2、負けたら
グロリアは、現れたときのままのように、毅然と立っている。対するドロシィは、かろうじて機能維持が出来ているに過ぎず、装甲なしの、フレームだけで、動き回っているようなものだ。
「なんて速さだ。人間業じゃねぇ…」
>コクピットブロックに被弾
>損傷レベル1 機能維持可能
>パイロット生体機能低下。意識レベルD。
>操縦権移行。後席コンソール。アクティヴです。
留まる事を知らないダメージログは、ドロシィの猛抗議のようだ。俺だって、精一杯やったんだ、もう少し労ってくれよ。着弾の衝撃でコンソールに打ち付けた頭部は、ぬるりとした感触と、引っ張られるような感触が混在し、不思議な感覚をもたらしている。
「ヒュー。やめて、お願い。この人を殺してはダメっ」
アイリーンの悲痛な叫びに、耐えかねたのか通信モニターに、見慣れない男の顔が写る。いや、大型機械工作室で出会った男だ。いや、それ以前にも会っている。いや、似ている誰かと、間違えているのだろうか?。
「裏切るのか?、イ……お前はっ。ならばもろともに死ぬがいいっ」
憎しみと困惑が入り交じった叫びと同時に、グロリアから弾丸が放たれる。だが、困惑した分、ラグがあった。
「ありがとう、ヒュー兄さん」
ドロシィは、驚くべき高機動を見せ、回避する。その激しいGは、再度、俺を打ち付ける。意識は、疑念とともに闇の中へ落ちていった。
1,目を覚ます
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