1,補修を行う
アイリーンが、MS補修ベッドへ、ドロシィを押し込めるのを確認して、作業に取りかかる。
「大したもんだ、全自動とは…」
さすがに、RGM−79GYは、補修ベッドのデータには登録されていなかったが、RGM79(G)のデータを元に多少手をいれて、なんとか対応させる。作業アームが、装甲板を張り替えていく。エネルギーCAPのリチャージ装置もあり、ビーム兵器の再装填も可能だ。
「ドロシィの自己診断では、駆動系に問題はないみたい」
コクピットから降りてきたアイリーンから、報告を受ける。あとは、装甲の張り替えが終わるのを待つだけか。
「そうか…俺たちも一息つこう」
パイロットキットから、チューブ食を取りだし、アイリーンに渡す。必要な栄養素とカロリーをゼリーにまとめただけの、食事と呼ぶには語弊があるような食事。
「食べる…という程のものじゃないけど、腹に入れておいた方がいい。喰っとかないと、いざというとき、踏ん張りが効かないから」
そう言う俺も、食欲も、空腹感も感じていなかったが、栄養剤のつもりで、口を付ける。ほどよい柑橘系の酸味と甘みが、ほんの少し疲れを癒してくれた気がする。
「徹夜するときには、いいわね、これ」
チューブ食を片手に、たわいもない会話に終始する。今日一日で、俺は相棒と、戦友を失い、彼女は、父親と職場の仲間を失った。そんな壮絶な一日であった事を忘れさせるような、他愛もない会話。そんな中、先に決心したのはアイリーンだった。
「ヒューは、ヒュー兄さんは、私がここに赴任したとき、すでに開発されていたわ。ヒュー兄さんが、バイオドールと知らされたのは、赴任してから半年はたってからね…驚いたわ…」
「今にして思えば、私を使って、ヒューの情操教育を行っていたのね。でも、私は一人っ子で、ずっと頼りになる兄が欲しかったの。母はコロニーの残骸で家ごと潰されたし、父は研究三昧。私が、ここにいるのも、ここなら父と一緒に生活できるから…」
「父がいて、姉のようなジェーンがいて、兄のようなヒューがいて、とても楽しかったわ。ここの生活は息が詰まりそうだったけど、何とかやって行けたのは、みんなのおかげ…」
アイリーンは、軽く唇を噛むと、一番言いたかったであろう事を、口にした。
「確かに、バイオドールは、人では無いわ。でも、意志と人格を持った、一つの命よ…」
軽いアラーム音が鳴り響き、ドロシィのお色直しが終わった事を知らせている。
「行こう」
アイリーンに手を差し出す。
「行って確かめよう。なぜ、こんな事態になったのか。中央コンピュータールームに答えがあるはずだ」
答えは、おそらく、俺たちが望むような、明るいものでは無いだろう。それでも、二人ならば、なんとか立ち向かえる。そう思える。
「ええ、行きましょう。」
俺の手を取り立ち上がるアイリーンの瞳には、悲壮とも言えるほどの何か固い決意が宿っていた。
RGM−79GYドロシィのダメージを全て回復させること。
また、武器弾薬の補給、再選択をしても構わない(初期の選択表から行う事)
プロトビームライフルを持っていれば、そのエネルギーCAP装填も可能。プロトライフル用のバッテリーパックを持っていれば、使用可能となる。
プロトビームライフル
射程3 命中8 ダメージ+6 装弾数4(再装填不可)
ジムのジェネレーターでも、ガンダムクラスのビームライフルが撃てるようにと開発された試作ビームライフル。ジェネレーター不足を補うために、ライフルに補助電源が付けられている。そのため、銃としてのバランスが非常に悪く、かなり扱いづらい。また、補助電源が装着されたため、エネルギーCAPの量がかなり減らされている。実用には、まだ課題が多いが、威力に関しては、目標を達成していると言える。
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