じ事。セーブ&ロードないし、再プレイと言う自由意思でなく、強制な分、余計にタチが悪いかも。
あ、そうか、それでディシプリンもつまらないのか。同じ時間軸で同じ行動して、分岐となるポイントが2カ所しかないからつまらないんだ。マルチエンドと歌いながらも、結局同じ行動しかできないから、つまらないんだ。
ともあれ、この「同じ時間軸での別行動が出来る」と言う売り文句は、某社の「やるドラ」と同じぐらい、根本的な勘違い。ゲーム、特にアドベンチャーゲームは、プレイヤーがストーリーを展開させるプレイするドラマ。たぶん、AVGが誕生したときからずっと、AVGは「やるドラ」で、それが最低条件だったはず。
PCスペックが上昇して、ムービーが容易に入れられるようになったせいか、こうした根幹部分で忘れられたことがいっぱいある気がします。SFXに頼り切って、ストーリーや脚本をないがしろにしてしまったホラー映画界の二の舞にならないと良いのですが…手遅れかもねぇ…有名漫画家、アニメーターを起用すれば良いって感じがメインストリームだし…
補記
ずーっと忘れてました。かなーーーーり前(サイト移転前)、掲示板にて「縄綱の腫瘍の位置からすると勃起しなくなる」とかいう解説をいただきました。まぁ、そうらしいです。としか言いようがないので忘れていたわけですが。ぶっちゃけ、腫瘍の位置から機能不全が診断できるって、どこのお医者さん(もしくは医大生か医療マニア)ですかと。あとは、シナリオ書いた本人ぐらいですわな。一般人が分かるわけ無いし。それこそ、きちんと情報として記述しろと。
ついでに言うと、縄綱の不能が、物語の謎(なぜ、主人公だけが記憶を保ったまま時間をやり直せるのか)と言うこととは、直接関係が無いわけですし。あれですか、腫瘍が脳の一部を圧迫することで、超能力が覚醒ですか?。
で、蛭田御大が手を入れた完全版が、かなり前に出ているようですが、どこをどう直したのか気にはなってはいます。が、中古でも高値キープ(5kぐらいですわな)で、確認のため。と割り切れる額じゃないもので (元の出来が良いならともかく)。比較しようにも、無印の方、すでに忘却の彼方ですしねー。元がアレだから、蛭田さんでも、どうやっても無理だろうという気持ちもあります。
んー、ついでにエルフについて語ると、デジャやワーズワースの頃って、デジタルエロ本(エルフ、アリスソフト以前は、野球拳とか脱衣ポーカーとか主流だった)ではなく、おもしろい物語にエロ要素を加えたゲームを作ろう。って気概をひしひしと感じてましたし、実際に、あの頃のエルフのゲームって、非18禁のAVGより、よっぽどしっかりした物語を持ってたんですよね。
裸の絵があるから、まぁ良いか。みたいなものではなく、エロシーン無くても、十分おもしろいゲームやん。と言う。まぁ、2010年でも裸の絵があるからいいや。と言う人が作る側にも買う側にもいる訳ですけども。
シルキーズで、実話ネタゲームを出したあたりから、エルフはおかしくなりましたよねぇ(シルキーズはエルフの子?ブランド)。中古の微妙なライターを採用したり(御神楽とか 、できよく無いよねアレ。らむいろってぽりりんだったっけ?)とか、なにかがおかしい。何かを忘れてしまったのではないかと。
蛭田さんには、今一度、「デジタルエロ本ではなく、おもしろい物語をユーザーに提供する」。と言う気持ちを取り戻し、後方から前線に戻ってくれないものか。『やってみせ』やらせてみせて、褒めてやらねば兵は動かぬ。だったっけ?信玄?謙信?どっちだったっけ?。まぁ、ともあれ、もう一度、やってみせるのが大事ではないかと思う次第 です。
いや、ほんとさ、河原崎家の一族、野々村病院の人々マルチパックって、9kぐらいなのに即売れしてるのよ、中古で…まじめに再販したらどうですか…実話シリーズ以降のより売れたりするのではないかと…
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