1、バイオドールに違いない。問答無用で攻撃する。


センサーを熱源反応に切り替え、標的を捕捉する。二十代半ばと言った男がそこにいた。

「悪く思うなよ」

標的は動じる様子もなく、ただ、薄ら笑いを浮かべている。その笑みに、言いしれぬ恐怖を感じ、発作的にトリガーを握る右腕に力を込めた。

メインモニターが揺らぐ。

警告 センサー機能障害発生。全センサー不能。攻撃は不可能。

トリガーはロックされ、力一杯握り込んでも、微動だにしない。繰り返し警告を発するモニターの向こうで、男は何も言わず、消えていった。その背中は、憂いと寂しさを目一杯背負い込んでいるように見えた。

男の背中がモニターから消えると、何事もなかったかのようにセンサーの機能が回復していく。いったい、何が起こったのだろうか。先ほどの男の映像と、所員データを照合する間に、当たりを探索する。

所員の姿は見つけられなかったが、天井に埋め込まれた、何かの装置を見つけた。エアコンにしては、仰々しい。
「ミノフスキー粒子散布装置?」
MSの組立の最終点検にでも使うのだろうか。高濃度のミノフスキー粒子に取り囲まれたとしたら、センサーの機能障害も納得は出来る。だが、合点はいかない。

なんにしても、俺は奴に誘導されたことになる。それだけは、拭いきれない事実だ。コンソールに現れた「所員データに該当人物無し」の文字を眺めながら、次の目的を目指した。

1,南の隔壁を抜けて、メカドールのいるCエレベータを目指す。
2.北の隔壁へ向かい、初期侵入口に戻る。
3.当初の予定通り、西へ向かう。



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