1.勝ったならば損傷や消費弾数をチェックして進むこと
「勝負あったな、ケイ」
RGM79(G)KEIの戦闘力は奪った。自分で歩いてエレベーターに乗るぐらいは出来るだろう。上出来、と言うよりも、完璧すぎる結果となった。キースを殺すことも、KEIを破壊することもなく、戦闘に勝利できるなんて。
だが、それはキースの精神状態が深刻である証拠でもある。マトモだったら、全力で戦っても勝てるかどうか怪しい。それぼとのパイロットだ。
「ケイ、大丈夫か?」
緊張を解いた瞬間、KEIが弾丸の様に打ち出される。メインバーニアを全開にして飛びかかってくる様は、本当に弾丸のようだ。その手に握られたビームサーベルの光が、曳光弾の様にも、流星のようにも見える。最後の詰めを誤って死んだ兵士は多い。敵兵に情けを掛けて、武器を奪われた奴の話も聞いた。俺の死に様も、笑い話にされるのか。
ドロシィの身体が傾く。高速で接近する熱源を感知して、自動回避プログラムが作動したのか?。それを合図にして、俺の身体が、一斉にあがき始める。肉体の欲求に意思を追随させる。ペダルを踏み込み、操縦桿を力の限り振り回す。
ドロシィの左腕から、何かがはじき飛ばされる感じがしたが、確認する余裕はない。バックモニターには、渾身の突きを避けられたKEIが、この狭い通路で、バーニアだけで反転し、着地する。見事なものだ。
だが、コッチは無理な回避が祟って、かろうじて転ばないで済んだだけだ。無防備な背後を晒している。背中のクソでかいセンサーユニットには、幾度と無く救われたが、今日ばかりは邪魔なだけだ。
KEIのカメラアイが鈍く光る。姿勢は不安定だが、撃つしかない。バックモニターを頼りに、ありったけの弾を撃ち込もうとしたとき、KEIが崩れ落ちた。
「無事か、ドロシィ?」
ベティ1の、アレード少佐の声。吹き出す汗とともに体中の力が抜け落ちていく。
「なんとか、無事です」
そう答えるのがやっとだった。一呼吸おいて、アレード少佐に事の次第を報告する。
「そうか・・・」
俺たちの視線は、KEIに注がれている。アレード少佐も、急所は避けて攻撃したのだが、キースは、よほど運が悪かったらしい。なにかの破片が首に突き刺さっていた。俺を助けるためとは言え、部下を殺す羽目に陥ったのだ。その心痛は察するにあまりある。
意味はないと知りながらも、謝罪の言葉を発しようとした俺を制するように、アレード少佐は淡々と報告を続けていた。
「ドロシィ2。これで終わったワケじゃない。装備の点検後、早急に任務へ戻れ」
そう言ったアレード少佐の顔は、沈みきっていた。
装備の状態、ダメージを初期状態に戻すこと。装備の変更をしても構わない。
1、任務に従い実験区画へ向かう
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