2.任務に従い実験区画へ向かう


ケイの事は、気がかりだったが、俺にはどうしてやることもできない。なにより任務中だ。ケイのことを頭の隅に追いやると、南へと歩き続けた。

この先には、大型機械工作区画、つまりは組立現場があり、そこを経由して、実感区画にある実験管理コンピューターからメインコンピューターへのアクセスを試し、それから居住区を兼ねた研究区画で、所員の探索を行う手はずだった。工作担当のローガーなしで、上手くやれるだろうか…。

工作区画の受信機に、マスタキーのデータを送る。組み立て作業での事故を想定してか、扉はアイリスバルブとなっていた。重要区画は、すべて隔壁となっているようだ。この基地のメインコンピューターは敵の手にある。隔壁をロックされたら、手も足も出なくなる。

「いやな展開だな…」

工作区画は、組立途中のMSが、公開処刑の遺体のようにつり下げられている。まだ、学生だった頃、夜のデパートをマネキンに怯えながら巡回したことを思い出した。

視界の端に人影が映る。速い。研究ばかりで運動不足の所員とは思えない。いや、人間とすら思えない。獣のような速さ。アレがバイオドールなのか?。コンマ何秒かの困惑の間に、隔壁が閉ざされていく。作戦前に与えられたマスタキーを受け付けない。いやな予感が当たってしまったようだ。

隔壁が閉じるのを待っていたように、視界の右手から一人の男が現れる。

1、バイオドールに違いない。問答無用で攻撃する。

2,所員かも知れない、人物照会を優先する。



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